タイ古式マッサージの基礎をなすタイ伝統の医学理論では「身体はエネルギーラインが相互に張り巡らされたクモの巣のようなものである」と捉えられており、私たちの心身の不調は、このエネルギーラインの流れが妨げられることに起因すると考えられています。

 タイ古式マッサージでは、この身体の中にある無数のエネルギーラインを「SEN」と呼び、そのうち、特に重要な10本の「SEN」に沿ってつま先から頭の天辺まで全身をほぐしていくことで、血液やリンパの循環を促進し、エネルギーが滞りなく全身に流れるようにしていきます。

タイ古式マッサージは、長い時間をかけてゆっくり『全身』を施術するのが特徴です。

 局所的対処ではなく、長時間(タイの伝統的なマッサージでは2～3時間)かけて、身体全体の血液とリンパ液の流れを良くすることで、体調の改善を図ります。

肩が凝っているから肩を揉む、腰痛だから腰部だけをマッサージするという考えはタイ古式マッサージにはありません。部分的な痛みや拘縮に着目するのではなく、全身を施術することにより、根本的な改善を目指します。

タイ古式マッサージでは脚を極めて重視しており、肩こりや腰痛の場合でも足裏からスタートします。

脚部(足底から股関節)を刺激することで自律神経に働きかけます。

自律神経は肉体にとって非常に大切な役割を担っています。自律神経の働きに異常をきたすと真っ先に反応する器官の一つが消化器系です。

また、免疫力が低下して、女性ホルモンのバランスが崩れ、その結果、生理不順を招いたり、風邪をひきやすくなったりします。脚のマッサージにより自律神経の働きが正常化されれば、体調の改善や代謝機能UPによるダイエット効果も期待できます。

タイ古式マッサージの最大の特徴は、マッサージをする側も、される側も「無我の境地」に近づくことです。

瞑想法に伴った呼吸法により、圧迫では決して力まかせに押すのではなく、ゆっくりと息を吐きながら押し、圧迫を緩める時に息を吸います。呼吸が長く深くなり、半覚半眠の状態を
体験できます。

ストレッチをする側もされる側も呼気が中心の深い呼吸になるため、酸素が身体中に満遍なく行き渡り、脳派は眠りとは違うα波が多く出現します。α波は心身ともにリラックスした状態の時に出る脳波だと言われています。また、この深く長く吐く息が中心の呼吸の繰り返しにより、副交感神経が優位になります。

筋肉の凝りがほぐれると、自律神経は本来のバランスを取り戻して副交感神経が優位になります。

脳はリラックスし、筋肉も緩み、精神的にも穏やかな状態でいることができるようになります。

私たちの体は強いストレスを感じると交感神経が優位になり、血圧上昇・心拍数増加・筋肉硬直・免疫力低下・消化不全・ホルモンバランスの崩れなどを引き起こし、興奮状態になります。

タイ古式マッサージの施術効果は、イライラの解放やストレスの緩和など、精神的な部分にまで及びます。

ストレッチや指圧の効果によって、筋肉のこわばり（拘縮）が緩和し、「関節可動域」が向上します。

施術で筋肉が弛緩すると、神経や血管、リンパ管の圧迫が解消され、さまざまな疼痛の緩和が期待できます。

日常の不良姿勢やアシンメトリーなスポーツなどで筋肉の緊張に左右差ができ、背骨や関節に歪みが生じたりします。タイ古式マッサージは、この歪みを解消し、左右の筋肉が対称的になるように施術をします。

（※１回の施術で歪みが解消されるとは限りません）