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エミー賞から映像制作を学ぼう

エミー賞から映像制作を学ぼう

”伝えるため”のストーリーの組み立て方


 今日において Youtubeに代表される動画共有サイトやFacebookなどのソーシャルメディアの登場によって 映像作品が世の中に与える影響というのは以前に比べて非常に大きなものとなりました。例えば近年 マーケティングの世界においては欧米 特に米国のベンチャー企業などが”広告ビデオ”を利用してバイラル的に認知度を広めていくと言った”バイラルマーケティング”を積極的に取り入れている といった傾向が多く見られます。

 ではこのようなお話を聞かれた皆さんは次に「じゃあ、どうすれば視聴者に伝わる”良い動画”が作れるの?」と思われるのではないでしょうか。

 Storyfirstではそんな疑問に答えるべく 今回は米国ポートランドのStillmotionで活躍中で これまで米国エミー賞を5回受賞した経験を持つ映像クリエイター Patrick Moreau の事例を基に 「伝えるためのストーリーの組み立て方」を紹介していきたいと思います。

米国エミー賞を5度受賞した映像ディレクター


 Patrick Moreauはアメリカ オレゴン州のポートランドを拠点に活動しているフィルムメーカー兼ストーリーテラーで 2012年のCBS and Showtime sportsで放映された“A Game of Honor” が3部門のスポーツ・エミー賞(Sports Documentary, New Approach to Sports Programming, Sports Promotional Announcement)を受賞したのを皮切りに”In The Final Stitch”など5回以上にわたってエミー賞受賞・ノミネート作品を生み出してきたヒットメーカーです。


エミー賞受賞作品“A Game of Honor”



 現在、Patrickは自身の作品制作だけでなく後進の育成のためStillmotionやMuse Storytellingといったコンテンツを通して自らのノウハウを伝授しており 我々StoryfirstもこのPatrickの思いに共感し Stillmotionのご好意と承諾もあり日本代表コンテンツパートナーとしてこちらの記事を紹介することにしました。

伝えるためのストーリーの組み立て方(基礎編 その1)
~ ストーリーの重要性 ~

2017.01.13

よく、良い動画を作るにはどうすればいいか?と考えた時、「まずは良い機材を使って撮影を揃えよう」と考える方は多いのではないかと思います。事実、Patrick自身もかつては「ベストな動画を撮るためには”ベストな機材”が必要だ」と考えるクリエイターの一人でした。

しかしながら、実際はそんな簡単な話ではありません。事実、高額な撮影機材を用いて撮影したビデオよりも家庭用のホームカメラによって撮影されたビデオが視聴者の心を捉えるといった事例も多々あります。それどころか、良い機材を使うことがかえって作品の出来を悪くすることさえあります。

では、良い動画を作るに当たって
”最も重要なこと”とは一体何なのでしょうか?

Patrickはこれまで犯してきた数多くの失敗やCrossing the 180の創設者であるRon Dawsonとの対談から、良い動画を作るに当たってストーリーというのがいかに重要であるということ、特に、非常に良くできたストーリーには、動画と視聴者を繋げ、見るものの心を動かし、また見たいと思わせような作品を生み出す力があるということに気がつきます。

Ron Dawson: Co-founder of Crossing 180


またストーリーの重要さに気がついた結果、さらに機材というものが必ずしもそれに必要なもの、むしろ機材の良さに気を取られていた結果、クリエイターである自分たち自身がストーリーや作品の特色をしっかりと理解しきれていなかったことにも気づかされたのでした。そして最終的に、彼らは非常に理解のあるストーリーを作るためには、まず何よりもクリエイター自身が作品のストーリーを深く、正確に理解する必要があるという結論に至ります。その後、彼らはストーリーを深く、正確に理解するため長い時間をかけ、試行錯誤を繰り返しました。

その結果、ストーリーを深く、正確に理解するためには、ストーリーの構想を一つ一つ丁寧に吟味し、その中で最も訴えたいこと(=”CORE QUESTION”)を明確にすることであることに気がついたのです。

