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Nikon Z6
 オールドレンズの嗜み

 ミラーレスの登場で息を吹き返したオールドレンズたち。

 オールドレンズ母艦機として存在感を放つNikon Z6を通じて現代的なレンズとは違う、古き銘玉の雰囲気をお楽しみください。
 また、作例を見て購入を考えている人の参考になれば幸いです。
 作例は絞り開放か1絞りまでて撮ってあります。

 機材の写真はNIKKOR-P Auto 105mm F2.5(Ai改)にて撮影しています。
 作例や機材撮影は、すべてオールドレンズでの撮影です。

 この右の写真は、ゼンザブロニカECに東京光学(TOPCON)製のZENZANON 100mm F2.8をつけ、接写用ベローズを付けて近接撮影したものです。



= NEWS =


 銘玉レンズ 
 マウントアダプター 
★Nikon Fマウント
  Nikon FTZアダプター
 Nikkor-S Auto 5.8cm F1.4 / Nikkor-H・C Auto 50mm F2
 Ai Nikkor ED 180mm F2.8s

★Nikon Sマウント
★Carl Zeiss(Contax Cマウント)
  
SHOTEN LM-NZ M (EX) (B)
  Amedeo Adapter Nikon S - Leica M
 NIKKOR-S・C 50mm F1.4 / Voigtlander S SKOPAR 50mm F2.5
 W-Nikkor 2.8cm F3.5 / W-Nikkor 3.5cm F1.8
 NIKKOR-P・C 10.5cm F2.5
 jena Sonnar 5cm F2(戦前ニッケル沈胴) / Sonnar 85mm F2(戦前)

★MINOLTA SRマウント
  MD-L/Mアダプター(メーカー不明)
 W.ROKKOR-QE 35mm F4 / New MD 50mm F1.4
 MC ROKKOR-PG 58mm F1.2 / MC TELE ROKKOR 100mm F2.5
 New MD Macro 50mm F3.5

★Canon FL/FD/New FDマウント
  FD-L/Mアダプター(メーカー不明)
 FD 50mm F1.4 S.S.C / FD 100mm F2.8 S.S.C


★MAMIYA645マウント
  RAYQUAL  MYA645-NF
 SEKOR C 80mm F1.9 / SEKOR C 110mm F2.8 N

★ゼンザブロニカ フォーカルプレン機
  Nikon Fマウント自作アダプター
 NIKKOR-P・C 75mm F2.8 / ZENZANON 100mm F2.8
 NIKKOR-H 50mm F3.5

★ライカMマウント改造
 KONICA AUTO S HEXANON 47mm F1.9

Nikkor-S Auto 5.8cm F1.4

 このレンズは、Nikon Fが出た当初に、開放F1.4の標準レンズとして発売された。
 当時の光学設計・硝材ではF1.4でレンジファインダーでは一般的だった50mmの一眼レフ用レンズが設計できず、5.8cmという妙な焦点距離になった。
 この2年ほど後、Nikkor-S Auto 50mm F1.4が発売され、短命の内にラインナップから姿を消した。
 このような焦点距離をもつ、ちょっと長めな標準レンズは一眼レフ黎明期にはままあり、日本の光学設計の歴史を垣間見る、貴重なレンズスペックともいえる。

 微妙に長い焦点距離と相まって、ボケを活かしたポートレートレンズとして重宝されている。

 典型的な6群7枚のガウスタイプだが、レンズは絞りの前の方が多いちょっと変わったレンズ構成になっている。

 なお、装着レンズは後追いでAi改造されているため、フィルム/デジタル一眼レフでもAE撮影が可能になっている。

 このレンズの描写は、F2のまとまりの良さが好きだ。
 開放だと、やや暴れすぎる背景に手を焼く感じがする。
 一つ絞ることで、全体としてスッキリした印象になる。
 F4まで絞ると、もう優等生同然の顔立ちになり、面白みは減ってしまう。
 持っている中でも一眼レフ用としてはニコンで一番古いレンズだ。
 それでも、ボケは割と綺麗で古さを感じない。

