お金がなくて葬儀ができない場合の対策は?
ひとが亡くなった時『葬儀を出すお金がない』『お金がなくて葬儀ができない』ということはない話ではありません。
長い間少しずつ積み立てる人もいますが、予期せぬ事故や闘病中に急変といった事態では準備が間に合わないこともあるのです。
そうした場合、どんなふうにお葬式を取り行うのが適切であるのか、ということを考えてみましょう。
まず、お葬式の規模を考えます。
お金がなくて葬儀ができないと悩んでいるのに大々的な葬儀を行うのは無理です。
よって、小規模で行える家族葬・密葬を選び、出費を抑えることを念頭にプランを立てましょう。
さらに極端なことを言えば、葬儀そのものを行わない『直葬』という手段もあるのです。
直葬での戒名はどうする?つけなくても問題ない?
直葬とは、本来のお葬式(通夜、葬儀、告別式)をせず、火葬のみを執り行うお弔いのことです。
近年、生き方の多様化が進むに従って増加し、またお金がなくて葬儀ができないご遺族にも注目されています。
宗教というものを排除して行われるものなので、基本的に故人を見送る、お別れをする場に僧侶・神主という司式者がいない、というやり方なのです。
もし、故人やご遺族の用意されたお墓が無宗教の霊園や宗教・宗派を問わないものであれば、戒名をつけなくてもほぼ問題はありません。
しかし、古い家で檀家を務める菩提寺があったり、親や家族が用意したお墓がお寺の管理するもの、その境内にあるものだった場合、直葬で読経などがないままの火葬、そして戒名が無い場合というのは、お墓に入れることを拒まれることもあるのです。
『檀家』になっている、ということは、そのお寺様と宗派の作法で弔っていただこうという気持ちの表れであり、これまでも、これからもお墓を守って供養していただくためには、そのお寺の方針を受け入れることも大切なことなのです。
そもそも戒名とは何?必要性は?
戒名というものは、仏教徒にのみ関わってくるものなので、神道やその他の宗教、また自身を『無宗教』であると考えている人には必要のないものです。
そして、仏教徒の死後にただ授けられるというものではありません。
本来は仏門に入って厳しい修行を重ね、経典を読み、仏さまの教えを学んだ者=仏弟子がその証として与えられるもので、もともとは生きている間に与えられるものでした。
それが、仏教の長い歴史を経て、現在は亡くなった後に与えられるものとなりました。
故人であっても、生きている存在としてとらえ、仏さまの弟子として送り出そうという考え方なのです。
戒名は、宗派によって呼び方が変わります。
浄土真宗では『法名(ほうみょう)』、日蓮宗では『法号(ほうごう)』となります。
この戒名は、つけ方にも様々な決まりがありますが、ただつけられるわけではなく、そしてご位牌や墓石に刻まれるものというだけでなく。
仏さまの弟子として、その故人のそれぞれの人生や、家族の想いなどを汲み取って、お寺様が言葉と文字を考えて授けて下さいます。
お通夜や葬儀の法話や会食の席などで、お身内や会葬者の皆さまにその意味をきちんとお話ししてくださる方もいらっしゃるのです。
直葬でも戒名を希望する場合は?
もし、菩提寺があり、それでも(故人のご遺志や、経済的な理由などで)直葬を希望される場合には、その旨をきちんとお寺様にご相談し、ご理解を求めることが大切です。
直接お話しするのが難しいのであれば、葬儀社のスタッフさんに仲介してもらう、という方法もありますよ。
また、直葬でこれまでお寺様にご縁がなかったという方でも、戒名をつけたい、という場合があります。
現在のように核家族化や独居のライフスタイルで、親や親せきの宗派が解らないという人もいるでしょう。
心当たりのお寺がない、という場合でも、プロを頼りましょう。
葬儀社のスタッフさんは葬祭ディレクターという厚労省認定の資格を持つ人が多いので、周辺のお寺の情報やお布施の相場などにも詳しいので、適格と思われるお寺様をご紹介いただけるはずですよ。
一般的に、直葬で、戒名をつけたいという希望の場合、相場は10~30万円ほどと考えられますが、地域や宗派によって様々です。
これにご位牌や読経が付くともう少し金額が上がる場合がありますので、予算や希望をお伝えし、お寺様のご理解を求めるよう努めましょう。
お金がなくて葬儀ができないご遺族で直葬をし戒名を希望するのであれば葬儀費用20万円+戒名費用がプラスされることは注意しましょう。
しかし、古い家で檀家を務める菩提寺があったり、親や家族が用意したお墓がお寺の管理するもの、その境内にあるものだった場合、直葬で読経などがないままの火葬、そして戒名が無い場合というのは、お墓に入れることを拒まれることもあるのです。
一日葬は通夜を行わず、一日で葬儀・告別式、場合によっては初七日の法要(神道の場合には十日祭)、火葬と、短時間で行う葬儀です。
家族・親族、ごく親しい方々で行う小規模なお葬式に向いたスタイルです。
通夜を行わず、葬儀場を使用する時間を短くして、会場使用料・人件費が抑えられることもあって、都市部で少しずつ増えてきています。
費用の相場としては30~50万円です。
お金がなくて葬儀ができない場合でも一般葬と比べかなり葬儀費用を抑えれるので検討することもできるのではないでしょうか。
ただし、通夜を行わなくてもご遺体の安置のための場所を借りたり、司式者のための謝礼の金額などによっても変動します。
また、通常は葬儀関係で『通夜振る舞い』、『精進落とし』などという食事の席が設けられますが、一日葬の場合では外の料理屋さんやご自宅での食事となります。
これらに関しては葬儀の費用には組み込まれませんので、注意が必要ですね。
一日葬の流れやスケジュールって?
