フォーム 予約 決済 メルマガなど集客機能がオールインワン!
バーコード/QRコードが用意できない時のために、手書き文字認識の機能も用意しました。
精度が必ずしも完璧ではなく、時間もバーコード/QRコードよりかかりますが、頑張れば手書き文字で文献管理できます。
たとえば、新しい論文をコピーして入手した時、余白に何桁かの数字(ほかと重ならないもの)を書き込めば、このアプリで管理できるようになります(ただし、この機能は補足的なものなので、バーコード/QRコードでの運用を強くお勧めします)。
このアプリは、日本語で書かれたり日本で出版された書籍・論文の管理に(今のところ)特化していますが、それらを望む人が日本語話者とは限りません。そこで、アプリの表示言語として英語も選択できるようにしました。
アプリを初めて起動した時だけ、起動直後に、アプリのメニュー/メッセージ/ボタンなどに表示する言語を選択する画面が開きます。使用する言語は、後から、次に述べる方法で、いつでも変更できます。
「設定」タブを開き、「言語」のセクションで、「日本語」か「English」をタップして下さい。
このアプリの使い方の流れは、最も単純化していえば、〈場所を登録する→アイテムを登録する(登録し直す)〉ということに尽きます。
それに対応して、アプリの主な画面も「場所リスト」「アイテムリスト」の2つの画面から構成されています(3つ目の画面として、このヘルプを表示するための「ヘルプ」画面が、そして4つ目の画面として「設定」画面もあります。それぞれの画面は、下のタブをタップすることで切り替えられ、また必要に応じて自動的に切り替わります)。
そこで、このマニュアルでは、〈場所の使い方〉と〈アイテムの使い方〉の2つのセクションに大別して、説明を進めます。
アプリを開くと、まず最初に「場所リスト」が開きます。すべての作業は、ここから始まります。「場所リスト」の一番上には、
という3つのコマンドが用意されています。1つも場所を登録していない場合は、この3つしか表示されません。場所を登録してゆくと、この3つの下に、場所が列挙されてゆきます。
このアプリでは、何よりまず先に、「場所」を登録しないと始まりません。場所は、手動で1つ1つ登録する必要があります(後で、バー(QR)コードと関連づけるにせよ、まずは最初に手動で場所を登録する必要があります)。手動登録の手順は次の通りです。
「場所」を登録する手順は、下記の通りです(これが唯一の方法です)。
一度手動で登録してしまえば、「場所」は様々な方法で管理できます。
場所の数が増えてくると、目視で探すのが大変になってきます。このアプリでは、「場所リスト」に表示される場所を、検索で絞り込めます。
場所を管理するコマンドを呼び出す方法は、2ヶ所に分かれています。最も頻繁に使うであろう機能と、使う頻度があまり高くない機能です。
どちらのメニューも、使う頻度が高そうなものから順に(左スワイプメニューは左から、タップメニューは上から)並んでいます。使い方の流れ上、最も頻繁に使う機能の説明から、そのままアイテムの説明に入ってゆくのが分かりやすいので、先に、使う頻度が高くない機能から説明します。
左スワイプで現れるメニューの一番左にある「▲」「▼」ボタンは、場所の並び順を変更するボタンです。
このアプリでは、場所を新しく登録すると、「場所リスト」の一番下に追加されてゆきます。しかし、今、最も頻繁にアクセスしたい場所は一番上にあって欲しいですし、似たような場所は一まとめにされていて欲しいものです。
そのような場合は、移動させたい「場所」を左スワイプして、「▲」「▼」ボタンを押して下さい。一回押すたびに、「▲」で一つ上に、「▼」で一つ下に移動します。
このアプリでは、「場所」を左スワイプして「名前...」ボタンをタップすると、何度でも自由に名前を変えられます。
このアプリでは、「場所」を左スワイプして「色...」ボタンをタップすると、場所を表示する文字の色を変えられます。その手順は下記の通りです。
場所を削除する手順は下記の通りです。
このアプリでは、〈個別のアイテムごとに、所属する場所の名前を記憶させる〉という形で、場所とアイテムの関係が管理されています。つまり、所属する場所を削除してしまっても、全く同じ名前の場所をもう一度新しく登録し直せば、アイテムは何ごともなかったかのように、前と同じように、そこに所属していたように振る舞います。この仕組みを利用すれば、誤って実行してしまった場所の削除を取り消すのと、実質的に同等のことができます。
