親世代のイメージから激変している大学って!?

監修のAさんと、取材・編集に協力してくれたライターさん5名で、昨今の大学の実像や取材の裏話を語り合う座談会の前編をお送りします。受験を控えた学生さんや、その親御さん、はたまたOBの皆さん、必読です。

A みなさん、お疲れ様でした! 今年も無事に出せました。取材にまわってみて、どうでしたか。

Uさん 取材前は、大学の校風や文化をひと言でシンボル化するのは難しいんじゃないかと思っていましたが、実際に行ってみると、それぞれの大学でかなり特徴があるというか、ほかの大学にはない“クセ”みたいなものが見えてくるんだな、と実感しました。

A そうなんですよね、過去版を見て、あながち当てずっぽうじゃないと分かったでしょう(笑)?

Uさん ええ。昨年版の『大学図鑑』を読んでいただいた学生さんたちからも、「よく調べてますね」と感心されました。

大学の校風や文化には「クセ」がある。面白いことに、ツッコミどころも同じなんですよね。

たとえば国際教養大では、“スパルタ”っていう表現について「違う!」と否定する学生さんが複数いて、「“ユニークな教育方針”って書いて下さい」と言われたり。筑波大では、「“筑波時間”とは厳密にいうと…」と、多くの方にニュアンスの違いを解説していただきました。


この2校は都会から離れていて大学周辺で生活が完結するからか、とくに校風がはっきりしているように感じましたね。

A 初めて取材してみて、一番話を聞き出しやすかったのはどこでした?

Uさん 国公立はどこもすごく親切でした。筑波に行ったとき、取材を依頼した学生さんが「バスの時間があるので…」と言うんでてっきり断られると思ったら「10分だけならいいですよ」と受けてくれたり(笑)。

学芸大あたりも、声をかけた学生さんのほとんどが取材を受けてくれて、みんな時間に余裕があるみたいでした。

一方で、関東の私大はみんな忙しそうでしたね。昨年版を見せても、「いいと思います。特にありません」みたいな感じで、情報が出てこない学生さんが多かった。

A 授業やゼミ、バイトなんかに追われて、学生さんは年々忙しくなってますよ。昔は単にバッくれられることはあったけど、取材のアポ取りが本当に難しいですよね。じっくり話を聞ける学生探しが大変。

「英語の辞書の引き方も知らない」?!
大学付属校の内部生“今昔”物語

Uさん あと、学生像の掴み方の点では、慶應がいちばん難しかったかもしれません。

 というのも、学生さんたちがすごく細分化されていて、カラーが違うんですよ。大きくは内部生と外部生の意識がかなり違いますし、サークルやゼミに所属しているかどうかでも変わってくる。同窓会組織の「三田会」もどの高校卒かで細かく分かれていて、就職の斡旋率などもかなり開きがあるようです。話を聞いた子が所属しているニューヨーク学院三田会は、人数が少ない分つながりが強くて、就職もいいとか。

A 慶應は内部生でも別格の幼稚舎出身、中学、高校からで、それぞれ違いますよね。

Uさん そうなんですよね。概して内部生のほうは、学部をまたいで交流している人が多く、声が大きくて、自信に満ちているイメージ。一方で、昨年版を見せると、「ああ、これは内部生のイメージですよ」という外部生は多かったですね。少し斜に構えているというか、慶應に馴染みきりたくない、というような気概を感じました。だからといってコミュニケーション下手というわけでもなく、取材に好意的な学生さんだと「ライターってどんな仕事ですか」とか「ほかの大学はどんな感じですか」と積極的に逆取材されたりしたんですけど。

A 慶應に限らず、付属校から上がってくる内部生なんて、昔は「英語の辞書の引き方も知らない」など悪評がありましたが、今は随分変わりましたね。別誌で様々な大学の内部生を取材したのですが、昔と比べてすごく勉強させられてるイメージです。
 早稲田中・高は進学校になっていますし、明治や法政は大学への持ち上がりが多いですけど勉強はそれなりに厳しい。高校2〜3年ぐらいから、一般入試の人と比べたら自分たちは勉強していないんだから負けちゃいけないし、自分たちだけで集まって閉鎖的な雰囲気を作ったらいけない、なんて話しているそうで驚きました。

Pさん、関西の大学の様子はどうでした?

Pさん キャンパスの整備をしている大学が多かったですね。

A 関東の私大の整備は一巡したけど、関西は一歩遅れて今やってるところなんだね。

Pさん まさに整備まっただ中の立命館の学生さんで「1年のときと4年のときでキャンパスの風景がガラっと変わっていて寂しい」という意見は複数聞かれました。以前、近畿大でも同じような意見を聞いたことがありました。関西学院も僕が卒業して10年ですけど、かなりキャンパスの風景が変わっていて迷いました(笑)。これだけの変化が4年間で起こったら、結構インパクトあるだろうなと思いましたね。

A いまや空き時間に構内をブラブラしている学生は減っているから、そういう雰囲気の違いもあったんじゃないですか?

Pさん そうですね。特に、どの大学でも新しくできる教室棟の1階には必ずといっていいほどラウンジが用意されていて、みな、そこでパンを食べたりして空き時間に集まっているようです。いまは学部別に一層ミクロな価値観の形成やコミュニティが出来上がっている印象です。「国際学部はかきあげ女子が中心」「工学部の人は二次元好きだと友だちが作りやすい」みたいな。サークル棟などにも、行くとしたら授業が終わった夕方以降で、昔のように昼間からそこでダラダラしている人は少ないようでした。

Uさん 慶應の場合も、おもに3~4年生が通う三田キャンパスになると溜まり場がなくなるから授業だけ出てすぐ帰る人が多いそうですけど、日吉キャンパスの様子はちょっと違ってました。サークル棟からあぶれてしまったグループは食堂棟の上のスペースを使っていて、そこが完全に溜まり場になっていましたね。1年や2年は、そこで仲良くなる人も多いようです。

A  慶應の運営がうまいところだね。

“オシャレ”と好感度を上げてきた
意外なダークホースとは?!

A ところで、ここのところNHKの朝の連続テレビ小説「あさが来た」の関係で女子大に関する取材を立て続けに受けたのですが、Tさんは女子大を中心に回ってもらって今年はどうでした?

Tさん 昨年から1年でガラッと変わったという学校はありませんが、全体として女子大を出て就職しないで結婚っていうルートはほぼなくなったと思いますね。一般に“お嬢様学校”と思われている白百合あたりでも、白コートに髪はゆるふわ〜なお嬢様ぽい学生さんが今も多い印象ですが、教員養成課程を学科学部にしたり、昔と比べるとキャリア形成に力を入れている感じですね。

A 女子大が共学に押され気味な傾向は、長らく変わりませんよねえ。
 一方で、受験生の親世代が大学生だった頃昔はどう考えてもバンカラ系だったはずの法政が、最近、女子学生たちに“おしゃれな大学”だと思われていたりして、あまりにイメージが変わっていて驚かされるよね。18年間『大学図鑑!』をやってきて、劇的に変わったのが法政だと思う。しりあがり寿さんが以前描いてくれた「ノーフューチャー!」とロックバンドが叫ぶみたいな光景は過去のものとなりました。「貧乏人くささを守る会」というのも今はないし。

Tさん 法政の理系学部がいる小金井キャンパスは、すごく取材しづらかったですけどね(笑)。みんなつるんでいても、ノートPCの画面をみながら勉強したりゲームをしたりしていて。

Uさん そういうところ、ありますよね。筑波の理工系も、女性のライターだと取材しづらい雰囲気だったかも。