では次回はこの”CORE QUESTION”がストーリーを作るにあたっていかに有効なものであるかを具体例を交えてお話したいと思います。

 では次回もお楽しみに。

伝えるためのストーリーの組み立て方(基礎編 その2)
~ CORE QUESTIONの重要性 ~

2017.01.16
今回はストーリーを組み立てるにあたってCORE QUESTIONがいかにクリティカルなものになるかを説明するにあたって、2015年に公開となったコメディ映画、Pitch Perfect 2に登場するBellasの結末を例をあげたいと思います。

Pitch Perfect 2のあらすじ

女性だけのアカペラチームとして全米大会初優勝を飾り、以来3連覇中の「バーデン・ベラーズ」は向かうところ敵なし。ところが、オバマ大統領の誕生日を祝う祭典で大失態を犯してしまい、活動禁止の処分に…。やっと与えられた一度きりの名誉挽回のチャンスは、アカペラ世界大会で優勝すること!? しかし優勝することに対するプレッシャーや、卒業後の進路の不安などから、いつしかみんなの心はバラバラに。そんなときに、ドイツから史上最強のライバル“ダス・サウンド・マシーン”が現れて、ベラーズはますます窮地に追い込まれてしまう…。はたして彼女たちは、プレッシャーに打ち勝ち、友情を取り戻し、世界のステージに立てるのだろうか!?
この記事をお読みになっているみなさんもご覧になった方も多いかと思われます。そしてこの物語の結末はあえてあやふやな形に締められています。

 さて、物語の最後で彼女らは復縁できたのでしょうか?それとも彼女らの仲はそのまま終わりを迎えてしまったのでしょうか?

そうです、視聴者はその続きを知りたがっているのです!

このように、視る者の関心を惹きつけるような強い疑問、すなわち”CORE QUESTION”を持つ作品は視聴者をよりストーリーに引き込み、また、より素晴らしいエンディング、より大きなインパクトを与えることができます。逆にこの疑問が弱い場合はかえって視聴者をストーリーに引き込む力がなくなってしまうのです。

 このCORE QUESTIONの考え方は、動画に限らず、ストーリーがベースとなるすべてのメディア(会社の宣伝用のビデオから式でのスピーチまで)に応用することができるとPatrickは述べています。

 ではしっかりとしたCORE QUESTIONを明確にするにはどのような工夫が必要でしょうか?次回はその基本となる”ストーリープロット”の話を交えながらご説明していきたいと思います。

 
 ではでは。

伝えるためのストーリーの組み立て方(基礎編 その3)
~ 三段構成を活用しよう ~

2017.01.20


 今回は前回の流れに沿って、明確なCORE QUESTIONを作るためのストーリープロットの方法についてお話していきます。

ここで映像学校に通ったことのある方や、何かしらのストーリー構成に携わったことのある方なら三段構成(three-act structure)という言葉を聞いたことがあるかと思われます。

一般的にこの三段構成では下の図のようにストーリーの背景を序盤、中盤、終盤のそれぞれ3つのパートに分割して組み立てプロットしていく、というような手法が用いられています

三段構成(three-act structure)

この手法はストーリーの構成方法の基本のキとされています。そして、この三段構成によるプロットこそが、CORE QUESTIONを作り上げる重要な基礎ともなってくるのです。

基礎編 その1でも述べた通り、CORE QUESTIONとは、ストーリーの構想を一つ一つ丁寧に吟味し、その中で最も訴えたいことを明確したものでした。

 したがって、しっかりとしたストーリープロットを行い、その流れを十分に把握することは視聴者に対する疑問を投げかけるような、CORE QUESTIONを作り上げる重要な基礎となり、三段構成はそれを実現する近道であるとPatrickは述べています。
 では次回からは「実践編」と題しまして、これらの基礎を元に「どのようにすれば”明確なCORE QUESTION”を作れるか?」についてご説明していきたいと思います。

それではみなさんお楽しみに。

伝えるためのストーリーの組み立て方
(実践編 その1)
〜 Let’s get to building your Core Question 〜

2017.01.24
今回からは、3回にわたって伝えるためのストーリーの組み立て方(実践編)と題しまして、強いCORE QUESTIONの組み立て方について実例を交えてご説明していきます。
POINT
1

