演劇無料塾

2026年3月開始!第5回演劇無料塾開催決定!

前回の第4回演劇無料塾から1年が経ちました。
その間にも卒業生の活躍をたくさん目にして、その度にまるで自分ごとのように喜び、ほくそ笑んでいました。
それと同時に、俳優としてのゴールとは一体どこなのかと考える日々でもありました。

演劇無料塾は、29歳以下の若い俳優たちに100時間の俳優指導を無償提供する(必要資金は基本的にクラウドファンディングで集める)という企画です。
これまでの4回、テーマは全て「自由と自立」でした。
何かや誰かに従属した俳優になるのではなく、自分で考え自分で動ける俳優になること。
そうでなければ、日本の演劇界という未だ既存の体制から抜け出し切れていない発展途上国のような世界で生きていけないと思っていたからです。

しかしこの1年、ありがたいことに僕はこれまで以上に海外での活動がぐんと増えることになりました。
その中で海外の若くて才能の溢れる俳優たちから世界を飛び回る一流のアーティストたちまで、実に様々な表現者たちと触れ合ってきました。
そして知りました。日本だけでなく、どの世界でも俳優として生きていくことは本当に厳しいことなのだと。

まがいなりにも表現者として生きていけている身として、同じように生きていける人が増えればいいと指導をしてきましたが、ほとんどの人が限られた時間とお金を費やしながらもなかなか結果に結びつかないというのが現状です。
それでも好きなことだから、やりたいことだからと“多種多様な笑顔”をもって応えますが、指導者としてその気持ちを助長し続けるのが果たして正しいのかと思うことがあります。

指導者というのは責任と無責任を同時に持っています。
指導している期間やその内容について、もちろん100%の責任を持ちますし、成長と変化をその人以上に願っています。
しかし、そこ以外に関してはあくまでも他人です。その人の人生がどうなっていくのかはその人次第であり、そこに対して責任を負うことはありません。

昔に比べたら、今は優しい指導者が増えてきたし、皆ポジティブな言葉を投げかけてくれるでしょう。
ですがそれはある種の無責任さも含んでいます。その人の人生を本当に思った時に「今のままではダメだ」「そんな姿勢ならやめた方がいい」と言ってあげた方がいいのではないかと思うこともあるのです。

そんなことをグルグル考えていたら、1年が経ってしまいました。
正直、未だ答えは出ていません。ひょっとしたらずっと出ないかもしれません。
でも、1つだけはっきりしていることがあります。
それは、俳優を名乗る人にはとにかく楽しく演劇をしていて欲しいということです。

「演劇とはPlay(遊び)だ」という文言は100万回くらい聞いたことあると思いますが、僕ほどそのことを信じている指導者はいないのではないかと自負しています。
僕は脚本を使わない、即興の演劇の世界が主戦場であり、それで世界を飛び回っていますが、とにかく舞台に上がっている時、観客と出会っている時が一番楽しいです!
今はほぼ毎週舞台に立っているのですが、それでも足りてないくらいです。願わくば365日立っていたいと思っています。

今回第5回を開催するに当たって、初めてテーマを変えることにしました。
新しいテーマは「ActorからPlayerへ」です。
「俳優=役を演じる人」という枠を超えて、「演劇を本気で楽しむ人」になっていきましょう!
先述した“多種多様な笑顔”の中には、満面の笑顔を持った人がいます。今回参加した人たちがそういう笑顔になってくれることを願います。

他者と交流すること、観客と出会うこと、普段の自分とは違う自分に出会うこと…、演劇をやることはたくさんの楽しみがあります。それは生きる楽しみとも直結していると僕は思っています。
演劇を本気で楽しめるようになった人は、人生そのものも本気で楽しめるようになるんじゃないでしょうか。
そういう人はもう最強です。多分どんな世界でも楽しく生きていけます。
そして100時間が終わったら、その楽しさを周りに伝えていってほしいです。
そうやって楽しさの輪がどんどん広がっていって、周りの世界が満面の笑顔で溢れていってほしいです。

演劇人生の中で最も楽しい100時間を共に過ごしましょう!!!

