_岡田_征篤 / _オカダ_マサト
アーキテクチャー / ランドスケープ / インダストリアル ヴァナキュラー / パースペクティブ

著作する者にとって最も大きい報酬とは、書き記した文章が他者によって他の言語に翻訳されることである。

なぜなら、その事象が、著者の モノの考え方・思考のプロセス
より広い閲覧者のためにも役立つ“普遍性”を示す物だと思われるからである。

この度、母国語(ジャパニーズ)を基本とした自身のホームページを開きました。
もし、私の思考が広い世界に 価値を持つ と思っていただける方がいたら、ご一報ください。

岡田征篤 / オカダマサト - environ03green.scape@gmail.com

01 _ インダストリアル ヴァナキュラー / グローカリゼーション _ 大学院・修士研究

住宅・公共ともに建築には様々な文明の変化がある中で、 私は “現代建築” と称される今の建築の世代に強い魅力を感じている。

建築には明確な時間的区分ができないが、私がこの現代建築という時代に魅了される要因は、
建築家独自の概念・思考に基づいて、巧みに変化した建築の形態が、多様化している” ということにある。

『 建築/住宅には、無名の建築家によって設計された土着性が必要であり、
  土着的住宅建築にこそ現代までの建築に、機能的豊かさ生活に可能性を与える。』 (バーナード・ルドルフスキー)

各地域の建築の土着性
は、
各地域の文化が(様々な理由・要因によって)、他の地域に技術・手法が伝承されなかった時代までの範囲であり、現代の建築/住宅は、グローバリゼーションの名の下に、その素材や形態・機能までも(その領域に際限なく)取り入れ、多様に変化している。

   土着建築の定義・条件:ある地域における“風土からの素材”であること
              その地域の気候に応じて環境を調整すること

 つまり、現代建築 / 住宅は、土着建築の本質を、現代まで保持し続ける技術・手法であるといえる。



industrial vernacular / インダストリアル ヴァナキュラーとは

直訳すると、工業化による新しい土着性の創出という意をもつ

吉村靖孝氏は著書にて、『工業的建築だからこそ得られる土着性がある』ことを定義した。

本修士研究は、
“住宅建築の本質的なあり方・構え方を 土着性 と定義した上で、
 世界各地の建築技術を用いることで、対象とした地域の文化的背景をなくした新しい土着的建築形態を
 創出することが可能となること” を目指す。

住宅建築における “土着性の最小単位 = 屋根の掛け方” と定義し、
各地方の屋根の素材とその形態、平面・立面・断面のプランと屋根の関係性を調査・分析・分類する。

気候 / 環境 / 生活 / 地域性 / 風土等が合致する同地域(ex:同緯度の地域)を対象として選択し、整合性を与えて住宅を設計する。

時間と文化の蓄積”が、宅地造成によって風土ごと消された市街化区域 / 新興住宅地を中心に適用し、
これまで培われてきた、文化的背景を完全に排除した、敷地の“本質的な土着性”を問い直した住宅を設計することが可能となる。


ケーススタディ 1 - 小豆島の住居

『地域に固有でかつ無名の建築・すなわち“土着的建築”には、
 - 数日限り / しばらく住まい / 周期的な移動 / 季節ごとの移動 / 半恒久的 / 恒久的 - の6種の住居タイプに分かれ

これらはすべて、それぞれの居住集団の社会・経済及び政治的な構造との対応を見せている。
ノーバード・ショウワーは自身の著作にて、土着的建築は農業、つまりは主要作物の耕作によって存立し、各地域の住人の生業によって、建築形態が多様に変化することを定義した。
つまり、建築の土着性は“農耕”と強く結びつき、各地域で生産される作物と建築の形態は断ち切れない関係にある。

国内のオリーブ生産の95%を占める、香川県・小豆島を対象敷地として、
同じくオリーブを主要作物として耕作する8つの地域の土着的住居体系•形態を参照し、小豆島の建売住宅には付加できなかった“新たな土着性”を与えた建築/住宅を提案する。


香川県小豆島は、素麺、醤油、佃煮、胡麻油、オリーブなどの生産が盛んであり、いずれも日本有数の生産地となっている。特にオリーブは国内栽培・発祥の地として広く知られている。

1867年、フランスから輸入した苗木を横須賀に植えたのがオリーブの樹の伝来とされ、勧農局・三田育種場、神戸の同場付属植物園で植栽された。
15年後の果実の収穫により、日本初オリーブオイルの採取が行われたが、いずれも衰退の一途を辿る。
農商務省指定のオリーブ栽培試験の委託を受け、1908年に小豆島へオリーブが持ち込まれ、ここ“小豆島町・西村”にオリーブの試験園が設置された。
1917年には、試験用オリーブが配布され、官民一体で果実が収穫。はれて小豆島は日本初の、産業用オリーブ発祥の地となる。その後、栽培は民営化され、“観光農園・オリーブ園”が開園し、オリーブ畑は一般人に開放された。

