アフリカ西部の国シエラレオネのトンボフーワン村。都市部から遠く離れたこの村には給水設備やトイレがなく、不衛生な水たまりから水をくみ、野外で用を足して生活しています。
清潔な水とトイレを利用できないことによって、お母さんたちは、何人もの子供を失い、それでも家族を守るために毎日長い時間をかけて水をくみに行っています。ウォーターエイドはこの冬、ハジャさんのような親子に清潔な水とトイレを届け、お母さんたちが子供と共に健康に過ごせる環境を整えます。
カイラフン県は、1991年に始まった内戦で最初の発砲が起きた場所であり、2014年のエボラの流行時には最初の症例が報告された場所でもあります。カイラフン県では、10人に7人が清潔な水を、10人に9人が適切なトイレを利用できません。ダイヤモンドなどの資源が豊富な地域ですが、住民がその恩恵を受けることはありません。
シエラレオネ東部のカイラフン県にあるトンボフーワンは、100年以上前から人々が暮らしてきた村です。都市部から遠く離れた熱帯林の真ん中に位置し、最も近い舗装された道路から車で1時間半以上かかります。村には電気や携帯の電波は通っておらず、学校や診療所、給水設備もありません。
内戦の間、トンボフーワン村の住民は反政府勢力によって監視され、誰もが家や農地から離れなければなりませんでした。内戦が終わり村に戻ってきた人たちは、家屋が倒れ、荒れ果てた農場を見て愕然としました。長い月日をかけて家を建て直し、農地を整え、車やバイクが通れる道を作り直し、再び前の平和な生活を取り戻すために尽力してきました。エボラの流行中には、高齢者2名が亡くなりました。村は外部からの接触を断たれ、軍による食料と水の供給を受けて生活することとなり、村の人々は再び不安な生活を送りました。
住民が話し合って井戸の設置場所を決めていきます。ウォーターエイドは、その場所が排泄場所などの汚染源から離れているか、地下水が存在しているかなどの点から、井戸の設置に適しているか専門的に調査し、設置場所の選定に協力します。
井戸の設置も住民が主体で行っていきます。ウォーターエイドは、地質、地下水の深さ、維持管理のしやすさなど様々な条件をふまえて、最適な井戸の種類を選び、住民のその掘削方法を伝えます。
井戸もトイレも、作った後に長く維持管理していくのはとても難しいことです。そのため、維持管理をしっかり行える体制を整えることが重要になります。
ウォーターエイドは、男性5人、女性5人から構成される水・衛生委員会を立ち上げます。この委員会のメンバーが、設備が壊れた際に修理の手配をしたり、住民が正しく利用できるように指導したりすることで、設備をずっと長く利用していけるようにします。
豊富な鉱産物、肥沃な土地、降水量に恵まれていますが、1991年から10年続いた内戦により、家や病院、学校、道路、何もかもが破壊され、国は疲弊し、復興の途をたどることも困難な状況でした。ダイヤモンドが武器の資金源となっていたことも、紛争が長期化した原因のひとつでした。
こうした背景から、シエラレオネは最も平均寿命が短い国としても知られています。
現在もシエラレオネは復興途上にあります。衛生設備の普及率は、2000年には10%でしたが、2015年には15%に改善されました。しかし現在も、600万人のうち、550万人が適切なトイレを利用することができません。
豊富な鉱産物、肥沃な土地、降水量に恵まれていますが、1991年から10年続いた内戦により、家や病院、学校、道路、何もかもが破壊され、国は疲弊し、復興の途をたどることも困難な状況でした。ダイヤモンドが武器の資金源となっていたことも、紛争が長期化した原因のひとつでした。
こうした背景から、シエラレオネは最も平均寿命が短い国としても知られています。
現在もシエラレオネは復興途上にあります。衛生設備の普及率は、2000年には10%でしたが、2015年には15%に改善されました。しかし現在も、600万人のうち、550万人が適切なトイレを利用することができません。
シエラレオネデータ | |
---|---|
面積 | 71,740㎢ (北海道より少し小さいくらい) |
人口 | 740万人 |
言語 | 英語(公用語)、クリオ語、メンデ語、テムネ語他 |
