所得のある人ならだれでも行う義務のある確定申告。肩書きは主婦とはいえど、不動産を所有していたり、パートをしていたりして収入があるという方も多いですよね。どういった場合に確定申告をした方がいいのか、また、しなくてはならないのか。それに加え、2018年からの配偶者控除の改変内容も丁寧に解説しました。

確定申告の対象となる人

そもそも、主婦に限らず、どのような人物に確定申告が必須となるのでしょうか。個人事業主だけが、自分で確定申告をしなくてはならない対象であるといったイメージがありますが、意外にそんなこともないのです。確定申告を個人で行うべき対象となる条件を挙げていきます。

①給与以外の不動産収入や事業収入があり、そこから控除分を差し引いても余りがある人
②給与だけで2000万円以上の収入がある人
③給与収入が1か所で副業の収入が20万円以上ある人
④給与収入が2か所以上で、年末調整を受けなかった給与とその他の給与が20万円以上  ある人
⑤同族会社の役員及び親族で、役員会社から給与を受け、賃貸料などの支払いを受けた人
⑥給与について災害減免法による源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた人
⑦給与の源泉徴収がされない人

このうちどれかに該当すれば自分で確定申告を行う必要があります。なかなか自分ではピンとこないものですが、パートや在宅ワークでは天引きがない場合があり、その場合⑦に当てはまります。これに該当する方が後程説明する、103万円の壁問題に対面することとなります。副業の収入が多い③のパターンも主婦の方には多いのではないでしょうか。

「副業」の線引き

副業にいそしむ主婦
ここで明確にしておきたいのは「副業」という概念についてです。主に働くパートやその他に、パートの掛け持ちをしていたらそれを副業と呼ぶのは自然ですが、主な給与の他に株やFX、不動産などの副収入がある場合はどうでしょうか。事業や業務じゃないし…と感じてしまいがちですが、とにかく、主な給与以外に収入があれば副業という扱いになります。上の表の③や④に対する考えが少し変わりませんか?例えば、パートの収入+20万円以上のFXの利益があれば③に該当しますし、④は副収入源が一つ多くて副収入の合計が20万円を超えると該当します。このような場合に確定申告を怠った場合は脱税行為となってしまい、重いペナルティを加えられますので注意して下さいね。

確定申告をしたほうがいい場合

確定申告には先ほど挙げた「しなくてはならない場合」に対して、「した方がいい場合」があります。正確にはこちらは「還付を受けられる場合」になるのですが、還付の申請は確定申告の用紙で行うので混同されがちです。還付を受けられた場合は還付金を受け取ることが出来たり、次年度から住民税などが軽減されたりすることがあるため、条件に合う場合は確定申告した方が良いのです。主に還付の対象となるのは次のような場合が挙げられます。

①10万円を超える医療費を支払った場合
②盗難や災害に遭い、家財が被害を受けた場合
③寄付を行った場合
④年の途中で退職した場合

細かく言えば還付を受けられる条件は他にもありますが、主婦(つまり、第三号被保険者)の立場の上で関係してくるのは上記4点が主なものだと思われます。①②の対象にはあまりならずに暮らしたいものですが、③はふるさと納税を行った場合でも対象となりますし、④はパートを年の途中で辞めたり変えたりした場合に対象となります。案外、該当しやすいものではありませんか?

 

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2018年、何が変わるのか。

さて、ここからが今年から税制が変わることについての話題となります。法律の変更というと、年度ごとに変更されるという印象があるものですが、「新・配偶者特別控除」は平成30年1月からスタートになります。「新しい税制では103万円の壁は実質なくなった」言われますが、これはどういったことなのでしょうか。まずは、従来の103万円の壁について説明します。