しかし一方で、オリーブ畑を取り巻く小豆島・西村地区の農家建築/住宅には、形態化した“土着性”が見られない。
小豆島南東部・内海町安田甲地区は、“醤油の町” と称され、400年続く木桶仕込みの醤油蔵の農家/建築群が軒を連るが、対象地区はそれを持たない。

これは、オリーブ農業がわずか110年ほどの歴史しか持たないことが大きく影響している。
日本では不可能と謳われた、地中海のオーガニック栽培が、小豆島という環境と農民の農耕技術によって達成した文化・地域性とは裏腹に、一般
とは異なる特殊な建築形態は渡来されなかったのである。

一般的な農家の建築形態から形骸化された“農業型住宅”群すらも次第に後退しはじめ、現在では建売住宅・商品化住宅に移行しはじめている実情にある。
瀬戸内国際芸術祭による脚光や、現代人のロハス的生活様式への関心により、人口の増加が予見され、今後も西村地区は土着性を持たない “風光明媚な新興住宅地へ” 加速していくことだろう。

 

 

この実情の刷新案として、前述したとおり
同じくオリーブを主要作物として耕作する8つの地域の住居体系・形態を取り入れ、小豆島の建売農業型住宅が付加できなかった、新たな“小豆島・オリーブ農家の土着性”を与えた専業農家を提案する。
オリーブ農耕を生業とする、地中海沿いの8つの土着的・無名建築群から生活様式 / 家族形態 / 必要諸室 / 部屋割り / 建築形態 / 構造・仕上げ素材等の観点から調査・分析を行い、各々の建築的カタの抽出を行う。

そして、抽出した要素の内、敷地または現代の日本人の生活に適応可能な要素を選出し、建築に適応する。




オリーブを主要作物とする、地中海沿岸部の農耕民族は

その湿潤な気候条件により、外部での生活が基本とされ、各個人のプライベート空間の
利用が極めて少ない。
しかし、外部環境といっても、高原地帯に対して野晒しの空間ということではなく、
住宅を構成する各諸室に取り囲まれた家族間だけが利用できる中庭という大きな空隙
が形成される。

この中庭空間では、調理と食事、農作業に伴う仕事などの活動だけでなく、客との
接待や冠婚葬祭の儀式等、周辺の人々・環境との調停を図る場としても利用される。
住宅の中枢・インフラの役割が詰まるこの半専有空間を参照し、オリーブ畑に寄り
添う住居空間を設計した。

内部を貫く大きな空隙には、LDKの機能と、各個人の作業机を設けることで、中庭を中心にした生活様式を継承した。

一方で、中庭を取り囲む部屋は、生業とされる農業に付随する貯蔵・管理の部屋、生活を支える牛や羊の飼育小屋、寝る機能だけの各個人の部屋で構成されていたことに習い、周辺環境から生活を確保する緩衝材として付加した。

地中海気候は、高度のある日射が強いため、中庭空間にはパーゴラ状の薄い外皮によって守られている。これにより、住人は、中庭を外部としてではなく大きな一室の共有空間として認識する。


02 _ ちびっこうべ 2018 _ 中村×建築設計事務所 + KDU 岡田征篤・嶋田悠大・森本真衣 etc.

子どものクリエイティブ(創造性)を育むことを目的に、2年に1度、神戸の小学3年生 - 中学3年生までを対象に開催している、ちびっこうべとは、
シェフ・建築家・デザイナー3つのチームに分かれ、各クリエイターから“ホンモノを学び”、子ども同士からサポーターの大人達と協力し、お店づくりや仕事体験、まちづくりを通じて自分のクリエイティブを育てていく、体験型のプロジェクトである。

“プロから学ぶ”をテーマに4回目迎えた2018年度は、過去3回までと違い、

会場であるKIITO(デザイン•クリエイティブ•センター•神戸)全体を一つの街・都市として扱い、公共施設や公園・道路などを設定し、各11チーム(店舗)に“敷地”が与えられた。



中央公園を正面に、奥間口1300・奥行き4200の梯形の敷地。

建蔽率/敷地後退/道路接道/斜線制限 . . . 本来、建築に掛かるはずの、様々な“法規・制限”は無い。
当然、文化・歴史・地域性すらも皆無なこの場所に、
唯一の規定として、“12平米”という敷地面積と形状の条件だけが課せられた。


こんな無法地帯に構える建築はどうあるべきなのか。
そして、“プロ”は子どもたちに何を享受できるのか。
私は、建築学生という“プロ”として、子どもたちに “建築の構え方” の多様性を享受することにした。

“敷地”という1つの条件があるだけで、動線計画/ ゾーニング/隣地境界/外構設計など...建築設計の多様なプロセスが展開できる。

そして、子供達の創造性を飛躍させるため、“敷地”から導き出される建築の構え方の解答例を、模型やスケッチ等で提示した。
このアプローチは、子供たちの創造的意欲を向上させ、“共同設計”として子供たち自身が能動的に対話することを目的とした手法である。
『子どもの創造活動に“プロの力”が付加されたことを、子ども達自身に感じさせたら“プロの負け”だと思え。』

