街の片隅の小さな喫茶店。

ドアを開けると＜カランコロン＞とチャイムが鳴る。

昭和から平成初期にかけたようなどことなく懐かしい雰囲気。

店内はサイフォンの立てる音と
自家焙煎珈琲の香ばしい匂いで溢れている。

メロンソーダ、ミックスジュースに冷コー。

ランチの人気メニューはナポリタン。

飾りにちょこんと乗ったさくらんぼの種を
吐き出せずに飲み込んじゃう可愛いあの子。

そしてそんな彼女に惚れちゃう男の子（カンチ）。

『ママ！来ちゃった！いつもの、お願いね。』

気さくなママに会いに来る常連さん。

『あら、久しぶりじゃない。
　今日はどうしたの？彼と喧嘩でもした？』

17時になると照明を少し落とし、看板は喫茶からスナックへ。

ハイボールの入ったグラスを傾けながら、
ママに胸の内を打ち明ける。

『ねぇ、ママ。聞いて…』

『何か嫌なことでもあったのね…飲み過ぎちゃダメよ。』

女の子の話を聞きながらママの目尻にも光るものが。

『わかる、わかるわぁ。 それで？』

泣きながら話す女の子に そっとハンケチを差し出す チーママ。

『洗って返します！』

『そんなの、良いのよ。
　あなたにあげるわ、そのハンケチ。
　そのかわり、次にそのハンケチで涙を拭くときは、
　嬉しい涙を流した時……いい？約束よ。』

『つらかったわね。
　もう、忘れなさい…』

そっと差し出されるマティーニと、ママのその一言が
彼女に勇気を与えてくれる。 

愚痴って、惚気て、笑って、泣いて、
みんな交えて「夏が来る」を熱唱。

そんな女王たちのから騒ぎ。

こうして今夜もQAの夜は更けていく…。