Ai Nikkor ED 180mm F2.8s

 オリンピアゾナーから流れをくむ180mmという焦点距離が独特。

 普通レンズで作ったものもあるがこれは最終的な完成版としてEDレンズを使用し、色収差を排して画質を向上させている。
 鏡筒に一重巻いてある金リングが高性能ニッコールレンズのシンボルだ。
 往時の輝きは、今も褪せずに誇らしいたたずまいだ。

 MFレンズの中で、手軽に高性能望遠レンズが楽しめる一本。 
 大柄だが持った感じはそんなに重くなく、バランスはいい。
 フィルムで撮っていたときは、よさこいでステージの踊り手を撮るのに活躍した1本だ。

 200mm F4よりもフィルター径は大きくなるが、1段明るくてピント合わせのしやすさも含めると、持っていて損をしないレンズでオススメだ。
 中古も数が多く入手性は良いし、価格もこなれそこまで高くはない。

 この頃の第1レンズにはEDガラスが使用されており傷がつきやすい。
 なるべくフィルターをつけて保護した方が良いと思う。

 ソツなくこなす優等生、それが印象的だ。
 金リングがあるだけのことはある。
 面白みはないかもしれないが、往時の高性能に思いを馳せる一本だ。
 焦点距離が長いので、積極的に背景をボカしたいときに重宝する。
 ただ常用するには長く、持ち歩くには大柄すぎるのか難点ではある。
 しかし、ここぞというときの一本として、あることを覚えておきたい。

NIKKOR-S・C 5cm F1.4

 1950年代に作られたレンジファインダーのニコンSシリーズ用の標準レンズです。
 もとはF1.5で作られていたが、その後F1.4へと改良がなされここに至る。

 3群7枚のゾナータイプのレンズで、本家本元のツァイスゾナーを手本にして作られている。
 鏡筒はシルバー(前期型)とブラック(後期型)とあり、細かなバリエーションも多く存在するので、コレクターにも楽しい一本だ。
 割と早くから軽合金鏡筒になっているため、同時代のコンタックスのゾナーと比べると軽くなっている。

 時期によって微妙に設計が変わっているのか、すべて同じではないという話も聞く。
 日本の工業技術発展の歴史との関連もありそうで興味深い。

 開放では球面収差によるフレアが出てコントラストが落ちるが、絞り込めばキリッとした描写へと変化する。
 変化を楽しむオールドレンズとして、筆頭格に上がる一本だ。

 最後期のものはガウスタイプになっているため、これとは一味違った写りになっている。

 近傍での撮影では確かに開放独特のコントラストの低さが目立つ。
 全体を見回しても、オールドレンズ独特の描写が好事家向きの一本だ。
 ゾナーのボケはベタッとつぶれるようなボケになりやすい感じである。
 ただ被写体によってはスムーズにボケていくことがあり、二面性があるのか。
 作例では割と素直なボケが楽しめたが、背景の状態によってはゾナーらしい荒々しいつぶれ具合のボケになる。
 ただ、周辺像は流れやすく、絞り込んでの均一な描写は期待しない方がいい。
 レンズが短くできるゾナーとセンサーの相性の悪さなので仕方なし。
 絞りは開け気味にして、ボカしてやり過ごそう。
 そういうときもある。

Voigtlander S SKOPAR 50mm F2.5

 コシナ・フォクトレンダーがベッサ用に発売したLマウントの同名レンズのニコンSマウント版。
 もともとのスコパーはテッサータイプだが、これはそれを発展させ構成枚数の多いレンズだ。
 開放値も明るくないため、絞り込まずとも描写は安定している。

 オールドレンズに部類には入りづらいが、最新レンズの設計とはひと味違うと思うので、敢えてラインナップへ。
 Sマウント版自体は数も少ないため、Lマウント版が入手性良くて良いと思います。
絞りリングを回すと距離リングも回ってしまい、絞りリングもやや軽く、使い勝手は決して良くはないが、Sマウント版はフードが独特なフジツボ型なので、見た目はLマウント版よりも凝っており、モノとしての満足度は高い。

 個人的にはこのコンパクトさは好みです。

 欠点のない優等生、現代的な設計と製造管理の下で作られたレンズだ。
 発色もすっきりしており、すがすがしさを感じる。
 気兼ねなく使える安心感は、オールドに雰囲気だけ似せた現代レンズの象徴。
 ただ、絞り込んでも片ボケがピント位置によって出たり出なかったり。
 どこか部品の相性が悪いのだろうか?
 個体差なのかもしれないが、ややそこが残念だ。
 だましだましにはなるが、使いこなすとはそういうこともある。

