子どもが海に行きたいと言うと、みんなが笑った。
緊急事態宣言が解除され、待ちに待った子どものサッカー教室が始まりました。
私は今までのような日常が送れることにルンルンしながら、いつものように子どものお迎えに向かいました。
お迎えに行くと、子どもは仲良し４人組で楽しそうにおしゃべりをしていました。
「夏休みになったらみんなで遊びにいこうぜ！」
明るく活発なリーダー格のハルキが不意に提案しました。
「僕、海に行きたい！ねーお母さん、海で泳ごうよ！」
息子が話をすると、誰かのクスクス笑う声が聞こえました。みんなが笑っています。
そこにいる全員の視線が、自粛太りした私の大きなお腹に注がれているようでした。
「トモミさん大丈夫かな」「ありえないよ」
ハルキのお母さんが、隣にいたお母さんに声をひそめて話していました。
「人生で一度も、トモミが痩せたことなんかないんだから…」

海に行くとー
夏休みになり、ついに海に行く日になりました。
砂浜にみんなで集合すると、やっぱり私にみんなの視線が集まっているような気がしました。
私はこの状況を、思う存分楽しむことに決めました。
馬鹿にされていることを感じつつ、水着の上に着ていたTシャツを脱いで砂浜に投げ捨てました。
その後すぐに、張り詰めた沈黙が人々の間に走りました。
まるで魔法がかけられたかのように、みんなの笑う声がやんだのです。
私は自分の周りで人々が自分を見ていることを忘れるぐらいに、夢中になって子どもたちと遊びましました。
時間も場所も忘れて、泳いだり、スイカ割りをしたり、生まれて初めて夏を堪能したよな気がします。

夕暮れになり、私が砂浜に戻ると、その場にいた全員が私を褒めそやしながら－私に対して質問を矢継ぎ早にしました…
「トモミ！いつからダイエットをしてたの？どうして教えてくれなかったんだ？」
「食事制限でもしたのか？」
私は答えました。
「ダイエットなんてしていないよ」
「それに、食事もいつもどおり食べてるよ」
それから私は全員に、自分が経験したこれまでの出来事について話すことにしました。
「TRXサーキットトレーニングって知ってる？」