あなたは被災地は応援したい気持ちはあるけど放射能は大丈夫だろうか、と不安になり福島県産の野菜や果物を手にするのを躊躇してしまったことはありませんか？そんな時って、何だか少し後ろめたいようなもやもやした気持ちになりますよね。福島のことは応援したい！「…でも、自分に何ができるのかわからないし、放射能は何だか怖いし…」と思って、なんとなく避けてしまったこともあったかもしれません。

この油菜ちゃんは、復興のシンボルでマスコットキャラクターのニックネームでもあるのですが、現地の農家さんと協力し合って商品の開発を始めたのは、地元・福島県南相馬市にある相馬農業高校に通う生徒さんたち。この生徒さんのひとり、鷲尾早希さんは、「私たち農高生の未来を取り戻すためには、ただ単に誰かの支援を待っているのではなく、私たち若い世代が自立することが大事…」だと考えています。

そこで、相馬農業高校のクラブ活動では、油菜ちゃんを使った姉妹品として、「油菜ちゃんマヨネーズ」「油菜ちゃんドレッシング」といった新商品の開発にチャレンジし、試行錯誤を繰り返しながらレシピを完成させ、見事商品化にこぎつける成果を挙げてきました。

相馬農業高校の生徒さんたちがこの活動を始めた背景には、原発事故でまき散らされた放射能で故郷の農地が汚染されてしまい、お米や果物、野菜などの農作物が作れない、またたとえ収穫した農作物が放射能基準値以下であっても風評被害でやっぱり「福島産は売れない」といって、農家の人たちが途方に暮れている現実がありました。

そんな時、地元の農家さんたちは、同じようにチェルノブイリ原発事故で放射能によって汚染された土壌を再生させ、農業の復興をしようという「ナロジチ再生・菜の花プロジェクト」という取り組みがあることを知ったのです。これは、NPO法人チェルノブイリ救援・中部がウクライナで2007年から始めたプロジェクトで「菜の花を栽培して放射能を土壌から吸出し、収穫したナタネから油を搾り、その油を燃料などに利用する。」といったものでした。驚くべきことは絞った油は放射能に汚染されないことです。なぜなら、ナタネに吸収される放射能は水溶性のもので、油の中には溶け込まないためです。ウクライナではナタネ油を食用にする習慣がなかったため燃料として使いましたが、食用にしても問題ないということでした。自分たちの先輩でもある農家さんたちは、この「菜の花プロジェクト」の話に勇気づけられ、すでに菜の花の栽培を始めている…ということを知ったのです。

そこで、農業高校の生徒さんたちは「自分たちの農業は、自分たちの手で復興させる」生まれ育った土地の新しい未来をつくることを目指して、油菜ちゃんの商品化に積極的に参加し始めたんです。

わたしたちチェルノブイリ救援・中部は、相馬農業高校の生徒さんや地元の農家さんらと一緒に進めてきたこの活動を通じて、「福島に農業の未来を取り戻そう」と頑張っている若者がたくさんいることを知り、とても感動しました。そして、与えられるのをただ待つのではなく、自分たち自身でやり始めるほうが、ずっと大きな成果物が得られるということに気づき立ち上がった彼らから多くを学びました。
あなたも「油菜ちゃん誕生物語」の語り部になって、福島を応援してみませんか？