東京逍遥塾

善く生きるための知恵の探求
日本型リベラルアーツの探求
-アリストテレスを中心とした人類の古典と対話することを通して−

東京逍遥塾第1回勉強会ご報告
(2018年10月22日開催)

 東京逍遥塾の第1回勉強会を10月22日、東京都千代田区の学士会館で開催し、産官学の多様な立場から37人の会員が参加しました。

 はじめに荒木勝塾長が、問題提起を兼ねて塾発足のねらいを説明。①実践知・芸術知の涵養を図ること、②和・漢・洋の古典をバランスよく学ぶことーを通して、日本型のリベラルアーツを構築する必要性を説きました。

 その上で、現代社会の危機を、世界的な貧富の格差の拡大とアメリカンドリームの終焉、中国の台頭と帝国統治論の登場、AIの進展と産業構造の変化という視点から読み解き、欧米や中国が主に人材育成の面でどのように対応しているかを考察。オランダの大学改革や中国での古典教育を例に挙げながら、政治や芸術、宗教も含めたリベラルアーツの構築について改めて強調しました。

 質疑応答では、リベラルアーツと教養教育の概念の違いや、戦前の旧制高校との比較など、参加者から活発な意見が出されました。

 次回は来年2月、「民主主義は死につつあるか」をテーマに議論を進める予定です。

東京逍遥塾設立の呼びかけ人(2018年10月8日現在)

荒木 勝(岡山大学名誉教授。元岡山大学副学長)
小長啓一(元アラビヤ石油会長、元通産事務次官)
近藤誠一(地球システム・倫理学会理事長、元文化庁長官、元外務省)
板東久美子(日本司法支援センター理事長、元文部科学審議官・消費者庁長官)
土居征夫(武蔵野大学客員教授、元通産省生活産業局長)
濱口治孝(一般社団法人浩志会専務理事、元三菱商事)
細川昌彦(経済評論家・中部大学教授、元中部経済産業局長)
松元 崇(国公共済組合連合会理事長、元内閣府事務次官、元財務省)
天野定功(元KDDI副会長、元郵政省電気通信局長、元総務審議官)
伊藤盛夫(元防衛省経理装備局長)
野崎敦夫(元日本民営鉄道協会理事長、元運輸省関東運輸局長)
深津孝男(元東レ・東レ経営研究所常務取締役)
伊藤直人(日本クアオルト研究所会長、元トヨタ自動車)
竹原啓二(フューチャー・デザイン・ラボ会長、元リクルート常務)
藤山知彦(JST研究開発戦略センター上席フェロー、元三菱商事)
降籏洋平(日本信号株式会社会長)
梅田一郎(元日本ファイザー社長、新時代戦略研究所・理事長)
田中勝英(太陽生命社長)
森田 潔(元岡山大学学長)
片峰 茂(元長崎大学学長)
本田勝彦(元JT日本たばこ産業株式会社顧問)

塾長・代表幹事

荒木 勝 先生
(岡山大学名誉教授、元岡山大学副学長)

業績:
単著
・『アリストテレス政治哲学の重層性』(2011年7月、407ページ、創文社)
・『ポーランド年代記と国家伝承』(2018年12月、156ページ、群像社)

論文集寄稿
・「ポーランドの建国伝承考」(『ポロニカ』創刊号、1990年 155-173)
・「西洋の幸福観」(『東北アジアの幸福観』2010年 110-119  岡山大学出版会)
・「フロネーシス」(『政治概念の歴史的展開』(2011年6月、69-92、全体244ページ、晃洋書房))
・「政治主体の形成における「自由」の考察」(『新しい政治主体像を求めて』2014年2月、377ページ)

翻訳
・アリストテレス『政治学』(ギリシャ語から日本語)(岡山大学法学会雑誌、2001~2003年)
・『匿名のガル年代記―中世ポーランドの年代記』(ラテン語から日本語、2014年12月、麻生出版)

翻訳
注釈
・「アリストテレス」『西洋政治思想資料集』(2014年9月、14-21ページ、法政大学出版局

監修・共著

・『東アジアの「もの」と「秩序」』(2010年 大学教育出版)
・『東北アジアの幸福観』(2010年 岡山大学出版会)
・『現代公共政策のフロンティア』(2015年 岡山大学出版会)
・『東アジアの共通善』(2017年 岡山大学出版会)

書評

・「アリストテレス政治学における市民的互恵性の位置」
  (政治思想学会編『政治思想研究』第18号 2018年5月、風行社)

勉強会のスケジュールと講義内容

スケジュール
2019年 2月15日(金)、5月17日(金)、8月23日(金)、そして11月15日(金)の4回。

講義内容
第1回:『現代、民主主義は死につつあるか』
 現代の先進諸国で、民主主義の機能不全が拡大している。ポピュリズムという現象が、全世界を覆っている。合理的機能を謳われた近代官僚制も、再生家産制という奈落に落ちつつあると言われている。この病理の根源を突き止め、あるべき政治体制の原理を、古代まで遡って検討する。

第2回:『真の教養とはなにか、日本的リベラルアーツの行方』
 AIの機能が拡大深化する今日、改めて、人間に固有の知性の在り方が検討される時代になった。今、若者のみならず、中高年において、自由と幸福を志向する人間に相応しい教養の在り方が追求され、世界の先進国では、高等教育機関がその成果をめぐって競争している。そのなかで、日本の伝統を生かした、日本的リベラル・アーツの骨格を提示する。

第3回:『家族という問題における正義とは何か』
 世界的なレベルで、貧富の格差の拡大とともに、家族の解体、子供、高齢者の放置の危機が指摘されている。こうした状況下で、近代以降の個人中心の秩序の在り方が根底から問われている。今、改めて家族の秩序の問題を、権利と正義の視点から再検討すべき時である。