所属先の場所を削除されてしまったアイテム、いわば〝迷子〟のアイテムにアクセスして救出する手順は、下記の通りです。
既存のアイテムを一覧するには、2つの方法があります。特定の場所に所属するアイテムだけを一覧する方法と、すべての場所から検索してヒットしたアイテムを一覧する方法です。
特定の場所に登録されている(所属する)アイテムを一覧する手順は、2つあります。
このアプリの最大の存在目的は、「探しているアイテムがどこにあるか」を最小の手間で判明させることです。登録した場所・アイテムが増えてゆくうちに、場所やアイテムの一覧から目的のアイテムを探し出すのは、不可能に近くなってゆきます。
そこで、すべての場所、あるいは特定の場所の中にあるアイテムを探す、キーワード検索を利用できます。
このアプリでは、アイテムにフィールド(データの内容ごとの区分け。たとえば「著者名」「タイトル」「出版年」「出版社名」など)を設けていません。どのようなアイテムでも登録できるように、柔軟性を確保するためです。
そのため、通常なら複数のフィールドに区分けされて登録されるべき情報も、まとめて1つの文字列として登録するしかなく、フィールドごとの検索もできません。
ただ、実用上はそれで十分です。たとえば、著者名の一部やタイトルの一部、出版社名の一部などを「室町幕府 桃崎」「中世京都 思文閣」などのように入力すれば、目的のアイテムはすぐに絞り込めます。
このアプリには、アイテムを新しく登録する方法が3つ用意されています。
これらはすべて、「アイテムリスト」の最上部にあるボタンから実行できます。
どの方法を採るにしても、手動登録の作業は避けて通れません。上の2と3は、手動登録の後に行うコードとの関連づけを、先にまとめて済ませるだけのものです。
後に述べるように、手動で登録したアイテムには、後からバー(QR)コードを関連づけられます。その手間を省くために、まずバー(QR)コードを読み取らせて、それにアイテム名を与えてアイテムを新規登録できます。
この機能の真価は、書籍のバーコードを読み取らせた場合に発揮されます。初めて認識する書籍のバーコードを読み取らせると、全自動で書誌情報をデータベースから取得してきてアイテム名として自動入力し、ユーザーは「決定」ボタンをタップするだけ、というスピーディな登録が可能です。
具体的な手順は下記の通りです。
最初からカバーにバーコードが印刷されている書籍ならともかく、そうでないことが多い古い書籍や、絶対にそうでない論文のコピーに、バー(QR)コードを用意する(印刷したり貼りつける)のは、さほど手間がかからないとはいえ、手間には違いありません。
また、コピーした論文をすぐに登録したい場合など、バー(QR)コードを用意する前に登録したい場合があるかもしれません。
そのような場合にもできるだけ自動化するための最終手段として、手書き文字認識(手書きに限らず、活字体でも可能)の機能を用意しています。
具体的な手順は、下記の通りです。流れとしては、「バー(QR)コードを読み取ってアイテムを登録する」の、バーコードを読み取る手順が、手書き文字を撮影する手順に入れ替わるだけです。
このアプリの真価は、文献や論文の情報を簡単に、自動的に入力できる機能にあります。それを実現するために、「アイテムの新規登録」ダイアログボックスには、次の2つのボタンが用意されています。
書籍のISBNコードをバーコードから読み取った場合は、この自動入力は文字通り全自動で行われます。
しかし、手動で登録する場合や、アイテム名を変更する場合にも、これらのボタンを使うことで、手動で行えます(特に、論文の検索はどうしても手動での検索が必須です)。これにより、Web上のデータベースから必要な情報を検索して、アイテム名を入力するテキストボックスに自動入力させることができます。
そのまま「作成」ボタンを押せば新規作成は完了しますし、「作成」ボタンを押す前に手作業で修正することもできます。
具体的な手順は、下記の通りです。
作者自身が実際にこのアプリをテスト運用してみた結果、
著者名「論文のメインタイトル─サブタイトル」(『掲載雑誌名』,掲載号,発行団体名,出版年月)
のような形式の長大な文字列が、同じ文字サイズ・文字色で並んでいるのは、あまり見やすくないと判断しました。
