医薬品業界では、製品の品質管理が非常に重要視されており、厳格な規制基準を満たす必要があります。特に、分析機器の精度や信頼性は、安全で有効な医薬品を提供するための鍵となります。
そんな医薬品分析機器の分野で高い技術力を誇るのがフィジオマキナ株式会社です。旧・日本バリデーションテクノロジーズから社名変更を経て、よりグローバルな視点で事業を展開しています。
本記事では、フィジオマキナ株式会社の企業概要や、医薬品分析機器の重要性、そして同社の主要製品・サービスについて詳しく解説します。
会社名
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フィジオマキナ株式会社 (旧:日本バリデーションテクノロジーズ株式会社) |
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所在地 |
■本社・越⾕テクノオフィス
〒343-0816 埼⽟県越⾕市弥⽣町1-4 越⾕弥⽣ビル 2F ■大阪テクノオフィス 〒541-0051 ⼤阪府⼤阪市中央区備後町4-1-3 御堂筋三井ビルディング4F ■東京日本橋オフィス 〒103-0023 東京都中央区日本橋本町2丁目3-11 5F ■応⽤技術研究所 〒567-0085 ⼤阪府茨⽊市彩都あさぎ7-7-20 彩都バイオイノベーションセンター2F 201 ■MPSバイオ研究所 〒251-8555 神奈川県藤沢市村岡東2-26-1 湘南ヘルスイノベーションパークB44W |
設立 |
2002年12⽉10⽇ |
代表 |
田辺 諒
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業務内容 |
・溶出試験器とその周辺機器の輸入販売・技術サポート
・創薬研究および物性評価に関する機器の輸入販売・技術サポート ・溶出試験器とその周辺機器のバリデーションおよびキャリブレーション ・標準品の輸入販売・技術サポート ・溶出試験器用アクセサリの輸入販売・技術サポート ・毒性研究や薬効薬理研究に関する機器や細胞の輸入販売・技術サポート ・技術セミナー ・取扱機器のアプリケーション開発や、それらを活用した受託試験 |
見出し
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フィジオマキナ株式会社は、「日本バリデーションテクノロジーズ株式会社」として設立されました。会長挨拶にも記載されているとおり、「医薬品の開発から品質試験に使用される溶出試験器とその関連分析機器のバリデーション、キャリブレーション及びテクニカルサポートのサービスプロバイダー」として社会貢献を果たしてきた企業です。
「バリデーション(Validation)」という名前の通り、医薬品の品質保証・分析技術を支える企業として成長。しかし、グローバル市場での競争力を高めるため、2024年に「フィジオマキナ株式会社」へと社名変更しました。
現在では、日本国内だけでなく、海外市場も視野に入れた事業展開を行っています。
2024年1月1日より、「日本バリデーションテクノロジーズ株式会社」は「フィジオマキナ株式会社」へと社名を変更しました。この社名変更は、グローバル展開の強化と事業領域の拡大を目指す戦略的な決断でした。
「フィジオマキナ(PHYSIO MCKINA)」という社名は、「生理学的な(Physiology)」と「機械(Machine)」を組み合わせた造語です。
フィジオマキナ株式会社はその歴史の中で製品の幅を広げてきましたが、その中で一貫として「いかにしてヒト生体内を模倣するか」という点に注力しており、その意味を込めた「Physiological(生理学的)」の「Physio」を取っています。また、後半の「Mckina(マキナ)」は、ラテン語で機械を意味する「Machina」を基にした言葉とのことです。
歴史のある言葉を基に、あえてスペルを変更した造語を社名にしたのは、これまでの歴史を重んじつつ、想像を超えた新しい価値観を提供していきたいという強い想いを表現するためだといいます。
