「空き家問題」が社会問題化していることは既に周知の事実です。
これは総務省が5年に一度行なっている「住宅・土地統計調査」で、 空き家の数が820万戸(2013年度)にものぼることがわかったことがきっかけでした。
日本の住宅数は6,063万戸(2013年度)ですから、日本は実に7軒に1軒が空き家であることがわかります。
空き家とひと口にいっても、戸建てもあればマンション、アパートもあり、さらにはそれが自宅用であったり、賃貸用であったり、種類は様々です。
ここ5年について見てみると、増加しているのは「一戸建て」です。
2008年から2013年までの5年間で増えた空き家62万8000戸のうち、一戸建てはそのほぼ8割にのぼります。
空き家所有者の70%以上が、売買・賃貸などの活用や不動産業者への相談をすることもなく、特に何もせずに放置してしまっているというデーターがあります。
多くの場合が、実家などを相続はしたものの、この先どうしようか、どのような選択肢があるのか、誰に何を相談すればよいのかなど、わからず迷ってというケースが多いようです。
たとえば都会に出て就職し、結婚、そのまま都会に住んでいるとき、田舎の両親が亡くなり、その自宅を相続したとしたら、そのタイミングで地方の実家に戻って生活することはなかなか難しいでしょう。
でも、小さい頃生まれ育った家をすぐに売却したり、取り壊す気にはなれない。
そこでしばらくそのままにして、お盆や正月に兄弟姉妹が帰省して集まったりするときのために実家をそのままにしている。
こうした田舎の家がいま増えているからこそ、賃貸用でも売却用でもない戸建ての空き家が増えていると考えられます。
空き家問題に危機感を募らせた国は、対策に乗り出すべく2015年に「空き家等対策の推進に関する特別措置法」、略して「空き家対策 (特別措置)法」を制定しました(具体的には2014年11月19日に国会で成立し、翌 15年の5月から施行)。
この法律の大きなポイントは、 倒壊の恐れのある空き家や衛生上著しく有害となる恐れのある空き家などを、各市区町村が「特定空き家」として認定し、 所有者に対して撤去や修繕の命令を行い、もし命令に従わなければ市区町村が強制的に撤去し、かかった費用を所有者に請求することができるようになったという点です。