未来のリーダーたちが卒業する 2021.2.22
予測不能なことが本当にやってきた。COVID-19、民間英語テストや共通テスト突如の中止。あの2018年4月21日の講演を聞いた新入生が卒業する。校長として、最後に迎えた新入生への渾身のメッセージを託した。
「生徒たちがこれから生きていく21世紀の社会はグローバルで予測不可能な先行きが不透明だ。そんな彼らに役立つキャリア教育とは?」と考えてきた。また、高校生が入学当初に「自分は将来どのように生きたいのか」を考える機会を持つことは、これから始まる高校生活での目標を見つけ、主体的に学んでいくためのモティベーションを得るためにはとても大切である。このことは、長年の教育活動で実感してきたが、激変した21世紀社会にフィットするキャリア教育とは?課題の規模が世界規模になり、不透明な時代に通用する力を育むグローバルな視点でのキャリア教育とは?と模索していた。 そんなとき、次世代型キャリア教育のある教材に出合い大いに共感した。
生徒たちは、正解のない問いに答えながら自分の可能性に気づき、自然と自らの将来の生き方を見つめ未来を切り拓いて行く構成になっていた。教材の開発者である30代の社長をあの2018年4月21日の講演会に招聘し、1年生の全生徒対象に、あの講演を本校のキャリア教育のスタートとした。講演者が驚くほどの集中力を新入生たちは発揮し、アンケートで次のように記載した。
・『この3年間で、「自分で考えたこと」を実行する経験を積み重ねようと思った』
・『自分がやってみて出来た経験が多い人は実現させようとする力が大きく、それが少ない人はマイナスな発言や考えをする人が多いと聞き、なるほどと思った。だから、この3年間で多くのことに挑戦し、失敗し、成功体験を増やそうと思った』
・『挑戦して、失敗もして、未来で活躍できる準備を今のうちにしようと思った』
・『この世界には問題が山積みで「自分にはできない」と思い込んでいましたが、周りの小さな問題から解決していき、いつか人類や世界のために働こうと心に決めました』
・『壁を乗り越えられる人が社会から求められる人だと思った。そのための経験を積みたい』
・『新しい環境に挑戦する地盤を今築きたいと思った』
あの講演に参加した新入生たちが卒業していく。それぞれが、3年間の高校生活で、新しい環境に挑戦する地盤を築いて、未来のグローバルリーダーをめざし次のステージへと翔びたつことを応援したい。
第1節 はじめに
「高い志を持ち主体的な学びができる生徒。チャレンジ精神に富み、将来、21 世紀を拓くリーダーとしてグローバルに活躍する生徒」と、めざす生徒像を示しその育成のため2016年度より、すべての教科でAL型授業に取組むことを学校経営計画に記載している。この学校全体の目標を個人の目標にリンクさせるために、評価育成システム(大阪府の人事評価)を活用している。具体的には、評価育成システムの「授業力」に関する目標を設定する際に、AL型授業に関する目標の記載をお願いしている。
これは、教員が慣れ親しんでいる授業スタイルに変化の波を起こすためである。AL型授業に取組む機会を創出した。また、同じ教科担当者間においては、本校独自の「岸高スタイル」を用いて、学年ごとの3年間を見通した教科学習の到達目標や指導上の重点事項を設定するようデザインしている。教員は、この順に学校組織の目標を個人の目標にまで落し込むことになる。それぞれの目標を達成できるよう自分の授業等を実践していくと、逆ルートで学校目標である生徒像に到達する。同じ方向にベクトルが合わされ、個人の力が教科の力に、そして学校全体の大きな力として合流していくようマネジメントしている。
第3節 結び
育てたい生徒像は、「高い志を持ち主体的な学びができる生徒。チャレンジ精神に富み、将来、21 世紀を拓くリーダーとしてグローバルに活躍する生徒」である。日々の授業が学校生活で最も 多くの時間を占めている。だからこそ、授業の在り方が生徒の育成に最も重要な鍵を握っている。これに対して溝上教授も「生徒が教員の設定する枠を超えていく学びが、進学校の AL 型授業では求められる。」 と指摘している。いまや、本校が育成をめざす 21 世紀社会を拓くリーダーは、様々な場面で飛躍知を創造することまでも求められている。その実現へと、従来型授業では学びの姿勢ができている進学校だからこそ、生徒がもっと知りたいとハートを燃やし、マナビの枠を越えていくようなAL型授業を追及したい。ところで、SSH 等の「課題研究」では、生徒は課題を発見し解決することを学んできた。このような学びをすべての教科科目で生徒ができるように、初めは経営戦略としてトップダウンで AL 型授業を開始した。今では、SSH第1期の効果検証の結果を触媒にして、教員たちの主体的な取組みへと徐々に変化してきている。今後の課題は、教員それぞれが主体性を持って、生徒が自らマナビの枠を越えて学べるような 授業へと改善していくことである。 新年1月から『授業デザイン会』という自主勉強会がスタートしようとしている。今後の取組みが発展的に継続していき、教員間でのさらなる授業改善の切磋琢磨が起こるのを期待している。 冒頭に述べた「学校における主役の転換が必要である。」というパラダイムの転換を教員の一人ひとりが意識し、授業の主役は生徒であると考え、「生徒が主役となる授業をめざす」主体的、対話的で深い学びを実践していくことで、生徒が教員の設定する枠を超えていくと考える。
