奥井組ロケットブースター紹介

重量物運搬・特大貨物輸送
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奥井組のロケットブースターを従業員Sが紹介していきます。

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国策の一助を担うチャンス

当時、日産自動車には宇宙航空事業部があり、H-ⅡAロケットの固体ロケットブースタを開発していた(日産自動車はその後平成12年に宇宙航空事業部を石川島播磨重工業に営業譲渡。これによって同年、アイ・エイチ・アイ・エアロスペースが誕生し、平成20年にはIIHIエアロスペースに社名変更している)。

鳥人間コンテストへの人力飛行機運搬の縁がきっかけで日産自動車航空宇宙事業部から仕事の打診があったのは平成9年のこと。群馬県富岡にある工場から鹿児島県の種子島宇宙センターまで、固体ロケットブースタの運搬をお願いできないかという話であった。

種子島へのロケットブースタ運搬はハードルの高い仕事ではあるが、挑戦しがいは十分である。宇宙開発事行という国策の一助となるのは奥井組にとっても大変名誉な話だ。これは千載一遇のチャンスだと思い、奥井利幸は迷わず、「ぜひ任せてください!」と返事をしたのである。



ドイツのショイエレル社と共同開発

固体ロケットブースタを格納するコンテナは幅・高さ3.2メートル、長さ12.5メートルという巨大なサイズになるので、既存のトレーラでは対応できない。

また、種子島へはフェリーの乗降船あり、荷台がデッキに当たらぬよう上昇させなければならない。そのため専用トレーラを特注する必要があった。早速調査を始め、各メーカーの資料を検討した結果、ドイツのショイエレル社に制作を依頼することに決定した。

ドイツのショイエレル社は重量物専用トレーラのメーカーとして70年以上の歴史を持つ。早くから油圧サスペンションや自動ステアリングなどの技術を確立し、超重量級の特殊車両において高い技術を有する企業である。

平成9年、奥井親子はトレーラの設計図を手に、製作を依頼するため仲介先の商社とともにドイツのショイエレル社へと向かった。製作には数か月の期間が必要であり、大変厳しい工程であったが当社の以来を引き受けてくれた。
この間たびたびドイツの工場を訪れ、進行状況を確認。4度目の渡独の際には作業も終盤に入り、希望通りのトレーラが完成しつつあった。製作が完了したら、後は2ヶ月の船旅を経由して、奥井組に納品されるだけである。



予想外のハプニング

しかしトレーラの完成を待つばかりとなった段階で、とんでもない事件が起こった。
仲介先の商社が倒産してしまったのだ。代金は既に3回に分割して商社に全額支払い済みである。
ところがショイエレル社の説明によれば、まだ最後の代金が入金されていないとのこと。
このままではトレーラが完成しても、日本へは送れないという。

まさかの事態に奥井は耳を疑ったが、ここですべてを台無しにするわけには行かなかった。
社長である父に状況を説明し、商社の倒産によりショイエレル社に送られなかった残りの代金を再度送金してもらうようお願いするしかなかった。
結局、この一件によって船便も間に合わなくなり、フランクフルトより747ジャンボ貨物便をチャーターする羽目に。
その飛行機代ももちろん奥井組の自腹であった。
日頃から何かと衝突している父であったが、この時ばかりは何も言わずに出費を認めてくれたことがありがたかったという。

商社の倒産という予期せぬアクシデントはあったものの、平成10年4月、奥井組初となるロケットブースタの輸送を完遂することができた。こうして国が進める宇宙開発事業の一翼を担うという栄誉ある仕事を請け負い、奥井組の歴史にまた新たな1ページが加わったのである。

この間、会社の組織も順調に拡大しており、平成9年にそれまでの機械据付工事部門と運輸事業を入間市で行っていたものを運輸業務を独立させ、運輸事業部鶴ヶ島営業所を開設。

平成13年には据付工事部門が多角的に展開していく流れの中で、よりお客様に近く利便性のある場所に、機工部として伊奈営業所を開設している。

ロケットブースタ 日本列島縦断の旅
精密機械を大胆かつ繊細に運ぶ

奥井組の高い輸送技術を象徴するのが、ロケットブースタの輸送である。

平成10年以来、奥井組は宇宙航空研究開発機構(JASA)のロケット発射に使用される固体ロケットブースタを運び続けている。

では実際どんなふうに運ぶのか。
群馬県富岡のIHIエアロスペースから鹿児島県の種子島宇宙センターまでの道程を紹介していこう。


固体ロケットブースタとは?

