現場監督になるにはどのような資格が必要?
建設現場などで現場を取り仕切り、管理する現場監督は責任があり、体力的にも精神的にも大変な仕事です。しかし、建物を立派に、安全に建てるという目的に向かい、やりがいを感じられる仕事でもあります。その分、建築物や工事に関する知識も必要です。現場監督になるにはどのような資格やスキルが必要なのか、見ていきましょう。
現場監督の主な仕事
現場監督は計画的に質の高い工事を行わなければなりません。建設現場での現場監督の主な仕事には次のようなものがあります。
・品質管理
質の高い構造物をつくるために、最適な環境や条件をそろえることが必要です。基準を守ると同時に、材料の寸法や強度、密度、形状などが正確であるかどうかを管理します。事故があったり、トラブルがあったりしないよう、安全性を確保するためにも重要です。
・原価管理
人件費や材料費の費用を管理するのも現場監督の仕事です。予算を計算し、進捗状況を管理しながら予算に合わせた工事をします。
・工程管理
工事をスケジュール通りに進められるよう管理をするのも現場監督の仕事です。作成したスケジュールをもとに、毎日の工事の進行状況を確認し、遅れが出ないよう調整をします。人員配置や重機の手配などの調整も行います。
・安全管理
工事現場にはさまざまな重機が動き、トラックやダンプカーなどの大型車の出入りも激しく、危険な現場です。そこで働く人たちの安全性を確保することも、現場監督の大切な仕事です。
現場監督になるには実務経験を積む
現場監督になる方法の一つは、現場で実務経験を積むことです。専門学校や短期大学、大学の指定学科、高等専門学校の指定学科を卒業した場合は3年以上、高校の指定学科、専門学校の指定学科卒業の場合は5年以上、それ以外の学歴(普通科の卒業や文系学部の大卒など)の場合は10年以上の実務経験が必要です。
実務経験を積むことで主任技術者として建設会社から適任者として選任してもらうことができ、現場監督としての仕事ができます。
資格を取得し、より上を目指す
主任技術者として選任されれば、現場監督の仕事はできますが中小規模工事の現場監督に限られます。より大きな建設現場で現場監督をして仕事をするなら、次の資格が必要です。特に、施工管理技士として2級ではなく1級を目指すといいでしょう。
・建築施工管理技士
建設現場で監督・管理をするための資格です。国家資格である施工管理技士資格の一つで、土木、電気、管工事などがありますが、工事現場で必要とされることの多い資格です。
・土木施工管理技士
主に河川や橋、道路などの土木工事の現場で仕事をするための資格です。2級では主任技術者、1級では監理技術者となり、施工計画の作成などもできるようになります。
・電気工事施工管理技士
電気工事の現場で施工計画の作成や品質管理、安全管理などを行うための資格で、電気工学の基礎知識や施工管理法、電気法規などの知識を得ていることを認められる資格です。
・管工事施工管理技士
ダクトや浄化槽、水道配管、冷暖房設備などの管工事の現場で管理・監督するための資格です。
・造園工管理技士
造園に関する工事現場で管理・監督をするための資格です。公園や庭園、道路の緑化工事、商業施設の屋上の緑化など、幅広い現場があり、資格を取得することで主任技術者や管理技術者として仕事ができます。
・JR工事管理者
JR施設関係工事従業者資格の一つで、線路内や線路付近での工事をする際に必要となる資格です。
・建築士
木造住宅を主に設計や管理を行える木造建築士の資格や、1級建築士、2級建築士の資格を持っている必要があります。2級建築士は延べ面積500平方メートル以下の建築物を扱うことができ、1級建築士はあらゆる建築物の設計や工事管理ができる資格。受験には2級建築士もしくは木造建築士として4年以上の実務経験が必要です。
・宅地建物取引士
宅地建物取引業法に基づき定められている国家資格で、土地や建物などの不動産に関する専門知識を持つことができます。
現場監督にはコミュニケーションスキルが必要
現場監督には工事や建築に関する専門知識のほか、工程管理をスムーズに進める段取りのスキルや、作業員を気持ちよく仕事をさせるコミュニケーションスキルが求められます。また、現場をまとめる統率力も必要です。
現場が大きければその分作業員の数も増えます。職種もさまざまです。そういった作業員に対して現場監督だからといって、態度が大きかったり、命令口調だったりしてはトラブルの原因になります。現場で働く職人をまとめ、スムーズに仕事をするには、コミュニケーションスキルが重要です。
現場監督として信頼され、工事をスムーズに進めていくには、専門知識は欠かせません。資格を取得することで、専門知識を身につけ、それを活かして仕事をすることができるでしょう。資格にもさまざまなものがあり、すべてを取得する必要はありません。自分がどのような現場で仕事をしたいのか、といった点を踏まえて必要な資格を取っていきましょう。