家族信託のメリットとは

年齢を重ねた時、気がかりになることのひとつに自分たちの財産の管理があります。もし認知症などになり管理が難しくなったらどうすれば良いかと思う人も少なくありません。そのような場合に役立つ家族信託について解説します。

家族信託でできること

・認知症になった時に備えられる
口座の名義人が認知症になり、それを金融機関に知られると口座の預金を引き出せなくなることがあります。そうなればいざ入院や高齢者施設への入居が必要になった時の費用を用意できなくなるでしょう。そのような事態を防ぐために家族信託を元気なうちにしておく人は増えてきています。
 
ちなみに成年後見人制度もありますが手続きが複雑で、裁判所による判断まで必要となるため、家族信託を選択した方がかかる手間は少なくなるでしょう。

 
・病気になったあとでもできる
家族にお金を残そうと生命保険に加入する方法はあるものの、病気にかかったあとでは加入ができません。その点家族信託は病気を発症したあとでも行うことが可能です。

 
・生前贈与のデメリットを避けられる
財産を先に家族へ渡す生前贈与を行うと贈与税が課せられ、600万~1000万円では税率40%もかかります。その点家族信託では贈与税がかからず、また自分も必要な時に自由に預金を扱える方法です。

家族信託する手順

・目的と契約内容をはっきりさせる
認知症対策や詐欺・盗難対策などの目的を明らかにしますが、その他にも不動産を共同名義で相続させないためや子供がおらず親戚に相続したいなどの目的で家族信託を選ぶケースもあります。

 
・専門家に書面化してもらう
はっきりさせた目的や内容を自分で書面化する方法もありますが、効力を発揮するには法律を守っていなくてはなりません。そのためできれば司法書士などの専門家に書面化を依頼しましょう。

 
・不動産は登記の名義変更をする
家族信託で扱うものは金銭だけに限らず不動産も含まれ、その場合は名義を受託者へと変更することが必要です。しかしこの手続きは専門家に依頼する必要があるため、書面化の段階から依頼しておいた方が安心でしょう。

 
・専用口座を開設する
信託者が既に持っている口座ではなく、新たに家族信託用の口座を開設し管理してもらいたい金額を移します。そうすることで出入金が透明化し、お互いが気持ち良く家族信託を利用しやすくなります。

家族信託はプロに相談すると安心

メリットの多い家族信託を始めたいと考える時はプロに依頼すると安心ですが、家族信託の制度は2006年に新設されたばかりです。そのため家族信託を専門に扱う弁護士や司法書士に相談しながら手順を進めていくと安心です。そして家族信託の手続き依頼先を選ぶ時には過去の実績を参考にし、家族信託についての経験が豊富なところを探しましょう。もし家族信託についての実績があまり見当たらなければ、相続を専門に扱っているところや相続の実績が豊富なところを選びます。

活用事例

・介護施設入居費用を捻出できた
独身で一人暮らしが困難になってきたため実家で弟家族と同居していた女性が、実家の老朽化と共に介護施設への入居を決断し、実家の土地売却によってその費用を捻出したいと考えました。親族は異母姉妹がいたものの面識はなく、財産は全て実弟に相続してほしいとの考えもあり、家族信託を選択しました。その結果所有分である実家の売却益の2分の1を得られ、残りは実弟が引き継ぎ介護施設への入居が叶いました。

 
・子供同士の争いを避けるために
賃貸物件も含む不動産が財産の大半を占めているため、子供たちに平等な相続をさせることが難しいないようでした。そこで元気な間は長男が受託者となることとし、亡くなったあとは子供たちで平等に分けるという内容にすることで亡くなったあとに長男以外の兄弟が不公平だと感じることを防げました。

 
・生前贈与しつつ自分でも管理ができる
将来お世話になることを見越して長男夫婦と同居しているものの新婚のため子供がおらず、この状態で土地建物を生前贈与してしまうともし長男が亡くなった時、その妻やその親族に財産を取られるのではないかと男性は心配していました。そこで家族信託を選択することで不動産を自分も管理できるようにし、長男に散在させないようにも見守ることができるようになりました。そして男性が亡くなったあとは信託は終わり、残りの財産を長男と長女で平等に分けられるように設定したのでした。

まとめ

例えば高齢になれば認知症にかかる可能性が高くなり、銀行などへ認知症になったことが伝われば預貯金を引き出せなくなることがあります。このことなどで心配がある場合は元気なうちにプロと相談して家族信託を検討しましょう。それに生前贈与で必要になる税金などへの対策にもなるなどメリットがあるため、どのような内容で家族信託するかを考えてプロに書面化してもらい将来の不安を少なくしてはいかがでしょうか。