演劇無料塾主宰・忍翔

演劇無料塾概要

〜29歳以下の若手俳優へ、無料で100時間の俳優指導〜

Q
なぜ無料なのか?
A
成長することへの言い訳をなくすためです。
これまでたくさんの若手俳優達に出会ってきましたが、皆口を揃えて言う言葉が「お金がない」です。
これは多くの俳優が抱える、いわゆる定番な悩みでもあると思うのですが、若い世代にとって深刻なのは、それによって学ぶ機会を失ってしまっているということです。
幸いにも金銭面に余裕があった僕は、20代のうちに日本はもちろん、世界を回って、様々な舞台を経験し、優秀な指導者達から指導を受け、貴重な体験をたくさんさせてもらいました。
そしてその経験が、今の自分のパフォーマンスや指導に、存分に生かされていることも自負しています。
このように、20代までの経験がかけがえのないものだということを身に染みて知っているからこそ、お金を理由に学べない人達に、その機会を惜しみなく与えたいと思ったのです。
Q
どんな俳優を育てるのか?
A
演劇無料塾をやる上で、大切にしていることは2つです。
1つは、プロアマ関係なく、良い俳優を育てること
現在イタリアで活動中の演出家・井田邦明さんがこんなことを言っていました。
「俳優にプロアマはない。だが良い悪いはある。」
実際、俗に言う「売れている俳優」の中にも悪い俳優はいるし、サラリーマンをやりながら演劇をやっている人の中にも良い俳優はいます。
ここでは、より売れるためではなく、より良くなるための稽古と指導を行っていきます。
もう1つは、世界一ではなく、最高の自分になること
100人俳優がいれば、100人の良さがあります。特に多様性が重要視されるようになってきた現代において、自分の良さを生かしていくことは大切です。
ここでは、メンバーそれぞれが、自分の良さを発見し、最大限に活かすことが出来るための稽古と指導を行っていきます。
Q
大切にしていることは何か?
A
先述したように「ActorからPlayerへ」です。
第4回演劇無料塾の初日、参加者全員の自己紹介の際、メンバーの半分以上が「今、演劇が楽しくない」と答えました。
俳優としての歩みを進めているうちに、初心であったはずの「楽しさ」を忘れていってしまう人はたくさんいます。「うまくやらなきゃ」「言う通りにしなきゃ」「売れなきゃ」…といった不安に少しずつ押し潰され、次第に演劇が「楽しい遊び」から「やるべき課題」になっていってしまうのです。
ここでは演劇の本質である「演劇=Play(遊び)」であることを大切にして、舞台上で演じることの恐れや不安を手放し、自由で創造的な俳優になれるように導いていきます。
Q
どのようなカリキュラムで進めるのか?
A
以下が100時間の大枠の流れです。

Term1. ありのままでいられる場を作る

どんな役を演じようとも、舞台に立つのはあなたです。どんな役を演じる時もそれは変わりません。演技をやる以前の大前提として、舞台に立つことへの恐れをなくし、ありのままのあなたで立てるようになることを目指します。主にクラウンのワークを通して、舞台上で魅力的に輝く真の自分自身を発見し、心身ともにオープンになっていきます。また、哲学対話を通して演劇や俳優に対する考えを話し合い、自分自身と仲間への理解を深めていき、安全で安心できる稽古場、関係性を築いていきます。

Term2. イマココを生きる

舞台上で恐れを感じると、頭の中に入ってしまい、イマココからいなくなってしまいます。イマココで生きるために最も大切なことは「外に意識を向ける」ことです。演技の場合だと、特に目の前の相手が一番のターゲットになります。主にインプロ(即興芝居)をゲームやワークを通して、今この瞬間のパートナーと繋がり、影響し合い、変化しながら未知に進んでいく楽しさを味わいましょう。

Term3. 役作り(身体と行動)

