LGT銀行はリヒテンシュタインのプライベートバンク

富裕層に金融サービスを提供!社会貢献も!

今年、2021年5月1日からカナダ・カルガリーでカーリング女子世界選手権が開催されました。日本から出場したのは2018年の平昌オリンピックの銅メダルチーム、ロコ・ソラーレを破った北海道銀行チーム。この大会で選手が着ていたユニフォームや会場内のあちらこちらに見られた「LGT」のロゴマーク。中継で目にした人も多いのではないでしょうか。

「LGT」は大会のメインスポンサー、リヒテンシュタインのプライベートバンク、LGT銀行(LGTリヒテンシュタイン銀行= Liechtenstein Global Trust)のロゴマークです。LGT銀行は中央ヨーロッパのリヒテンシュタイン公国に本拠地を置き、世界20カ国以上でプライベートバンキングサービスを提供しています。プライベートバンク、プライベートバンキングサービス、リヒテンシュタイン、そしてLGT銀行についてなどを調べてみました。

LGT銀行のプライベートバンキングサービスとは

「プライベートバンク」「プライベートバンキング」という言葉を耳にすることがあるのではないでしょうか。プライベートバンクやプライベートバンキングサービスはヨーロッパのスイスなどで始まり、発達してきたものです。富裕層向けに資産の運用、不動産の管理、投資の管理などを行っており、包括的にサポートする専門の金融機関・銀行がプライベートバンクです。

LGT銀行はリヒテンシュタイン公国の「プライベートバンク」であり、世界中の法人・個人顧客に「プライベートバンキングサービス」を提供する金融機関・銀行です。しかし、マスリテール銀行のように身近な存在の金融機関とはいえないため、その事業内容がわからないという人も少なくないでしょう。日本でも富裕層に対して、外資系のプライベートバンク、スイスのUBSやクレディ・スイスなどが事業を展開しています。

プライベートバンク(Private Bank)という金融機関は資産額が一定以上の富裕層顧客を対象にして、銀行や証券・信託・保険・不動産などを総合的に資産管理、資産運用するサービスを提供しています。対象となる顧客の資産額はプライベートバンクによって異なりますが、一般的にその目安は不動産を除き、米ドルで100万ドル、日本円で1億円以上の最低預け入れ金融資産、運用資金が必要とされています。

また、みずほ銀行や三井住友銀行、三菱UFJ銀行といったマスリテール銀行や野村証券、大和証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券といった証券会社がプライベートバンキングサービスを提供し始めています。こうした金融機関が富裕層顧客に対して、プライベートバンクと同様に銀行や証券・信託・保険・不動産などを総合的に資産管理、資産運用するサービスがプライベートバンキングサービスと呼ばれています。

LGT銀行はリヒテンシュタインのプライベートバンク

プライベートバンクとして、世界的によく知られているのが、LGT銀行(LGTリヒテンシュタイン銀行= Liechtenstein Global Trust)です。カーリング女子世界選手権のスポンサーとなったことから、日本でもそのロゴマークが試合中継でなんども映りました。

LGT銀行の本拠地は中央ヨーロッパの立憲君主制国家、リヒテンシュタイン公国。経営の母体となっているのはリヒテンシュタイン公国を統治しているリヒテンシュタイン侯爵家です。現在、LGT銀行の会長はフィリップ・フォン・ウント・ツー・リヒテンシュタイン公子、LGT銀行のCEOはマクシミリアン・フォン・ウント・ツー・リヒテンシュタイン公子が務めています。

LGT銀行はリヒテンシュタイン侯爵家のファミリー・オフィスとして蓄積してきた資産管理や運用のノウハウなどの専門知識や経験を活かし、リヒテンシュタイン侯爵家からの資産の多く、そして世界各国の法人や個人顧客の資産を預かり、総額約2,000億スイスフラン、日本円で約24兆3401億8114万円を管理・運用することによって、顧客にも利益をもたらしています。

このLGT銀行の起源は1921年5月に設立されたリヒテンシュタイン銀行です。リヒテンシュタイン侯爵家が1930年、リヒテンシュタイン銀行の株式の過半数以上を取得し、大株主となり、銀行経営に乗り出します。その後発生した世界恐慌や第2次世界大戦といった世界経済の危機を乗り越え、発展し、今日のLGT銀行となっています。
現在、LGT銀行はヨーロッパや北米、アジアと、世界中に20以上の拠点を展開し、3,800人以上の従業員がビジネスに携わる大手プライベートバンクとなっています。そして、LGT銀行はプライベートバンキングサービス、アセットマネジメントサービスを個人、法人顧客に提供しています。