そこで、文献の中で最も重要な情報というべき「著者名」と「論文/書籍名」を目立たせ、どちらかといえば枝葉末節というべき(しかし切り捨てることはできないくらいには重要な)その他の情報を目立たせなくするために、それらの情報ごとに色と文字サイズを分けられるようにしました。
このアプリでは、上に示したような書誌情報のフォーマットを分析・分解することで、それを実現しています。具体的には、次のような仕組みです。
上の3つの部分は、それぞれ色と文字サイズを独立して変更でき、それをアプリに記憶させられます。その手順は下記の通りです。
上の分析ルールは、実は変更できます。分析は〝正規表現〟によるパターン・マッチングで行われており、そのパターンをユーザーが書き換えられるようになっています。
この機能も、歴史学を初めとする人文学では需要が高いはずの、目玉機能です。
論文の中には、研究書の中の1つの章として存在するものがあります。学術雑誌に発表済みの論文を自著に再録する場合や、それらと並んで、自著で書き下ろしで書かれる場合があります(特に日本史学の場合)。それらのデータは、上記の2つのやり方では取得できません。CiNii論文検索では雑誌論文のみを扱うからであり、またCiNiiBooks検索では本1冊単位で登録されているからです。
しかし、このアプリには、この困難を乗り越えるための機能が用意されています。下記の手順を踏んで下さい。
著者名「論文のメインタイトル─サブタイトル」(『書籍のメインタイトル─サブタイトル』,出版社名,出版年)
の形に整形されて自動入力されます。アイテムの名前は、登録後にも自由に変更できます。その手順は下記の通りです。
アイテムの場所を移動させる方法は、2つあります。手動か、カメラによるバー(QR)コード認識です。
手動で移動させる手順は、下記の通りです(カメラによるバー(QR)コード認識で移動させる方法はこちらを参照)。
アイテムを削除する手順は、下記の通りです。
そこで窮余の策として、アプリ内クリップボードを用意して、そこにコピーするという形にしました。
このアプリの真価は、場所とアイテムのすべてをバー(QR)コードに関連づけて、すべての管理をバー(QR)コードで自動化できることにあります。そこで、バーコードの利用に関することを、ここで独立した章として扱います。至高の文献管理体験まで、あと少しです。
手動で登録したアイテムには、後からバー(QR)コードを関連づけることができます。その手順は下記の通りです。
アイテムとバー(QR)コードの関連づけは、何度でもやり直すことができます。また、すでにアイテムAと関連づけられているバー(QR)コードを、アイテムBと関連づけ直すことができます。
なお、関連づけを削除する機能はありません。そのコードをアイテムBと関連づけ直す時までは、アイテムAとそのコードとの関連づけを放置しておいても、実害がないからです。
アイテムとバー(QR)コードの関連づけをやり直す手順は、下記の通りです
一度バー(QR)コードと関連づけられたアイテムは、もう一度そのバー(QR)コードをカメラから認識させることで、簡単に所属場所を移動できます。その手順は下記の通りです。
このアプリを使う最大の利益は、場所もアイテムもバーコードに関連づけて、全自動で管理できることです。手動で場所を登録した後、その場所をバー(QR)コードと関連づけることができます。そのバー(QR)コードを、関連づけられた場所の現物(本棚や箱など)に貼りつけたり、1つの書類にまとめてリストアップしておけば、全自動化が可能になります。その方法は、次の章にまとめて特記してあります。
このアプリでは、アイテムの移動処理をバー(QR)コード認識によって全自動化させる、というエレガントな到達点があります。
それを実現するには、アイテムだけでなく、場所もあらかじめバー(QR)コードと関連づけておく必要があります。
場所とバー(QR)コードを関連づける手順の流れは、アイテムを関連づける手順とほぼ同じで、下記のように行います。
「場所」とバー(QR)コードの関連づけも、何度でもやり直すことができます。その手順は下記の通りです。
場所とアイテムのそれぞれがバー(QR)コードと関連づけられてしまえば、いよいよ、待望の全自動管理が行えます。
具体的には、既存のアイテムを複数、次々と、カメラにかざすだけで、新しい場所に移動させることができます。
いかがでしょうか? これこそ、現段階の手もとのテクノロジーで一個人が到達可能な、〈手間が極小なので実用的で長続きする、紙媒体の文献管理〉の、最高峰の姿ではないでしょうか?
