新型コロナの禍(わざわ)いと経済大恐慌の追い打ち、オリンピックムードもどこ吹く風、なぜこんなにも、働く意欲が萎(な)え、生きる希望が奪われるのか。日本経済の立ち直りの見通しも暗闇のなか。アベノミクスの無策無定見ぶりに、巷では仕事と暮らし、子育てや老後につきまとう不安・不満が充ちみちています。
【 閉塞、“衰退”の日本 】 その端的な第一の『指標』をあげるなら、「出生率1.43」。ひと世代あとには人口が四分の三に、1億2千万が8千万人に急減してしまう、まぎれもない日本社会“縮小”の予測データです。いなかでの“限界集落”〔まちでも“シャッター通り・限界商店街”〕、大都市では“過密化/路地裏過疎化”、そして仕事廻らず跡継ぎなし、生活設計の見通し困難、──まさに、仕事と生活の持続可能性を見込めず、勤労意欲の減退や生きがいの喪失と結びついた、社会“衰退”の姿です。
【 AI技術では克服できない 】 これを政府財界は、現代の切り札「AI装備」の「IoT技術革新」、で解決を図ろうとしています。しかし、おおきく歪んでしまった極度のアンバランス不均衡化の根本の是正メス入れと処方が展望されているわけではなく、どの課題についても弥縫策でしかない。いまでは資本主義の限界や終焉、取って代わりうる選択肢、が人々の口の端にのぼりはじめています。
このような日本や世界が直面するもっとも深刻で切実な社会経済問題を、“病理診断”し、“処方箋を提起”するのが、社会科学の到達した金字塔『資本論』です。
【『資本論』を羅針盤に 】 『資本論』は、〈社会の富はすべて労働者がつくりだしたもの。その富が、どういう仕組みで、だれの懐(ふところ)にはいり胃袋に消えるか?〉をあきらかにします。第1巻では「剰余価値」生産の秘密を洞察し、つづく第2・3巻では、その流通・分配の領域での再生産の進行の法則を解明し、こうして、一国の社会全体として釣合いのとれた持続可能な経済成長・発展のための諸条件と法則性を、ひいては現代がたどり着くべき〔たどり着くハズの〕未来社会(社会主義・共産主義)を、展望します。
今日日(きょうび)のような激動の過渡期・転換期には、はるか人類史の持続可能な発展法則に照らし俯瞰してこそ、こんにち立ちはだかる諸困難の真相が、真の病巣、歪みや異変が、どんな症状に現われるかが、明らかになるのです。
【 社会がわかり自分が見えてくる学びを ! 】 マルクスの資本主義の分析と未来社会への展望の真髄を玩味しましょう。恐慌・不況の基礎理論を学び、現代の経済論争点についても随時、解説します。
『資本論』を初めて繙(ひもと)く方も、どうぞ歓迎します。くりかえし基礎をおさらいしながら、第1巻の峰にいどみましょう。身近な疑問に答え、社会がわかり自分が見えてくる、たのしい講座をめざします。