宗教 | イスラム教60%、キリスト教10%、アニミズム信仰30% |
5歳未満児死亡率(1000人当たり) | 120人 (日本の40倍) |
下痢性疾患によって命を落とす5歳未満の子供 | 1,270人(年間) |
トイレのない保健医療施設の割合 | 22% |
小学校入学後、最終学年まで残る割合 | 48% |
5歳未満児死亡率(1000人当たり) | 120人 (日本の40倍) |
シエラレオネでは、平均して21人に1人の女性が、生後1か月の間に感染症によって赤ちゃんを失っています。 エボラ出血熱が大流行する前でさえ、シエラレオネは世界で最も危険な出産場所の一つでしたが、大流行によりこのリスクはさらに大きくなりました。ウォーターエイドが国際的なボランティア団体であるVSO(Voluntary Service Overseas)と協力して行った調査では、エボラ大流行による危機的状況の最中、母親の死亡が30%、新生児の死亡が24%も増加したことがわかりました。 |
---|
世界中で数多くの人たちが、毎日長い道のりを歩いて水をくみに行きます。では、なぜ水源のそばに引っ越さないのでしょう。
まず、ここ日本と同じように、引越しは必ずしも簡単なことではありません。ウォーターエイドが活動しているのは世界で最も貧しいコミュニティであり、そこに暮らす人々はもっとよい地域に引っ越せるだけの資金がありません。その結果、水を利用できないまま取り残されてしまっているのです。仮に引越しをする余裕があったとしても、今までの生活を捨てられない人も大勢います。
また、天然の水源そのものにも問題があります。さまざまな廃棄物や寄生虫で汚染されている場合が多く、そうした不衛生な水源からコレラなどの病気がまん延することもあります。天然の水源は永久的なものとは限らない、という問題もあります。河川は干上がってしまう場合もあり、そのたびに村全体が引越しをするわけにはいきません。
だからこそウォーターエイドは、地下水を利用したり、井戸を掘ったり、雨水を貯留しようとしているのです。井戸やトイレがなければ自分たちで作ればよいと思う方もいるかもしれません。実際に、自分たちで作っている人たちは世界中にいます。危険な工事ですが、そうした生活に欠かせないものを政府がすべての人に提供してくれるとは限らないからです。
ただ、十分な知識がない限り、自分で井戸を作っても、井戸水が不衛生だったり危険だったりすることがあります。井戸は汚染されやすく、正しい管理がなされなければコレラのような病気がまん延しかねません。
自分でトイレを作る場合にも同じことが言えます。トイレ工事は、ただ穴を掘ればよいという簡単なものではありません。実際に、自分でトイレ用の穴を掘ろうとして命を落とした人もいます。
ウォーターエイドの現地パートナーは、専門知識を提供することで、長期的に利用できるインフラを安全に作れるようにしています。また、新しく作った設備を今後も管理していけるよう、必要なスキルを現地の人たちが身に付けるための訓練も実施。皆さまからのご支援が先々まで活かされる活動を行っています。
1981年以降、ウォーターエイドは世界中の現地パートナーや政府との協力を通して、2,300万人に安全な水を、2,100万人に適切なトイレを届けてきました。皆さまからのご支援のおかげで、個々のコミュニティに合わせて持続可能なソリューションを見つけるというような難しい問題を解決することができ、しっかりとしたインフラを構築したり、最奥地の村に支援を届けたりすることができました。
水やトイレの問題を一気に解決できる魔法のような方法はありませんが、確実に前進し続けています。
1981年以降、ウォーターエイドは世界中の現地パートナーや政府との協力を通して、2,300万人に安全な水を、2,100万人に適切なトイレを届けてきました。皆さまからのご支援のおかげで、個々のコミュニティに合わせて持続可能なソリューションを見つけるというような難しい問題を解決することができ、しっかりとしたインフラを構築したり、最奥地の村に支援を届けたりすることができました。
水やトイレの問題を一気に解決できる魔法のような方法はありませんが、確実に前進し続けています。