生保税務改訂の歴史
~解約返戻金課税の初源とその果て~
今回の改正は必然だった。税務における解約返戻金評価の登場は、昭和45年に遡る。名義変更プランの根拠である。
法人における解約返戻金を志向した改正はその17年後、「長期平準定期保険」通達発遣からである。実効税率の高い時代に、いわゆる「105ルール」の登場である。「加入年齢と保険期間の倍の合計額」という非論理的な算式で、解約返戻金を把握しようとした。この時点では第三分野商品は未だ含まれない。
法人税に「解約返戻金」という言葉が法基通9-3-7の2に登場するのは、平成14年。相続税法26条は解約返戻金評価となり、財産評価通達に格下げされたのは平成15年、国税庁は租税法律主義への畏怖感か、施行は3年後だった。
生命保険解約返戻金評価完成である。
生命保険契約とは所詮、解約返戻金だろうか? アフラック生命のがん保険については、「もう一つの日米安保条約」である。
長い「はじめに」から
遡及 改訂は過去に遡及するか?
法人に於ける生命保険契約の本質 P.5
昭和45年、所得税基本通達36‐37 P.7
平成15年「相続税法26条」から「評価通達214」へ P.18
昭和55年 法人税基本通達整備 P.28
昭和62年、平成8年長期平準定期保険通達改訂(逓増定期保険) P.54
平成13年 がん保険個別通達 P.73
平成14年 法人税基本通達9-3-7の2(払済保険への変更) P.94
平成18年 長期傷害保険「質問に対する回答」という改訂 P.101
平成31年 パブコメ「定期保険、第三分野」
第2部 新版「終身保険論」 今こそ、法人へ!
~「守りの終身」から「攻めの終身」へ〜
今回、法基通9-3-7の2が改正になり、定期保険・第三分野商品まで払い済み保険に変更時の益金算入規定が外されました。解約時期に至った逓増定期保険等の、払い済み保険に変更によって、終身保険の損金算入による相殺可能な時期迄、時期を延長する事が出来ると言う事です。終身保険もいずれ損金算入となることが予想されます。この改正、一時代を画した逓増定期保険に対する国税庁の葬送の辞かもしれません。
生保税務改訂の歴史
~解約返戻金課税の初源とその果て~