左上の写真は「りんごの棚」というコーナーです。
アクセシブルな本に対する認識を高めるためにスウェーデンでうまれた取り組みです。
この棚には、布の絵本、点字図書、拡大図書、録音図書(音声デイジー)、マルチメディアデイジーなどが置かれています。
ディスレクシアや視覚障害のある人、知的障害のある人など紙に印刷された文字を読むことが難しい人も利用することができます。
この棚が図書館の一番目立つ場所に設置されることで、読書はすべての人の喜びであるということが感じられます。
文字が読めない、本の内容が理解できない障害者に読書は必要なの?と思う人がいるかもしれません。
あるいは、障害がある子どもが自立するためにはいろいろな訓練が必要で、本を読んでいる時間がとれず、素敵な本の出会いが失われてしまっているかもしれません。
障害のある子どもも、さまざまなツールを使って読書に触れるなかで、想像力や言語力を培ったり知的好奇心が芽生えたりします。また将来、自分で情報を収集し活用する力が育ったり、余暇の充実につながったりすれば、より豊かな生活を送ることが出来るようになるでしょう。
私たちはアクセシブルな本がすでに世の中にあるのに、多くの人が知らない、多くの障害当事者も使ったことがないという事実に着目しました。
そこで実際にDAISYなど、さまざまな機器を一度に体験できる場を作るプロジェクトを立ち上げました。
名付けて、りんごプロジェクト!
ちなみにDAISYはDigital Accesible Informaition Systemの略です。
そして、障害の有無に関係なく、すべての人に、この体験会に参加してほしいと思っています。
なぜなら、みなさんが体験会に参加し、よりよい図書館のあり方を考えることこそがインクルーシブな社会を実現する一歩となるからです。
小中学校、高校・大学、特別支援学校のほか、放課後等デイサービス、親の会や図書館など、さまざまな場所で出前授業や体験会を行います。
また、このりんごプロジェクトでは、単なる疑似体験に終わらせず、日本中の図書館をよりよくするアクションにつなげること、障害の社会モデルについて皆さんと共に考える機会を持つことを通じて、誰一人取り残さない情報社会の実現をめざしています。
(1) |
読むことの”障害”を体験(視覚障害、発達障害、肢体不自由) |
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(2) |
アクセシブルな本の説明 |
(3) |
アクセシブルな本の体験 |
(4) |
いろんな教科書の体験 |
(5) |
質問コーナー |
※ |
体験の流れや時間は調整可能です。事前にご相談ください。 |
(4) |
いろんな教科書の体験 |
大きな文字の図書 |
①大活字本、拡大写本 ②拡大読書器 |
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耳で聴く図書 |
①デジタル録音図書デイジー ②音声パソコン |
触る図書 |
①点字、点字付き絵本 ②ユニバーサル絵本 ③布の絵本 |
耳と目で読む図書 |
①マルチメディアデイジー ②音声解説や字幕の入った映像資料 |
優しくわかりやすい内容の本 |
①LLブック ②ピクトグラム |
耳と目で読む図書 |
①マルチメディアデイジー ②音声解説や字幕の入った映像資料 |
・リーディングトラッカーの色違いが視覚的に難しい子に対して有効だと思った。
・LLブックがわかりやすい。・布の絵本が、印象的でファスナーを開ける練習にもなりそう。
・デイジーがタブレットに入れられたら好きな時に読めそう。
・迷路の本が難しすぎて興味が持てていないように見えた。
・思ったよりもスペースを取らずに出来たので、スペースが取りづらい放デイでも体験会は可能と思った
・これらの図書はどこで入手できるかなど。 数々のご意見やご質問も頂きました。
何より、こどもたちが“アクセシブルな図書”を体験し、体感してくれている姿を見て「知らない・・」を「知ってる・・・」に、「やらない・無理かも・・」を「やったら出来た、楽しい!!」に変わるきっかけになるお手伝いが出来たこと嬉しく思っています。
今回の“アクセシブルな図書”との出会いときっかけの種が、誰かの楽しみにつながって広がっていくことを願って、今後も活動を続けていきたいと思います。
エニィタイムの皆さん、楽しい時間を共有させて頂き、本当にありがとうございました。
2021年4月24日(土)東京渋谷の代々木公園ケヤキ並木で開催された『バディウォーク東京2021for all』にブース出展させていただきました。
このイベントはダウン症の啓発活動の一環として毎年都内で開催されているチャリティイベントです。
昨年から新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、リアルイベントの開催が制限される中、こちらのイベントもギリギリまで予断を許さない状況にありました。東京は三度目の緊急事態宣言を25日からと決定したため、感染予防を徹底しながらの開催となりました。
テーマは「今こそ共に歩こう、誰一人取り残さない世界へ」
ダウン症だけではなく、すべての人に向けたイベント。 その思いは私たち『りんごプロジェクト』も同じです。
絶好のお天気に恵まれた朝10時少し前、メンバーが会場のテントに集合、入場制限をしているため比較的のんびりとした会場で、持参した図書をテーブルに並べ始めました。 本が並んでいると、それだけちょっと寄ってみたくなるようで、予想以上にたくさんの人が気軽に立ち寄ってくださいました。
“アクセシブルな図書”との出会いは初めての方がほとんどで、どんな本なのか、どんな種類があるのか、どこで手に入るのか、など一人ひとりに説明しているとあっと間に時間がたってしまいます。
イベントで人気があったのは“LLブック”
これならうちの子どもでも読めそう、写真が多くて文章も簡単で分かりやすい、ピクトグラムが入っている本は初めて、子ども向けではなく大人向けもあるんですね、などなど好評です。
マルチメディアデイジーや大活字本、布の絵本、ユニバーサル絵本など、普段手に取ることのない図書を実際に手に取って知ってもらう経験は貴重だと改めて感じました。
今後はレイアウトや説明資料など工夫を重ねて、よりよいブース出展ができるようにしていきたいと思います。
お立ち寄りいただいたみなさん、ブースのお手伝をしていただいた方々、主催者のNPO法人サプライフさん、本当にありがとうございました。