W-Nikkor 2.8cm F3.5

 Sマウント時代の広角レンズで、ライツなどよりも早く28mmのレンズでF3.5のスペックを製品化していた。
 レンズは4群6枚のオルソメタータイプ。
 同時代でキヤノンがLマウントで同じスペックのレンズを出しているが、こちらはガウスタイプである。
 同じスペックにそれぞれ違ったアプローチで取り組む個性が垣間見える。
 
 絞りは使いにくい前絞りタイプしかない。
 やや使用感は良くないが、そう頻繁にいじるものでもないので仕方ないと諦めるのが正解だ。
 3.5cmもそうだが、ミラーレスでのレンズ遊びにはこのくらいの小さくて軽いレンズが一番いいと思う。
 スタイル的にも負担がなく、気軽な感じで撮り歩けるのがいい。

 ただ、近距離での距離目盛がかなり大きく振ってあるため、開放でも1~2m前後での像のピントピークが見つけにくいときがある。
 ヘリコイド付きのアダプターがあれば、一眼レフの28mm F2.8の最短よりも5cmほど近寄れるのは、嬉しいおまけだ。

 さすがに開放ではキリッとしたシャープさではないが、実用十分。
 もちろん、絞れり込めば問題ないシャープさになる。

 オールドレンズらしく、逆光時のハレーションは盛大だ。
 周辺光量の低下は大きく、開放での四隅の落ち込みはかなり目立つ。
 レトロフォーカスではないのでこれは仕方ないが、これを活かした撮影が腕というものになる。

 歪曲収差もほぼ無視できるくらいのレベルで、街中でのスナップで直線を気にする必要はほぼないと言える。
 最近のレンズでは見られない収差補正で、レンズとは何かということにハッとする気がする。

 素直さが光る、そんなレンズだ。

W-Nikkor 3.5cm F1.8

 レンジファインダー機が成熟した1956年発売、当時の対称型大口径広角レンズ。
 ライカの35mm F2よりも早く、ニコンとキヤノンが発売したF1.8レンズ。
 ニコンは軽金属の鏡筒を用いて軽量化を図っている。
 また構成レンズ7枚中4枚に新種ガラスを使用し、積極的な収差補正を行った意欲作。
 ニコンSマウントレンズの、ひとつの完成形だ。

 絞りリングが鏡筒先端になり、レンズ前面にあった従来レンズよりも使い勝手が向上しているのが良い。
 一眼レフのレンズではレトロフォーカスで大きくなりがちだが、このコンパクトな姿がつつましい。
 その反面、存在感のある前玉レンズおかげで見栄えがいい。
 ガラスが大きいため、サイズの割には重めの印象だ。

 先すぼまりのデザインはあまり好きではないが、このルックスなら許せる。
 スコパーもそうだが、性能重視で大型化しやすい現行のミラーレスレンズとは一線を画す、往時のレンジファインダーレンズのサイズは、小型軽量化されたミラーレスとの抜群のマッチングだ。

 開放では霞んだような描写が、オールドレンズらしさを醸し出す。
 その一方、ピント位置ではキチンと解像したシャープさがある。
  前後のボケも違和感は少なめだ。
 レンジファインダー用レンズなので最短撮影距離は遠いが、ヘリコイド付きアダプターがあれば、一眼レフと同様に近接して撮影でき使い勝手は向上する。
 レトロフォーカスタイプではないため、周辺減光はやや大きめだと思うが、適度な集中力を生む良い演出になりそうだ。

NIKKOR-P・C 10.5cm F2.5

 3群5枚で典型的なゾナータイプのレンズ構成。
 明るさは抑え気味でその分収差はうまく抑えられており、開放から破綻なく使える。

 決して軽くないレンズだかボディバランスは良いため、取り回しは良好だ。
 粗いローレットリングがイマドキのアッサリ系レンズ外観とは異なり、触るほどに造りの良さを実感できる。
 2群は大きなレンズを接合したガラス塊のため、持つとずっしりする印象だ。

