東 日 本 大 震 災 こ の 10 年 を 振 り 返 っ て

 外交官であった私がこの大震災を知ったのは、ニューヨークへ向かう飛行機の中でした。たしか、その時は、日本語だけのアナウンスで言葉がよく聞き取れず、何を言っているのかよく分かりませんでした。しかし、ニューヨークに着き、報道でこの大震災の惨状を知って愕然としたことを、今でもはっきり覚えています。あれから10年が経ちました。

 当財団の理事長に就任した2016年、財団はこの大震災関係の支援と、地域寺院の活性化を主な業務として5人の職員が各地に赴くとともに、こうした活動に協力してくださる方々や、関係するNPOなどの諸団体との交渉や支援金の拠出にと忙しく対応していました。みなさん、被災地で苦労している人々を救いたいとの思いでいっぱいだったのだと思います。この気持ちは、今になっても変わりはないと思います。この10年、亡くなられた方々を悼み、行方の分からない方々を案じ、多くの被災された方々の気持ちに寄り添いながら歩んでまいりました。

 これからの財団の活動は、これまでの活動をいかに活かしていくかにかかっていると考えています。今後も増えるであろう自然災害にいかに対応していくか、また、過疎化の進む各地での寺院の社会貢献活動をいかに支援していくか。言うは易く行うは難しいですが、職員一同と手を携えて進んでまいります。

公益財団法人 浄土宗ともいき財団

理事長 佐藤行雄


 2011年3月11日午後2時46分、北海道から関西までを揺らした東日本大震災は、その直後に起きた津波にと原発事故よって北海道から関東の太平洋岸に大きな被害をもたらしました。
 「浄土宗報恩明照会(現:浄土宗ともいき財団)」では、浄土宗が設置した対策本部や関係する諸団体と連絡をとり、もっとも大きな被害が伝えられていた岩手・宮城・福島の各県の状況を調べるため、2011年3月28日、藤木前事務局長が現地の浄土宗寺院に赴き、現地ではどのような物・ことを必要としているか、そして財団として何ができるかを調査し、その情報を元に考えた結果、浄土宗寺院を避難所としている被災者の精神面のケアと栄養のある食事の支援をすること、つまり、寺院を通した被災地支援が当財団にとって最も望ましいと判断しました。そこで浄山カウンセリング研究会、社会慈業委員会ひとさじの会など財団と協力関係にある団体に協力を要請し、被災者の心や体のケアなど、状況に合わせた支援プログラムを作り、次の活動を行いました。

現地調査当時の記録写真①

現地調査当時の記録写真②

現地調査当時の記録写真③

現地調査当時の記録写真④



東日本大震災「心のケア」支援プロジェクト

協力:浄山カウンセリング研究会※現在は解散しています

 当財団で相談に対する傾聴活動を行っていたボランティアの方々が、11年4月3日から6月2日まで避難所となっている宮城教区淨念寺を中心に気仙沼市内の避難所(気仙沼市立鹿折中学校、気仙沼市立新月中学校、東中才会館)を回り心のケアの活動を行いました。支援に行かれた支援者は延べ25人、大本山清浄華院の浄山カウンセリング研究会の会員で訓練を受けた有資格者の皆さんです。

心のケア支援(於:淨念寺)

手前の二人がカウンセラー


被災地心のケア支援活動@西光寺

協力:浄山カウンセリング研究会※現在は解散しています

 当財団が浄山カウンセリング研究会に協力を要請し、東日本大震災によって家族を亡くされた、遺族同士の分かち合いの会である「蓮の会」(於:宮城県石巻市西光寺)の参加者に対し、2013年11月から心のケアの活動を行いました。この傾聴活動は形を変え、現在まで引き継がれています。2018年度まで継続的に毎月11日に支援者を派遣、2019年度からは助成に移行し資金的な支援を行っています。

毎月11日慰霊法要の様子

茶話会の様子



炊き出し活動

協力:社会慈業委員会ひとさじの会・心のケアの会

 震災発生当初から数ヶ月間は各地で食糧不足が発生していたため、当財団が協力を要請し、現地調査の職員や関係者からの情報を受けて、4月から12月まで「社会慈業委員会ひとさじの会」との共同で岩手・宮城・福島の各地8カ所で実施。財団は炊き出しに必要な鍋や鉄板といった道具類と現地を巡回するのに必要な車両の手配を行いました。