103万円の壁の2つの意味

従来の、「103万円の壁」は2つの意味合いを持つ壁です。ひとつ目は自分が所得税を支払わなくてはならなくなる収入額としての意味合いで、もう一つは夫に控除が適用されなくなる収入額としての意味合いです。今回の税制改正で変わるのは後者の、夫の控除額に関わる自分の収入額としての103万円の壁であり、ひとつ目としての所得税を支払わなくてはならないラインとしての壁は据え置きとなります。それぞれ解説してゆきます。

所得税の103万円の壁

学生のアルバイトにも103万円の壁はありますが、大学生場合は自分の収入が103万円を超えることで扶養者(親)の税負担が重くなるというものですが、主婦の場合は自分の収入が103万円を超えた場合は自分の収入から所得税を支払わなくてはならなくなります。所得税の税率は5%なので、103万円をわずかに超える105万円の所得があったとして
105-103=2
2×0.05=1000
ということで、1000円の所得税を支払うことになります。これだと105万円稼いだせいで、103万円稼いだ人よりも損した、というような働き損は発生しません。このシステムは据え置きです。

「103万円」の理由

では、所得税はなぜ103万円から支払わなくてはならなくなるのでしょうか。「103万円」という額面はかなりキリが悪くて微妙なものですよね。このラインから所得税が発生する理由。それは、①課税対象となる最小の収入額38万円+②給与を得るための必要経費として認められる最低限度額65万円=103万円になるからです。詳しく見て行きましょう。

①課税対象となる最小の収入額38万円
この38万円は、基礎控除と呼ばれる収入がある全ての人に適用される控除額です。平たく言えば、38万円の収入までは非課税となるという仕組み。「収入」という表記がポイントで、仕事をしていて給与である場合も、ネットオークション等で得た給与以外の収入である場合もこれに含みます。後者である場合は単純に収入が38万円を超えた場合に確定申告が必要になりますが、給与収入のある人の場合は②の控除も適用されることになります。

②給与を得るための必要経費65万円
こちらは給与がある全ての人(パート・アルバイト・会社員・業務委託etc.)に適用される給与取得者控除と呼ばれるもので、給与を得るために65万円までなら必要経費として認めるという仕組みです。実際に65万円分の必要経費が発生しなくても、給与のうち65万円分は必要経費として差し引かれます。その為、給与がある人で所得税を納める必要が発生するのは給与が65万円を超え、さらに38万円以上の所得があるという場合、つまり収入103万円以上ということになるのです。

 

従来の配偶者控除のおさらい

これからどうなるか、のお話の前に今までどうだったかのおさらいをしてみます。今までの配偶者控除は下の表のような形態で、扶養対象となる(妻/夫)の所得が103万円を超えると主な稼ぎ手の控除額が減るという仕組みでした。例えば、扶養対象の(妻/夫)に120万円の収入があったとしましょう。120万円から給与所得者控除を引いて120- 65=55万円。これが所得金額となります。下の表の対応箇所を見ると控除額は21万円。一方、収入が103万円だと控除額は38万円。世帯での手取りを考えると、120万円の所得があっても主な稼ぎ手の収入が17万円減ると、所得が元から103万円だったのと変わりがありません。この17万円分を跳ね返すのが103万円の壁だったわけです。

配偶者控除
注目してほしいのは、主な稼ぎ手の収入自体は控除に関係してこないという点です。どういった意図でこの税制があるのか、どんな風に変わるのかを解説します。

配偶者控除の103万円の壁は消えたのか

今回の法改正で撤回されたと思われた、もう一つの103万円の壁。扶養対象となる(妻/夫)の収入が103万円を超えることで、その主な稼ぎ手であるパートナーの受けることのできる「配偶者控除」が徐々に適用されなくなるというものです。法律の意図としては、主な稼ぎ手一人の収入で(妻/夫)をはじめ、家族を扶養するのは大変なので、その分扶養者の人数や年齢に応じて税率を下げて負担を軽くしようというもの。老人や子供に対する控除もありますが、配偶者控除の場合は、扶養対象となる(妻/夫)の収入によって率が変動します。扶養対象の(妻/夫)に自分の収入があるなら特に彼らを扶養する分のお金を主な稼ぎ手の収入から差し引かなくてもいいので、(妻/夫)の収入に応じて差し引き額を下げよう、という主旨です。今回の法改正で、この法律自体が消えるというわけではありません。配慮の仕方が変わり、それに伴って控除が減額され始めるラインが103万円から150万円に変更になります。

