鬼 頭 骨 董 店
  • ~四季奇譚~

~あらすじ~

妖しの世界へいらせられませ

 いつしか街にはガス灯が燈り、夜から完全な闇が消えゆこうとしていた。時は明治、瓦解後の急速な西洋化の波にのまれ、人々は闇に潜むモノたちの存在を忘れ、畏れ敬う心を忘れ、古来よりずっと傍にあった信仰や不思議な存在たちを迷信だと言いたて信じなくなっていた。そんな折、多摩から四谷までを流れる玉川上水の、その途中にある武蔵野台地に不思議な骨董店があるとの噂が、その筋の間でまことしやかにささやかれていた。「不思議」な現象を起こすため、売れなくて困った骨董品(フシギモノ)を専門的に扱う店で、そこの主がそのフシギモノたちの不可解な現象、「不思議」を解いてくれるというのだ。

 ―――その店の名は「鬼頭骨董店」といい、

主の名を鬼頭輪太朗という。

 今宵、夏の「百合」、秋の「菊」、冬の「椿」、そして、春の「桜」をモチーフにしたフシギモノたちが繋ぐ四季奇譚をオムニバス形式にてお届けします。

~登場人物~

鬼頭 輪太朗

- KITOH RINTAROH -
鬼の力と狐の血が混じる事により、鬼頭家にとっては久方ぶりに生まれた「力」を持つ子であったが、その「力」がある故と、成長する速度があまりにもゆっくりであることにより、その存在を隠された存在。

小川 大輔

- OGAWA DAISUKE -
輪太朗の店の近所に住む医者の息子で、本人も医者を目指すようになる。普通の人間であるが、不思議な力を持つ輪太朗のことを何故か恐れずに、良く一緒に行動する。

鵺(ヌエ)

暗闇に潜む「声」で、実体を持たない存在であったが、人に憑りつくすべを覚え、人を惑わし、その魂を喰らってしまったことから形を持つようになる。
魂食いを止めようとする輪太朗とは、因縁深い間柄。

香炉(コウロ)

鬼頭骨董店に長く存在するため魂が宿った九谷焼の香炉。皆には「香炉」と呼ばれる。おきゃんなワガママ娘だが、案外しっかりした一面も。

ナス

鬼頭骨董店に長く存在するため魂が宿ったナスの形をした木製の茶入。皆には「ナス」と呼ばれる。いつもヘラヘラ笑っているお調子者。

南部(ナンブ)

鬼頭骨董店に長く存在するため魂が宿った南部鉄で作られた薬缶。皆には「南部」と呼ばれる。おっとりとしたのんびり屋で少々天然ボケ。

【夏】百合の花が刺繍された、蚊帳の物語

洞院 小夜子

- TOHIN SAYAKO -
没落した華族の娘で両親を亡くした後は山城屋の囲い者となり寂しい日々を送っている。ある日、蚊帳を通じて時空を超え、友哉と出会い恋に落ちる。

二階堂 友哉

- NIKAIDO TOMOYA -
病気で余命いくばくもないと宣告をされ、武蔵野に療養に来た青年。ある日、蚊帳を通じて時空を超え、小夜子と出会い恋に落ちる。

二階堂 佳織

- NIKAIDO KAORI -
友哉の妹で女学校に通っている。夏休み期間中を利用して、友哉の看病の為に武蔵野の別荘までついて来る。

野中 佳苗

- NONAKA KANAE -
友哉の姉だが、結婚して家を出ているために、あまり弟の看病にばかり来られない。

ねえや

幸恵のねえやとして二階堂家に雇われ、以後、友哉と佳織を育て上げた人。友哉の療養先について来る。

ナツ

小夜子の面倒をみるために雇われた年若き女中。

【秋】菊模様の着物に縫われた、背守り犬の物語

背守り犬

子供の着物に縫い付けられた背守り犬のフシギモノ。輪太朗と共に闇を祓い、若様をお救いする。

梶原 菊枝

- KAJIWARA KIKUE -
愛人を殺したのではと疑心暗鬼になっている所に、その愛人の子を引き取ることになり、闇の声に付け入られてしまう。

【冬】椿の蒔絵が施された、懐剣の物語

藤堂 スミレ

- TOUDO SUMIRE -
夫の同僚がスミレの家の庭先で殺されているのが発見された事件の直後より記憶を失い、自分が人を殺したのではと疑心暗鬼になっている。

藤堂 誠治

- TOUDO SEIJI -
スミレの夫。同僚の死に妻は関係なく、警察の見解は事実無根であると信じて疑わない。自分で調査をする課程で、大輔や輪太朗と出会い協力を仰ぐ。

フユカ

藤堂家に仕える女中。今回の事件の真相を知るキッカケをくれる。

キヨ

スミレの母が生きていた頃より仕えるばあやで、嫁入り時に共に藤堂家に入る。

加藤 璋子

- KATOH AKIKO -
藤堂誠治の運営する会社に勤める秘書。ある日、藤堂家の庭先で死体で発見される。

【春】桜の模様が描かれた着物で仕立てた、屏風の物語

山城 桃華

- YAMASHIRO MOMOKA -
大輔の幼馴染。幼くして母を亡くすが、父に溺愛され育つ。ひょんなことからブラウン博士に引き取られ、ジョンと出会い結婚。その後イギリスへ渡る。

ブラウン博士

鬼頭骨董店のお得意様で、いつもわざわざ横浜・外国人居留地より店に訪れる変わり者。
桃華の引受人となり、その後の彼女の運命が変わるキーパーソンとなる。

ジョージ/ジョン

桃華の子供。(ジョンは父)母の死後、日本に仕事で来ることになったのを機に、母の形見をどのように扱うべきか相談するため、幼馴染であった大輔とブラウン博士を訪ねる。