炊き出し準備の様子

温かい食事を提供

2011年
4月 7日 炊き出し活動@いわき市御厩小学校
18日 炊き出し活動・被災地出前寺子屋@気仙沼市淨念寺
5月 2日 炊き出し活動@いわき市平体育館
3日 炊き出し活動@いわき市内郷コミュニティセンター
6月 16日 炊き出し用器材贈答@宮城教区浄土宗青年会
7月 25日 炊き出し活動@石巻市西光寺
9月 1日 炊き出し活動・被災地出前寺子屋@大槌町大念寺
10月 11~15日  炊き出し活動@遠野市善明寺、大船渡中学校仮設団地、
大船渡北小学校児童館「ゆうゆう」
12月 23~26日 炊き出し活動@岩手県立福祉の里センター
2012年
4月 17~18日 炊き出し活動@岩手県大船渡市・陸前高田市・住田町
7月 31~8月3日 同上
10月 22~23日 同上
12月 10~12日 同上
24日 炊き出し活動@宮城県石巻市
3月 11~14日 炊き出し活動@岩手県大船渡市・陸前高田市・住田町
4月 7日 炊き出し活動@いわき市御厩小学校
18日 炊き出し活動・被災地出前寺子屋@気仙沼市淨念寺



「被災地出前寺子屋」
(慰問コンサート)

協力:法然上人をたたえる会(2013年に解散)

 4月から12月まで、被災者の気持ちを明るくしようと、当財団が関係していた「法然上人をたたえる会」の会員から著名人を岩手・宮城・福島の寺院9カ寺、避難所11ヶ所に派遣し、翌年の6月から12月まで岩手・宮城の5カ寺に派遣し、慰問しました。

於:大槌町大念寺

於:気仙沼市淨念寺

2011年
4月 8~9日 宮城教区淨念寺ほか気仙沼市避難所2ヶ所 西舘好子氏
18~21日 同上+他6ヶ所 高石ともや氏
6月

7日 福島教区淨圓寺(南相馬市)青木新門氏、西舘好子氏、藤村志保氏
23日 岩手教区大念寺(大槌町)高石ともや氏
24日 福島教区淨圓寺(南相馬市)高石ともや氏

8月

31日 岩手県遠野市 西舘好子氏、藤村志保氏

9月

1日 岩手教区大念寺(大槌町)西舘好子氏、藤村志保氏、湯川れい子氏

12月

13日 茨城教区浄国寺(潮来市)本條秀太郎氏、西舘好子氏、藤村志保氏

2012年
6月

11日 岩手教区善明寺(遠野市) 西舘好子氏

11月

28~29日 南三陸町 藤村志保氏、西舘好子氏

12月

14日 大船渡市 井上康正氏

2013年


4月

17日 福島教区浄圓寺(南相馬市)西舘好子氏、藤村志保氏
18日 宮城県いりやど(南三陸町)西舘好子氏、志茂田景樹氏

8月

12~13日 宮城教区大宝寺(仙台市)高石ともや氏

6月

7日 福島教区淨圓寺(南相馬市)青木新門氏、西舘好子氏、藤村志保氏
23日 岩手教区大念寺(大槌町)高石ともや氏
24日 福島教区淨圓寺(南相馬市)高石ともや氏


「子ども寺子屋」
(被災児童対象の移動教室)

協力:NPO法人日本子守唄協会(現:日本ららばい協会)

 原発事故で避難し、外で遊ぶことのできない福島の子どもたちを県外で放射線の影響のない場所で思い切り遊んでほしいと、避難している寺院を通じて募集、安全に活動できる他県へと招待しました。招待先の浄土宗寺院を拠点とし、寺院の持つネットワーク力を活用しながら地域と一体となり開催しました。

於 千葉教区浄国寺

於 長崎教区蔵德寺

2011年
11月 26,27日(1泊2日)
「子ども寺子屋in銚子」
会場 千葉教区「浄国寺」ほか
対象 福島県南相馬市児童、保護者 21名
2012年
7月

24~27日(3泊4日)
子ども寺子屋「僕らの未来 学ぼう日本」
会場 長崎教区「蔵德寺」ほか
対象 南相馬市立石神第一小学校 5,6年生 30名

2012年



「親子で行こう!田植え、稲刈り体験ツアー!」

共催:ふくしまっ子smileプロジェクト・浜通り組青年会

 避難生活で我慢を強いられている子どもたちを対象に、農地を借り、親子で田植えと稲刈りを体験してもらおうと、浄土宗災害復興福島事務所と共催で実施しました。2013年~2016年まで計4回実施、2017~2019年は助成先団体として資金的な支援を行いました。

