私が植物園で働いていた頃、とても穏やかな表情で庭を眺めているご老人をお見かけしたことがあります。その時、漠然と「私もお庭を作りたい」と思ったのが、この仕事をはじめたきっかけです。それから様々な人とその思想に出会い、皆さまのお陰で今の自分があります。
「POLLINATOR」は、この仕事に対する私の考えを凝縮した言葉として、しっくりしたため屋号にしました。意味は「花粉送粉者」。太古の昔、マグノリアの先祖が地球上で初めて花をつけたといわれています。虫たちに花粉を託すことでお互いの命を繋ぐ道を選択したのです。私も虫や鳥などの花粉送粉者のように、植物のパートナーとなって庭と向き合いたいと考えています。そして地球の循環の一部になる庭、関わる人が豊かな気持ちになる庭が視点の軸となりました。今は意識を改め、自然が庭を育てていることを前提に庭と向き合っています。