 シルバーとブラックのコントラストが美しく、モノとしての存在感は抜群に良い。
 フードを付けた姿も、また然り。

 amedeoのアダプターとの相性はイマイチなのか、距離リングの回転が渋くなる時がある。
 Sマウント外爪レンズは、外爪だけのアダプターを用意した方がスムーズかも知れない。
 それでも、一眼レフのレンズ同様に近接できるようヘリコイド付のマウントアダプターは必須かな。

 開放から緩さなくキチッとシャープに解像するレンズだ。
 絞りは深度コントロールで使う、という感じでいいだろう。
 石像の表面が克明に描き切られている鋭さは、ゾナータイプそのものといった感じだ。
 堅実で真面目、描写一筋の堅気な職人、そんな雰囲気を感じる一本だ。
 EVFで見ていても、ピントが合うとキリッとエッジが出る感じだ。

 背景のボケ方も穏やかで使いやすそうだ。

Carl Zeiss Sonnar 85mm F2(戦前)

 まさに、ルードリッヒ・ベルテレにより世に出され、その名を知らしめるゾナーの中の雄とも言えるのが、このレンズ。
 レンズ構成は言わずもがなの3群7枚、泣く子も黙るレンズ貼り合わせの構成だ。

 鏡筒は真鍮製、輝くクロームメッキの鏡筒にずっしりとしたガラス塊をはめ込んだ、まさに重みのあるレンズだ。

 同スペックとしては、ニコンSマウントでもあるが、こちらが本家本元のご先祖様にあたる。
 コピーレンズとして、ロシア(旧ソ連)のジュピターが有名だ。
 それぞれで写りを撮り比べるのも、またオツな楽しみなもしれない。

 ただ波寄る年月には敵わず、内部には幾分クモリがあるので、描写はややローコントラストになっている。
 戦前なのでコーティングもないが、それに輪をかけてコントラストの低下となっているが、そういうレンズとして扱えば、そんなものだ。

 順光ではさほど気にならないが、さすがに逆光気味になると霞みが入り、コントラストが落ちるのがハッキリわかる。
 しかし、結像部分のシャープさは少しも損なわれず、あたかも当然のようにひとつの絵として焼き付けられる。

 時を経てもなお、その存在感は褪せないレンズだ。

 曇りのせいでコントラストは落ち気味、はやり老兵力及ばずという感じはする。
 しかし、写り自体には昔の力量がまだはっきりと残っており、むしろ老獪になったとも言えるのかもしれない。
 腕を選ぶ、そんなレンズだと思う。

MAMIYA SEKOR C 80mm F1.9

 マミヤ645シリーズの初期からラインナップにあるガウスタイプの標準大口径レンズ。
 中判レンズを見渡しても、もっとも明るいレンズ(この次に明るいのはコンタックス645のプラナー80mm F2)。
 知り合いのツテで譲っていただいたレンズだが、その理由はこの開放F値の明るさだった。
 見れないものを見せてくれそうな、そんな気がしたからだ。

 開放F値が明るいことと相まって、フィルム一眼レフでは135判同様の感覚でピント合わせができるのは嬉しい。
 小柄な80mm F2.8もあるが、こちらの見た目は大口径レンズだけあって存在感十分。

 中判レンズだけあってフランジバックが長いため、全長が長くなってしまうのが難点・・・

 開放は緩やかに像のエッジが丸まる感じがする。
 キリキリとしたシャープさが特徴の現代的なレンズとは違うが、オールドレンズらしい緩さでもない、一枚上手のバランス感覚を持ち合わせているようだ。
 Nレンズではないのでコーティングは古いが、発色も悪くない。

MAMIYA SEKOR C 110mm F2.8 N

 マミヤ645のレンズの中で、標準レンズよりも少し長い135判の画角換算で70mmに届かない程度の中望遠レンズ。
 135判ユーザーからすると、中判でのこの画角はやや中途半端に感じるかもしれない。
 しかし、フルサイズで使用すると取り回しの良い望遠レンズへと早変わり。

