古代ローマと水道橋
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スペインの世界遺産「セゴビア旧市街とローマ水道橋」を紹介

スペインの世界遺産「セゴビア旧市街とローマ水道橋」を紹介
マドリードの近郊には数多くの世界遺産がある。約50km圏内に「マドリードのエル・エスコリアル修道院とその遺跡」「アルカラ・デ・エナレスの大学と歴史地区」「アランフェスの文化的景観」、100km圏内に「セゴビア旧市街とローマ水道橋」「アビラの旧市街と城壁外の教会群」「古都トレド」、200km圏内に「サラマンカ旧市街」「サンタ・マリア・デ・グアダルーペ王立修道院」「歴史的城壁都市クエンカ」「水銀関連遺産:アルマデンとイドリ」だ。このうち特にオススメしたいのがトレドとセゴビアだ。
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水道橋と街並み
セゴビアの特徴は、ローマ時代から中世に至るさまざまな建物が街並みと見事に調和しているところ。たとえばローマ水道橋は1世紀、アルカサルは12~19世紀に増改築を繰り返した城で、千年以上の開きがある。これだけ時代が離れている建物が混在しているのに、街はとても美しく、一枚の絵のように均整が取れている。
この水道橋は1884年まで約1800年にわたって使用されてきた。そして現在では水道管が通してあって、その中をやはり水が流れている。古いものを上手に活用して街と調和させる伝統がいまなお生きている。
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水道橋の「悪魔の橋」伝説
ローマ水道橋の技術はあまりに高度で、同レベルの水道はそれから1,500年以上も造られることがなかったといわれる。そこで誕生したのが「悪魔の橋」伝説だ。簡単に紹介しよう。
セゴビアの街に美しい少女がいた。少女は毎日の水くみに疲れ果て、傷めた腕を見つめてこうつぶやいたという。「夜明けまでに私の家まで水を引いてくれるなら、私の魂を差し上げます」。これを聞いた悪魔はひと晩の内に水道橋を仕上げるが、最後の石をアーチの頂上に置く瞬間にニワトリが声をあげ、約束の時間に間に合わすことができなかった。少女は悪魔と約束をしたことを恥じ、教会で懺悔し、橋の中央に守り神としてマリア像を設置するよう嘆願したという。
この話は多数のバリエーションがあるようだが、共通しているのが「悪魔」。それほど中世の人たちにとって、この橋は信じがたい存在だったのだろう。
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機能美に満ちたセゴビアの水道橋
地中海周辺には数多くの水道橋があるが、セゴビアの水道橋はその中でも一二を争うほどに美しい。その秘密はアーチの高さ、幅の狭さ、橋脚の細さにある。
現在の橋が細くスタイリッシュなのは鉄やワイヤーを使った鉄橋だから。石を使って橋を造るとどうしてもずんぐりむっくりしてしまう。ところがセゴビアの水道橋は高さ28.5m、全長813mもあるのに、幅はたった2.4m。高さに比べて橋脚は細く、遠くから見るとまるで鉄橋のよう。
ところがこの水道橋、ただ花崗岩を積み上げただけで、鉄はもちろん釘も接着剤も使われていない。全部で128あるアーチ部分は石同士で支え合って絶妙なバランスを保っている。そればかりではない。
現代の水道は水に圧力をかけることで水を遠くに運んでいる。しかしローマ時代の水道橋では、高いところから低いところに流れる重力を使うのみ。それで18km彼方にあるフリオ川の給水地点から、ほんの少しずつ傾斜させて水を引いている。
こんなものが1世紀に造られた。日本がまだ弥生時代の頃の話であります。
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ディズニー『白雪姫』のお城のモデル、アルカサル
セゴビアの旧市街はエレスマ川とクラモレス川に挟まれた岩山の上に、船のように浮かぶ街だ。その北西の端にそびえているのがスペイン語で「城」や「宮殿」を意味するアルカサルだ。
旧市街から訪ねると、直線と柔らかい曲線で構成されたそのたたずまいはかわいらしく、出窓からいまにもディズニーのキャラクターたちが飛び出してくるのではないかと思うほど。
そのせいか、1937年に公開されたディズニーが生んだ世界初の長編カラーアニメ『白雪姫』の城のモデルとされ、魔法の鏡に向かって「世界でいちばん美しい女は誰?」と尋ねる王妃の居城として登場する。ところがこの城、川の外側から見ると様子が変わる。川岸から立ち上がる高さ100mほどの断崖を利用して城壁を巡らせるその姿は剛健そのもの。アルカサルに入る道は地下を通る秘密の通路を除けば跳ね橋だけで、川と岩に守られた天然要塞であることがよくわかる。そして旧市街そのものが、三方を岩山に囲まれている。
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ここでセゴビアの歴史を簡単に紹介しておきます。
ローマ人が侵入する以前、この要塞都市はケルト人が暮らす砦だったという。その砦をローマが落として城砦を造り、城壁で囲ってセゴビアの街を造り上げた。近くに川がたくさんあるのにこれほどの水道橋を造って水を引いたことから、ローマの経済力の大きさがうかがえる。
その後、8世紀にウマイヤ朝(アラブ帝国)がイベリア半島を侵略すると、街とローマ水道橋の一部が破壊されてしまう。11世紀にカスティリャ王国がセゴビアを征服すると、地方を取り仕切る司教座(カテドラ)が置かれ、大聖堂(カテドラル)が設置されて主要都市として発展。城壁等も修復された。
その後セゴビアは毛織物業で繁栄し、12世紀にはケルト人の城跡とローマ時代の城壁を利用して国王アルフォンソ6世がアルカサルを建設する。この頃のアルカサルは砦のようなものだったが、13世紀にアルフォンソ10世が王宮として増改築を行った。
1474年にはアルカサルで女王イザベルの戴冠式が行われた。そのイザベルがアラゴン王子フェルナンドと結婚して誕生した連合王国がスペインだ。スペインは1492年にコロンブスを大西洋に旅立たせ、これをきっかけにヨーロッパ、アメリカ、アジアに至る「太陽が沈まぬ帝国」を築く。
1561年にスペイン国王フェリペ2世が王宮をマドリードに建設すると、アルカサルの王宮としての役割は終わり、城砦や牢獄として使用される。1762年、カルロス3世がアルカサルに王立の砲兵学校を設立。1898年には軍事博物館が設けられ、平和的に利用されるようになった。
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歴史都市セゴビアの見所
世界遺産「セゴビア旧市街とローマ水道橋」は地区一帯を登録した世界遺産。
■水道橋
18km先のフリオ川から水を運んだローマ時代の水道橋で、2万個以上の花崗岩で造られている。イスラム教徒による破壊などもあったが、女王イザベルをはじめ時の王たちがこれを修復し、大事に伝えられた。現在も水道管の中を水が流れている。
■セゴビア大聖堂
薄いオレンジ色をしたゴシック様式の大聖堂で、その優美な姿から「大聖堂の貴婦人」の異名をとる。建築は1525年にはじまり、約250年後の1768年にようやく完成した。全長は100mを超え、内部は見事なステンドグラスや彫刻で彩られている。
■アルカサル
紀元前の時代、ケルト人の砦に起源を持つ城砦兼王宮。長きにわたって増改築を繰り返したため建築様式が混在しており、たとえば塔はイスラム教のモスクの塔・ミナレットの影響を受けたムデハル様式となっている。内部は公開されていて、王の間、諸王の間、王の寝室、砲兵学校博物館、フアン2世の塔などが見学できる。
■ラ・ベラ・クルス教会
旧市街の外にあるかわいらしい教会。騎士修道会・テンプル騎士団によって建てられた。十二角形をした集中式(点対称)の建物で、カトリックの国ではあまり見ない形状。これはテンプル騎士団の成立・発展がエルサレムなど東方を舞台にしていたことによる。
■その他の教会群
セゴビアには11世紀以降に建てられたさまざまな教会がある。レンガ造りの塔とシンプルな円柱型が美しいサン・アンドレス教会、ロマネスク様式の重厚感が魅力のサン・マルティン教会やサン・クレメンテ教会、「塔の女王」といわれる美しい塔を持つサン・エステバン教会、市街の外にたたずむサンタ・マリア・デル・パラル修道院など、見所多数。
■広場
教会を建てる際、周囲に必ず広場を置いた。そのため歴史ある広場が多く、周囲と調和した姿が美しい。セゴビアで有名な広場といえば、水道橋のあるアソゲホ広場と大聖堂近くのマヨール広場。でも、何げない広場が印象的だったりするので、小さな広場にも足を伸ばしてほしい。
■家並み
中世の家々が立ち並ぶ家並みがまたすばらしい。有名なところでは、四角錐の突起が壁から突き出しているカサ・デ・ロス・ピコス(嘴の家)、化粧漆喰の彫刻が美しいアル・プエンテ伯爵邸などがある。
■メソン・デ・カンディド
セゴビアの名物コチニージョ・アサド(子豚の丸焼き)が味わえる名店。水道橋に面したアソゲド広場の一角にある。


