2017年(平成29年)3月、小学校学習指導要領が改訂・告示されました。この学習指導要領は2020年度から教育現場にて実施されることとなります。
小学校学習指導要領の比較対照表によれば、小学校1・2学年の国語において、2019年度まで施行されていた2008年(平成20年)告示に対し、「点画の書き方や文字の形に注意しながら、筆順に従って丁寧に書くこと。」という一文が追加されています。文字の形だけでなく「点画の書き方」に注意しながら書くことが学習指導要領に明記されました。小学校学習指導要領解説によれば、この改定部分について『「点画の書き方や文字の形に注意しながら」書くことの指導について、適切に運筆する能力の向上につながるよう指導を工夫することを示している。水書用筆等を使用した運筆指導を取り入れるなど、早い段階から硬筆書写の能力を高めるための関連的な指導を工夫することが望ましい。』との解説があります。
今までは文字の形の指導が中心であった書写指導に対し、文字を書く過程にも重点を置くよう改訂があり、その子供たちの運筆能力の向上につながる用具として「水書用筆等」が挙げられた、ということになります。
これにより、これまで鉛筆を用いた硬筆の授業のみであった小学校1・2学年の書写の授業に「水書での毛筆の授業」が取り入れられることとなりました。
本年10月15日に文化庁の文化審議会が、書道を登録無形文化財として登録し、日本書道文化協会を保持団体に認定するよう答申を出しました。
そして12月2日の官報告示において、「書道」が正式に国の登録無形文化財として登録され、「日本書道文化協会」が保持団体に認定されました。今回の告示により、正式に登録・団体認定がなされました。
10月15日の答申では、「書道は、生活文化に係る歴史上の意義を有するとともに、芸術の価値が高いものである」とされ、登録の要件として、
文房四宝の使用を原則とすること、とした上で、登録無形文化財として登録すべきであることとされました。 また、日本書道文化協会については、書道界の「団体を代表する書家が主たる構成員となり、会派を超えた組織として結成されてきている。」とした上で、「これまでの各団体の活動の枠を超えて事業を行うことにより、書道の保護と発展に貢献することとしている」ことから、登録無形文化財の保持団体として適切な団体であるとされました。
今回「書道」が国の『登録無形文化財』に登録され、「日本書道文化協会」は保持団体として認定されることが発表されたことにより、国の法的担保を得られたことになり、ユネスコ無形文化遺産登録に向けて大きく前進したことになります。
全国書道用品生産連盟も「書道」のユネスコ無形文化遺産登録に協力していきます。
全国書道用品生産連盟は6月22日、広島県広島市中区のリーガロイヤルホテル広島で第72回定時総会を開きました。総会には、全国10支部の会員及び特別会員から54名の会員らが参加して開催されました。
今回の定時総会は、中四国地区(熊野支部、川尻支部、愛媛支部、鳥取支部)が当番地区として総会の開催を担当し、広島市での開催となりました。
当日、午後2時30分から始まった総会では、坪川竜大川尻支部長の開会宣言の後、業界関係物故者に対する黙祷を行った。次いで熊野支部の城本健司熊野支部長・副理事長の当番地区挨拶、生嶋正和理事長の挨拶に続いて、ご来賓として熊野町長 三村裕史氏、広島県商工労働局長 梅田泰生氏がご祝辞を述べられました。
その後優良技術者表彰が行われ、以下の人が受賞され、受賞者を代表して熊野支部の仙光みのり氏が謝辞を述べられました。
▽優良技術者表彰=仙光みのり(筆・熊野支部)、林龍之介(墨・奈良墨支部)
総会はその後、議長に愛媛支部長・副理事長の石村浩氏が選任され、令和4年度事業・決算の各報告、令和5年度事業計画・予算案などの所定議案を可決承認し、次回の総会の当番地区が東京地区(宮城支部・山梨支部・東京支部)であり、次回定時総会が東京で行われることが確認されました。
総会に引き続いて行われた講演では、安田女子大学書道学科学科長の信廣友江教授による『日本・中国・韓国の書 ― 受容の歴史から交流の時代へ』と題する講演があり、会員の皆様が熱心に視聴されました。