トマト農家になると決めたのは、在籍していた農業大学校園芸学部のＯＢのトマト農家・伊藤さんとの出会いがきっかけでした。大学校１年の時に、研修中の先輩に会いに伊藤さんのハウスを見学し、高品質なトマトを栽培するその姿勢に感動。大学校に戻ってすぐ先生に、「来年は僕が伊藤さんの研修に参加したい」と志願したのを今でも鮮明に覚えています。

大学校2年目で念願の研修が始まりました。愛情を込めてトマトを栽培している様子や、作る作物は同じだけれど研究を重ねて、毎年栽培方法を変えていることなど、努力してきちんと仕事として農業を営む姿勢が、私の父親と重なりました。実は特にやりたいことがなかったから農業大学校に入りました。でも伊藤さんという師匠に出会ったおかげで、実家の両親が営む農業という仕事の素晴らしさを改めて知ることができました。

休みなくずっと仕事をしている農業にあまり良いイメージはありませんでした。でも今思えば嫌だというフィルターを自分の中にかけていたから、いい部分が見えなかったのかもしれません。プロとして農作物を作る父の想いを感じ取ることができなかったんです。今は農業で大学校まで食べさせてもらえたのは素晴らしいことだと分かります。

尊敬する伊藤さんや父親の姿を見ながら農業を学び、就農8年目の2021年4月1日、株式会社綿引農園を設立いたしました。〝人と人との「輪」「和」を大切に〟という当社の理念を念頭に、関わる全ての方が当社の野菜で笑顔になっていただけるように、愛情を込めて栽培してまいります。今後ともよろしくお願いいたします。


株式会社綿引農園 代表/綿引太一