CONFLICT(対比、対立)な構図からQuestionを組み始める

動画制作に限らず、何かしらのストーリー構成に関わったことのある方はCONFLICTな構図をストーリーに組みこんだことや、そのようなのストーリーを聞いたことがあるかもしれません
(ex:主人公と敵、善と悪、人物の葛藤などなど)

このようなCONFLICTな構図はストーリーを組み立てる上で非常に重要になっていきます。

POINT
2

CORE QUESTIONを三つに分ける

次に得られたCORE QUESTIONをより理解するため、次のような3つのパートに分けて考えていきます。

① ASK:問いかけ

まず序盤では、初めに決めたCONFLICTな構図を元にQUESTIONに対する問いかけを示します(ex: なぜ挑戦するのか、なぜ戦うのかなど)

② ACCEPTANCE:受け入れ

次にここではASKに対しキャラクターがどう受け入れるのかを示してます。(ex: ASKに対して何をするのか、そのアクションなど)

③ ANSWER:答え

最後にそれまでの構図に対する作り手の答えを提示してやります。

ここで、わかりやすくするため、簡単なストーリーの例を示しましょう。

ある日、ジョイスが街を散歩していると何者かが彼女に走って近づき彼女のiPhoneを盗んでしまいました。そこでジョイスは奪われたiPhoneを取り返すため持ち前の忍術を生かし、素早くひったくり犯を追いかけました。(※海外では、忍術を空手や柔道のような一種の格闘技として扱っています) 

 ここで大事なことは果たして彼女はiPhoneを取り戻せるのか?といった疑問を視聴者に抱かせることです。そしてそれを踏まえた上でストーリーの本筋から離れないように話しを進めることが大事です。 ひったくり犯を追い詰めたジョイスは、背中から忍者が刀を抜くようにモノポッド(一本足のカメラ用)構えiPhoneを返すよう命令しました。そしてジョイスは無事iPhoneを取り返し、ひったくり犯はそそくさと逃げて行きました。 ここまでの流れを先ほどのCONFLICTな構図とASK、ACCEPTANCE、ANSWERの話に当てはめてやると以下の通りになります。 

CONFLICT → ひったくり犯 .vs ジョイス
ASK → iPhoneをひったくられた(ジョイスはiPhoneを取り戻せるか?)  
ACCEPTANCE → 持ち前の忍者スキルを生かしてひったくり犯を追いかけた  
ANSWER → 犯人を追い詰め、iPhoneを取り返した

このように、CONFLICTを明確にし、ASK、ACCEPTANCE、ANSWERに沿って構成を練ることでストーリーを破綻なくまとめることが可能になります。 
 これらを踏まえた上で次回はストーリーの方向性の決め方と、物語の割合を決めるための”25対50対25の法則”についてお話ししたいと思います。

 ではでは。

伝えるためのストーリーの組み立て方
(実践編 その2)
〜 Let’s get to building your Core Question 〜

 2017.01.29
POINT
3

CONFLICTによってきまるストーリーの方向性

前回の例では、”ジョイス vs ひったくり犯”の構図を元に「iPhoneをひったくられたジョイスは自身の忍術を生かして自らのiPhoneを取り戻した」といったストーリーが展開されました。

  ではここでもし、全く違う構図を用いた場合、例えば、ジョイスが忍術を使うのではなく、犯行の瞬間をカメラに捉え、それを警察に通報し、iPhoneを取り戻したとしたらストーリーはどのように展開していくでしょうか? 