法律によって、人が亡くなった場合、その死後24時間は火葬が行えません。
ご遺体の搬送は葬儀社に依頼することが多いのですが、ご自宅での安置が難しい場合には、斎場の霊安室に預かって頂くことになります。
事前にすること
葬儀社が決まったら、打ち合わせが始まります。
宗教・宗派、喪主、会場、予算などを確認して、具体的な予定や見積もりを算出します。
この時、会場によっては、葬儀前日の準備などで二日分の会場使用料がかかる場合があります。
そうした細かい部分もチェックしておくと良いですね。
役所での手続きは葬儀前日までに終えましょう。
これらは必要書類を葬儀社のスタッフに預けて代行して頂く、ということも可能です。
また、一日葬では香典や供花をご辞退というケースが多いのですが、来ていただいた方にお渡しするご会葬御礼は大切です。
予定の数と少し多めに用意しておきましょう。
納棺~出棺
一日葬では、告別式の直前に親族が集まって納棺、そのお手伝いを行います。
棺の中に入れたいものがあれば、この時までに用意しておきましょう。
一日葬は遠方から日帰りで来る方のことも考慮して、お昼前後に始まることが多く、内容は一般の葬儀・告別式と同様な流れとなります。
お通夜がない分、ご焼香から出棺までのお別れの時間が少し長めになる場合もあります。
火葬~食事
一日葬では概ねお身内のみのケースとなりますので、ほぼ全員で火葬場に移動して火葬、収骨となります。
地域によっては収骨後に初七日(仏式)、十日祭(神式)の法要を行う場合があります。
通常は参列した皆さまで精進落としの会食という流れになりますが、一日葬ではここで解散です。
御葬家の皆さまは他の料理店やご自宅でのお食事となりますね。
一日葬をするなら葬儀費用のほかに知っておきたいデメリットはある?
通常なら通夜~葬儀・告別式と二日間にわけて執り行うはずのことを一日に凝縮して行うので、スケジュールがタイトになります。
前日の打ち合わせを綿密に行っておきましょう。
一日葬というのは新しいスタイルのお葬式であり、仏教では『通夜』という考え方を大切にしているので、もし菩提寺などがあった場合、その考えを受け入れてもらえない可能性もあります。
故人の遺志やご家庭の事情などがありましたら、まず葬儀社のスタッフを通してお伝えしてもらうと良いでしょう。
こぢんまりとしたお式になります。
どの程度の親しい方までお知らせするか、という部分もデリケートな問題になりますし、またお身内でも、その趣旨に賛同できないという方もいらっしゃるでしょう。
喪主様とご親族の間での方針のすり合わせなどもとても大切になってきます。
細かいこともよく相談し、葬儀社のスタッフにもその旨を伝えておきましょう。
国から直接というわけではありませんが、お金がなくて葬儀ができないご遺族が検討するべき葬儀の一つが自治体(市町村)が補助してくれるスタイルで『市民葬』『福祉葬』と呼ばれるやり方があります。
役所に死亡届を提出する際に『市民葬を希望します』と申し出ましょう。
それぞれの自治体には葬祭扶助基準というルールがあります。
たとえば生活保護などを受給している人でも、その基準の範囲内で葬儀社が請け負い、葬儀を執り行うことが出来るのです。
そうした役所の窓口で、概ね複数の葬儀社を紹介されるので、よく検討して依頼する会社を決めましょう。
お葬式にかかる費用は、一説によると平均で100~200万円と言われていますが、この扶助を受けることによって50万円以内に納めることも可能です。
ただし、その葬祭扶助基準のなかでできることは限られています。
提供されるサービスは必要性を最低限です。
祭壇や供花はシンプルで、それでは寂しい、物足りない、と思われる方があるかもしれません。オプションで何かを追加していけば、それだけ料金がかさみます。
どういうお葬式にしたいか、ということをご遺族のなかで意思統一し、お金がなくて葬儀ができない場合であっても可能な限り予算を明確にしたうえで、扶助を受け、請求金額でトラブルにならないよう注意しましょう。
お金がなくて葬儀ができない場合は葬儀費用は国から補助金がでる!