子どもたちを交えた設計ワークショップ・最終日に、建築家/中村紀章さんから頂いたお言葉である。

“ちびっこうべ”はその名が示す通り、子ども達を主体とした場であり、子ども達が創造したものを、自分たち自身で形にするプロジェクトである。
プロは、子どもの創造活動をアシストし、子供が描くイメージの“エッセンス”を正確に抽出する力が求められる。

つまり、子ども達は“クライアント/依頼者”ではなく、プロは “クリエーター/建築家”では無いということ。

私は、子ども達が創造した“意見やイメージ”を、模型/ドローイングによって具現化し、できるだけ多様性を持たせ、並べることで“子ども達を理想形へと導く”工程を図っていた。
しかし、この一連のプロセスは、子ども達の創造性を “プロが導き出した解答”の選択に変える行為であることに、私は気付けなかった。
私が試行したこのアプローチは、子供達の思考力に制限をかける行為であり、同時に 子供達の創造力を信じていなかった行為 とも言い換えられ、中村さんは私に警笛をならした。
・隣地境界に寄り添った建築は、隣り合う別店舗との緩衝材となると同時に、敷地内に三角形の空隙を生んだ。
・内部と外部を横断する、蛇行曲線の机は 訪客動線/金銭取引/商品の受渡/食事テーブル の領域を緩やかに分断する境界線として機能する。
・アイスコロッケの商品に掛けられるチョコ・キイチゴソースを模した3色のオーガンジーが、建築の輪郭を覆う。来客者はソース暖簾を潜り食事に有り付ける。

中村さんの助言により、これらすべては子供たちとの対話によって生まれた、子供たちが理想とした店舗として存立する。
開催当日、子供たちは3つのチームとしてではなく、一人の店員として商品販売に従事し、ユメミセを盛り上げていた。
しかし、驚くべきことに設計期間の中で設定したはずの“曲線机による領域の分断”を無視し、機能のすべてを来客者の食事場として切り替えた。
ちびっこうべに訪れた2000人を超える子供の数に対する対応とはいえ、別店舗で購入した商品を食す子供すらも許容している様を見たとき、不気味に思えて仕方がなかった。


これはある種、子供たちに 店舗設計に伴う“空間を作る”という行為 をプロである我々が享受できなかったと感じてしまった。
しかしその一方で、 建築とは他人と共有するもの という思考が子供たちに備わっていた可能性を考えると、非常に感心させられるものもあった。
開催当日、子供たちは3つのチームとしてではなく、一人の店員として商品販売に従事し、ユメミセを盛り上げていた。
しかし、驚くべきことに設計期間の中で設定したはずの“曲線机による領域の分断”を無視し、機能のすべてを来客者の食事場として切り替えた。
ちびっこうべに訪れた2000人を超える子供の数に対する対応とはいえ、別店舗で購入した商品を食す子供すらも許容している様を見たとき、不気味に思えて仕方がなかった。


これはある種、子供たちに 店舗設計に伴う“空間を作る”という行為 をプロである我々が享受できなかったと感じてしまった。
しかしその一方で、 建築とは他人と共有するもの という思考が子供たちに備わっていた可能性を考えると、非常に感心させられるものもあった。

03 _ Bystander color / 傍観色 _ 違法駐輪を  傍観する サインデザイン


 西日本旅客鉄道・JR西日本の開業によって、大阪と神戸をつなぐ鉄道が開通し、はや140年を迎えた神戸・三宮は、阪神・阪急神戸本線、ポートアイランド線、市営地下鉄・海岸線までその枠を広げ、阪神・名神高速、山麓バイパス等の車両路線まで整備が進み、再整備基本構想では LRT・BRT・循環バス の走行が予定されている。
 三宮はこれからも、ますます “自動車(鉄道・航空・航海を含む)と歩行者“にとって便利で利用されやすい都市として、整備されていくことだろう...

 しかし、“大都市”はその再整備の対象として“自転車”の存在を忘れている。

 インフラの向上により、神戸三宮は不特定多数の利用者を誘引するまでに発展したが
同時に、各個人が所有する交通手段の中で、自転車利用も加速させた。他の都市部にも同様に見られる現象だが、この自転車利用の多数化に比例して、“違法駐輪・放置自転車”もその数を増やした。

 神戸市は、この問題を“歩行者の通行障害・都市景観の悪化”につながると警鐘を鳴らし、
自転車等放置禁止区域の指定にはじまり、駐輪場有人/有料化・広告・看板・サイン・交通局員による強制撤去等の措置を取った。
しかし、それらすべての施作に効果が期待できないと認知した市は、神戸市中心部の複数のサイクルポートで貸出・返却を行えるコミュニティサイクル「コベリン」を導入し、簡便かつ安価で、合法的に自転車を利用できるシステムを採用した。

さて、神戸の中心都市たる三宮が行政によって抑圧的に制限された風景に収束して良いのだろうか。

規律ある都市計画の中に、人間が生み出す無秩序な日常があるから多くの利用者が誘引され、集い、街が出来上がるのではないのだろうか。

本提案は、各利用者が所有する自転車をこれまで通り扱われ続けるために、
擬似的な有人化を現した“傍観者”の存在によって、神戸の景観を更新するデザインである。

  concept / コンセプト
男性 / 女性のシルエットを描いて多様な形態を持つこのサインはすべて、人の“ 視る ”姿勢を模っている。

具象・写実絵画の分野にて、描写された人物が向ける視線の先に誘導され、鑑賞者も同じ視点に目を向ける“視線追従”の画法があるように、
“他者からの視線”とは、不特定多数の人を巻き込み“意識”を向かせ、対象者に影響を及ぼすだけの訴求力がある。