以上で、データの登録・管理・操作の説明は終わりです。しかし、実用的なシステムに最も重要な、最後の機能が残っています。安全で手軽なデータのバックアップと、復元の機能です。
バックアップ機能は、安全のためばかりでなく、ユーザーが様々な使い方を試行錯誤する上でも(失敗した場合に、それよりましだった時の状態に戻せる)必須です。
安全で手軽なデータのバックアップを実現するには、次のような条件が満たされていなければなりません。
以上の理由から、このアプリでは、場所やアイテムのデータを、次のようにバックアップするようにしました。
iPhone(iOS)の場合:〈SQLクエリーの命令文を列挙したテキストファイルを、デバイス内の、iCloudと自動同期するドキュメント・フォルダに保存する。保存すると同時に、または後から、バックアップしたデータを、デバイス内のほかのアプリやサービスに渡せるようにする〉
Androidの場合:〈iCloudの自動同期に相当するものがないので、上のやり方から、その部分だけを省く〉
さらに、このアプリの仕様上、「場所」データと「アイテム」データは、別々に独立させてバックアップした方が、都合よいと考えられます。これにより、現状の「場所」データを温存したまま「アイテム」だけをすべて入れ替えたり、その逆が可能になります。ただし、一まとめにバックアップ/復元できた方が便利な時もあるので、「すべてまとめてバックアップ」できるようにもしてあります。
具体的なバックアップの手順は簡単です。
具体的な復元の手順も簡単です。
作成済みのバックアップ・ファイルを、後から外部アプリ/サービスに渡すことができます。その手順は簡単です。なお、エクスポートしたファイルを別の端末でインポートすることで、iPhone(iOS)とAndroidの間でのデータの受け渡しも可能です。
iPhoneなどiOSアプリでは、アプリを削除すると、アプリのドキュメント・フォルダも消去されてしまいます。そのため、ドキュメント・フォルダにあるはずのバックアップ・ファイルも消えてしまい、バックアップとして用をなしません。そこで、このアプリを削除しても影響を受けないDropboxなど外部アプリ/サービスにデータを渡す機能があります。
すると次に、アプリのドキュメント・フォルダにDropboxなどからコピーして書き戻す手順が必要になります。これは、iPhone(iOS)の「共有」機能で実現できます(Androidでも同等の機能で実現できます)。
増えすぎてわけが分からなくなった/内容が壊れている/内容が古すぎるので不要になった、などの理由で、バックアップ・ファイルを削除したい場合があります。その手順は下記の通りです。
特定の状態に復元したいわけではなく、ただ単に、白紙の状態からデータを構築し直したくなって、データを全消去したい場合があります。全消去といっても、このアプリでは、場所とアイテムが独立して管理されているので、両方とも削除したい場合は、それぞれを削除する必要があります。その手順は下記の通りです。
このアプリを最大限に活用するためには、論文などにもバー(QR)コードが印字・印刷されている必要があります。その点が、このシステムの最大のネックです。バー(QR)コードは手書きできないので、バー(QR)コードが印刷されたものを入手するか、自分で作って貼りつけるか、直接印刷するしかありません。
ハードルは高そうですが、色々と実験してみた結果、最初に少しだけ手間をかければ、あとはほとんど手間をかけずに実現できそうなことが分かりました。
最も簡単で、あまり高くつかないお金だけで解決できるのが、この方法です。このようなシールの存在を偶然知り、それがこのシステムの現実性・実用性を完璧に保証してくれる、と確信できたことが、このアプリの開発に踏み切った直接のきっかけでもありました。
このシステムでは、アイテムに関連づけるバー(QR)コードは、すべてユニークな(ほかに同じものが一つとしてない、唯一の)内容である必要があります。そのようなコードが、市販されています。
作者が知ったのは、STIICA株式会社が販売している「STIIKAMI QR」という製品です。1つ1つがすべて完全にユニークであるQRコードが、小さなシールに印刷されています。36個のQRコードが入っているものが320円(+税)で販売されています(2020年4月現在)。