 もともとの画角だとポートレートを意識していると思う。
 実際に撮ってみると実際、開放からのキレとボケの良さにうなづける性能だ。

 80mm F1.9よりも小柄で軽量になり、持ち歩きは楽になる。

 中判ではポートレートを意識した画角に感じるが、フルサイズだと望遠になる。
 F2.8は中判だと明るいレンズだが、フルサイズだと中庸な感じになる。
 適度な圧縮感とともに、被写体を浮かび上がらせる使いやすいF値だ。
 開放からスッキリ解像するところをみると、まつ毛にピントを合わせたモデルの顔を美しく描像してくれる期待感が高まる。
 光沢感の描写も良く、Nレンズなので色合いのノリも綺麗な感じで「優等生」そんな言葉が浮かんでくるレンズだ。

W-ROKKOR QE 35mm F4

 ミノルタ一眼レフ黎明期に、交換レンズの普及を目的に出された廉価版の広角レンズ。
 廉価版とはいえ、4群5枚とレンズ構成は豪華だ。

 開放F値がF4と暗いため、光学ファインダーではお世辞にも使いやすいとは言えない。
 これはミラーレスになってもややその感はぬぐえないが、EVFで拡大できるとなんとか使いやすくなる。

 最短撮影距離が40cmなのは、廉価であるがゆえのこと・・・
 ヘリコイド付きアダプターであれば、この程度の差はなんなく超えて行ける。

 鏡筒のデザインは先端がシルバーになっているので、黒とのコントラストが楽しめる。
 ぱっと見マクロレンズのような奥まった位置にあるレンズのおかけで、フードがなくても使いやすい感じだろう。

 手に入れた個体は曇りがあったが、クリーニングで簡単に落ちてスッキリしたレンズになった。
 なお、鏡筒は前側からねじって分解できる簡易な造りのため、ある程度の分解清掃であれば工具なしで出来るのはありがたい。

 開放F値の暗さと相まって、周辺光量の低下は割と少ない。

 ただ、像のシャープさはキリッとまではいかない感じだ。
 EVFで拡大してピントを見ていても、エッジが丸みを帯びたままピークを通過している感じはする。
 ただ、結像自体には問題はないため、性能的には十分だ。

 近距離での背景ボケは暴れやすい感じもあり、オールドレンズらしさが期待できる一本だ。

New MD Macro 50mm F3.5

 MFミノルタレンズの標準マクロレンズ。
 控えめなF値だがレンズは4群6枚のガウスタイプと贅沢な構成だ。
 これなら性能は折り紙つき。

 同時期でこのF値だと、マイクロニッコールでは3群5枚のクセノタールタイプだった。
 当時からミノルタは高性能なレンズとして宣伝、確かに撮影結果は高性能ぶりを発揮している。

 レンズ単体でハーフマクロとして、延長リング併用で等倍まで寄れるのは、この時期のレンズならではの「お作法」だ。
 鏡筒に撮影倍率が刻印してあるのは、イマドキあまり見ない丁寧な造り。
 鏡筒上面には撮影倍率に応じた露出補正が記してあり、とても親切な造りに感心する。
 この頃はまだ、撮影倍率に応じて露出補正をかけていたので、倍率表記は重要なスペックだった。

 鏡筒の撮影倍率はレンズ単体では白字、延長リング併用時は青字を使用することは、リングが青字で書かれていることから判断する。

 年代を経ても描写の美しさが光るレンズ、透き通るような描写だ。
 レンズ構成が贅沢だからかもしれないが、撮った画像の美しさには舌を巻いた。
 雑誌で紹介されていた、マクロプラナーを彷彿とさせる品のあるトーンにハッとするものがあった。
 最新のレンズなどいらない、と思わせるほどの描写だ。

MC ROKKOR-PG 58mm F1.2

 各社、標準でF1.2を実現すべく四苦八苦していた頃の里程標ともいえる焦点距離だ。
 55~58mmでまずF1.2を達成し、最終的に50mmへと縮めている。
 そんな歴史を垣間見るレンズスペックだ。

 レンズ構成は一般的なガウスタイプの7枚構成だが、2群と3群がどちらも貼り合わせで5群構成になっているのが特徴的だ。

 これはMCロッコール時代のもので、距離リングが梅鉢になっているのがデザイン面でのチャームポイントだ。
 金属製でずっしりしており、太い鏡筒と相まってグラマラスな印象は好感度が高い。その反面、携行性は良いとは言えない面はある。