駐車禁止であることを、利用者に促すためには、他者からの“監視・視線”が必要であると考え、
Bystander color は、当事者に対して、通行人からの“視線追従”を促す装置として立脚する。

  design / デザイン
関節や筋力の働きによって様々な行動ができる人間の動作のなかで、
“視る姿勢”だけを抽出し、それを象徴化するため、複雑な人間の形状を減算・最小限化したポリゴン状のデザインを採用した。

折半構造によって規格化された“傍観者たち”は、それぞれ多様な色彩を放ち
いつでも人の気配を感じる、賑わい溢れる三宮の景観として集う。


04 _ 角ノ無イ家 _ 京都市夷町に建つ商用住宅の継承
京都市全域の町屋住宅は、建具・家具がフォーマット化されているため、建具屋に訪れればいつでもその交換が簡便に行われていた。
現在夷町に伴う京都市内の古建具屋や家具屋はその姿を消し、海外を中心としたインテリアショップが軒を連ねている。これは、現代人のライフスタイルにとって京都の統一化された建具・家具の需要が低くなったと整理できる。

本住宅では、夷町に増加し始めているインテリア雑貨・海外メーカの家具のフォーマットを参照して設計することで、過去に成立していた、“ 建具屋の店主と地域住人の界隈 ”を現代で再起・継承する提案を行った。
対象敷地の周辺には、多様なインテリア雑貨・家具屋がその数を増やし始め、骨董市場・古建具屋は手仕舞いを始めているが、少なくとも1200年の歴史を持つ京町家という伝統建築の住まいが、現代人のライフスタイルから、格律され始めていることを極言していると捉えることができる。

人口が集中する京都市の対策として、空間を積層させ、集合化させることは極めて合理的な選択といえる一方で、これら伝統建築は素材・空間・構造など多視点で後世に残すべき重要な資産価値を内包していることは否めない。

しかし、京都市街のビル群に張り付く町家を模した、看板的・装飾建築を見ていると、市民・一般人にとっての京町家建築の価値とは瓦葺屋根・虫籠窓・木枠ガラス窓・障子戸・犬矢来等を総じた“建築的素材”に起因しているという固定観念の可能性を感じた。
当然、コストパフォーマンスの点からもこれら素材の流通は、後世に残すべき意義を内包しているが、こと現代人の生活において、これらの素材を用いる必要性は無いと考えた。
本提案は、これからの現代人が住まう住宅として、夷町町家群に見られる空間の構成要素を“カタ”として抽出し、現代の建売住宅のフォーマット化されたスケールに転換した上で、構造や屋根葺き材に伴う素材を、全て
工業製品(S造・RC造等)で再構築した、現代版町家建築のプロトタイプを提案し、夷町から京都市全域に汎用する住宅である。
現代の工業化住宅は皆、共通して、ミース・ファン・デル・ローエが提唱した“ユニヴァーサル・スペース”の設計計画が採用されている。

人間の行為は均質なグリッド内ですべて満たされるという彼の理念は、構成する各部屋を格子状に連続させることで、無限に空間を延長でき、建築を成立させる構造力学の視点からも合理的な設計が行える。

また、このシステムは日本人固有の“モノ”に執着した生活スタイルにも適合している。規格化されたキュービック内部に、建具・家具を配し、敷き詰められたモノの間を這うようなスキマ(通路)を築き、住人は自由で多様性のある生活を行ってきた。
この規格化に合わせ、各メーカーはモノに溢れる日本人の生活を支えるように、人間の小さなアクティビティに焦点を当てて様々な家具・建具がデザインされてきた。

自身の実体験としても日本人は、部屋を取り巻く住宅全体という壮大なスケール感を持たず、家具・プロダクト等の矮小なスケール感によって空間を構成し、そこに居心地を見出すと考えた。


部屋を囲む4面の壁に抜かれた開口によって、各部屋が交換可能となる一方で、部屋同士の交換、つまりは部屋の移動・模様替えは簡便に行えない事象を招いている。これでは、当事者(住人)の趣向を反映した部屋を形成できても、それぞれの部屋の多様性・変化を行うことができない。
本住宅は、ユニヴァーサル・スペースの設計におけるオルタナティブとして、モノに溢れる日本人の生活スタイルを補完しながら、住宅に空隙を与え、各部屋同士を交換可能とした設計を提案する。

本来的に、グリッドを引き、部屋を配置・構成する設計計画とは、平面における垂直水平の芯線に壁を配し、交点に間柱を設けた4面を囲む方法だが、本住宅では、これに加えて、芯線が重なる交点の間柱をずらすことで、各部屋に囲まれた余白の部屋を形成する。
つまり、別の空間と接続する開口部はコーナーに移り、各部屋は角を持たない不整形な広がりを持つ住宅へと変容する。

