2021.9.12sun〜9.26sun
楠井沙耶「そぞろ歩くあたり」


From the Exhibitor 

自宅の庭と近所の池を何度も歩いて、ここで起きていること、ここに生きるものを知りたいと思いました。
場所の記録や、生物とのやりとりがならぶ展覧会です。




//

この度、そのうちcafeでは大阪を拠点に活動する楠井沙耶さんの個展を開催します。自宅の庭や近所のため池の動植物や自然を日々ていねいに観察した記録から生まれた作品を展開。

「よく知っているはずの風景の中で、見知らぬできごとが日々起きている事実をどうやって知ることができるのか、その実践です」

池にいる亀の姿をループした映像や、自宅の庭を彫り込んだ木、植物の版画など、観察場所の生物に焦点を当て、その動きや存在を浮かび上がらせます。

「木版画は黒の一色摺です。昨年作成した『おはなしのひろば ハーモニカ 』という本の表紙絵をきっかけに制作が始まりました。小さなものの動きや過ぎ去っていく出来事を覚えておく作業です。映像は、自宅からアトリエにいく道中にため池があり、そこで亀と時間を共有することを目的とした映像作品です。また、木は私にとって、身近な生物として重要な存在です。自分のイメージをはめ込む素材としてではなく、伐採された木がその後も植物のままいられることができるのか、そんなことを考えて試行錯誤しています。」

同じ場所を何度もゆっくりと歩き、その場所やそこにいる生物をもっと知りたいと思った時、記録のようなものが必要になったのだといいます。

「人間の目や耳、体感をたよりに書かれたメモなど、記録と言っても数値が並ぶようなものとはかけ離れています。しかし確かな実感を伴う記録のようなものは、地図上の平坦な場所に起伏を与えるとともに観察者の身体をも想起させるのではないかと思っています。」

街中の小さな自然を感じられる公園に面したそのうちcafe。〝周りの環境との親密さ〟があらわれるこの場所は、本展にとってまたとない立地となっているのではないでしょうか。ぜひご高覧ください。


楠井沙耶(くすいさや)
1993年大阪府生まれ。2018年京都市立芸術大学大学院修士課程美術研究科彫刻専攻修了。現在、大阪府在住。
主な展覧会に「ハーモニカと晴れた日」(そのうちcafe、2020年)、「六甲ミーツ・アート2017 芸術散歩」(六甲山、2017年)、「さくら、メタセコイヤ、聴く」(京都市立芸術大学大ギャラリー、2017年)など。「六甲ミーツ・アート2017 芸術散歩」にて公募大賞準グランプリ受賞。2015年度京都市立芸術大学作品展奨励賞を受賞。
<過去作品>

左から「メタセコイヤと家族」,メタセコイヤ,2017年
「2020年はたけの夏」,木版画,2020年

「灰原池周辺の観察記録」,コピー紙、鉛筆,2020年~