その場合、ストーリーの流れは以下のようになります
CONFLICT → ひったくり犯 .vs ジョイス & 警察
ASK → iPhoneをひったくられた(ジョイスはiPhoneを取り戻せるのか?)  
ACCEPTANCE → 犯行の瞬間をカメラに捉え、警察に通報した  
ANSWER → 警察によって犯人が逮捕され、iPhoneをが戻ってきた

このように、ストーリーの方向性はCONFLICTによって大きく変わり、同じシチュエーションでも構図を組み替えることで全く異なるストーリー展開を導くことも可能になります。
POINT
4

25対50対25の黄金比

ここまでの話しではストーリーを序盤、中盤、終盤のそれぞれ3つのパートに分割し、構成していくことの必要性について述べてきました。

では実際に動画を作成するとき、それぞれをどのような割合で分けていけばよいのでしょうか?

この割合に対してPatrickはストーリーの長さは関係なしにそれぞれを任意の比率で分けるのではなく、以下のような比率になるように分けていくことが望ましいと述べています。また、それと同時にACEPTANCEに関わる部分は序盤から中盤に、ANSWERに関わる部分は中盤から終盤に移行する過程で示すのがことが望ましいとも述べています。

(序盤):(中盤):(終盤)= 25:50:25

ではなぜこのような比率が望ましいのか、先ほどのジョイスのストーリーを例に想像してみましょう。

 例えば、一番長く割合を割くべき中盤の話が短い場合、ストーリーはどうなるでしょうか?そうなった場合、ジョイスがiPhoneをひったくられて犯人を追いつめ、iPhoneを取り戻すまで事態がとんとん拍子に進んでいくことになります。そのような場合、話の変遷が短すぎるため視聴者が事態についていけず、最後まで見てもストーリーを理解することが難しくなるのです。 

今度は、序盤の話が長すぎる場合はどうなるでしょうか?例えばジョイスがiPhoneをひったくられた後、取り返しに向かうまで何時間も「どうしよう!どうしよう!」と慌てふためいたとします。そうなると今度はQUESTIONを投げかけるどころか、視聴者に退屈な思いをし、見向きもしなくなってしまうかもしれません。

つまり、上記二つのように構成バランスの取れていないストーリーは視聴者に訴える力が弱くなり、結果として話のオチ、すなわち、ANSWERの部分のインパクトが非常に薄れてしまうのです。

そのため、 ストーリーを構成していくにあたって、25対50対25の黄金比は抑えるべき基本となるのです。 今回はここまで。次回は伝えるためのストーリーの組み立て方(最終回)となります。次回もお楽しみに。

伝えるためのストーリーの組み立て方
(実践編 その3)
〜 Let’s get to building your Core Question 〜

2017.02.02
 長きにわたってお送りしてきた、伝えるためのストーリーの組み立て方も今回で最終回となります。それでは最後までお付き合い、よろしくお願いします。
POINT
5

適切なCONFLICTの選び方(6つのCONFLICTS)

これまでの話の流れで、適切なCONFLICTを選択することができれば十分明快なストーリーが構築できることがわかってきました。

では肝心のCONFLICTはどのように設定するべきなのでしょうか?

 そのためにはキャラクターを非常によく理解し、事実を元に適切な設定なものを選ぶ必要があります。 これに対しては以下に示した”6つのCONFLICTS”にうまく当てはめていくと効果的です。
① 人 .vs 人(Man .vs Man)    
② 人 .vs 自分自身(Man .vs Self)    
③ 人 .vs 社会(Man .vs Society)    
④ 人 .vs 機会(Man .vs Machine)    
⑤ 人 .vs 自然(Man .vs Nature)    
⑥ 人 .vs 超自然(Man .vs Spiritual)
ではここでこの手法をうまく用いた作品の例として、この手法をよりよく理解していただくため、ここでは身体機能の90%以上にまひを持つパイロット Dave Jackaによるオーストラリア単独周回飛行への挑戦の様子を記録した作品、”The Quadriplegic who reached for the sky”を例に説明していきたいと思います。

The Quadriplegic who reached for the sky

さてこの作品におけるCONFLICTとは一体何なのでしょうか?これを上記の例に当てはめてみると①~⑤の場合が以下の通りに当てはまることになります。

① 人 .vs 人 → パイロットはDaveに操縦を無理なく教えることができるのか?
② 人 .vs 自分自身 → 自身のハンディキャップに打ち勝つことができるのか? 
③ 人 .vs 社会 → 自身の肉体に限界がないことを世に示すことができるのか?
④ 人 .vs 機械 → 彼が問題なく操縦できる機体を作り上げることができるのか?
⑤ 人 .vs 自然 → 風に邪魔されずに、周回飛行を達成できるのか?