これにより部屋を管轄する各住人は、家具・建具の配置計画が“モノに囲まれた生活”から“モノを囲む生活”へ変わり、これまで以上に各部屋同士の交換を簡便に行うことができる。

平安時代に現在の街並みの基礎が形成され、条坊制によって東西軸・
南北軸方向に広がるグリッドを基準に京都市の街区が整備されてきた。加え、各区画に縦横3本の小路を通した約120m四方の“町”という単位を形成した碁盤目状の地割が市全域に現在まで継承されている。
小路に対して、水平に接続する建築を構えることで、京都市の住宅はより一層強固なグリッドに支配された町屋として群を成している。

本住宅では、京都市の町屋建築にスプロールしてきた強いグリッドに順応しながら “雁行する空隙” を付加することで、京都に住まう新たな世代へ生活の多様性が築かれることを期待している。
本住宅は、ユニヴァーサル・スペースの設計におけるオルタナティブとして、モノに溢れる日本人の生活スタイルを補完しながら、住宅に空隙を与え、各部屋同士を交換可能とした設計を提案する。

本来的に、グリッドを引き、部屋を配置・構成する設計計画とは、平面における垂直水平の芯線に壁を配し、交点に間柱を設けた4面を囲む方法だが、本住宅では、これに加えて、芯線が重なる交点の間柱をずらすことで、各部屋に囲まれた余白の部屋を形成する。
つまり、別の空間と接続する開口部はコーナーに移り、各部屋は角を持たない不整形な広がりを持つ住宅へと変容する。

これにより部屋を管轄する各住人は、家具・建具の配置計画が“モノに囲まれた生活”から“モノを囲む生活”へ変わり、これまで以上に各部屋同士の交換を簡便に行うことができる。

平安時代に現在の街並みの基礎が形成され、条坊制によって東西軸・
南北軸方向に広がるグリッドを基準に京都市の街区が整備されてきた。加え、各区画に縦横3本の小路を通した約120m四方の“町”という単位を形成した碁盤目状の地割が市全域に現在まで継承されている。
小路に対して、水平に接続する建築を構えることで、京都市の住宅はより一層強固なグリッドに支配された町屋として群を成している。

本住宅では、京都市の町屋建築にスプロールしてきた強いグリッドに順応しながら “雁行する空隙” を付加することで、京都に住まう新たな世代へ生活の多様性が築かれることを期待している。

05 _ 神戸三宮「さんきたアモーレ広場」デザインコンペ
神戸・三宮に訪れた人々を、あらゆる方角から迎える玄関となり、出口として様々な方向へ送り出す、三宮のフォリーの提案。
“用途を持たない自由な建物”という意味を持つフォリーは、利用者の振る舞いを制限することなく、広場として多様な利用を可能とし、三宮駅前にふさわしい新たな街のシンボルとなる。
兵庫の中心都市として、利用者の多様なニーズに合わせて発展してきた神戸・三宮は、今やコンクリート・ジャングルと化した無機質な高層ビル群が密集している。神戸の玄関口に位置するこの広場に、木材を基調とした架構を掛けることで、三宮に圧倒的な訴求力を与える空間を目指した。

周辺のビル群の風景を切り取り、良質な待合空間として多くの人々の循環を促す屋根を検討し、4本の主柱で30m以上の屋根を支える木造軸組屋根構造を提案する。
また、阪急三宮駅ビルの新設により、広場に日照が入りにくいことから、屋根葺き材にクラッシュガラスを用いることで、光を透過させつつ、拡散させるデザインを選択した。




広場は、東西南北4面に横断歩道で接続しており、全方向から多くの利用者が侵入することが予測される。

また、阪急・三宮駅側を除き、3面が車道に接道していることから、ほぼ全方向から利用者の視線が集まる立地特性を持つ。

これらの条件から、全方向に背を向けない = 全方向が顔となるデザインを検討した。

サンキタ通りを底辺に平行四辺形を模る敷地に対して、対角線の軸を引き、その上に木造軸組屋根をかける。利用者は屋根の下をくぐり、広場内を通過・交換する。
また、屋根によって生まれた4つの三角形の空隙が待ち合わせ空間となり、利用者の滞留を促す。

06 _ 向こう5軒 隣なし / インダストリアル メタボリズム _ コンテナ ケンチク
『つながりの強い共同体の内部情報より、つながりの弱い知人からの情報が有用である。』
(マーク・グラノヴェッター / 社会学者)

アラブの春(2010年)と呼称された一連のデモ活動の裏には、facebookやtwitterなどによる一連の一般市民連携があったという。見ず知らずの人たちをかろうじて繋ぎ止める弱い紐帯(SNS)が爆発的な結束力を生んだことは、ある種、現代/今日的な共同体のあり方であるといえる。
では、距離のないインターネット上の空間は弱い紐帯の孵化器といえる一方、物理的距離という拘束力のある建築にはどのような力が発揮できるのか。

地方工務店が量産した建売住宅が並ぶ新興住宅地において、住まい同士の壁をなくし積極的に道で隔てることで、隣人の交換可能性を最大化してみた。
すべての敷地が四面に接道し、敷地に接する隣人を持たない街はインターネットのような弱いつながりを維持する手立てになる可能性を持つ。すべてが道路になることで、実際は道路がない状態に近づく。道路接道規定をはじめとする、建築を規制する様々な法規が解除された。

道からはじまる、これからの家...