周辺の世界遺産
2014年末現在、スペインは世界で3番目に多くの世界遺産を有する国。ルートさえ選べば一度で多くの世界遺産を訪ねることができる。
マドリードから150km以内の世界遺産だけでも、「セゴビア旧市街とローマ水道橋」「マドリードのエル・エスコリアル修道院とその遺跡」「アビラの旧市街と城壁外の教会群」「古都トレド」「歴史的城壁都市クエンカ」「アルカラ・デ・エナレスの大学と歴史地区」「アランフェスの文化的景観」がある。
特にセゴビア、アビラ、エル・エスコリアル修道院はいずれもマドリードの北西方向にある。バスや電車を駆使すれば1日で回ることも可能だ。


セゴビアのベストシーズン
セゴビアの季節は日本と同じ。夏の平均最高気温は28度、平均最低気温は14度。冬は8度と1度。夏も冬も東京に比べて少し冷える。1日の寒暖差が大きいので要注意。
年間を通して雨は少なく、月20~60mm程度。参考までに、東京でもっとも雨が少ない1~2月の降水量が50~60mm。あまり雨を気にする必要はないだろう。
ベストシーズンは真夏と真冬を避けた春・秋といわれるが、リーガ・エスパニョーラのシーズン(8~翌5月頃)や食べ物の旬、祭りなどに合わせるのもおもしろい。