葬儀費用の支払いのタイミングはいつ?先払い?後払い?
基本的に、葬儀の支払いは事後になります。
ここで、一般的な葬儀に関する支払いが二種類発生することに注意しておかなければなりません。
ひとつは葬儀社へ、もう一つは僧侶または神主といった司式者に対してのお支払です。
前者は、精進落としの料理やお酒、会葬御礼などの数がはっきりしないと合計の金額が定まりませんので、基本的に翌日以降の支払いになります。
その方法は現金での支払いのほかにも幾つかあります。
しかし、後者の、司式者(ここでは仏式のお葬式に関して述べます)に葬儀を執り行っていただいたお布施に関しては、終了後に速やかに『現金』でお支払いするのがマナーとされています。
菩提寺としてお付き合いのある場合には、葬儀が終わった翌日・翌々日にお寺に伺い、お布施をお渡しします。
しかし、お寺が遠方である場合や、予定が立てられない場合には、葬儀のお経の前に喪主(遺族)が控室に出向いてご挨拶し、手渡すこともあります。
菩提寺が無い、もしくは葬儀社などを通して依頼したお寺様であれば、葬儀の時のみの関係となりますので、後日お寺に伺うこともありません。
葬儀のお経の前にお渡しするのが一般的です。
いずれも、初七日を同日に行う場合には初七日のお経の後にお渡しすることが多いですね。
これらのお布施を渡すタイミングなどの習慣に関しては、宗派や地域の風習なども関わってきますので、心配であれば、葬儀社のスタッフに相談しましょう。
葬儀費用は現金払いなの?クレジットカードでの支払いは可能?
葬儀費用は、簡素な直葬で20万円ほど、家族葬・密葬と言ったこぢんまりとした葬儀で30~50万円ほど。
一般の葬儀は全国平均で120~150万円と高額になります。
葬儀社の方針にもよりますが、多くが、葬儀が終了した翌日に担当者が喪主・ご遺族に確定した請求書を手渡します。
多くはその日から三日~一週間以内に現金でお支払いということになり、担当者が直接伺って受領し、領収書を発行するか、もしくは銀行振り込みなどとなっています。
近年では、クレジットカードが使用可能という葬儀社も増えています。
高額な支払いになりますので、クレジット会社のポイントも大きな魅力になります。
この場合には、支払いの限度額(一時的に限度額を引き上げる手続きを要します)やボーナス払いが可能かなどという確認が必要になりますね。
また、故人さまが自らのために葬儀社の互助会など、積み立てをしている場合があります。
長期間にわたって積み立てていれば、ある程度の葬儀費用は賄える蓄積となりますが、その積み立てで足りない場合には、後日の支払いが発生するのです。
また『故人さまご本人の預貯金で賄う予定だった』という場合、死亡届が受理された時点で、その銀行口座は凍結され、現金の出し入れが出来なくなりますので、注意が必要です。
もしかしたら…という事態が予測された時点で、予め必要なお金を引き出して準備しておく、ということも実は大切なのです。
同様に『故人さま名義の保険金で支払う予定だった』としても、死亡後数日で支払われるわけではありませんので、一時的に立て替える必要が発生します。
こうした要因を鑑みて、事前に葬儀代としてどの程度の予算が準備できるのかを考えてから、葬儀の規模を決めていくというのが現実的で、後のトラブルも予防できるのです。
葬儀社が窓口になる葬儀ローンって何?