高度消費社会たる現在、商品を輸送し終えた海運コンテナは空の状態で送り返すより、現地で再生産した方が安価に済むため、スクラップに追いつかない余剰コンテナが輸入国の埠頭に山積している問題がある。

現代社会の急務といえる中古コンテナの再利用として、現在に至るまで多様なコンテナ建築が顔を見せ始めている。
このシステムに肖り、ローコストかつ容易に交換可能なコンテナを今後の建売住宅にパラサイトさせることで、住宅の新陳代謝を促し、住宅の長期寿命化を促進する建築を設計する。
住宅のinterface/インターフェース

鉄道や船舶など各輸送形態をシームレスに乗り継ぐことを可能にした“ISO規格コンテナ”は言うまでもなく物流の象徴であるといえる。
しかし、現代のコンテナ建築はハコが内包するスケールが建築的なヴォリュームに転換可能なことから、躯体に固定し、断熱材を設け、配管を通した、不動の建築として成立している。

場所から場所へモノを移動させることに特化したコンテナの建築的可能性として、空間の接続 - 廊下に適用させた。
住宅は、不動の諸室(インフラ)と生活の中で伸縮する部屋(ヴォイド)が廊下によって繋がり、壁によって分節されている。
この二律背反する領域はコンテナの潜在価値と重なる。加えて、固定の必要のないコンテナは、取り外すことで部屋を拡張できるとともに、外部(パブリック)を内部(プライベート)に取り込む装置として機能する。
Connection Container / コネクション コンテナ

X,Y軸の空間を接続する平置きコンテナと、
Z軸のフロアを接続する縦置きコンテナの二種を基本フォーマットとする。
躯体分解をせず、長手を包む鉄板に開口を設けることで、コンテナの潜在強度を保持した。
マジックミラー加工40mmアクリル板を取り付けることで構造力を強化し、断熱性能を付加した上、プライベートとパブリックの接続容器として機能する。
場合に応じて、開口を塞ぐ時の溶接跡は、コンテナ履歴情報の記録となる。
1000年住宅

代替りに備えた持続可能住宅だけでなく、圧倒的長い時間軸を内在できる建築として、冗長性の高い末広がりの組積造りを提案する。
土地の存在に依存することのないピラミッドには1000年もの時間に耐えうるテクノロジーが凝縮されているといえる。
厳密な国際規格に守られている海運コンテナは、耐候性鋼板により発錆が少なく、強度と水密性が担保されている。
コンテナのピラミッド組積住宅化は時の重みに耐えうるストラクチャーになりうるだろう。
1000年住宅

代替りに備えた持続可能住宅だけでなく、圧倒的長い時間軸を内在できる建築として、冗長性の高い末広がりの組積造りを提案する。
土地の存在に依存することのないピラミッドには1000年もの時間に耐えうるテクノロジーが凝縮されているといえる。
厳密な国際規格に守られている海運コンテナは、耐候性鋼板により発錆が少なく、強度と水密性が担保されている。
コンテナのピラミッド組積住宅化は時の重みに耐えうるストラクチャーになりうるだろう。

07 _ 三宮センター街デッキ活性化プロジェクト _ サンFストリート + LOOP & LOOP

人通りの少ないスペースを利活用し、賑わう街へ

神戸三宮センター街は、次世代に向けた「神戸三宮らしい街」の姿を創造していくため、2012 年より5ヵ年計画  SANNOMIYA 2016  に取り組んできた。
その中の1つ“空間再生プロジェクト”では、神戸三宮センター街に憩いのひとときと楽しい情報を提供する常設スペース「屋台プロジェクト」が始動し、 現在ではセンター街のアーケード直下・通路中央にベンチという形で憩いのスペースが設置されている。

このプロジェクトの一環として 2017 年は「人通りの少ないスペースを利活用し、賑わう街へ」をテーマに、
センター街エイツビル 3 階ジュンク堂前デッキを利活用し、利用者が休憩をすることで、立体的に人が賑わうセンター街になることを目標に本プロジェクトが始まった。

フラワーロードから鯉川筋を東西に結ぶ三宮センター街は、さんセンタープラザを北に、エイツビルを南に挟んで、大きく架かるアーケードによって形成されている。

三宮センター街一丁目の末端に位置する対象敷地は、続く二丁目と生田ロードの交差点を眺望できる位置にあり、1階に集中する活気とは対象的に、アーケードの下に居ながらも「静けさ」を感じられる、センター街の中でも有数の静寂な半屋外空間であった。

しかしその現状は、アーケードを支える複雑な構造体や配管は砂埃にまみれ、風の侵入が少ないため空気循環は悪く、夏季には 1階の地熱が込み上げていた。
また、アーケードの大屋根は十分な採光を確保できず、隣接するジュンク堂の店舗照明やアーケード全体の間接的な人工照明によって照らされているため、陰湿で立ち寄りがたい印象であった。
何より敷地への侵入動線・アクセスが悪く、 用途を持たない“裏通路・廊下”であったことから利用率・認知度は芳しくなかった。