<溝上教授のコメント>
ここ2,3年、年に1、2度授業見学や研修で伺っている。岸和田高等学校は、大阪府で「グローバルリーダーズハイスクール(GLHS)」に指定されている府立のトップ進学校の一つである。中堅の教員を中心に、学校全体の教育改革に取り組んでいる。山口陽子校長は、先生方のアクティブラーニング型授業の取り組みを高く評価し、あたたかい眼差しで支援している。その山口校長が、岸和田高等学校の課題だと述べるのは、まさに進学校の生徒の特徴をふまえてのものである。彼女は次のように述べる。 「熱心に学んでいるように見えても、板書を写すだけ、発問を聞き流すだけ・・・。自分の頭で考えていない受け身のままの生徒が一定数いる。心を揺さぶるような気づきや学びたいという欲求が刺激されずにいる。」進学校の授業を見学すると、一般的に生徒は教師の指示によく従い、美しい秩序が見られて感動することが多い。とくに、進学多様校や職業系等の非進学校で、生徒が教師の指示に十分に従わず、アクティブラーニングに対する身体化を促すところから始めなければならない学校の授業を立て続けに見た後では、ひとしおの感動がある。 進学校の生徒の多くは、これまでアウトサイドインの力学で人生を生きてきて、多かれ少なかれ達成感や成功体験を持っている。言い換えれば、教師が求めること、期待することを読み取り、それに合わせることは彼らの十八番である。進学校の授業で、始めたばかりのアクティブラーニング型授業が多かれ少なかれすぐにうまくいくのは、生徒が教師に合わせるからであって、必ずしも教師の授業力が高いからではない。生徒が合わせることで、教師と生徒の関係性、生徒のアクティブラーニングに対する身体化が成り立っているのである。
進学校の授業で、生徒が教師の指示に従い、アクティブラーニング型授業が活発になされたくらいのことで満足してはいけない。あらゆる種類の学校の課題であることはもちろんのことだが、とくに進学校では、生徒の学習の質を高いレベルでアセスメントする必要がある。そのためにもアクティブラーニングに取り組んだ後は、振り返りやワークの結果をワークシート等に書かせて提出させ、生徒がどのような質の学習をおこなったかをアセスメントする必要がある。1人、2人の生徒に発表をさせて、学習の質を多少は見ることはできても、それで全員の学習を見てとることはできない。グループワークを机間巡視しても、一人ひとりの思考のステップを追えるわけでもない。こうしてさまざまな状況を考えて、結局はワークシート等に考えたこと、議論したこと、振り返り等を書かせて、その内容をもって学習の質をアセスメントするということになる。本稿の、下記のドイツ留学生のコメントは強烈だ。日本人は、国際的に見たこの感覚を学ばなければならない。日本の中のこれまでの経験だけで議論してはならない。 「授業参加はドイツの学校との違いが如実に顕れていて、いろいろの面で面白かったです。たとえば、授業中に生徒は眠っており、先生は一人でしゃべっており、生徒は静かに座って、先生の「モノローグ」を聞いておりました。そして、生徒からの質問も先生の生徒への質問も無しに授業は終わりました。これって、不思議に思いました。しかし、先生が黒板にタイプライターを打つように漢字を記述する姿は大変魅力的でした。」
(第2節より)岸和田高等学校のAL型授業の改革は、下記の本(*)で詳細に紹介している。典型的な進学校の例として取り上げている。 (*)溝上慎一 (2018). 学習とパーソナリティ-「あの子はおとなしいけど成績はいいんですよね!」をどう見るか-(学びと成長の講話シリーズ2)東信堂
第3節 結び
育てたい生徒像は、「高い志を持ち主体的な学びができる生徒。チャレンジ精神に富み、将来、21 世紀を拓くリーダーとしてグローバルに活躍する生徒」である。日々の授業が学校生活で最も 多くの時間を占めている。だからこそ、授業の在り方が生徒の育成に最も重要な鍵を握っている。これに対して溝上教授も「生徒が教員の設定する枠を超えていく学びが、進学校の AL 型授業では求められる。」 と指摘している。いまや、本校が育成をめざす 21 世紀社会を拓くリーダーは、様々な場面で飛躍知を創造することまでも求められている。その実現へと、従来型授業では学びの姿勢ができている進学校だからこそ、生徒がもっと知りたいとハートを燃やし、マナビの枠を越えていくようなAL型授業を追及したい。ところで、SSH 等の「課題研究」では、生徒は課題を発見し解決することを学んできた。このような学びをすべての教科科目で生徒ができるように、初めは経営戦略としてトップダウンで AL 型授業を開始した。今では、SSH第1期の効果検証の結果を触媒にして、教員たちの主体的な取組みへと徐々に変化してきている。今後の課題は、教員それぞれが主体性を持って、生徒が自らマナビの枠を越えて学べるような 授業へと改善していくことである。 新年1月から『授業デザイン会』という自主勉強会がスタートしようとしている。今後の取組みが発展的に継続していき、教員間でのさらなる授業改善の切磋琢磨が起こるのを期待している。 冒頭に述べた「学校における主役の転換が必要である。」というパラダイムの転換を教員の一人ひとりが意識し、授業の主役は生徒であると考え、「生徒が主役となる授業をめざす」主体的、対話的で深い学びを実践していくことで、生徒が教員の設定する枠を超えていくと考える。