固体ロケットブースタとは、ロケット発射時の推進力を得るために外部に取り付けられる固体燃料を使ったロケットのこと。
H-ⅡAロケットには固体ロケットブースタ(SRB-A)が2本、H-ⅡBロケットに4本装着される。
このSRB-Aは直径約2.5メートル、全長約15メートル、重量約75トンで、世界で3番目に大きい固体ロケットブースタである。
ちなみに推進剤となる火薬は種子島宇宙センターに搬入後に注入される。


3日がかりの船旅で九州へ

富岡の工場を出た輸送車は、翌日未明に東京都江東区有明の東京港フェリーターミナルに到着。
ここからフェリー船「おーしゃんのーす」に乗って北九州へと向かうのだが、船の出港は19時30分。
乗務員は指定駐車ヤードに車両を駐車して17時間あまりを休息や買い出しなどで過ごす。
特殊車両の運行は夜間の9時から翌朝の6時までに限られているために普通の運行とは昼夜が逆になった運行になっている。
19時30分に東京港を出港すると終点の新門司港に着くのは翌々日の6時20分という3日がかりの船旅だ。

道路管理者への通行許可申請

一定の大きさや重さを超える大型車両を走行させる場合、事前に車両に関する説明書や通行経路表を提出して道路管理者の許可を取ることが道路法で義務付けられている。
これらの手続きも輸送会社の業務の一部である。
ブースタ輸送に関しては特殊トレーラ車両の車検および、さまざまな厳しい条件の付された特殊車両通行許可を取得するのが大変な作業であったという。


最新鋭のドイツ製トレーラ

ロケットブースタを運ぶ台車はドイツのショイエレル社との共同開発により特別に制作された車両である。
搬送途中で上空架線や鉄道ガードが障害とならないように荷台の部分を特別に低くしてある。
また、油圧サスペンションにより走行路面の凸凹に関係なく、積荷を常に水平に保ち、各車軸に掛かる荷重も一定に保たれるので、ロケットブースタのような精密機械に影響を与えることなく輸送することができるのだ。

乗務員のチームワークヘッドと台車を合わせた全長は約22メートルも及ぶ。
一般の電車の長さが20メートルと言われており、それよりも長い車両を運転するわけだ。
単体では周囲の確認ができないので先導車と後導車の乗務員からの無線の指示が頼りである。
万が一に備えて控えのトラクタも搬送するため、乗務員は4人のチームを組んでいる。
こういった特殊重量物の輸送は乗務員の共同作業になるためチームワークも大切である。


昇降装置が活躍

鹿児島新港から種子島へは再びフェリーで搬送するのだが、一般の小型フェリーを利用するため荷台の低さが乗降時の障害になってしまう。
そこで活躍するのが台車の油圧昇降装置である。
ロケットブースタ輸送の専用台車には油圧で台車の高さを調整できる機能がついており、鹿児島新港と種子島西表港間では、この油圧装置が活躍する。







ロケット部品を安全、確実に種子島宇宙センターへ。
奥井組の技術を信頼しています。




新基幹ロケットの開発もスタート

精密機器という性質上、運搬には最新の注意が必要です。

奥井組の専用トレーラは、油圧サスペンションで振動を吸収し、台車がねじれても常にコンテナが水平に保たれるよう設計されています。

特殊車両ですので道路の通行許可も必要でしたが、関係省庁の手続きなどにも協力していただき、大変助かりました。

輸送に関しては安全面も重要で、その点においても奥井組は十分な配慮があるので信頼しています。また、天候によりロケットの打ち上げが延期されたり、船が欠航したり、突発的な変更にも柔軟に対応していただけるのでありがたいです。

今後は平成32年度の試験機打ち上げを目指し、新型基幹ロケットの開発も始まる予定ですので、奥井組にもまたぜひ力になっていただきたいと思います。