 残念なことに、レンズ第1面のコーティングと鏡筒内のグリスの相性が悪く、ほとんどの中古品はコーティングが黄変しており、光学ファインダーで見てもハッキリとわかる。
 しかし、デジタルのオートホワイトバランスを使えば、この程度は難なくクリアできる。
 優しさを持つ描写だ。
 キレの中に穏やかさがあり、石造の包容力豊かな雰囲気が良く出ている。
 近接では開放でのにじみはあるものの、結像部分のシャープネスは確保されている。
 パリッと切れ込む最新レンズには遠く及ばないが、開放からでもキチンと使えますよ、とそういう主張は漏れなく盛り込まれている。
 被写体のコントラストによっては、ピント合わせがやや難しい時はある。

FD 50mm F1.4 S.S.C

 FL時代から登場したF1.4が、FDマウント化されてマルチコートの対応したS.S.C(スーパー スペクトラムコート)になって1973年に発売された。
 レンズ構成は典型的な5群7枚で一貫してガウスタイプである。

 色再現の良さから、標準レンズの中の標準とも言われる。
 MFレンズ時代は、標準レンズはボディとセット販売が慣例だったため、中古市場の玉数は豊富、リサイクルショップでもうまく選べば数千円の安価に手に入る。

 各社の標準レンズはオールドレンズ入門として、手出しやすいレンズでもある。

 文句なしで、オールドレンズ、といえる一本だと思う。
 ただ、やんちゃではなくて、控えめながらも静かに主張する感じだ。
 開放の緩やかな、ふんわりとした描写は扱いやすさ感じる。
 最初の一本にどうですか? と薦めるのも悪くないレンズだと思う。

FD 100mm F2.8 S.S.C

 100mmのレンズは、レンジファインダーの頃からF4→F3.5と変遷し、一眼レフ時代になってF2.8へと改良された。
 以後、F2~F1.8の大口径化が進化の終着点となった。
 F2.8は小型軽量(そして廉価)なレンズとして定番になった感はある。

 FDマウント化の後にS.S.C.化され、50mm同様に1973年の発売開始。
 5群5枚の全群分離(レンズタイプ不明)で、FLレンズ当初より変更していないようだ。

 一眼レフ時代には、望遠入門は135mmとなっていたので、100mmはあまりメジャーではないかもしれないが入手性は悪くないと思う。

 一生懸命絞りを開けずとも、割とボケを堪能しやすい焦点距離であり、ボケを楽しむのには持ってこい。
 描像は素直で癖もなく、個性的な面は少ないかもしれないが、適度に使いやすいレンズだ。
 歪曲もほとんどなく、延長リングを使っての近接物撮りも楽しめる感じだ。

ブロニカ用 NIKKOR-P・C 75mm F2.8

 中判一眼レフとして、ハッセルと並ぶ陣容で席巻したゼンザブロニカシリーズ。
 そのブランドを有名にしたのは、当時国内最高峰とも言えたニッコールレンズが使えたことも大きな要因だった。
 標準レンズとしてセットで売られていた75mm F2.8のレンズは広く行きわたり、中古市場でも豊富なタマだ。

 このP 75mmはクセノタールタイプである。
 F2.8は凡としたスペックだが、中判では明るく、35mm判では中庸で使いやすい。
 ECシリーズまでのブロニカのレンズは、レンズとヘリコイドが別になっていて他のカメラへの転用が非常に難しいため、避けられがちなオールドレンズだ。

 今回、ミノルタA 70-210/4の金属フードとヘリコイドユニットが見事に合致し、フランジバックもほぼ無加工で確保できFマウント改造につながった。
 フードの黒い鏡筒も一体感があり、スマートな印象だ。
 フードとヘリコイドは嵌めただけで、Fマウントの接続は62mmのリバースリングをフードにエポキシ接着剤で固定した。
 普段使いには申し分ない。

 ただ、この状態では絞り開放でしか使えないため、絞りを動かすにはフードを短く切り詰め、接写用C-Aリングをはさむ必要がある。

 ブロニカのレンズをデジタルで楽しめることが、ことさら感慨深い。
 ボケの具合も良く、扱いやすいレンズだと思う。
 開放だとハイライトがにじみやすく、オールドレンズの雰囲気が良く出る。