この製品のQRコードは、メーカーが提供するWeb上のストレージと直結しています。購入者は購入したシールのコードと結びついたストレージを無料で利用でき(というより、シール代にストレージの利用料金が含まれていると思われます)、そこに音声ファイルなどをアップロードしてQRコードと関連づけ、そのQRコードのシールを手紙などに貼ります。すると、受け取った人はスマホのカメラをそのQRコードにかざすことにより、音声ファイルなどを再生できてメッセージを受け取れる、という仕組みです。
このアプリでは、その仕組み自体を使う必要はありません(そのため、シール代に含まれているであろうストレージ利用料を無駄にすることになります)。しかし、とにかくユニークなQRコードを多数、簡単に入手できて、しかもシールとして貼れるという理想的な手軽さを、比較的安価な料金で実現できるという点で、このアプリに適しています。
もっとも、36個入りで税抜き320円なので、100個ほどのQRコードを用意するのに1000円ほど、1000個のQRコードを用意するとなると10000円ほどがかかります。この初期投資をどう考えるかは、ユーザー次第です(もう数千円出せば、次に述べる超小型プリンターが買えます)。
また、どちらかといえば女性向けの、カジュアルなメッセージのための製品なので、QRコードのシールがハート型・花型などファンシーなデザインになっており、論文などのカタいものに貼りつけた時に、デザインのバランス上、好みが分かれそうです。
これは、作者が自分のために採用しようと検討した中で、有望な手段の一つです。「超小型」というのは手のひらサイズのことで、よくあるラベルプリンターより小型のものです。なぜ通常のプリンターよりも超小型プリンターの方が望ましいかというと、ラベルが1枚必要になるごとに、〈通常のプリンターを起動し、PCを起動し、ラベルデザインのソフトを起動し、デザインや内容を作成し、大きな用紙に印刷して切り分けて使う〉という作業を強いられるのが、どう考えてもナンセンスで、〈手軽さは正義/素早さは正義〉というアプリの設計思想に反するからです。ちょっと1枚だけQRコードのシールが欲しい、という時に、PCを起動しなくて済むことは、極めて有意義なことです。
既存の製品で探してみると、Brother(ブラザー工業)が販売しているラベルライター(ラベルプリンターの一種)の「P-TOUCH CUBE」という製品が、このアプリの目的に適していそうです。
これはスマホと直結してスマホからラベルを作成する機能がある製品で、使い方を紹介している公式Webページの製品情報の中に、「専用アプリから「シェアラベル」のカテゴリーを選べば、簡単にQRコードを生成してラベルに印刷できます(18・24mm幅テープのみ)。例えばQRコードに電化製品の取扱説明書のページを紐づけておけば、取扱説明書が読みたくなった時いつでも誰でも簡単にアクセスできます。」という記述があります。これはまさに、このアプリで必要としている機能です。
ただし、現段階で2種類ある機種のうち、その「シェアラベル」機能を使えるのは、「18・24㎜テープ対応モデル」である「PT-P710BT」というモデルだけであると、同じ製品情報ページに書かれています。実際問題としても、24mm幅のラベルが印刷できるその機種でないと、このアプリで実用的に使えるレベルの大きさのQRコードを印刷できないでしょう。
本体の販売価格が、オープン価格ですが実売で1万円台前半(2020年4月現在)、ほかに消耗品として、無地のラミネートテープのカセット(長さ8m、幅18mm/24mm)が千円台後半からです。この初期投資・ランニングコストをどう考えるかは、ユーザー次第です(私なら、得られるものの大きさを考えれば、この金額は惜しみません)。
メーカーのBrotherは、印刷の質・スピード・ランニングコストに定評があります。作者自身、大学院生だった頃に同社のモノクロ・レーザープリンターを購入し、20年近く愛用してきて、まだ故障していません。