違和感による空間の差別化

私は、この薄暗く陰湿で無機質な空間に、木材を基調とした休憩スペースをつくり、三宮センター街に “違和感 ”をもたらすことで神戸・三宮に集う人々に、その違和感を楽しんでもらいたいと考えた。
清潔感、新鮮さ、面白さも重要な要素と考え、長く直線的な敷地の特徴を活かし、 自然を感じさせるデザインを提案した。

concept / コンセプト
神戸開港以来、三宮は多様な都市改造によって「それぞれの地域色が集積した騒々しい街」を形成した。
その都市景観は、結果として「神戸らしさ」という風景として人々に認知・認識されていると考えた。構築するデザインは、色・素材・大きさ・形態など、端的な複数の要素をあわせるのではなく、
全ての要素が重なり合うことで、三宮センター街から異化されつつ、神戸・三宮の風景に介入する形態を設計した。

prefabrication / プレファブリケーション
工務店や施工業者に委託することで発生するコストパフォーマンスを抑えるため、学生の手によるセルフビルドを行った。
また、施工・搬入出・設置の作業能率を加味し、大学の工房にて部材•フレームの制作を行い、現場で組み立てる工法を用いた。それに伴い、入手・加工が簡便な2×4材の一般的な建築資材を採用しデザインとの統合を図った。

geometry / ジオメトリー
混沌として無機質な三宮センター街に、“垂直・螺旋・等間隔・連続”などの「新しく強い規則性」を 持った空間を置くことで、周辺環境からの差別化を図った。

 1 道幅と高さの関係から「人が通れる・滞留できる」楕円のボリュームを配置する
 2 利用者の侵入動線から、楕円の円周に沿って左に回転する螺旋の軌跡を描く
 3 螺旋の動きに合わせながら、方形が右回転しながら楕円のボリュームを削り取る
1-3 2×4材にこの規則を適用させることで、46に連なるルーバーフレーム( = シェード )が形成される
 4 楕円/螺旋/正方形の3つの幾何学が重なった「ねじれ」の空間が構築された
 5 46のシェードを1単位として均等配置することで、「滞留と動き」の空間が連続する
 7 植栽 / ベンチ等を配置することで、休憩スペースとしての用途に生まれ変わる。


08 _ 神戸の湊に建つ集合住宅 _ 他人が居ることで完成するセルフビルド居住空間
古来より人は“グリッド”を生み出すことで、場を作り、統治・支配、計画・整理・分断をして空間を作り出してきた。

四行八門制は、中国の都城制にならった都市計画であり、大路・小路の碁盤目状の道路によって区切り、階級を分けた。
“全ての道はローマに通づる”ということわざに由来する  ローマン•グリッド  もまた植民地の都市計画である。

グリッドが発生することで 囲まれた空間は一つの空間として強制的にまとまりを得る 効果から
現存する敷地内の3つのマンションが内包する軸線を抽出し、それをグリッド化して、住まいの基盤とした。
グリッドに沿って、3種類のインフラ・コア(風呂/トイレ/寝室)を周辺環境の様々なエレメントと織り交ぜながら配置する。

配置されたコアのエッジ部分からXYZ軸にかけて、敷地内に構造材が延び、基盤の軸線とは違う新たなグリッド空間が生まれる。
この操作生まれたグリッドを元に屋根・床・壁が設けられ内部空間を構成していく。

内部のグリッドは、住人が部屋を作り出す“間仕切り材”をはめる指示体に利用されるため、全ての住棟で住まい方が変わる。
パブリックとプライベートを相互に混在させるグリッドは、敷地全体に半強制的にまとまりを発生させる。
住棟間に新たに道を通すことで、外部から敷地内に引き込まれる動線が生まれる。
各コア・廊下を外部に沿わせる・迫り出すなど“物理操作”により、視覚的に住まいの中へ誘引される。
住棟内にも屋根・壁無し・吹き抜けなどの操作を加え、住人が外部へアプローチする。
既存軸と配置したコアから生成した“グリッド”は、住棟内各所で行き交い
これを基に、各個人が専有スペースを自由にレイアウトする。

多様な“間仕切り材”を持ち寄り
住戸が共有部を侵食していくことで、不整形な共有空間が形成される。
住人の個性や人数、譲り合いによって、集合住宅は、その規模や場所さえも流動的に変化させる。
自動車は、色・柄・形・デザインだけで語っても膨大な種類があるが、
そんな文明の進歩とは裏腹に“駐車場”のあり方は、未だに住まいの内部から除外されている。
これに疑いを抱き、自動車が住まいの中へ関わり合える方法として、“磨りガラス”を転用させた。住棟内・駐車場側の壁面に適用させた磨りガラスによって、自動車は明確な形の情報を失う。
色や柄までも住人の個性を棟内に反映させ、住空間の多様性を見出す。
対象地域は、沿岸部に珍しい多くの植栽が確認された。
しかし、それらの多くは “街路樹•植え込み•公開空地”等、住まいから隔離・密集して配置されている。
“昼間の木漏れ日と夜間の遮光”
目的が二律背反ししている植栽群を、集合住宅の構成要素として緩和させる“移植”の操作によって補完する。
数も大きさも逞しい滞在植生が、敷地内のオープンスペース・住棟内に配置されることで、緑が生活空間に色味を与える。一定の領域に単数で配置し、植栽同士の間隔を空けることで、各樹木が持つ潜在的な魅力に惹かれる。
“神戸の顔”と称される海沿いに位置する対象エリアは、様々なエレメントが混在している一方で、“海と陸との関係性”が弱い