Mマウント改造
 KONICA AUTO S HEXANON 47mm F1.9

 古いコニカのレンジファインダー機からレンズを外してライカMマウント化し、ミラーレスで使用できるようにしました。

 残念ながら、フランジバックがライカMマウントと元カメラはほぼ同じで、ヘリコイドは鏡筒ではなく、アダプター側に依存せざる負えない結果となりました。
 Mマウントにはプラ製のキャップを当てており、厚みを半分以下にして遠方4m程度までピントが合うようにしましたが、薄くしすぎてマウント側のリリースボタンと干渉し、ロックがかからなくなりました。
 この手の改造は、ライカMマウント化は難しそうです。

 レンズは全群分離で5群5枚のようですが、構成図は調べてもわかりませんでした。
 5枚というところからクセノタールタイプかな、とも推測しています。
 47mmという焦点距離がとても独特で、F値もなんとか2を割りました、という当時の挑戦的な心意気を感じる。

 買ったものには当時のキャップと純正フィルターがついており、往時を楽しむ重要なキーパーツになっています(写りには関係ない)。

 並行出しも厳密にはしていませんが、写りを見る限りではボカして撮る分には実用上そこまで問題はなさそうです。

 いわゆるオールドレンズ然とした写りだ。
 開放では確かに少しにじむ感じで、ひとつ絞ればスッと線がシャープになる。
 絞り羽根は5枚の五角形、上の作例はひと絞りで撮っておりボケの参考に。

 無限遠が出ない分だけ近接側へシフトしているため、一眼レフのレンズのような最短撮影距離になって使い勝手は向上している。
 フランジバックが短いZマウントならではの利点だ。


          更新履歴         


2020年7月31日 【レンズ作例追加】Contax Cマウント Sonnar 85mm F2(戦前)
         ライカMマウント改造 KONICA AUTO S HEXANON 47mm F1.9
         の作例追加
2020年5月6日 【レンズ作例追加】ミノルタ W.ROKKORW-QE 35mm F4の作例追加の作例追加
2020年5月3日 【レンズ作例追加】ニコンSマウント W-Nikkor 2.8cm F3.5の作例追加
2020年4月16日 【HPリニューアル】ミノルタMC 58mm F1.2の作例追加
          リニューアルに合わせて既出レンズの作例追加
2019年12月19日 【レンズ作例追加】ブロニカニッコールP・C75mm F2.8追加
2019年11月24日 【レンズ作例追加】ニコンAi Nikkor ED 180mm F2.8sの作例追加
2019年10月27日 【レンズ作例追加】キヤノンFD 50mm F1.4と100mm F2.8の作例追加
2019年10月13日 【レンズ作例追加】ミノルタ New MD Macro 50mm F3.5の作例追加
2019年10月12日 【レンズ作例追加】マミヤ645 110mm F2.8の作例追加
2019年10月6日 【レンズ作例追加】ニコンSマウント3.5cm F1.8/10.5cm F2.5、マミヤ645 80mm F1.9の作例追加
2019年9月29日 【HP開設】黒磯のペライチ講座にて本HPを開設しました♪ 気ままに更新スタート♪
2019年10月12日 【レンズ作例追加】マミヤ645 110mm F2.8の作例追加

管理者★自己紹介

カメラ・レンズが大好きな機材派(笑)
主にニコンユーザーですが、フィルムカメラはニコンをはじめ
オリンパス、マミヤ、ブロニカにコーワなど135判~中判フォーマットで
一眼レフにレンジファインダーと各種使っています。

レンズは主にMFを中心に数十本あり
フルサイズミラーレスでお遊びする日を待ち望んでいました。

モノクロフィルムは自家現像・焼き付けをお座敷暗室でやっています。

デジタルは一眼レフもミラーレスも使用しており、主に
ニコン・富士フイルムユーザーです。

なお、このトップとプロフィール写真はゼンザブロニカS2に
NIKKOR-P 75mm F2.8で撮ったものです。

主に栃木県北部を中心に作品制作のため
風景やお祭りなど気の向くままに撮り歩きつつ
グループ展や個展で写真活動をしています。