 

配偶者控除のゆくえ

2018年からの配偶者控除の変更点は以下の通りです。

①配偶者特別控除の減額開始ラインが103万円から150万円へ変更②扶養対象にある(妻/夫)の収入が201万円を超えると控除が適用されなくなる

③主な稼ぎ手自身の収入によっても控除額が変わる

④主な稼ぎ手の収入が1220万円以上である場合は控除が適用されなくなる

以下、表とともに詳細を説明します。

①が一番大きく変わると言われている変更です。今まで103万円以上の所得があると、それを上回った分だけ主な稼ぎ手の収入が少なくなるというシステムでしたが、単純に今年からはそのラインが150万円に引き上げられます。ただし、150万円という新たなラインを上回ると、以前と同じように、主な稼ぎ手の控除額が緩やかに減額されていきます。
さらに、今までは主な稼ぎ手自身の収入に関わらず扶養対象の(妻/夫)の収入が103万円を超えれば控除額を減らしていくようになっていましたが、今年からは主な稼ぎ手自身の収入も三段階に分けて加味することとなりました。新しい区分がどうなっているか、下の表をご覧ください。

 

 

まとめと具体例

本題は働く主婦の皆さんに戻し、ここまで、かなり多くの数字や計算式が出たことで混乱を招きやすくになってしまったので収入形態や年収でパターン分けした具体例を挙げながらどんな人が確定申告をしなければならないかを見ていきたいと思います。

主に主婦が確定申告をしなければいけない場合
・パートなどの職に就いていて所得が103万円を超える場合かつ年末調整がない場合
・専業主婦で収入が38万円があった場合
(例)骨董を売って40万円を得た・馬券を38万円以上当てた
・主な収入源とは別に副収入が20万円以上ある場合
(例)習いごとの教室を開く傍ら株で20万円儲けがでた

主婦が確定申告をした方がいい場合
・寄付を2000円以上した場合
(例)ふるさと納税を行った
・年の途中で仕事を辞めたり変えたりした場合
・支払った医療費が10万円を超えた場合

今年から大きく変更されるポイント
・103万円の壁(配偶者控除)は150万円の壁へ。201万円から控除額は0に。
・主な稼ぎ手の収入額によっても控除額が変動するように。1220万円以上の収入がある場合は    控除は適用されない。

多くの場合は上記のような場合に当てはまる人だけが確定申告をすればいいことになっています。配偶者控除に大きな影響を受けそうな方は、自分の所得と、パートナーの所得の両方を考えるようにしてみてください。確定申告のやり方・書き方はこちらのリンクです。
確定申告のやり方・書き方はこちら

 

最後に

いかがでしたか?働き方の多様化に伴い、主婦が所得を得るための選択肢もまた広がりました。自分の収入は給与か、そうではないのか。主な稼ぎ手の収入、家族手当の形態はどうなっているのか。その他確定申告をすれば還付を受けられる場合はないか…。着目しなくてはならない点が沢山あって苦労しますが、うっかりと脱税することが一番あってはならない事態です。特に今年から配偶者特別控除の計算の仕方が変わり、それに伴い「壁」とされる金額も変わりました。自分のケースを照らし合わせながら、焦らず確定申告して下さい。
尚、本記事の執筆・再編集にあたり、「配偶者」「妻」「夫」「パートナー」といった言葉の取り扱いには大変苦戦し、悩んだ末にこのような表現の形を取らせていただきました。明瞭さに欠けるとは思いますが、今回の税制改正自体が働き方の多様性や性別役割分業からの脱却を認めたものであると考えたための判断です。何卒、ご了承下さい。

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