このように作品のテーマに対してどのようなCONFLICTがストーリーの構成に適切かは、単純に6つのCONFLICTSを当てはめていくことによってを判断することができます。Patrickらは作品のストーリーを構成するにあたって、まずは最低でも3つ以上の例を当てはめた上で適切なCONFLICTを選択し制作に取り掛かるよう心がけているそうです。

もちろん必ずしもこの手法を利用して作成したすべての作品が万人受けしたというわけではありません。しかし、PatrickらはこのCORE QUESTIONを自分たちの作品に取り入れることで自信を持ってクライエントに素晴らしい作品を届けられるようになり、どんな時も自信を持って自分たちの作品を公開できるようなセオリーを身につけることができたと話しています。

さて、全7回にわたってお送りした”伝えるためのストーリーの組み立て方”、いかがだったでしょうか? 我々Storyfirstとしましても、この記事を読んでいただいた皆様の中から”A Game of Honor”のような人の心を揺さぶる作品が生まれてこれば幸いかと思います。
質問は随時引き受けております。ぜひお気軽にご連絡ください。 以上、この度はご拝読頂き誠にありがとうございました。

元記事: Patrick Moreau - A Step-by-Step Guide To Build Your Story’s Plot

"NO"のチカラ

2017.02.10

GEORGE MIHALY

エミー賞5回受賞した、Stillmotionから独立。Story Firm創業者でポートランドを中心にコマーシャルを手がけるワールドクラスのディレクター。Reel Creative Films 谷川智彦と親交が深く、ポーラテック社のコマーシャルを共に手掛けた。

元記事

"NO"のチカラ  George Mihaly著

私たち皆が経験したことがある事...

クライアントがこう言う、

「いい考えを思いついたわ。私がブーケトスをする瞬間を映してほしいの。すばらしいものになると思うわ!」

「私たちがケーキカットをしているシーンとクリームを鼻につけ合っているシーンもちゃんと映してね。」

自分の心は「イエス」と言いたい、なぜならとても素敵な二人だから。でも、自分の語り手の心のほうはこう言いたい、「そんなに慌てないで。私が撮影者で、貴方はお客様だ。私はムービーを通じてストーリーを伝えるベストな方法を誰よりもよく知っているんだ。」

実にキツい言葉だ!

真面目に、こんな事言っちゃいけない。でも、肝心なのは、これが自分が言わんばかりとしていることだっていう気持ちの部分。

それで、クライアントと良い関係を保ちつつ、要点や目的を外さず、ムービーをすごく良いものにできるよう物事を進めていくには、実際どう言えばいいんだろうか?

どうやったら「NO」と言えるチカラを身につけて利用する事ができるのだろうか?

否定するということは容易くない、でも少しでも「上手にNOが言える人」になるコツがいくつかある。

*      クライアントに見せる必要があるものとそうでないものとをはっきりと知っておく

*      常に理由を持っておく(「なぜ」の部分を知っておく)

*      その「なぜ」に自信を持つ
後半でこれらのコツを実際の行動にどう取り入れるかということに触れるが、まず、ちょっと気になってるのが...そもそもなぜお互いに「NO」というのがそこまで難しいのかってこと。

 「NO」が言い難いワケ

「NO」が言い難いワケ。

名案だと思っていることを言っている相手に「NO」と言うのが難しいワケはたくさんある。

まず、彼らが費用を払っているということ、そして彼らが求めているものを自分が提供したいと思っていること — 彼らはお客様であり、常識的に考えて、礼儀と思いやりを持って接するべきだという観念があるからだ。

日常生活でも、「NO」というのはあまり好ましいことではない — あまりいい気持ちがしないし、変な感じだし、そしてとても意地悪に聞こえる。NOは悪で YESは善 — 一般社会の常識ってもんだ!たとえNOと言ったとしても YESと言わせるように説得するのも結構簡単だ。

