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建設業、今のままだとヤバい。






共栄建設のインターンシップに参加し、『建設業の課題』というテーマに基づき『検索しても出てこない、生の建設業』に触れていく実習を経て導き出した、現在の課題やその解決方法を報告することを目的として当WEBページを作成。


【0】相容れない需要と供給


就職を控える学生と、若者を求める建設業界。需要と供給という面ではマッチした二つの存在だが、しかし学生の候補として何故か建設業が挙がる事は少ない。
実際、自分は今回のインターンシップに参加するまでは候補として考えてすらいなかった。「他専攻だから」と見切りを付けている、と理由を決めつけていたが、議論、思案していく中で、それ以外にも理由が存在するのではという考えに至り、更に考えを巡らせると、それは個人の問題だけではなく、建設業界隈の問題であり、解決すべき事であると筆を執った次第である。

【1】大学生から見た建設業

【2】建設業界から見た建設業

学生と中の人とでは考え方にギャップが生じていた。

二つのイメージマップを比較してみて、一番最初に目につくのが大きさの違いだ。
イメージマップというものは、そのモノに対しての率直なイメージの総合であり、大きさは知識の量に直結するものである。だとすると、大前提として『建設業』というモノ自体が、世間一般からするとあまり知られていないということが伺える。
また内容を見てみても、違いが判る。それは中身の深さだ。
世間一般である学生のイメージはふわっとしていて、抽象的なモノが多いのに対し、中の人が思うイメージは自らの知識からくる具体的なイメージが多く見られた。これは前述の建設業があまり知られていない、という事とも繋がっている。
二つの違いに共通するのは、やはり知識量の差であろう。
建設業に携わる人が知識を持つ事はおかしいことではないので、結局一般人があまりにも知らなすぎるという点が考え方のギャップを生んでいるのだと考えられる。

出典元




ギャップ(ずれ)は何故生まれるのか…



【3】建設業の技術労働者内訳

技術労働者の高齢化、大量離職の見通しがある為、建設業界隈の若年入職者が求められている。しかし、希望とは裏腹に若年層の割合は減る一方となっている。
いずれ回復するだろうという楽観的な考えなど通用せず、数年後、数十年後になれば、このグラフはより顕著になっていくであろうという事は誰の目から見ても明白である。

出所:総務省「労働力調査」を大地に国土交通省で算出

【4】少子高齢化の進行と人口減少の到来

周知されているように国全体でも少子高齢化、人口減少が加速している。
その波が【3】のように建設業に対しても大きく打撃を与えている。

出典:総務省 情報通信白書「図表4-3-2-1 我が国の人口の推移(再掲)」

【5】建設業の技術労働者減少の縮図

インターンで話を聞いてみた限り、界隈全体の動きとして建設業志望の学生に対してのアピールは多く見受けられるのだが、他専攻の学生に対してのアピールが少ないという印象があった。【3】のように圧倒的に10代後半から20代前半の割合が少なくなっている、その母数の少ない層に対してアピールしているわけだ。
果たして、この動きは建設業全体の技術労働者が増えていくものなのだろうか。答えはだ。
で、あるからして、一般層に対してのアプローチを怠っているという界隈の動きは、全体の技術労働者人口の減少へとつながっていくわけで、些かナンセンスだと思われる。
以上のような動きもあって、内外でギャップが生じたという形に至ったのだ。



一般層に対してのアプローチ実例(浜松市)


【6】市主催の下水道工事現場のイメージアップコンクール

怠っていると表現したが、一応一般向けの土木のイメージアップを図った活動も市主催で行われている。今年(平成29年度)で15回目と、長きに渡って改善に努めてきているのだが……。
自分自身の知見不足かもしれないが、生まれ育ったこの街で当該の活動をしていた事自体初耳であった。
単純計算で15年前からこういった活動をしていたという事ならば、どの段階でも知る由があったはずだというのに、何故知ることはなかったのか。
それは賞を取った会社の取組みを見てみると一目瞭然であった。

出典:下水道工事現場のイメージアップコンクール / 浜松市

三年間のコンクール受賞歴

全体的に見て、拡散力に欠ける広報活動が多々見られる。
受賞歴に多く見られる看板などの広報活動は『地域』に対しては効果を発揮するとは思うが、市全体と考えた場合、効果を失ってしまうモノだと考えられる。それらは実際に目にすることでやっとその存在を知ることが出来るからだ。
数年前、数十年前においてはポピュラーな広報方式ではあったのだろうが、インターネットが普及した昨今、拡散力としては井戸端や回覧板、地域単位とは比べ物にならない、世界に対して拡散できる媒体が存在しているにも関わらず、ソレを利用しない前時代的なモノが多すぎるのが現状であり、市民の周知に繋がっていないのがその理由である。



一般層に対してのアプローチ実例(国)
 

【7】建設産業人材確保・育成推進協議会

市単位でのイメージアップは【6】で示したが、では、国単位ではどういった動きがあるのだろうか。
調べてみると、これまで行政・各建設業団体・各建設関連企業等において実施されてきたようだ。
(社)日本建設業団体連合会(日建連)加盟企業、(社)全国建設業協会加盟の都道府県建設業協会、及び(社)建設産業専門団体連合会(建専連)加盟団体に対してアンケートを平成14年11月~平成15年1月を行い、その結果から建設業のイメージアップ活動へと発展させていた。奇しくも【6】の始動と時期的には被っていることから、その時期から国や市は懸念を抱いていたという事だろうか。
まあ、余計な詮索はさておき、来年度に計画されている具体的な内容へと移ろうと思う。

出典:建設産業人材確保・育成推進協議会

建設産業人材確保・育成推進協議会 平成30年度事業計画

115ページにも及ぶ平成30年度の事業計画であるが、内容としては何処か古臭い、使い古されたモノが割と見られた。
結局は各地域毎の建築業協会が集まって立案したモノで【6】のような古い形態の集合体のような気がしてならなかった。がしかし、その中でも現代化に適応しようと、SNS(インスタグラムやユーチューブ等)を利用した地方の建設業協会が、少なからずではあるが存在する事も又事実としてあった。
【3】【4】から窺い知れる、技能労働者の大量離職と少子高齢化社会の波を憂い、努力している地方の存在はある意味希望ではあるが、同時に現段階でもその程度という不安を過らせるモノでもある。
年々、若年入職者が減っていく原因と、先進的な技術を取り入れる事への抵抗という古い形態の例は、悪い意味で合致しているモノだとこの事業計画から考察し得る。

出典:第28回 建設産業人材確保・育成推進協議会 運営委員 / 建設業振興基金


市と国の建設業のイメージアップを図る活動は、直接的な就職活動への結び付けには至っていない。(前段階で自分自身が『建設業』という候補を挙げてないことから)
中途段階であるという事もあるが、確実に意識や知識の『ギャップ』がそうさせていることは明白で、中の人が一般層に目を向けていないという現状が打破されない限り、これからの技能労働者の大量離職の波に対応できなくなるだろう。
しかし、その中でも希望は存在していて、未来は決して暗鬱なモノではないことも確かであり、絶望にはまだ早すぎるとも思う。
だからこそ、危惧と安堵の両者を傍らに置き、今一度考え方を改める必要があると思われる。


『若者目線』を履き違えるな


一括りに『若者』とするが、直近で解決し、その後の対策を練るのは就職を控えた学生だ。だというのに、小学生や幼稚園に向けて情報を発信。親世代に向けて情報を発信。それはナンセンスとしか言いようがない。
新しい現代化という波に乗る為に必要な船は、未来のモノでも、過去のモノでもなく、『現在の船』だ。