人間・機械システムにおける
 ヒューマンエラーの生起と排除

    150件の事故に学ぶ
(著)福地信義

       内容紹介

 航空機・自動車・船舶などの交通移動体、化学・製鉄・発電などのプラント類、医療・情報機器などを構成する人間・機械システムでは、その運用時における安全を確保することが最も求めらる要件である。しかし現実には、これらのシステムの運用の際に起こる人的過誤および組織の不全に起因する事故が人間・機械システムに起こる事故全体の60~95%を占めている。この人的要因に係わる困難点は、過って人工物の開発では性能優先・機能優先を標榜してきた科学技術のシワ寄せの一つでもあり、人の知覚、判断、操作における過誤そのもの他に、組織運営の不全さ、システム設計の不適切さ、作業管理の拙さなどに誘起されて発生するものもある。その対応には、平常時・緊急時の反応行動や心理情報処理過程をも考慮して、誤判断や誤操作が起こり難いように対策することが不可欠である。ただし、安全性の確保には経済的な負担を伴い、実際上は何らかの負担の限度を定めて対応策を練る必要がある。  
 本書では、人間・機械系の機器やシステムに起こる特有のヒューマンエラーの生起とその排除のための対応策について扱っている。人間が介在する機械システムでは人と機械・機器間におけるミスマッチともいえる要因でさまざまな事故が起こっていることは事実である。この中では、人と機械が自然な形で協調できるシステムを構築して、人間・機械システムの安全性を確保するために、システム設計に求められる視点・注意点について述べている。これには、今までに交通移動体、プラント類、医療・情報機器などに起こったの多くの事故(約150例)を参考にしており、事故の性格を分析して、その対応策を鑑みている。
 これからは、ヒューマンエラーに基ずく事故を防止するための極めて有力な方策として、人工知能(AI)やIoTを活用することが当然の技法となる。また、最近発達しつつある、量のデータから意味のある情報を抽出して活用するデータサイエンスにより、本書が提示するするような過去の事故例やトラブル例から学んだ事故分析の結果などを参考にデータ集積を行って、それらを基に何らかの形で安全策の策定に資することが望まれる。


          目 次

    第1章 ヒューマンエラーの生起
       1.1 人的過誤の概要                       ・・・・[1]
       1.2 事故に繋がるヒューマンファクター ・・・[8]
       1.3 新技術が誘発するヒューマンエラー・・・[22]
       1.4 緊張時の心理状態と人的過誤   ・・・[25]
       1.5 疲労・加齢・錯覚による過誤     ・・・[31] 
    第2章 ヒューマンエラーの排除
       2.1 ヒューマンエラーの予防と制御    ・・・・[39]
       2.2 覚醒度と認知力に係わる過誤対策 ・・・[42]
       2.3 本質安全と機能安全                    ・・・[46]
       2.4 具体的な安全対策                       ・・・[49]
       2.5 チェック体制と有効性            ・  ・・・[54]
       2.6 現場研修(OJT)と問題点         ・・・・[58]
  第3章 人間・機械システムの安全性確保
     3.1 人間・機械システムの設計構造     ・・・[60]
     3.2 人間・機械系の協調と信頼性      ・・・[65]
     3.3人間・機械系の安全確保のための対策・・・[74]
     第4章 安全策の問題点
           4.1 ヒューマンエラー排除の可能性   ・・・・[107]
          4.2 安全策の形骸化                  ・・・・[118]
          4.3   管理者の安全業務と錯誤    ・・・・[124]
          4.4 正攻法と逆思考                  ・・・・[128]
  付録 人間・機械系の安全設計手法
     A.1 安全に係わる考えかた     ・・・・[133]
     A.2 信頼性評価                            ・・・・[138]
     A.3 安全信頼設計                         ・・・・[145]
     A.4 リスクマネジメント                 ・・・・[152]

       著者について
  福地信義 (ふくちのぶよし) (工学博士)

    1967.3 九州大学大学院工学研究科修士課程修了
    1967.4 三菱重工業㈱入社
    1972.1 長崎大学工学部(構造工学科) 講師・助教授
    1985.4 九州大学工学部(造船学科) 教授
    2006.3 九州大学大学院工学研究院(海洋システム部門) 退職、九州大学名誉教授 
  [著書]
    ・ 悪定義問題の解決 (九州大学出版会)
    ・ヒューマンエラーに基づく海洋事故 (海文堂)
    ・船体艤装工学(共著) (成山堂書店)


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