田植え時の集合写真

田植えに夢中な子どもたち

2013年
5月 26日
「親子で行こう!田植えツアー」
場所:山形県内 参加者:児童・保護者40名
10月

5日~6日
「親子で稲刈り体験ツアー」
場所:山形県内 参加者:児童・保護者40名

2014年
5月

24日~25日
「親子で行こう!田植えツアー」
会場:福島県・西会津 参加者:児童・保護者40名

9月

27日~28日
「親子で行こう!稲刈りツアー」
会場:福島県・西会津 参加者:児童・保護者40名

2015年


6月

6日~7日
「親子で行こう!田植え体験ツアー」
場所:福島県・西会津 参加者:児童・保護者37名

10月

3日~4日
「親子で行こう!稲刈り体験ツアー」
場所:福島県・西会津 参加者:児童・保護者37名

10月

5日~6日
「親子で稲刈り体験ツアー」
場所:山形県内 参加者:児童・保護者40名



救療隊in浜○(はままる)かふぇ

協力:NPO法人施術ボランティア救療隊

 福島教区浜通り組浄土宗青年会が毎週水曜日に行っている「浜○かふぇ」にて、ビワ温圧療法の施術を行いました。好評を得たため、現地浄土宗教師・寺庭婦人を対象に、現地で必要に応じて施術が行えるように研修会を開催しました。

於:いわき市内仮設住宅

ビワ灸講座の様子

2012年
5月 9日 福島県いわき市内仮設住宅 約30名来場
6月 6日 同上
10月 9日 浄土宗教師を対象としたビワ灸講座
10日 福島県いわき市内仮設住宅 約60名来場
6月 6日 同上



「お寺の茶和会」
(傾聴、ビワ温灸など癒しを目的とした交流会)

協力:浄山カウンセリング研究会※現在は解散しています、NPO法人施術ボランティア救療隊

 被災者にお寺に集まってもらい、悲しみや不安をカウンセラーに話し共有してもらいながら、ビワ温灸で体を癒してもらいました。本企画の呼称が“和”の文字を使った「茶“和”会」であるのは、茶話会であると同時に「ビワ温圧療法」やその他イベントなどを一緒に行うことで、参加者が心も体も「和む」ことを目的とするためです。茶話会の開催によって、被災地に住む人同士、またスタッフと交流することにより人と人との絆を認識してもらい、前向きに日々を生きるための気力を涵養します。

和やかな茶話会

温灸で心も体も温まる

2011年
11月

23日~25日
会場:福島教区興仁寺、阿弥陀寺、淨圓寺 合計110名来場
催し:宮田章司氏、ビワ温灸監修:鈴木淳子氏

2012年
1月 29日~31日
会場:福島教区興仁寺、阿弥陀寺、淨圓寺 合計130名来場
催し:稲村なおこ氏・久保祐子氏、ビワ温灸監修:鈴木淳子氏
4月

28日~30日
会場:福島教区興仁寺、阿弥陀寺、淨圓寺 合計150名来場
催し:宮田章司氏・小旭斎小天華氏、ビワ温灸監修:鈴木淳子氏

10月

22日~23日
会場:岩手県大槌町 おさなご幼稚園 約40名来場
催し:西舘好子氏

2012年



「被災地支援者のためのセミナー開催」

(カウンセリングに関する研修会)

 避難している被災者のために自分にできることはないかと考えた浄土宗の僧侶・寺族からの要望を受けて、被災者の話を聞く「傾聴」についての研修を行いました。
2011年
7月 21日 岩手教区普通講習会 参加者29名
12月 9日 静岡教区(宝台院) 参加者42名
2012年
12月 11日 静岡教区(宝台院) 参加者50名
2013年
12月 17日 静岡教区(宝台院) 参加者40名
2014年
12月 16日 静岡教区(宝台院) 参加者40名
12月 9日 静岡教区(宝台院) 参加者42名



「ともいき」社会の実現へ

 現在、浄土宗ともいき財団では、東日本大震災での活動を機に、地域と寺院のつながりを深め、寺院が地域住民の精神的拠り所となることを目指し、仏教精神に基づいた社会貢献事業の推進、支援、助成を行っています。僧侶の行う取り組みが地域社会をよりよいものにし、地域のすべての方々に提供されることを願い、「ともいき社会」の実現に向かって取り組んでまいります。

お 問 い 合 わ せ

浄土宗ともいき財団 事務局
TEL 03-3436-3353 E-mail tomoiki-info@jodo.or.jp