4年間所属していた愛媛大学硬式野球部では最高学年時に主務兼学生コーチを務めさせていただきました。
(選手として入部後、海外研修や学内外のゼミなどの活動に参加するため2年時に現役引退。退部も考えたが、監督さんや先輩方・同級生の温かいご理解もあり、副務として籍を残させていただくことに。その後1年間の半休部期間を経てチームに復帰。ワガママを許してくれたチームの皆に何としてでも恩返しを、との思いで1年間、全力で主務兼学生コーチを務めさせていただきました。)
新チーム発足直後、平成30年西日本豪雨災害が発生しました。地域に根差した大学の野球部として何かできることはないかと考え、チーム全体での被災地ボランティアに複数回参加しました。災害支援活動では微力ながら被災地の力になれただけでなく、チームワークの強化や応援されるチームづくりにも繋げることができました。
新チームとして初めて臨んだ秋季リーグでは勝点0、最下位という最悪の結果に終わり、創部2度目の入れ替え戦に出場。入れ替え戦では何とか2勝することができ、一部リーグに残ることはできたものの、チームの組織力や雰囲気、個々の人間力や野球力、どれをとっても最悪の状態でした。僕たち最上級生の覚悟の甘さ、ツメの甘さが招いた現実でした。そこから「強い愛媛大学」、「国立の雄」を取り戻すため、「全国大会出場」「全国で勝つ」という目標を達成するため、チームの変革に取り組みました。秋リーグ終了後から春リーグまでの期間、とにかくチームを良くするために必要なことにチャレンジし続けました。
まず、全体ミーティングや学年ごとのミーティングの回数を増やし、チーム内の意思疎通や方向性の確認を行いました。それらのミーティングや、練習・試合前後のミーティングでは、必ず全員が野球ノートにメモを取りながら話し合うようにし、出た反省をより次に繋げられるようにしました。
また、それまではチームを良い方向に進めていくことばかりにとらわれていましたが、チームにとってだけでなく、部員一人一人、それぞれにとっても充実感のある活動を目指していきたいと思い、様々な形式のミーティングを行ったほか、練習後には個人面談を実施。一人一人の率直な想いを教えてもらいました。幹部の想いを一方的に伝えるだけでなく、聴くことを大切にし、本音でのコミュニケーションを意識して行うことで、チームだけでなく自分自身にとって足りないものや目指すべき方向性が見えてくるようになりました。チームがうまくいっていない間、部員一人一人の感情にスポットを当てることなく、強引なリーダーシップ・舵取りを行ってしまっていたことは自分自身の大きな反省でした。
チームや個人が目指す方向性を長中短期別に的確に示すために、幹部ミーティングを月ごとに定例化。ミーティングの内容や、考えたビジョンは議事録データとして全体に共有。うまくいかなかった秋リーグの一番の反省点、意思疎通の乱れや方向性のブレは絶対に繰り返さないよう、注力しました。
他にもできること、可能性があることにはとにかく全て、最善を尽くせるように努めました。
環境整備としては、地域の商店さんから廃タイヤをいただいたり、大学の先生から丸太をいただいて、限られたチーム予算の中で、体を鍛えるための環境を用意しました。また、グランドの管理人さんや学生生活支援課の方々、地域のスポーツ用品店の方々にも協力していただき、防球ネット修理・ベース基礎埋め換え・グランド整備も行なっていただきました。
選手の自己管理にも積極的に取り組みました。毎日練習前には体重を、月に一度は大学の健康センターで体組成(筋肉量・除脂肪体重・脂肪量等々…)を測定し集計、伸び率をランキング化し、体の変化を敏感に感じとるようにしました。
自分達だけの力では全国に行けないことを自覚し、外部の指導者の方々のお力もお借りしました。
強い体づくりを目指し、地元のスポーツジムの協力を得てウエイト・体幹トレーニング講習会を開催していただき、トレーニング方法をチーム全員で学びました。
社会人野球で活躍されているプロトレーナーの方にもお力をお借りして、12月上旬には体力・筋力向上に向けたトレーニング講習会を、1月下旬には野球動作に繋がる爆発力・瞬発力向上トレーニング講習会を、リーグ開幕1ケ月前には力を発揮するメンタルトレーニング講習会を開催し、全国大会出場へ向けた心技体それぞれのトレーニングを教えていただきました。
大学祭では松山市長が野球部の出店に来てくださり、豪雨災害ボランティアへのお礼のお言葉と、春リーグへ向けた激励のお言葉をいただきました。
高校・大学・社会人とご活躍され、解説や野球指導でもご活躍されている地域の方にもチーム変革に協力していただき、ミーティングや練習に参加していただき、勝つ方法を教えていただきました。
OBの方々からもたくさんの協力をいただきました。数年前まで愛媛大学の現役選手として活躍され、四国を代表されていたOBの方々にも練習に来ていただき、技術指導や春リーグで優勝するためのアドバイスをいただきました。
野球以外の姿勢や人間性の強化にも取り組みました。常に挨拶、アンサー、整理整頓を徹底するようチーム全体で統一意識を持ち、活動しました。
リーダーシップやコミュニケーションを専門とする大学の先生にも協力をお願いし、相手に伝わる話し方講座を開いていただき、プレゼンやミーティングの発言時により相手に伝わる話し方を教えていただきました。
地域の就活支援企業にも協力もいただきました。マナー講座を開催していただき、社会で通用する礼儀作法やマナーを学びました。
また、チーム全員が1人1冊以上本を読み、それをまとめたスライドを作成し、練習終わりに全体の前で発表する「本の紹介」という取り組みも行いました。本の知識をチーム全体で共有するだけでなく、人前で話す力、相手に伝える力も磨くことのできる活動となっており、活動を通して人数分の本の知識をチーム全員で得ることができました。
他にもたくさんの地域の方々、OBの方々、関係者の方々からご支援をいただき、少しずつ組織の成長・変革を行うことができました。
満身創痍で臨んだ春リーグではリーグ中盤まで勝ち点を落とすことなく1位をキープ出来ていたものの、終盤、あと一歩のところで勝利を逃し、結果的には9勝5敗 勝点4の2位となりました。チーム目標であった神宮出場は叶わず、応援していただいた皆様の期待に応えることができませんでした。
目標には届きませんでしたが、最後の最後まで優勝争いができ、最後の最後まで熱い熱い応援をしていただきました。リーグ戦期間中、「全国に行って欲しいチーム」「応援したくなるチーム」「心から野球を楽しみ、最後まで諦めない粘り強いチーム」という嬉しいお言葉をたくさんの方から何度もいただきました。全国大会には出られなかったものの、チーム一丸となって1つの目標に向かって進み、自分たちが目指してきた「人間力・組織力向上」「応援されるチームづくり」ができた、貴重な、熱い経験でした。
関連リンク
・愛媛大学硬式野球部 HP
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