20年間投資の現場に身を置き証券会社の代表を6年間勤めた、
金融コンサルティング・澤田聖陽氏が、経済から投資を読み解きます。

CONTENTS

NEW  資産の流動性

01  これからの日本の不動産価格はどうなるのか?

02  コロナウィルスショックはリーマンショックになるのか?


01

これからの日本の不動産価格はどうなるのか?


アメリカの大手ファンドであるブラックストーン・グループが、日本の不動産を約3,000億円バルクで纏めて購入するとのことです。
これは日本国内の不動産取引としては、過去最高額です。

このように、海外の投資家が日本の不動産を買っています。
彼らは、投資するときの指標として、不動産の利回りと資金調達できる金利の差を重視します。(ちなみにブラックストーンレベルであれば、信用力が桁違いなので、最優遇金利で資金調達できます)
東京であれば、この差は2.8%前後と言われています。

世界の主要都市では、ニューヨークが2.3%。上海が同じく2.3%、シンガポール1.8%、香港1.5%前後という感じで、シドニー(3.5%強)やロンドン(3%強)以外は、東京よりも低い状況です。
あまり変わらないじゃないかと思われる方もいるかもしれませんが、彼らのように兆円単位の投資をする場合、0.1%の差はかなりの差になってきます。

よく日本の不動産は、オリンピック後には下落するというような話(逆に言うとオリンピックまでは大丈夫という話)をする人がいますが、私の個人的な意見としては、東京や主要都市に限っては、上記のようなグローバルな視点から見るとまだ投資する旨味があり、オリンピック後についても若干の調整局面はあるかもしれませんが、価格はそれほど大きくは下がらないのではないかと考えています。

投資の指標として、収益性(利回り)と同時に、価格下落に対する耐性と売却する場合の流動性も見ておく必要があります。
今後、人口が減ってくると大都市圏と地方の流動性の差はより大きくなってきます。

流動性の低いものは価格が下落しやすいので、価格下落に対する耐性がありません。
やはり少し利回りが低くとも、大都市圏の不動産を中心に買っていくのが資産形成の為に一番良いのではないかと思います。
利回りが高いからと言って直ぐに飛びついては大けがをします。

不動産投資をする場合は、収益性、価格下落に対する耐性、売却するときの流動性を良く分析して投資を決めるべきだと考えます。

02

コロナウィルスショックは
リーマンショックになるのか?


コロナウィルスの感染が世界中に波及したことにより、世界各国の株式市場は大暴落しています。
このコラムを書いている現在、日経平均株価は19,500円近辺まで下がってきております。年初来高値24,115円なので、高値から約2割下落したことになります。

ここのところ今回のコロナウィルスショックはリーマンショックの様な事になってしまうの?というご質問をよく頂きます。勿論100%という事は無いのですが、私の考えとしてリーマンショックの様にはなりませんと申し上げています。

まずリーマンショックは金融システムを揺るがす金融危機でしたが、今回の頃のコロナウィルスショックは金融危機ではありません。またウィルスが永久に蔓延するという事もありませんので、どこかで終息に向かうはずです。終息が見えてこればパニックは終わります。

また指標的に見ても、リーマンショックには及びません。

VIX指数という指標があります。
恐怖指数と呼ばれていて、市場参加者の恐怖心が高まると指数が高くなります。
今回コロナウィルスショックで、VIX指数が62.12まで上昇しました。しかしリーマンショックの時は、89.53まで上昇しましたので、まだまだ差がある訳です。
(この原稿を書いている3/11現在47ぐらいまで落ち着いてきています。それでもまだ高いですけどね)

ちなみに参考までに過去の経済危機と比べますと、1997年アジア通貨危機時点で48.64、2001年アメリカ同時多発テロ時点で49.35、2011年のギリシャ通貨危機時点で46.88まで上昇しています。

やはりリーマンショックの時は飛びぬけていて、100年に一度の経済危機だと言われて所以がわかります。ちなみにリーマンショック後には日経平均株価もザラ場で7,000円を割りました。今回下がったといえどもまだ20,000円近くありますからね。

リーマンショックの様にはならないが、中国をはじめ各国のサプライチェーンが止まってしまった(徐々に動き出していますが)影響がこれから出てきます。

2020年前半は、上場企業で収益見通しの下方修正を出すところが結構出てくると思いますし、当面景気は厳しい局面続くでしょう。

実は、日本は消費増税をしたことで、コロナウィルスショックが起こる前の2019年10~12月期から景気が悪くなっています。(GDP成長率がマイナスになっています)
そこにコロナウィルスの件が起こったという事ですので、ここから抜け出すにはかなりの時間を要すると考えています。

インパクトのある減税策等が行われれば、話は別かもしれませんが。

 


03

資産の流動性


資産の価値を図る指標はたくさんあります。収益性、ブランド力などと並んで、流動性も大切な指標です。
一般的に流動性が高いものの方が価値も高く評価されます。

例えば上場株と未上場株で同じく1億円の利益を出している会社があったとすると、当然上場株の方のが流動性がある分、価値は高く評価されますよね。

不動産では一般的に地方の物件よりも、首都圏や大阪、名古屋などの大都市の不動産の方が、流動性があります。(不動産の場合は一般的に流動性の高いところは利回りが低く、流動性が低いところは利回りが高くなります)

株式であっても、不動産であっても投資をする時にその収益性やブランドには目が行きがちですが、流動性についてはあまり考慮しないという人が結構います。
不動産であれば、「利回りさえ高ければよい」という人です。但し、利回りが高かったとしても換金性が殆どゼロであれば、それは本当に資産と言えるのでしょうか。

またただ単に売って現金化できるという意味の流動性ではなく、当初の価値から比較的減価せずに現金化できるという流動性も大切です。流動性があると言っても、購入価格から1/10の価値になってしまうようでは本当の流動性とは言えませんよね。

今回のコロナウィルスショックのような経済危機の局面では、保有している資産に流動性があるかどうかというのはかなり重要になってきます。
流動性のある資産は、クラッシュが一旦収まれば、価値が回復するスピードも早いからです。

不動産で言えば、価値が下落しにくいのも都市部だし、価値が下落した後に回復が早いのも都市部。
特にこれからの日本は人口減少社会に突入していきます。
その様な世の中で、流動性の低い不動産を買うことはかなりリスクの高い投資になってくるでしょう。

繰り返しになりますが投資を行う時は、流動性、将来的に価値が大きく減価しないかをよく見て投資先を決めるべきです。