役を演じる上で重要なのは、身体と行動です。身体と行動は役によって傾向があります。例えば、抑圧されて育った人は肩が内側に入り込み、恐る恐る歩き、周りに対して従属するように振る舞うでしょう。逆に愛されて育った人は背筋が伸びて堂々と歩き、周りに対しても愛を振り撒いたり甘えたりするでしょう。どんなに台本を分析し、解釈しても、身体と行動に落とし込めたければ役には見えません。主にラバンエフォート、マイケル・チェーホフテクニーク、マスクなどを用いて、身体と行動のバリエーションを増やし、どんな役にでも対応できる心身を育みます。

Term4. 演劇=遊び

僕の師匠であるイギリスの演出家のマイク・アルフレッズは、本番の動きを一切決めず、その時に生まれた俳優の衝動に任せています。彼の著書のタイトルは「Different Every Night」つまり「毎公演異なる」です。そのために緻密な訓練と役作りをし、毎回違う公演を行うのはまるでスポーツのようなエキサイトがあります。演劇は「Play」であり、遊びです。今日はどんなものが生まれるかというワクワクをもっていつも演技が出来たら、どんなに楽しいでしょう。最後には彼の提唱する方法をもって、脚本芝居のシーンワークを実践します。

以上4段階の流れを汲み、最終的には発表会を行う予定です。
Q
ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。
A
ここをクリックして表示したいテキストを入力してください。テキストは「右寄せ」「中央寄せ」「左寄せ」といった整列方向、「太字」「斜体」「下線」「取り消し線」、「文字サイズ」「文字色」「文字の背景色」など細かく編集することができます。テキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキスト...。テキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキスト...。テキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキスト...。

講師:忍翔(OSHOW)

高校から演劇を始め、大学では英語劇やミュージカルに没頭。ブロードウェイ作品やシェイクスピア作品、児童劇などに出演し、メインキャストとして舞台経験を積む。
2010年にインプロ(即興芝居)と出会い、その魅力に取り憑かれる。2023年には、インプロの父と呼ばれるキース・ジョンストンが創設した“Loose Moose Theatre”に所属、出演しながらキースの愛弟子であるショーン・キンリーに師事し“The Improvisation School”にて学ぶ。
さらにフィリップ・ゴーリエ、ペタ・リリー、ジョン・デビソン、アンジェラ・デ・カストロ、アブナー・エイゼンバーグらからクラウンを学び、インプロとクラウンを融合させたパフォーマンスと指導も探求。それによって生まれたインプロクラウンのソロパフォーマンス『Words Begger』は世界各国のインプロフェスティバルに招聘され、アメリカ、オランダ、シンガポール、オーストラリア、中国など8カ国10都市で公演を行う。
また、イギリスの名演出家であるマイク・アルフレッズに師事し、彼のリハーサルプロセスの手法を直に学び、「自由で遊び心のある俳優を育てる」ことをモットーに日本だけでなく世界中で指導を行なっている。

