しもかわの料理長である下川明さん。
料理人歴はなんと50年以上!
そして、料理人人生の中で常に関わって来たのが、「牛肉料理」です。
「料理を始めたのは20歳から。ちょうど、前回の東京オリンピックがあった年です。料理の世界に飛び込んだ理由は、住み込みで、住むところ、食事、着るもの全てがついてくるから(笑)。最初にお世話になったのは、町の洋食屋さんでした。」
洋食屋さんでは、ハンバーグやスパゲッティなど、あらゆる料理を経験。
その後、神戸が本店の「みその」の東京支店で、本格的に牛肉料理を学びます。
「みその」は、鉄板焼きステーキの元祖と言われるお店。
しかし、下川さんが最初に配属になったのは、鉄板焼きではなく、またも系列の洋食店でした。
「しばらく洋食店で働いていたところ、そこを閉店することになり。その場所で『牛カツ』をやってみないか?と声をかけてもらったんです。洋食屋の経験があったのでトンカツは何度も作っていましたが、牛カツは全くの初めて。自分で色々工夫して、美味しいものを作り上げていきました。」
当時は、まだ今ほど牛カツがメジャーではない時代。
関西では昔からあったものの、東京で牛カツを知る人はほとんどいなかったそう。
当然、お店のメニューとして牛カツを出しているところもありません。
「牛なので、レアやミディアムでやれば、柔らかく美味しく食べられるかな、と、ステーキの焼き方を参考に色々試行錯誤しました。」
牛カツは見事にヒットし、下川さんは関東の牛カツの先駆け的存在に。
その成功を認められ、今度は神戸の本社から、鉄板焼きの方でメインの料理人としてやってみないか?という辞令が。
下川さんは、そこで初めて本格的な牛ステーキの焼き方を学びます。
東京の牛カツの面倒も見ながら、神戸でステーキの修行と、行ったり来たりの多忙な日々が続きました。