医薬品分析機器は、医薬品の開発と製造において欠かせない役割を果たしています。これらの機器は、医薬品の品質、純度、効力を評価し、安全性を確保するために使用されます。
一般的に、医薬品分析機器は以下のような重要な役割を担っています。
まず、品質管理の面では、これらの機器を用いて医薬品の有効成分や不純物の量を正確に測定することで、製品の一定品質を保証しています。患者の安全を守るために、潜在的な有害物質や不純物を高感度で検出し、医薬品の安全性を厳格に確保することも重要な役割です。
さらに、新薬開発プロセスにおいては、化合物の特性や効果を詳細に分析することで研究者の取り組みをサポートし、革新的な医薬品の創出に貢献しています。
また、医薬品分析機器は、FDA(米国食品医薬品局)や PMDA(医薬品医療機器総合機構)などの規制当局が定める要件を満たすための正確なデータ収集と分析を支援することで、製薬会社の規制遵守を確実にする役割も果たしています。
フィジオマキナ株式会社の分析機器は、これらすべての側面において高い信頼性と精度、細やかなサポートを提供することで、医薬品業界全体の発展に寄与しています。
フィジオマキナの取り扱い製品は、マルチリアクターシステム(ReactALL)をはじめとし、創薬・製剤開発向け製品やバイオ関連製品、溶出試験関連製品、その他の理化学機器など多岐に渡ります。
ここではその中から数点ピックアップし、主な機能や特徴などを紹介します。
フィジオマキナ株式会社が提供するマルチリアクターシステム「ReactALL」は、自動サンプリングとオーバーヘッド攪拌(かき混ぜる機能)の両機能を備えたベンチトップ型マルチリアクターシステムです。
「ReactALL」は、新しい薬を開発する際、どのルート(方法)が最適で、かつ一番安全・効率的か選ぶための試行錯誤をスムーズに進めるため特別に設計された機械で、特殊な技術が多数採用されています。
例えば、少量の材料を使って試験できるため貴重な薬の原料を無駄にせずにすむ点や、試験中に最大18回までサンプルを採取できるので、反応の進み具合を詳しく調べられる点も大きな特徴です。
画像引用:https://www.physiomckina.co.jp/products/reactall/
Pion社の「Rainbow」は、薬の成分が水にどのくらい溶けるかを測るための装置です。この装置の特長は、試験液の中に細いセンサー(プローブ)を入れて、成分の変化をリアルタイムで測定できることです。
通常、薬の溶け方を調べるには液を取り出して測定する必要がありますが、Rainbowはサンプルを取り出さずに、最短2秒ごとにデータを記録できるので、より正確でスムーズな測定が可能になります。
また、「µFLUX」や「Macro FLUX」などといった別のPion社製品と組み合わせて使用することで、薬が体内でどのように吸収されるかを調べる「膜透過試験」にも利用できるなど、幅広い用途に対応しています。
こちらがPion社の「µFLUX」です。この装置は先ほど説明した「Rainbow」とH型の特別なチャンバー(容器)を組み合わせて使用するシステムです。
チャンバーの片方(ドナー側)で薬が溶ける様子を測定し、もう片方(アクセプター側)では薬が体に吸収される様子を測定することができます。
Optics 11 Life社の「Piuma」は、同社が取り扱う製品の中でもエントリーモデルと言える位置付けのものと言えます。
コンパクトで省スペースながら高精度な測定が可能であり、特に細かい(マイクロスケール)から大きな(マクロスケール)材料まで幅広く対応できるため、さまざまな研究に活用できます。
画像引用:https://www.physiomckina.co.jp/products/piuma/
「IVIVC Enhancer」は、フィジオマキナ株式会社(旧:日本バリデーションテクノロジーズ株式会社)と塩野義製薬株式会社が共同で開発した製品で、溶出試験器とともに使用するアクセサリーです。
