市民社会の形成を目指したNPO法が制定されてから今年で21年目、市民社会組織は新たな局面を迎えています。

年間700億円の休眠預金や成果連動型委託制度など、社会課題解決分野へのお金の流れは一層加速し、それを後押しする形でアウトカムやインパクトを重視する傾向の「評価」や「評価者」が次々と生まれることが予想されます。

その一方で、市民社会組織が本来持っているはずの社会構築の役割や機能、地域の生活を日常的に支え、課題の解決や予防をもたらす「共有されている価値(コモンズ)」をどのように形成するか、市民社会を構築するために評価をどのように活用するか、という視点での議論は十分になされてきていませんでした。

「地域のコモンズと評価に関する研究会」は、市民社会組織や評価に関する基本的概念を捉え直した上で、真に地域のコモンズを形成しうる市民社会組織の運営や支援、評価、社会構築の手段をさまざまなセクターに問いかけることを目指して、2018年5月〜2019年3月の間、活動しました。

全体スケジュール

2018/05/28 準備会第1回:問題意識の共有・提言先設定
2018/07/02 準備会第2回:共通言語の確認・論点整理
2018/07/26
準備会第3回:中間報告会・各論以降の準備
2018/08/26
中間報告会
2018/09/11
中間ふりかえり会
2018/10/05
COMMONS CAFE #1
2018/11/02 COMMONS CAFE #2
2018/12/17
COMMONS CAFEふりかえり
2019/01/18
今後の方針検討会
2019/02/18
成果報告会の準備
2019/03/31
成果報告会
2018/07/26
準備会第3回:中間報告会・各論以降の準備

資料

中間報告会 配布資料

・進行用資料
・ゲスト発表資料
・参考資料:準備会議事録
(PDF, 16.7MB)

ダウンロード(slideshareへのリンク)

成果報告会 配布資料

・地域のコモンズと評価に関する手引き
(PDF, 7MB)
※成果報告会の内容を一部反映しました。

ダウンロード(Google Driveへのリンク)



解散にあたってのコメント(50音順)

自分が取り組んでいることにはどんな意味があるのか。そんな普段はなかなか深く考えることができない事柄にについて、皆さんと意見交換を重ね、立ち止まって考えることができる貴重な場でした。この研究会こそが、ひとつのコモンズだったのだと思います。そんな研究会が、自分よりも若い世代の発案で生まれたことに強い敬意を持つと同時に未来への希望を感じています。今後、自分がコモンズの創出にどれだけ貢献できるかわかりませんが、この研究会を通じて学んだことを大事にしながら、日々の活動に取り組んでいきたいと思います。
青木研輔(東大手の会・代表世話人)

この研究会には中間報告会から参加、勉強させて頂きました。
地域金融機関での「事業性評価」や「知的資産経営」を深める中で、NPO界隈での休眠預金の動きや評価に興味を持ち、参加しました。その前提となるこれまでのNPOの変遷や市民社会とは?評価とは?基本的な定義や目的等々いろいろとお聞きでき、丁寧に解説頂き、また、NPO界隈に門外漢な私を受け入れて頂き、ありがとうござました。ステキなメンバーにお会いでき、ご一緒させて頂けたことが今後の財産になったと思います。この研究会は解散しますが、次につながる一歩になったと感じています。今後ともよろしくお願いします。
川島知司(会社員/NPO法人中部ビジネス支援専門家ネットワーク準会員)

なんとなく以前から違和感のあった「社会的インパクト評価」や「休眠預金」の問題を、「コモンズ」という観点から捉えるようになったのは、2018年3月に衆院会館で開催された「地域を強くする評価の力 ―社会的インパクト評価を『評価』する―」という学習会に参加したことがきっかけでした。この視点で議論を深めることは重要だと感じ、地域の営みを豊かにするための方法を模索するために、津富先生と、東海地域の心ある方々のお力をお借りして、本研究会を立ち上げました。立場や世代を超えて集まったさまざまな参加者による、継続的な対話と学び合いの場が、こんなにも学びや発見を生むのか、ということに気付けたのは、代え難い経験でした。「社会」は一人一人の絶えざる対話によって編み上げていく、人が支え合う仕組みそのものだということが、自然と胸に刻まれました。楽しかったです。
小池達也(フリーランス)

東海圏の皆さんが行われたこの期間限定の研究会。私は途中からの一参加者でしたが、皆さんに仲間に混ぜてもらえてとても幸せでした。楽しかったし、とても勉強になり、知的な、それに精神的な刺激と勇気をもらいました。
私もこの2年ほどは勉強とアドボカシーと、全国の皆さんとのネットワーク活動に汗を流しましたが、皆さんのような地域でのネットワーク型研究会まではやりきれなかった。そのやり方自体が大きな大きな資産になると思います。休眠預金に象徴される市場化、効率優先、結果優先(つまりはプロセス軽視、当事者の対象化)の強い潮流にどう抗い、そうではない世界を観念ではなく実体としてどう作っていくか。その大事なヒントがここにあったと思います。
これからも地域に根ざし、そして地域を超えて連携していきましょう。よろしくお願いします。
実吉威(市民活動センター神戸/ひょうごコミュニティ財団)