柔軟に対応したい、そして寛大で気楽な人たちで、感じのいい人たちだというふうにとらえてもらいたい。クライアントとの関係は非常に大事で、そのうちの特に気の合う、良いクライアントとは長い付き合いをしたいから、必然的に、常に喜ばせなきゃとか思ってしまう。

それから、何よりも — プロジェクトの成功は最終的な結果に対してクライアントがどう思うかによるのだ。

そこに私たちの絶好の機会がある — そして映画制作者としての責任もある。

自分の映すムービーが語るストーリーは、クライアントがシェアしてほしいと思っているストーリーと合致しなければならない。

クライアントには最終的な結果に満足してほしい、でもその結果にたどり着くまでの過程にも、クライアントが満足していることを確信したい...

 

「NO」の 大切さ

なぜ私たちがここまで「NO」と言うことに固執しているのか — クライアントが尋ねていることに対してNOと言うことがそんなに打撃を与えるものなのだろうか?

ここに幾つか、NOが大事な理由を挙げてみる

 

POINT
1

計画は忠実に守る

映画のプロダクションに近づいている時、私たちが映すものは自分たちがシェアしたいと思うストーリーに沿っているかどうかをいつも確認したいと思っている。 — 最も切実な方法で伝えられ、最大限にクライアント を描写してくれると自分たちが感じるストーリーであるか。プリプロダクションの段階で私たちはそれに該当するストーリーを見つける。私たちはそれを深く深く掘り下げ、可能な限りのすべての角度から調査し、考えられるすべての予期せぬ出来事を考え、私たちがシェアしたいと思っているストーリー内で適切だと思われる登場人物を調べたりする。

それがウェディングムービーであろうが、広告関連であろうが、ただの遊びで撮っているものかは別として、私たちは自分たちがちゃんとそのムービーの中で何が言いたいのか 、それと同等にどのようにそれを伝えるかを既知しているかを確認する。

POINT

ストーリーに適した素材、マテリアルのみ

計画を忠実に守ることで、ストーリーに適切でないようなものに対するリクエストには応えない。他のシーンとマッチしないダイアローグやナレーションが1シーンでも入ると、観ている人のせっかくの良い体験も台無しになってしまうし、その部分だけ何かおかしく感じるのだ。

POINT

自分はアーティストだと自信を持つ

正しく回していけば、NOと言うこともしばしば自分の思った通りに事が転がったりする。こんな格言もある:「NOと言わなければYESの意味がなくなる。」事実だ。ひたすらYESを言い続けていれば、そのうち誰もがYESを聞く前にYESを感じるくらいになるだろう。NOと言うのは難しいし、恐れ多いことだが、しばしばNOと言うことで自分がプロであることを証明できる。

すばらしいことだが、変な、あるいは妙な状況に陥ったり、あるいはクライアントを逃してしまったりせずにNOという方法などあるのだろうか?

いかがでしたか? 次回は実際、どのようにNOと言うか?
NOの言い方についてです。お楽しみに!

NOの言い方

2017.02.14

NOの言い方

さて、今回は話を最初の花嫁が尋ねていたケーキカットのシーンの例に戻るとしよう。

私たちのナレーションやどう撮影するかを100%分かっていない人がストーリーにあれこれ付け足すよう言ってきたりするが、私たちはそれらの提案を安易に受け入れたりはしない。

かわりに、その提案されたシーンがどうムービーに当てはまるかを批判的に考える。

もしそのシーンが私たちの考えているリストに当てはまらないとしたら、私たちのキーワードには当てはまるだろうか?私たちのストーリーに追加できるだろうか?そのシーンを撮影する時間があるだろうか?

