食べることは生きること。舌の記憶とともに鮮やかに蘇る、あの場面、あの時の思い。そして明日への活力!

イラストレーター・沢野ひとしさんが“食”にまつわる思い出や発見を、文章とイラストで徒然に綴ったデリシャスウェブの人気連載が、電子書籍になりました!
 沢野ひとし 食べたり、書いたり、恋したり。
電子書籍で発売!

『沢野ひとし 食べたり、書いたり、恋したり。』電子書籍で発売!

「自分で弁当を作れば、いつの間にか幸せが訪れる」「味噌煮込みうどんは好きだが、名古屋に美女は少ない」「暑い夏を乗り切れたのは中国の定番野菜料理のおかげ」……。

創刊以来40年に渡り『本の雑誌』の全イラストを描き続け、還暦を超えて中国語を学ぶなど、精力的に活動の場を広げているイラストレーター・エッセイストの沢野ひとし氏。

山、音楽、旅と、さまざまなジャンルに精通する沢野氏が、食べ物にまつわる四季折々の思い出や主張を、思うままに綴ったイラスト&エッセイ集。

忌憚のない文章と、ふんだんに盛り込まれた温かくも美しいイラストの数々が、明日への元気をくれる、そんな一冊です。

人は季節の変わり目に、案外落ち着きがなくなるものだ。

 桜の咲く頃に、京都にでかけたくなる。山々に囲まれた町は、夕方になると底冷えがしてくる。四条通から鴨川沿いを団栗(だんぐり)橋のたもとまで歩くと、おでん屋・蛸長が見えてくる。明治十五年からの老舗で、何を食べても上品で、いかにも京風の味に満足する。
「ちくわぶ」より
「母親の餃子が一番」
 そう断言する中国人の友人に出会った。ならばそれを食べてみたい。
 中国のもっとも北の黒竜江省、竜江という小さな駅に降りて、友人の故郷を二年前の夏に訪ねた。トウモロコシ畑が一面に広がり、抜けるような透明感のある青空が出迎えてくれた。
「餃子を訪ねて三千里」より
 ウクレレは手軽に演奏できる楽器である。
 (中略)
 秋の夜に「赤とんぼ」を一人演奏して、しみじみと日本の抒情にひたるのも良い。さらに仲間のギターと「アロハオエ」を合わせるのも和む。
 その後に飲むアッサムティー、アールグレイなどの紅茶がひときわ体に染み込み、ウクレレ療法で身体の疲れもいっぺんに流される。 
「秋の夜長はウクレレと紅茶」より
 ねぎはなるべく長い一本のままで焼いて、中の甘みを逃したくない。しかし近ごろは庭で焚き火もできないので、ガスコンロで焼くしかない。
 五~七センチくらいに切ったねぎが、焼き色が付くくらいになったら、鍋に入れる。食べる時にねぎの芯が飛びだして、火傷をすると危ないので、箸で裂く。
「深谷ねぎに寄り添って五十年」より

「母親の餃子が一番」
 そう断言する中国人の友人に出会った。ならばそれを食べてみたい。
 中国のもっとも北の黒竜江省、竜江という小さな駅に降りて、友人の故郷を二年前の夏に訪ねた。トウモロコシ畑が一面に広がり、抜けるような透明感のある青空が出迎えてくれた。
「餃子を訪ねて三千里」より

沢野ひとし
名古屋市生まれ。イラストレーター。児童出版社勤務を経て独立。「本の雑誌」創刊時より表紙・本文イラストを担当する。
第22回講談社出版文化賞さしえ賞受賞。著書に『山の時間』(白山書房)、『山の帰り道』『クロ日記』『北京食堂の夕暮れ』(本の雑誌社)、『人生のことはすべて山に学んだ』(海竜社)、『だんごむしのダディダンダン』(おのりえん/作・福音館書店)、『しいちゃん』(友部正人/作・フェリシモ出版)ほか多数。
趣味は山とカントリー音楽と北京と部屋の片づけ。還暦後より中国語を学び続け、もはやライフワークでもある中国での放浪を綴った最新刊『中国銀河鉄道の旅』(本の雑誌社)、そして大人も読むべき絵本『一郎くんの写真 日章旗の持ち主をさがして』(木原育子/文・福音館書店)が好評発売中。