Brotherの製品は、昨今の国内大手メーカーにありがちな〈余計な付加価値を強引に盛り込んで無理に価値を上げようとする〉方向性とは違う印象で、プリンターとしての基本性能を必要十分に作り込むメーカーという印象があり、これまで国内外の様々なメーカーのプリンターを使ってきた末に、Brother製品以外に乗り換える動機がない、と結論できたメーカーです。
もっとも、作者自身はこのプリンターを購入せず、別の方法を試そうとしています。それが次に述べる、〈論文そのものに直接印刷できる超小型プリンター〉です。
作者自身は、ラベルのテープを常備したり、〈印刷+貼りつけ〉という2段階の手間をさらに減らせないかと考えており、何とか、〈PCを起動せずに、すぐにQRコードを作成して、直接紙媒体に印刷できる、かさばらない超小型プリンターはないだろうか〉と考えてきました。ただ、既製品にはまだ、そのようなものはないようです(2020年4月現在)。
ところが偶然、クラウド・ファンディングでそのようなプリンターを開発中・頒布予定であることを知りました。PrinCubeという製品です。紙や布、果ては人体にまで印刷できる代物です。
クラウド・ファンディングの企画ですし、すでに出資の募集期間も終了していますので、2020年4月現在、(今後、順調に製品化にこぎつけられない限り)誰でも簡単に入手できるものではありません。
ただ、出資募集が順調なら十分に製品化される可能性があります。そして、募集目標金額が100万円のところ、3億円以上も集めたようですから、製品化を大いに期待できる有望なプロジェクトです。
私は、製品化を強く望んでおり、クラウド・ファンディングならではの尖った設計思想が大好きで、しかもIT系の新しいガジェットに弱いので、投資して1つ入手する権利を得ました。
上に述べた超小型ラベルプリンターとほぼ同額で、私が理想とする超小型印刷機が手に入るので、楽しみであり、本命でもありますが、手もとに届くのは数ヶ月先なので、実際の使用感は不明です。
上記の超小型プリンター「PrinCube」が届くのを楽しみに待つ間、アプリのテストと実働ができないと困るので、私は最小のコストと手間で、とりあえずアプリの実働を始められる方法を採りました。〈市販のラベルシールにQRコードを印刷して貼りつける〉という方法で、現状では、(金銭的/時間的な)コスト面・実用性ともに、大変満足しています。
私が注目したのは、エーワン株式会社が販売しているOAラベル「マルチプリンタラベルシリーズ」の、QRコード用です。3種類あり、いずれもA4の大きなシートに小さなQRコード用のシールが集約されていて、シールの大きさが40mm四方のものは合計480片、30mm四方のものは合計800片、20mm四方のものは合計1400片のシールを取れます。いずれも税別1000円ですから、コストパフォーマンスは極めて高いといえます。
1ページがA5サイズであるのが普通(大きさが違っても、私はその大きさに拡大縮小してサイズを揃えています)の論文コピーで、シールを貼れる余白をどれくらい取れるか、ということを考えると、40mm四方のシールでは大きすぎます。30mm四方以下がよさそうで、次に述べるように、私の実験の結果、20mm四方で十分な大きさです。
エーワンのものなら、税別1000円でそのシールが1400片も取れます。研究者なら、1400本以上の論文を持っていてもおかしくないのですが、さしあたり、1400本の論文を管理できるなら十分に実用的なはずです。
その1400枚のQRコードのシールを、普通のプリンターで一気にすべて(20シート)印刷してしまえば、〈必要に応じてシールを剥がして貼りつけるだけ〉という作業で、論文のバー(QR)コード関連づけが済みます。
また、1400枚のシールを使いきるのはかなり先のことになるはずなので、シールの印刷という手間を強いられるのは、数年に1回で済むでしょう。一生に2回くらいで済むかもしれません。
近所のショッピングセンターでこのQRコード用のシールを入手しようとしたら、在庫がありませんでした。さすがに、普通のラベルと比べるとまだ需要は低いようです。しかし、私はすぐにテスト・実働を始めたかったので、同じエーワンの「L65A-30」というラベル用紙を購入しました。38.1mm×21.2mmという長方形のラベルで、4cm近い長さを持て余していますが、テスト運用には十分です。