例えばこれらの質問に対し、答えがYESなら、提案に対する回答はこんな感じだろう:「わぁ!いい提案をありがとうございます。ムービーに良く合うだろうと思います。実現できるよう精一杯を尽くします。」

もし、それらの質問に対しNOが一つでもあったら、その提案がなぜ今回の案件にはふさわしくないかを説明する。

ここに、クライアントとのストーリーに関する話し合いやストーリーボードを見せるなどの打ち合わせ時に私たちが常に心にしている3つのことを挙げる(NOを言わないといけない場合)
POINT
1

ストーリーを良く知っておく

これは私たちがいつも伝えているアドバイスだ、なぜかというと、これによってムービー全体が総合的に良くなるからだ。でも、ムービーに加えられるかもしれないことに対してYESかNOかを言わなければいけないという場合…、勉強が必要だ!自分が何をムービーの中に加えてほしいか(それと、何を加えてほしくないか)をよく知っておき、その準備をしておく。
POINT

なぜの部分を知っておく

なぜNOと言っているのか?ほんとに、なんで?有効な理由があるからだけれども、それをクライアントとシェアする必要があるのだ。誰かにNOと言っているとき、正直さと理由は深い関係にある。NOと言うことでクライアントが自分の考えていることを理解してくれるきっかけにもなる。

そのNOは、クライアントの提案したことを再度提起するが、自分の計画している方法でやった方がそのストーリーがより良くなる事を説明するのだ。

誰かにNOを伝えるときによく使われるフレーズは以下のとおり。

「ありがとうございます。実現できそうなものであれば考えさせていただきます。」

「別の提案があります。そちらの方がこう言う理由でストーリーが良くなります。」

「その提案気に入りましたが、今回のような特殊なプロジェクトにおいては、あまり効果的ではありません。理由としては......」
POINT

自分のNOに自信を持つ

自分のありとあらゆる勇気をかき集める。理由をよく思い出す。NOと思っているのだから、「NO」をしっかりとその意味を持って言う。話している相手としっかりアイコンタクトをとり、彼らをちゃんと聞き、彼らの思いをちゃんと受け取っていることを示す。

自信を持っているという事はこういう所で大いに役立つ — 自信のあるNOでは、ユーモアなどを加えて、その場の空気を明るくするような時間を見いだせるし、また、自分の考えを譲らないという態度をクライアントが見ているから、話が進みやすい。

もちろん、自信を持つというのは言う事は簡単だが、実際行動に移すのは難しい。でも、私たちは、ちゃんと準備をしている時こそ、一番自信を持てるといつも思う。自分のアイデアを信じ、あらゆる角度からそれを研究する。十分な勉強と調査をする。クライアントが尋ねそうなことを考えておく、そうする事で、実際クライアントが尋ねたときに自信を持って対応できる。

君にはパワーがあるんだ!

NOを伝えるべくクライアントと会う前なり後なりに、この歌を歌って恥を捨てられる、だから私たちはノリノリの音楽が与えてくれるパワーは大好きだ。

加えて、NOと言おうとするときに、クールな角刈りヘアで(上のビデオに出てくる歌手のようなヘアスタイル)ステージに立っている自分を想像してみるのも、助けになるはずだ。

でも本当のところ...

多くの人は映画制作がどうなっているのかをよくわかっていない。

でも、映画制作者ならわかる。持っているスキルだから。自分の持つこの芸術に対する知識を上手く使い、スゴいものを創るだけでなく、自分の選択に込められた理由も説明する。そして、しばしば、勇気をふりしぼって、NOと言う — 気まずいかもしれないけど。

最終的に出来上がった、ほんとうにすばらしいものをクライアントに見せれば、彼らも理解してくれるし、当初尋ねていたリクエストも全部まっさらに忘れてくれるだろう — なぜなら君にはパワーがあるから!

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意地悪にならずに上手く誰かにNOと言える、貴方の得意フレーズは何?

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師であり友

2016年2月、この記事の著者 George Hihalyがプロデュースしたポーラテック社動画は、コマーシャルの枠を超えて、ショートフィルムになっています。福島県檜枝岐村で行われた撮影に、Reel Creative Films 谷川智彦も一週間帯同し、サウンドディレクション、プロダクションアシスタントを行い、2016年7月Georgeがいる米国ポートランドへ渡米。更に彼らとの親睦を作品によって深めた。

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