ここへ“船”を再起させることで、人を媒体とした神戸を彩る親水空間を提案する。
形や色に捉われない船種が停泊すれば、そこは海に浮かぶ 部屋 に変わり、住人の住まいの領域を広げる。
   
既存軸と配置したコアから生成した“グリッド”は、住棟内各所で行き交い
これを基に、各個人が専有スペースを自由にレイアウトする。

多様な“間仕切り材”を持ち寄り
住戸が共有部を侵食していくことで、不整形な共有空間が形成される。
住人の個性や人数、譲り合いによって、集合住宅は、その規模や場所さえも流動的に変化させる。
移植された植栽の緑陰を、アイレベルで感じられる四阿。
緑陰間をくぐりぬけるトンネルは、敷地内の動線へ誘引する。
海岸•海上において、波の音•香り•風を感じられる親水型四阿。
小さな舟屋をモチーフに、停泊した舟からコミュニティーの場が敷地へ浸透する。
また、透過性のあるカーテンを用いることで、岸に並ぶ船のシルエットが海面に映し出される。
既存歩行者道路に配置されている、ファニチャー間をレースで間仕切った半専有の四阿。
レイヤー的に重なるレースの層は、各領域のプライベート性を高めつつ、話し声は風に乗り、全体をパブリックに開く。
既存歩行者道路に配置されている、ファニチャー間をレースで間仕切った半専有の四阿。
レイヤー的に重なるレースの層は、各領域のプライベート性を高めつつ、話し声は風に乗り、全体をパブリックに開く。

09 _ night museum _ 建築作品が 情報 として価値を持つ インスタレーション

何の精査も行われず情報(作品)が並べられた展示には問題がある。

まして、一般人の命に関わる責任を持つ“建築分野”が、一般人に何かを享受させる気のない行為は、責任放棄であるといえる。

night museumは
一般人が、分類の難しい建築作品を鑑賞する“意識”を高める環境として、多数の情報(建築作品)を散在させたインスタレーションである。

『 建築学生の作品展示は見づらい 』
どこかでこのような言葉を耳にしたことがある。建築学に無知な“一般人”からの声である。

絵画や彫刻のキュレーションや個展、有名ブランドのファッションショー、新商品発表イベントなど...
新しいモノ・デザインを追求する仕事には、他者に“公開・展示”する行事がつきものだ。
建築の分野でも同様に、実施されたものはオープンハウス、作者の思考に社会的価値があれば展覧会のような形で公の場で公開される。

しかし、建築学生の展覧会では、できた“モノ”の有用性ではなくどのような条件や問題に取り組んだのかという “思考のプロセス = 設計 ”に大きな価値がある。そして、そのアウトプットは建築だけに留まらず、リノベーションやランドスケープからまちづくりまで多様に存在する。

学生は、各々で興味を持った専門分野で思考し、形を生み、そして自分以外の人に伝えるために様々なプレゼンテーション方法を試作する。文字情報の説明だけでも、これだけ多種多様な建築分野の作品が一堂に会する展覧会はまるで “ 散らかった情報の図書館”である。
暗室の中を電灯の“あかり”で鑑賞するインスタレーション。

人間の五感による知覚の中で、83%の割合を占める“視覚”を限定することで、鑑賞者は半強制的に光の焦点が当たった作品へと意識が集中する。

各作品に備えられた小さな灯りを手がかりにすすみ、自身が持つ光源(電灯)に映し出された先に作品が浮かび上がる。

無駄な情報を暗闇が隠し、映し出される厳選された情報のみを一般人は情報として享受する。

10 _ 心象パース
新たなパース画法:心象パース

現地で見た建物・風景を、別の場所で思い出して描く。
この技法により、対象に選んだモノにおいて“自分が印象に残った要素”が浮き彫りとなる。
自身の頭/心の中のイメージを二次表現として描く心象画と違い、実際の空間を自分の記憶の中で再構築しアウトプットする手法
2018.3.14 _ 東京カテドラル聖マリア大聖堂 / 丹下健三
2018.3.10 _ すごろくオフィス / 大建met
2018.3.10 _ すごろくオフィス / 大建met
2016.6.7 _ 神戸ハーバーランド / フィールドサーベイ
2016.9.20 _ 兵庫区 和田岬・兵庫運河 / フィールドサーベイ
2018.11.25 _ 兵庫区 湊川公園・湊川沿い / フィールドサーベイ