この「L65A-30」は30シートも入っているので、約4cm×約2cmの長方形ラベルが1950片も取れます。私はこれに、ユニークなQRコードを一気に1950個、印刷しました。印刷データを作って全部印刷するのに、(いま一つユーザー・インターフェースが直感的でない付属アプリの使い方に悩んで立ち往生した時間も含めて)1時間かからない程度でした。1950個のシールを論文に貼り付け終わってさらにシールを必要とするのはかなり先でしょうから、これだけの時間と手間で目下必要十分な1950個のシールを入手できて、私は満足しています。
最大のハードルは、〈すべて異なるユニークなQRコードを、どう用意して印刷するか〉ですが、これはエーワンのラベル印刷のために同社が無償で提供している「ラベル屋さん」というソフトで、すぐに解決できます。
「ラベル屋さん」は、PCでダウンロードして使うことも、ブラウザからクラウド上で使うこともできるアプリのようです。このアプリを開いて、「差し込み新規作成」でラベルを作ってゆくと、1950個の異なるQRコードをすぐに作成して、印刷できます。
もっとも、使い勝手にクセがあり、一番最初の段階で「新規作成」からデザインし始めた私は、そのモードではどうやっても差し込み印刷(宛名ラベルのような、複数のデータを流し込んで、一枚一枚異なるラベルを印刷する印刷)ができないことに気づくのに、30分ほどを浪費しました。普通、どのようなデータを作るにせよ、「新規作成」の入口は1つなので、まさか入口が2つあって、最初に間違った方にはいっていたとは気づかなかったのです。
そのソフトの最大の難関は、私が見る限りそこにあります。ユーザーの皆様は、「新規作成」ではなく、必ず「差し込み新規作成」から作り始めて下さい。
デザイン時に、挿入できるパーツ(上部に列挙されている)から「コード」を選ぶと、バーコードやQRコードを挿入できます。そこに、1950個の異なるデータを結びつければよいわけです。
私は、Excelで1950個の連番(200413001から始まる。作成日の西暦下2桁・月2桁・日2桁と連番3桁)を一気に作りました(一番左上のセルに「200413001」と入力して、そのセルの右下を、コントロール・キーを押しながらつかんで1950個下まで引っ張り続けて離すだけです)。それをCSVファイル(カンマ区切りのテキストファイル)として保存して、「ラベル屋さん」に読み込ませて、QRコードと関連づけました(詳しい操作方法は、「ラベル屋さん」の使い方をWebで検索して下さい)。
さらに、コードが意味する数値がすぐに人間の目で判別できないと困る場合がある(特にテストの時)ので、コードの下に数値を普通に印刷できるよう、文字のフィールドを作って、同じCSVファイルの同じ列と関連づけました。
こうしてデザインされたシール(上述の入口の罠にかからなければ、15分で終わります)が図1で、「レイアウト」画面で実際にどのようにシート全体に印刷されるかを確認したのが図2です。1950個の異なるQRコードがシート30枚にわたってひたすら並んでいる様子は壮観です。
あとは、これを30シート、普通のプリンターで一気に印刷して、終わりです。あとは、このシールをなくさずに、論文をコピー/入手するたびに、余白に貼りつけていけば、システムが順調に回り始めます。
なお、私はこのシールを、論文を投入するプラスチック製の箱に貼りつけたり、本棚の段ごとに貼りつけたり、作業する席の横に貼りつけたりして、「場所」と関連づけています。その場所に行けばQRコードのシールが張ってあるので、その場所にアイテムを移動させた時に、〈場所のQRコードを読み取ってアイテムのQRコードも読み取るだけ〉という運用が可能になって、大変満足しています。
私の場合、論文を入れた箱が一ヶ所にないので、どの論文がどの箱に入っているかが判明しても、次にその箱を探す羽目に陥ります。
そこで、「書斎」「書庫」「机の右」などといった場所を作り、アイテムとして個別の「箱」の名前を登録する、という使い方を思いつきました。これにより、「箱」の所在も管理可能になります。
