代表 飯村豊<プロフィール>
1946年10月生まれ。外交安全保障研究フォーラム代表。元駐インドネシア特命全権大使、元駐フランス特命全権大使、元中東・欧州担当政府代表。
■ 背景と問題意識
第二次大戦後80年以上にわたり維持されてきた国際秩序が、今や崩壊の局面を迎えている。ロシアの侵略行為、中国の覇権主義的拡張に加え、戦後秩序の担い手であった米国自身が「米国第一主義」を掲げ、秩序の破壊者へと転じつつある。こうした歴史的転換点において、日本は自国の国益と価値観に基づく自立した対外戦略の構築が急務となっている。
■ 「戦略的自立」とは何か
「戦略的自立」とは、大国への依存を克服し、自国の国益と価値観に基づいて意思決定・行動することを意味する。孤立主義でも単なる独自外交でもなく、広範な国際関与を維持しながら、国家存亡にかかわる最終判断において自律性を保つ概念である。フランス(冷戦下の独自核戦略)、インド(非同盟主義からの転換)、EUなども同様の発想を採用してきており、今日、多くの国が米中対立・国際秩序の動揺の中で同様の戦略を模索している。
■ 日本の戦略的自立:六つの柱
① 対米関係 日米同盟の堅持を大前提としつつ、わが国自身の防衛努力を抜本的に強化する。先端半導体・製造装置、後方支援基盤、情報・分析能力等における我が国の「戦略的不可欠性」を高めることで、米国が日本を対中取引の材料にすることを抑止する。
② 対中関係 「抑止と対話」のバランスを日本自身が設計・主導する。通常戦力の自立的強化と経済的相互依存の武器化への対抗措置を講じながら、日米韓豪印等の間にミニラテラル連携のネットワークを日本主導で発展させる。
③ 対露・欧州関係 対露外交を米国の従属変数に陥らせず、ウクライナ問題では欧州との連携を軸に据える。日欧間では安全保障・経済・技術の各分野で協力を深め、「欧州とインド太平洋の安全保障の不可分性」を実践的に強化する。
④ インド太平洋・中堅国との連携 日・豪・印・インドネシア・ヴィエトナム・フィリピンの海洋ミドルパワー6カ国を中核とするミニラテラル協力ネットワークを構築・強化し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現における日本のハブ的役割を確立する。
⑤ 東南アジア:「新東南アジア・ドクトリン」 1977年「福田ドクトリン」を刷新し、インド太平洋戦略における日ASEAN関係の新たな枠組みを包括的戦略文書として公表する。ASEAN諸国の一体性と結束を支援し、日本のソフトパワーを戦略的に活用する。
⑥ グローバル・サウスとの多角的関与 中東(パレスチナ問題への独自関与、特にこれまで東南アジア諸国、就中インドネシアと協力して推進してきた「パレスチナ経済発展のための東アジア諸国協力会議」を「パレスチナ復興・発展のための国際会議」に拡大・強化)、ベンガル湾経済圏の形成支援、南太平洋島嶼国のガバナンス強化など、長年の開発協力で培ったソフトパワーを外交資源として戦略的に展開する。
■ 結語
戦略的自立は孤立ではない。不確実な時代において日本が真に頼れる同盟・パートナーシップを自ら構築し、国際秩序の形成に能動的に関与するための国家戦略である。日米同盟を基軸としながらも、米国の変化に揺るがない強靭な外交基盤を築くことが、いまの日本に求められている。
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<危機の時代を考える研究会>
外交安全保障研究フォーラム
Diplomacy & Security Studies Forum |
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|---|---|
名称 |
外交安全保障研究フォーラム |
| 所在地 | 〒100-0005 東京都東京都千代田区丸の内2-2-1岸本ビルヂング6F 株式会社JET SET GO 内 |
| 連絡先 | Tel: 050-3634-9915
E-mail:info@jet-set-go.co |
| 組織 | 代表 飯村豊 共同代表 橘優 |
設立 |
2025年4月 |
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