「Take sides(ダレの側に立って共に歩むか)」この言葉を大切にして市民活動を続けてきましたが、ちょっと油断すると“ダレ”が変わって瞬間があります。これからやってくる休眠預金の波によって市民活動団体が大切にしてきた“ダレ”が大きく変わってしまうのではないだろうか。そのような状況の中でも「ブレずに“ダレ”を持ち続けられるための評価のあり方は何だろう?」こんなことを考え続けた研究会でした。
 “ダレ”を大切にしながら活動することに欠かせないのが“コモンズ”です。自分が関わる活動は多くの人と一緒に語り合いながら、時にはお酒を酌み交わしながらやる!を基本にしてきましたが、これがコモンズの第一歩なのだと感じています。
田口裕晃(名古屋NGOセンター、NIED・国際理解教育センター、コミュニティ・ユース・バンクmomo)

参加できてよかったです。いろいろと。まずは、名古屋の方々に出会えたこと。真摯で、柔軟で、一生懸命考えている方々でした。自分の人生で、こんなに何度も名古屋に来たことはありませんでしたが、とても幸せでした。次は、その皆さんと一緒に考えることができたこと。この集まり自体が、思考の共同体(コモンズ)だったと思います。最終日の小池さんのプレゼンもみんなで考えたことが形になった「みんなのもの」でした。そして、よい集まりというものは常にそういうものですが、「次」が見通せたこと。休眠預金という巨大な何かに対して、コモンズという言葉さえ大切にしていれば、何とかなるのかもしれないという気がしています。この会は解散ですが、これからもよろしくお願いします! 
津富宏(静岡県立大学/NPO法人青少年就労支援ネットワーク静岡)

解散に当たってのコメントを書くうえで、この1年間の「地域のコモンズと評価に関する研究会」の資料をパラパラと見直してみました。誰かが全体を知っていて教えられるような状況ではなく、研究会が行われている期間中にもいろいろな動きが出てくる中で、情報を持ち寄り、質問を投げかけ、考え、議論していく場でした。
自分よりひと回りくらい(?)若い方が言い出しっぺになってこのような場をつくり、多様な方が参加し、年間いろいろな蓄積ができたことに敬意を表します。研究会はいったんこれで終わりになりますが、地方発でこんな動きをつくれることに希望を持ちました。ありがとうございました&これからもよろしくお願いします。
中尾さゆり(税理士)

ふだんは、テキト〜に燃費走行で、を心がけている私ですが、真剣に取り組みながらも(だからこそ?)楽しく議論に加わることができ、充実した時間を過ごさせてもらいました。以前から知っているか否かに関わらず「この人、こんなこと考える人だったんだ」「面白いこと考えるな〜」と、集まった人たちに対しても新たな発見が得られました。私について言えば、さまざまなことに関わりすぎて何が本質なのか分からなくなりそうなときもあります。そこでガツンと響いたのが「市民社会の専従」というキーワード。これこそが、自分の立ち位置なんじゃないか。何をしても、どんな状況にあっても、あるべき市民社会のカタチを考えながら取り組んでいけば、自分を見失わずに済むんじゃないか。そんな言葉を頂戴しました。この言葉を胸に、これからも生きていきます! 
野尻智周(NPO法人ぎふNPOセンター 事務局長/NPO法人 森のなりわい研究所 副代表理事など)

僕の参加のきっかけは、あいちコミュニティ財団の中日新聞の記事(2017.12.30)からです。翌年2月に半田市のエンドゴールが若者就労支援で委託費の1.8億円の返還命令、3月に日本福祉協議機構が常勤者を置かず不正受給だと366万円の返還命令が中日新聞の記事に。この3団体の共通点は設立が2005〜09年、代表者が40代。最初はあいちコミュニティ財団のみでしたが、NPO界隈に何か変化が起きているのではと、もし閾値を超えたとすると今後もこの様なことが頻発する。その原因を探りたい。当時あいちコミュニティ財団が休眠預金を狙っているということを聞いていましたから、休眠預金のことを深く知りたいということが動機でした。
参加させていただいて、現在取り組んでいる事業の理念作りに大きな影響を受けました。みなさんと作り上げた報告書をベースにさせてもらいました。あとは、これを形にすることをがんばります。
萩原喜之(一般社団法人三河の山里課題解決ファーム)

津富先生がFacebookで「名古屋のソーシャルな方を紹介してほしい」と発信していたのを目にしたのが会に関わるきっかけでした。大したつなぎもせず自分が研究会に転がり込んでしまったのはご縁としかいいようがありません。
そもそも「市民社会」とは?「評価」とは?という根本の部分から丁寧に考えるこの研究会ではNPOの存在そのものを問い直し自分の足元を見つめ直す機会を得ることができました。そしてなにより参加されているみなさんが真摯かつ実直で心震えました。現場NPOと中間支援組織はどのような関係性を築くことがよりよい市民社会づくりにつながるのか、もっと考えなければと思いました。
「コモンズ」は、解説を聞いた方たちがそれぞれにイメージを持って語れることが印象的でした。これからも探求していきたいです。ありがとうございました。
本岡恵(NPO法人こどもNPO)

お問い合せ:localcommons.evaluation★gmail.com
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