ただ、一点だけ注意点があり、この方法では、バーコード管理ができません。すでにそれぞれの「箱」が、「場所」としてバーコードと関連づけられているため、「アイテム」として登録し直せないからです。
もっとも、「箱」の数はたかがしれているので、移動処理などをすべて手動で行っても、少しも苦痛ではありません。
バー(QR)コードを割りあてられるモノ(あるいは、すでにバー(QR)コードを持っているモノ)でも、バー(QR)コードを一切使わなくても、モノでも情報でも、所在が問題となる対象は何でも管理できます。
とすると、着る季節が到来した時に思い出せない可能性が高い〈季節外の衣類などをどこにしまったか〉の管理や、〈今は熱中していないが捨てられないゲームソフト/映像ソフト〉の管理、また〈後で必要になることが分かっている重要な書類だが、さしあたり使わないので適当にあちこちに積んでゆく書類〉などの管理も可能です。
アイテムも場所も、実体を持つモノである必要はありません。〈論文や書籍の執筆に必要な物ごとの所在情報をすべてこれにまとめておく〉という基本方針を定めて、〝ToDoリストとしても活用する〟のもありかもしれません。
「ToDoリスト」という名の「場所」を作り、アイテムとして「東京大学史料編纂所で『○○』の写本を閲覧して文字をチェックする」「応永元年(1394)の越前国の守護は誰かを確認する」「宮内庁書陵部に○○の写真の書籍掲載許可を申請する」などといったことを登録すると、案外はかどるかもしれません。
論文や本を書いている時、今すぐに、あるいは追い追い、入手しなければならない論文や書籍の存在に気づくことがあります。それを忘れないために、「入手すべき文献」という名前の「場所」を作り、そこに論文や書籍をアイテムとして登録しておく、という使い方が可能です。
アイテムを登録する時に、簡単なキーワード検索でCiNiiやCiNiiBooksから詳細な情報を取ってこられる機能が、ここで威力を発揮します。しかも、入手したら、新しいバー(QR)コードを貼りつけて関連づけ(書籍なら、すでにバーコードがあるので関連づけさえ不要です)、それを収納場所に移動させれば、最小限の手間で現物の管理に移行できます(すでに詳細な書誌データは登録済みなので)。
私は他人に本を貸したことを記憶していられないので、しばしば貸したきり紛失します(誰に貸したかも、返してもらったかも、そもそも誰かに貸したのかも思い出せません)。
そこで、「○○君に貸した」という名前の「場所」を作って、そこに貸した時にアイテムを登録し、返してもらった時に元の置き場所に登録し直せば、こうした紛失事故が減らせそうです。
というより、「自分の蔵書・論文の管理を、図書館のようなシステムで管理したい」と考え、それを個人レベルで実現できそうな既存のシステムが存在しないので、自分でこのアプリを作ろうと思ったのだ、ということを、書きながら思い出しました。
このアプリの作者は、歴史学者の大学教員です。「副業」といえるほどアプリの製作・メンテナンスに時間を割けませんし、アプリやプログラミングに関する知識も技能も、素人の趣味の域を出ません。機能の吟味やテストは十分に行ったつもりですが、本職のアプリ開発者やプログラマーに求められるようなご要望やご批判に、全面的にお応えする能力はありません。
このアプリはあくまで、一人の歴史学者が自分のために開発したものですので、ユーザーの皆様は、その限界・制約をご理解の上でご利用下さい。
もっとも、バグ修正だけは急いで、本気で取り組みますし(ユーザーの一人である私が困るので)、機能改善の要望にも前向きに取り組む意欲はあります(私にとって便利になるので)。
研究者や蔵書家にとって最大の悩みである、増え続ける文献(書籍・論文)の管理に要する労力を最小化するために、このアプリは開発されました。
世の中にはすでに、優れている(といわれている)文献管理アプリが少なからず存在しますが、あえて私がこのアプリを開発したのは、それら既存のアプリが人文系の研究者にとって使い物にならないから、具体的には、紙媒体の管理を軽視しすぎてきたからです。
この情報化時代に、なぜ紙媒体の管理アプリが必要なのか。いい換えれば、このアプリによって何がそんなに便利になるのか。その理由と効果を、以下に列挙します。