まとまった現金をすぐに準備できない場合には、葬儀ローンの活用もあります。
文字通り、葬儀代を分割して払うために、葬儀社が提携している信販会社のローンを使うのです。概ね最大36回まで支払い回数を増やせます。
当然、審査もありますが、即日または数日で決済が可能です。
一時的には助かりますが、その分利息は発生しますので、利用する場合には、返済計画をきちんと考え、ご家族と相談して決めましょう。
お墓を建てるには一基あたり数十万円から数百万円、さらにその永代供養料や墓地の管理費、また、納骨のセレモニーにもお金がかかります。
そうした費用を一度に用立てるのが大変だという人は、少なくありません。
日本では、亡くなったら火葬してお墓に納骨するのだという概念が一般的でしたが、実は方法が多様化しているのです。
火葬までは自治体や健保・年金などから補助がありますが、納骨と御供養は自助努力で何とかしなければなりません。
現在、お墓が無い場合、納骨堂で他の方とご一緒に供養して頂く方法もあります。
しかし、これも安価な公営のものから、お寺などの宗教法人や民間団体が設置・管理するものまでシステムは様々で、都市部の便利な場所にある場合にはお墓を建てるのとそれほど変わらない費用が掛かる場合もあるのです。
費用の面からそうした納骨も難しい、という場合にはどうしたらいいのか、考えてみましょう。
まず、お骨の管理に関してはさまざまな法律が関わってきます。
お墓を買うことが出来ない、だからといって自宅に保管するのも難しい、という場合、お骨(骨壺)を捨ててしまうという極端な方法をとる人が、残念ながら増えています。
しかし、これには『死体遺棄罪』が適用され、場合によっては三年以下の懲役刑となる場合もあります。
明確な意思をもって遺骨を捨てることは犯罪になる、ということですね。
地域によっては、骨壺の大きさが限られていて、頭の骨などのみを収骨し、残りは火葬場でまとめて専用の埋葬地に納める、という習慣もあるようです。
そういうシステムの場所では、全てのお骨をそちらにお任せして持ち帰ることなく終えるという人もいます。
ただ、首都圏のように、全てを骨壺に納めたうえで持ち帰ることが条例によって義務づけられているところもありますので、お住まいのエリアのルールがどうなっているのかを葬儀社や火葬場に問い合わせてみることも大切です。
また『お墓は不要、お金がないから海にでも撒いて』と散骨の意思を示す方もありますが、散骨にもきちんとした法的な手続きやセレモニーが必要とされています。
法律や条例でも散骨してよいエリアや方法などが決められており、むやみに海や山に撒くことは、死体遺棄罪に問われます。
お墓を設けるよりは安価ですが、散骨にも手続きから実行までには30~50万円ほどの経費が掛かることを覚えておきましょう。
また、遺骨はきちんとした状態であれば、どこで保管しても法律に問い合われることはありません。
ご自宅で身近に置いておく、ということも可能なのです。
火葬場で小さめの骨壺に納めて頂き、それを持ち帰って生活空間に置く『手元供養』というスタイルも増えているそうです。
遺骨を埋葬する際に最も費用がかからない方法は?
近年マスコミで話題になったのが『ゆうパック』で受け入れてくださるお寺にお骨を直接送ってしまう『送骨』です。
お骨の扱いでお困りの世帯のために、お寺などの宗教法人が提供している方法です。
直葬で収骨したものを、専用の送骨キットで骨壺をお寺に送り、納骨堂などで供養して頂くというシステムで、相場は3~5万円ほどと言われています。
国内の運送会社では『ゆうパック』のみが遺骨を送るための法律などをクリアしていますが、日本郵便(JP)は『運送に適した状態であれば受け付ける』というスタンスだそうです。
ご遺体の埋葬については、『墓地埋葬法』という法律が適用されますが、送骨した先の団体がこの法律に従って埋葬・供養するのであれば、郵送事態は問題ない、というのが法的見解です。
お金がなくて葬儀ができないので葬儀には出さないのは法的にダメ?
人が亡くなって、お弔いをするときにかかわってくる法律は、火葬と埋葬に関した物だけです。
実は『葬儀をしなければならない』という法律も、義務もないのです。
しかし、お金がなくて葬儀ができないとしても人が亡くなったらきちんとお弔いするのが、法律云々ではない人としての『義務』として心のなかのどこかにありますよね。
密葬・家族葬、お金がなくて葬儀ができないでどうにもならない事情があった場合には、搬送して火葬するだけという『直葬』という選択肢もあります。
ご遺族、近親者、知人といった立場からその故人の『葬送』を執り行わなければならないとき、最後にもろもろを決める基準になるのは、その故人との関係性です。
法律上の義務ではなく、どうやってその方を見送るのか。
お金がなくて葬儀ができないなど経済的なことや、過去の関係性などを鑑みて、無理をせず、そのときにできる精一杯のことをして、後悔のないように送り出すことが、故人さまとご遺族にとって最良の『お弔い』になるのではないでしょうか?