過去参加者の感想

  • 演技のコーチというのは、本当に人を見抜くことが上手い人、という印象が今までのWSなどであったのですが、忍翔さんも紛れもなくそうでした。その人の本心というか、気持ちに実直に向き合って、一緒に遊んだり探求しながらも、それとなく導いたり、行き止まりであることをを教えてくれたり、一人の参加者として純粋に嬉しかったですし、楽しかったです!(第1回参加者 島林瑞樹)
  • 忍翔さんはいろんなメソッドを学んでいらっしゃるので、いろんな方向からお芝居のアプローチのやり方を教えてくださるのがとても魅力的でした。言葉で動けないなら、身体から挑戦してみよう、もっと言葉に頼ってみよう、と自分の中で意識しながらワークする事ができました。感情、身体、関係性、お客さんからの見え方、他のレッスンでは一つのことに着目して教えてもらっていたので、新鮮な気持ちで学ぶ事ができた気がしています。(第1回参加者 斎藤朱海)
  • ワークの度に、演技の癖や心理的なブロックとなっているもの、とりがちな行動などを丁寧に指摘して気付かせてもらえたこともとても有難かったです。「次はこんなふうにやってみて」という指示を受けて自分もみんなも演技が変化してどんどん良くなっていくのを何度も目の当たりにしました。私たちは「既に持っている」から、それをどのように自分で引き出しすのか、ヒントを沢山頂きました。そして忍翔さんは個人に合った演技の引き出し方を見抜いて伝えてくれました。(第2回参加者 草野明華)
  • 忍翔さんの提供する空間では、クラウンやインプロ、マスクのワークを通して「恐れ」に気づかせてくれ、参加者個人個人に合わせて丁寧に取り除いてくれます。演者が本当に楽しんで演じている状態に、上手い具合に導いてくれるのです。これまで数々のワークショップやレッスンに参加してきたつもりですが、他では体験したことのない感覚を得られました。(第2回参加者 滝本圭)
  • 無料塾での稽古は、礼儀とかエゴとか恐怖とか後悔とか忖度とか責任とか、今まで身につけてしまった愛と勇気以外のたくさんのものを、丁寧に身体から剥がしていく時間だった。これが演劇であるならば、僕はこの先もずっと演劇を楽しんでいけるだろうな、と思う。演劇を教えてくれた忍翔さんと、一緒に挑戦を重ねたみんなに感謝しています。(第3回参加者 内田倭史)
  • こんなにも自由に楽しく色々なことを試せる場所で100時間も学べたことは、間違いなくこの先の俳優人生にとってかけがえのない財産になりました。いや、俳優人生だけじゃなく、私個人の人生にとってもすごく大きなものだったと思います。
    時間をかけて色々なワークを重ねていくことで、ワーク単体では気づけなかったことや、他の人のワークやフィードバックから新しいことに気がつけて、それを積み重ねた先でシーンを作れたのが今までと違う感覚でのお芝居に繋がってすごく面白かったです。。(第3回参加者 赤城奈佑)
  • 駄目なところを指摘されながら自分を強制していく教育のシステムではなく、何も否定されることのない許された環境でのびのび枝葉を伸ばして成長することが出来ました。良い意味で、 100 時間がただの交差点だった気がして、 集まったみんなと交わってたくさんのギフトをもらいながらもこれからはみんなと別れて自分の道を進んでいけそうな気がしています。
    時間の制限はあってもスピード重視の学びの場だったとは感じなくて、 開花することを祈った種まきの時間だったような。 舞台上に存在すること、 人に影響を与えること、 反対に傷つけられることが怖くなくなりました。正確に言うと今でも怖いけど怖さの種類が変化しました。 それは私が演劇を続けても辞めても人生の糧となる能力です。
    これからの新しい旅路がとても楽しみになりました。 またみんなと再会できることを望みながら、 私もみんなも全部応援し続けたいと思います。
    (第4回参加者 五十嵐遥佳)
  • 「よい演劇/俳優とは」この問いに改めて答えるには感想文の枠組みではとても足りない。ただし「よい俳優に必要なものは」という問いにならば、演劇無料塾を経た自分は即答できる。それは「失敗する恐れを手放す」ことだ。100時間を経たいまでも、失敗を恐れる自分はいる。ただし以前と決定的に違うのは、失敗に対して同時にワクワクもしているということだろう。失敗したらしたで、それもまたギフトなのだと私の身体が知ったおかげだ。だからこれからはたくさん失敗してやろうと思う。よい演劇なるものは、きっとその先にしかないだろうから。
    (第4回参加者 宮地洸成)
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演劇無料塾 卒業生

第1回 倉元奎哉、椛島一、石川剛、小駒ゆか、岸川明生、輝蕗、島林瑞樹、斎藤朱海

第2回 山本美佳、柄谷英明、吉村加菜実、江藤みなみ、宇都有里紗、草野明華、滝本圭、佐竹謙伸

第3回 齊藤舞夕、となつ、ケイナ、赤城奈佑、こっちゅん、三島木優人、鈴木美緒、米澤剛志、結稀キナ、内田倭史

第4回 山本こころ、朝湖彩、志保、柳原実和、道下幸司、丹内光太朗、五十嵐遥佳、涼水優歌、米地亜緒、宮地洸成