第4回:『自然は危機に瀕しているのか』
 地球温暖化、昨今の大きな気候変動は、地球の自然に加えた人間の所産である。今必要なことは、当面の対応に加えて、我々が抱いてきた自然と生命にたいする姿勢を根本的に再検討することにある。その中で生物多様性の原理の真の哲学的意義を把握することから始めて、産業そのものの構造の展開に及ぶヴィジョンを共有することであろう。



(写真)東北師範大学の校門の彫像前にて
POINT
1

東京逍遥塾設立の趣旨

世界は、今大きな激動に見舞われています。

とりわけ、2016年に入り、トランプ大統領の登場以来、歴史的な大変動の時期を迎えたように思われます。

一方では、科学技術の予想を超える進展はこれまでの人類の対応に根本的な再検討を迫っています。他方では、中国の台頭や中東の無秩序等に象徴される、グランド・ゼロという時代認識がひろがり、混沌というべき世界の無秩序化は、人間の尊厳や国家の尊厳を危機に陥れています。

また自然界もまた大規模な気候変動に見舞われ、社会秩序の混乱と共振して、人間社会の自然的基礎である家族、地域の共同体の解体が引き起こされています。その結果、いまや生の根源に対する人間の正当な判断を見失わせる事態が引き起こされています。

他方で、日本の現状もまた、少子高齢化の急速な進行や世界の急激なグローバル化の中で、多くの分野で混迷の度合いを深めています。とりわけ日本の将来にわたる国家像が極めて不明確になっています。

 こうした状況を見るにつけ、明治以降、日本が学んできた近代的思考を超えて、改めて、人類が構築してきた古典的知恵といわれている知的遺産から多くを学ぶ必要があるように思われます。

とりわけ、2000年間、西洋、東洋を超えて人類の知性に語り掛けてきたアリストテレスを中心とする古典の世界に分け入り、それらの哲学的思考を学びながら、世代の壁を超え、現代の日々の生の現場から立ち上がってくる課題を、対話を通して、問題の根源にさかのぼって考えるという作業を広げていくことが求められています。

さらに、こうした観点から、東京逍遥塾の基本的なヴィジョンとして、日本の国家ヴィジョンのあり方を模索しつつ、世界に通用する真の教養の深化のために、日本的リベラル・アーツの再構築を目指します。

 この塾の基本コンセプトを、「善く生きるための知恵の探求-アリストテレスを中心とした人類の古典と対話することを通して−」とする。

POINT
2

逍遥塾のミッションと立場

1.アリストテレスをはじめ、人類の古典的遺産を、現代の問題を解く土台、引照基準として勉強する。

2.日々の多方面の実践や戦略的課題を超えて、「よく生きる(エウ・ゼーン)」ために、より大きな価値を探求し、またより大きな価値の観点から、日々の実践・戦略的課題を再点検する。 

3.個々の直接的な政治的経済的社会的な立場を乗り越えて、共通の討論の場を構築し、さらに開かれた知的共同の場を追求する。

POINT
3

1年間の基本課題

今後の基本課題は会員の相互の検討を経て決定する。


A.民主主義とポピュリズム、並びに君主制
B.個人と家族、地域と企業と国家
C.リベラル・アーツ、とりわけ修辞学(コミュニケーション学)と芸術
D.官僚制と説明責任制
E.正義と実践知、その点における東洋と西洋の架橋

POINT
4

運営方法

1.共通のテキストをあらかじめ読んで、相互に質問する。当面は、『西洋政治思想資料集』(法政大学出版、2014年)を各自購入し、アリストテレスを中心にして、西洋古典の中心部分を勉強する。

2.年間、2冊程度、その時々に重要な書籍や重要な文書を会員自ら推薦し、相互の推薦の中で共通テキスト、共通資料として確定する。

3.確定後、集中的に集団で検討する。

4.塾長のアリストテレス講義を中心にした古典の勉強の場に参加する。

5.年4回の勉強会を実施する。

※当面、ユヴァル・ノア・ハラリ「ホモ・デウス」上下(河出書房新社2018)、藤原正彦「国家と教養」(新潮社2018)を取り上げ、上述のAからEに関わる重要論点を、アリストテレスを念頭に置きながら検討する。この著作の検討の後は、2のように、現代の社会的、文化的変動を巨視的な視点から問題提起する著作、文書を検討する。

主なテキスト

年会費・参加費のお支払方法

年会費は1万円。年度途中からの入塾の場合、軽減措置があります。
また、毎回の勉強会参加費は5千円(軽食代込)です。
会費・参加費は銀行振込をお願いしています。
詳しくは、事務局にお問い合わせください。

東京逍遥塾・事務局

塾長補佐  伊藤 直人
              竹原 啓二(兼事務局長)
              土居 征夫
              濱口 治孝
幹事        野崎 敦夫
              深津 孝男
              野村 真一(事務局)

お問い合わせ先

株式会社フューチャー・デザイン・ラボ事務所内
東京都中央区八丁堀3-16-6 東八重洲プレイス3階

Tel: (03) 6222-9855 / Fax: (03) 6222-9856
E-mail: takehara@futuredesignlab.jp

お問い合わせフォーム

  • ご記入いただいた個人情報は、お問い合わせへの回答、情報提供のために使用させていただきます。 個人情報を正しくご記入いただけない場合やお問い合わせ内容によっては、回答できない場合がございます。
フォームから送信された内容はマイページの「フォーム」ボタンから確認できます。
送信