医薬品の開発時や市販後の製品の品質検査や後発医薬品の申請の際など、日本薬局方で定められた重要なテストである溶出試験(薬が体の中でどのように溶けて吸収されるかを調べるための試験)で用いられるもので、従来抱えていた「試験液の中で薬の成分が沈殿してしまい、正確なデータが取りにくい」という問題を解決するために開発されました。
現在、フィジオマキナ株式会社が製造および国内・海外に販売を行っています。
画像引用:https://www.physiomckina.co.jp/products/ivivc-enhancer/
フィジオマキナ株式会社は、2020年12月1日に応用技術研究所を開設しました。
この応用技術研究所は、彩都バイオイノベーションセンター(⼤阪府茨⽊市)内に設置された施設で、現在フィジオマキナ株式会社が販売しているほぼ全ての製品や関連する分析装置を取り揃えています。
フィジオマキナ株式会社が技術サポートとして展開している分析受託サービスも、この施設で請け負う事が可能です。製薬企業出身のPhDや分析技術者、米国・英国メーカーでのトレーニングを修了した分析技術者が対応しています。
施設に取り揃えられた複数の機器を組み合わせたオーダーメイドの測定分析も可能です。
フィジオマキナ株式会社は、「みんなの笑顔がみたいから」というコンセプトを掲げ、積極的にCSR活動を行う企業です。
とくに、越谷市立病院と獨協医科大学埼玉医療センターの小児病棟への寄付活動は2009年から継続的に、七夕とクリスマスの年2回、定期的に行っています。小児病棟に入院している子ども達が笑顔で過ごし、1日でも早く元気になってそれぞれの家庭へ戻っていけることをフィジオマキナ株式会社は強く願っているのです。
市立病院では、毎年この寄付を通して医師や看護師が子ども達のためにイベントを企画しています。
その他にも地域医療の貢献活動を大切にし、新型コロナウィルスが流行していた時期は越谷市立病院と獨協医科大学への費用支援も実施。これらの地域貢献活動は、今後も継続して続けていくとのことです。
フィジオマキナ株式会社は、現在20名弱の少数精鋭で運営していますが、全国の大手製薬会社に取引相手として信頼され、継続した取引を続けている企業です。
年功序列ではなく、実績や実力を重視して評価する風潮のある会社のため、入社年度にかかわらずやる気や実力次第で大きな仕事を受け持つことができる可能性もあります。
例えば、現在(2025年4月)募集中の「性能評価エンジニア」という職種は、平日の大半が出張となる珍しいワークスタイルです。その代わり、土日祝は自宅できっちり休みを取れる(年休120日以上)のが特徴。オンとオフをしっかり切り分けたい方にオススメです。
ちなみに、性能評価エンジニアの仕事は地道かつ繊細な作業を必要とするため、普段から細かいところまで良く気付き、ちょっとした変化にも敏感になれる方に向いている職業なのだそうです。
「性能評価エンジニア」で採用された後のキャリアも3つの選択肢があり、性能評価エンジニアとしてのエキスパートとして現場で活躍し続ける道だけではなく、メンバー管理や進捗コントロールを行うマネジメント職や、別の専門職へ移るという道も用意されています。
フィジオマキナ株式会社の採用情報については、こちらの公式サイトも参考にしてください。
フィジオマキナ株式会社(旧:日本バリデーションテクノロジーズ株式会社)は、医薬品分析機器の分野で高い技術力を誇る企業です。社名変更を経て、国内外の市場でさらなる成長を遂げるべく、よりグローバルな視点で事業を展開しています。
同社の提供する分析機器は、医薬品の品質管理、安全性確保、研究開発支援、そして規制遵守のすべてにおいて重要な役割を果たしており、多くの製薬企業や研究機関にとって欠かせない存在となっています。また、応用技術研究所を通じた技術サポートや受託試験、CSR活動など、社会貢献にも積極的に取り組んでいます。
今後も、フィジオマキナ株式会社は医薬品分析機器の分野で最先端の技術を追求しながら、医薬品業界全体の発展に寄与し続けることでしょう。