LGT銀行があるのはリヒテンシュタイン公国

リヒテンシュタイン公国の国土面積は約160平方キロメートルであり、日本の小豆島とほぼ同じ面積です。ヨーロッパだけでなく、世界の国々の中でも小さい国の一つとして知られています。総務省統計局の「世界の統計2021」によれば、リヒテンシュタインは「面積の小さい国」で第6位となっています。人口は約3万8000人。首都はファドゥーツ。元首はハンス・アダム2世リヒテンシュタイン侯です。

スイスとオーストリアの間を流れるライン川の右岸に位置しているリヒテンシュタインはスイスのチューリッヒから約130km、バーゼルから約190km、オーストリアのインスブルックから約170km、ドイツのミュンヘンから約240km、シュトゥットガルトから約270km、イタリアのミラノからは約250km、とヨーロッパ各国の主要都市から近く、ヨーロッパでビジネスを展開するためのロケーションに恵まれています。

LGT銀行の他にも世界的に知られている企業がリヒテンシュタインにはあります。建設用の工具・材料を製造・販売する企業のヒルティ、薄膜コーティングで知られるエリコンバルザースといった企業がリヒテンシュタインを代表する企業として知られています。

リヒテンシュタインは2008年のリーマンショックに端を発する世界経済が金融危機に陥った数年間を除き、バランスの取れた国家予算を計上し続けています。政府負債がない、世界でも数少ない国の1つとして知られています。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)はリヒテンシュタインの国別信用格付けをAAAとしています。

潤沢な資本準備金、バランスのとれた国家予算などにより、財政は安定し、高い安全性もあることから、リヒテンシュタインには中小企業、大企業が集まり、世界的に競争力のビジネスセンターとして発展してきました。現在、リヒテンシュタイン公国には約4000社の企業があり、世界有数の工業先進国となっています。また、国際的に高い評価を得ているアセットマネジメントサービスを提供している金融機関・銀行がリヒテンシュタインの経済を支えています。

リヒテンシュタインは国連のほか、WTO(世界貿易機関)、EEA(欧州経済領域)、欧州評議会、EFTA(欧州自由貿易連合)、OSCE(欧州安全保障協力機構)に加盟しています。

LGT銀行はリヒテンシュタイン、EUのガイドラインに従って事業展開

リヒテンシュタインの金融関連に対する規制は、EUのガイドラインに従っています。また、リヒテンシュタインは透明性と情報交換について、OECDの基準を採用しています。加えて40カ国以上と国際二重課税防止条約、租税情報交換条約(TIEA)といった条約を締結しています。

LGT銀行とリヒテンシュタイン公国との関係を見ると、LGT銀行はリヒテンシュタイン公国のプライベートバンクであり、リヒテンシュタイン公国を統治しているリヒテンシュタイン侯ファミリーの資産管理・運用を行っている金融機関ですが、法人、個人の顧客に対してもプライベートバンキングサービスを提供しており、そのサービス品質は顧客からは高い評価を得ています。

リヒテンシュタインの金融機関はリヒテンシュタイン金融市場局(FMA)の監督下に置かれ、マネーロンダリングやテロ資金供与を防ぐシステムが導入されています。LGT銀行ももちろん、リヒテンシュタイン公国にある他の金融機関と同様に、リヒテンシュタイン金融市場局(FMA)の監督下で事業を行っています。

LGT銀行は第三者機関から高い格付け評価

LGT銀行は1930年、リヒテンシュタイン侯爵家が経営を持つことにより、1930年代にアメリカを皮切りに世界的に波及した深刻な経済恐慌、第2次世界大戦という危機を乗り越えました。1950年代、1960年代の世界経済発展期、LGT銀行はリヒテンシュタインの産業発展・拡大に重要な役割を果たしてきました。

LGT銀行には株主資本総額は法律上の要件をはるかに上回るという強固な自己資本があります。第三者格付け機関による信用格付けで、1996年に最初の格付けを受けて以来、常に高い格付けを維持しています。LGT銀行は現在、信用格付け機関のMoody’sからAa2、Standard & Poor’sからA+という格付け評価担っています。

また、LGT銀行はオーナーであるリヒテンシュタイン侯爵ファミリー、そして個人、法人顧客のために資産管理と投資運用を行う会社であり、また、長期的な視点、さらには社会貢献も意識した事業展開していることが知られています。

LGT銀行グループのアセットマネジメントを行なっているLGTキャピタル・パートナーズは世界でも一流のアセット・マネージャーたちがシステマチックな分散化を図った投資を行なっていることが知られています。投資先の選定においては深い分析力とマーケット全体を見渡す視点を持って実施しています。魅力的であるにも関わらず、ニッチ分野において過小評価されたところを選定し、投資に注力しています。