<溝上教授のコメント>
ここ2,3年、年に1、2度授業見学や研修で伺っている。岸和田高等学校は、大阪府で「グローバルリーダーズハイスクール(GLHS)」に指定されている府立のトップ進学校の一つである。中堅の教員を中心に、学校全体の教育改革に取り組んでいる。山口陽子校長は、先生方のアクティブラーニング型授業の取り組みを高く評価し、あたたかい眼差しで支援している。その山口校長が、岸和田高等学校の課題だと述べるのは、まさに進学校の生徒の特徴をふまえてのものである。彼女は次のように述べる。 「熱心に学んでいるように見えても、板書を写すだけ、発問を聞き流すだけ・・・。自分の頭で考えていない受け身のままの生徒が一定数いる。心を揺さぶるような気づきや学びたいという欲求が刺激されずにいる。」進学校の授業を見学すると、一般的に生徒は教師の指示によく従い、美しい秩序が見られて感動することが多い。とくに、進学多様校や職業系等の非進学校で、生徒が教師の指示に十分に従わず、アクティブラーニングに対する身体化を促すところから始めなければならない学校の授業を立て続けに見た後では、ひとしおの感動がある。 進学校の生徒の多くは、これまでアウトサイドインの力学で人生を生きてきて、多かれ少なかれ達成感や成功体験を持っている。言い換えれば、教師が求めること、期待することを読み取り、それに合わせることは彼らの十八番である。進学校の授業で、始めたばかりのアクティブラーニング型授業が多かれ少なかれすぐにうまくいくのは、生徒が教師に合わせるからであって、必ずしも教師の授業力が高いからではない。生徒が合わせることで、教師と生徒の関係性、生徒のアクティブラーニングに対する身体化が成り立っているのである。
進学校の授業で、生徒が教師の指示に従い、アクティブラーニング型授業が活発になされたくらいのことで満足してはいけない。あらゆる種類の学校の課題であることはもちろんのことだが、とくに進学校では、生徒の学習の質を高いレベルでアセスメントする必要がある。そのためにもアクティブラーニングに取り組んだ後は、振り返りやワークの結果をワークシート等に書かせて提出させ、生徒がどのような質の学習をおこなったかをアセスメントする必要がある。1人、2人の生徒に発表をさせて、学習の質を多少は見ることはできても、それで全員の学習を見てとることはできない。グループワークを机間巡視しても、一人ひとりの思考のステップを追えるわけでもない。こうしてさまざまな状況を考えて、結局はワークシート等に考えたこと、議論したこと、振り返り等を書かせて、その内容をもって学習の質をアセスメントするということになる。本稿の、下記のドイツ留学生のコメントは強烈だ。日本人は、国際的に見たこの感覚を学ばなければならない。日本の中のこれまでの経験だけで議論してはならない。 「授業参加はドイツの学校との違いが如実に顕れていて、いろいろの面で面白かったです。たとえば、授業中に生徒は眠っており、先生は一人でしゃべっており、生徒は静かに座って、先生の「モノローグ」を聞いておりました。そして、生徒からの質問も先生の生徒への質問も無しに授業は終わりました。これって、不思議に思いました。しかし、先生が黒板にタイプライターを打つように漢字を記述する姿は大変魅力的でした。」
(第2節より)岸和田高等学校のAL型授業の改革は、下記の本(*)で詳細に紹介している。典型的な進学校の例として取り上げている。 (*)溝上慎一 (2018). 学習とパーソナリティ-「あの子はおとなしいけど成績はいいんですよね!」をどう見るか-(学びと成長の講話シリーズ2)東信堂
ICHI WORKS Inc. | |
---|---|
会社名 | ICHI WORKS 株式会社 |
所在地 | 〒xxx-xxxx 東京都xx区xx町 x-xx-x ICHIビルx階 |
連絡先 | http://smizok.net/ |
代表者 | 山田 太郎 |
設立 | xxxx年 xx月 xx日 |
事業内容 | ソフトウェア開発、販売 |
事業内容 | ソフトウェア開発、販売 |
2016.11.10 | 年末・年始営業のお知らせ |
---|---|
2016.11.10 | 年末・年始営業のお知らせ |
2016.11.10 | 年末・年始営業のお知らせ |
2016.11.10 | 年末・年始営業のお知らせ |