LGT銀行は投資は社会貢献的側面も

LGT銀行のCEO、マックス・フォン・ウント・ツー・リヒテンシュタイン公子は「我々にとって、サステナビリティとは、社会に対して責任ある方法で、また、長期的かつ全体論的な視点をもって活動を行うことを意味します」と持続可能性について語っています。

次世代社会を構築していく上で持続可能性(サステナビリティー)を追求していくことが求められています。LGT銀行、そしてLGT銀行のオーナーであるリヒテンシュタイン侯ファミリーはこの持続可能性を重視しています。その取り組みが見えるのはLGT銀行が行っている環境問題対策や社会貢献的な意義を持つ投資活動です。

LGT銀行がインドで行なっている投資活動は注目されているものの一つです。ムンバイの「エデュケート・ガールズ」はインドの遠隔農村地域に住む少女たちの両親や地方自治体に直接会いに行き、少女たちが良い学校教育を受けることの利点について説得し、少女たちが学校に通えるようにするという取り組みを行なっています。LGT銀行はここで投資を行なっています。

また、ケニアでは、500万もの世帯で電気を使うことができず、高価な燃料を燃やすランプを使用しています。これは環境・健康に良いとは言えません。そこで携帯電話を経由して少額の分割払いで弁済できる安価な太陽光発電システムを購入できるようにしたM-Kopa Solarに対して投資するなど、LGT銀行は社会貢献的な意味を持つ投資を行っています。

LGT銀行はエネルギー問題にも取り組み

2018年、LGT銀行は2025年までに達成を目指すサステナビリティーの目標を策定しました。LGT銀行が達成目標として、掲げたものの中には2025年までに、世界中の自社ビルにおけるエネルギー需要の100%を再生可能エネルギーでまかなうという実行目標があります。すでにスイス、リヒテンシュタイン、オーストリアにおけるLGT銀行の拠点では認証された再生可能エネルギーのみが使用されています。

まとめ

リヒテンシュタイン公国に本拠地とするLGT銀行は1921年に事業をスタートし、今年100周年を迎えました。リヒテンシュタイン侯爵ファミリーのプライベートバンクとして、また個人、法人にプライベートバンキングサービスを提供する会社として、成長・発展を遂げています。LGT銀行は安定的、安全性の高い資産管理・運用だけでなく、持続可能性を念頭に置いた、社会貢献的意味を持つ、さらには慈善的な精神を持つ投資活動なども行っています。そして、LGT銀行は投資活動においても、環境、社会、ガバナンスでリスクがある投資は行っていないことを宣言していることが知られています。

LGT銀行の沿革

  • 1920年 創立総会

  • 1921年 5月、行員10名で業務開始。政府庁舎の1階に事務所を借用

  • 1930年 リヒテンシュタイン侯爵家が株式の大多数を買収

  • 1970年 Prince of Liechtenstein Foundationの設立、LGT Foundation の信託受益者として資本を譲受

  • 1982年 最初の海外業務拠点としてロンドンに駐在員事務所を設置

  • 1983年 チューリッヒにてBilfinanz und Verwaltung AGを設立

  • 1984年 ファドーツにてBIL Treuhand AGを設立

  • 1986年 リヒテンシュタインの銀行が国営になる

  • 1989年 ロンドンのGT Management PLCを買収

  • 1990年 ファドーツにてBIL GT Group AGを設立

  • 1996年 BIL GT Groupは改称して、Liechtenstein Global Trustになり、BiLはLGT Bank in Liechtenstein AGとなる

  • 1998年 資産管理部門の売却、LGT Group の再編、ハンス・アダム2世の弟フィリップ公子が理事会会長に就任

  • 2003年 LGTグループはスイス生命からSchweizerische Treuhandgesellschaft STGを買収

  • 2005年 STGがLGTに

  • 2006年 ハンス・アダム2世の次男マクシミリアン公子が最高経営責任者に就任

  • 2021年 5月 創立100周年

  • 1921年 5月、行員10名で業務開始。政府庁舎の1階に事務所を借用

LGT銀行の概要

社名 LGT銀行(LGTリヒテンシュタイン銀行= Liechtenstein Global Trust)
会長
フィリップ・フォン・ウント・ツー・リヒテンシュタイン公子
CEO マクシミリアン・フォン・ウント・ツー・リヒテンシュタイン公子
所在地 Herrengasse, 12 FL-9490 Vaduz, Liechtenstein
拠点所在国 オーストリア、フランス、ドイツ、スイス、英国、米国、オーストラリア、中国、香港、シンガポールなど
コーポレートサイト https://www.lgt.com/en/
主要業務 プライベート・バンキング・サービス、国際アセットマネジメントサービス
CEO マクシミリアン・フォン・ウント・ツー・リヒテンシュタイン公子