裁判なんて自分には関係ない、関わりたくないと多くの人は考えます。
しかし望むと望まざるとにかかわらず人は誰でも日常生活や仕事上のトラブルに巻き込まれる可能性を持っています。
そして仕事や日常生活で起こってしまった法律上のトラブルを解決する方法の一つとして民事訴訟があります。
民事訴訟とは、個人と個人、あるいは個人と会社/その他の団体との法律的な争いを、中立な第三者である裁判官が双方の主張を聞き、証拠調べをして、法律的な判断を下し、紛争を解決する手続をいいます。
相手方に請求する金額が140万円までの場合は簡易裁判所が、140万円を超える場合は地方裁判所が、原則として第一審の管轄裁判所、つまり最初に訴状を提出する裁判所となります。
そして、「本人訴訟」とは弁護士、司法書士などの専門家に依頼せずに自分自身で裁判をすることをいいます。
裁判なんて法律の素人には無理だ、必ず法律の専門家である弁護士に依頼しなければならない!
手続が分からず不安だ、自分だけで法廷に立つことなどできない、お金をかけても弁護士に依頼することが絶対必要だ!
このように考える人もいると思います。
しかし弁護士、司法書士に依頼しなければならないという法律上の義務はありません。
刑事裁判と異なり民事裁判では弁護士(簡易裁判所では司法書士も)を代理人として付けることは強制されていません。
したがって一般の人でも第一審から最高裁判所まで本人訴訟をすることが可能です。
確かに複雑な法律問題を含む事件や人間関係が複雑な事件、何百万円単位の大きなお金が絡んでいる事件などについては法律の専門家である弁護士に依頼した方がよいでしょう。
しかし裁判の中には単純な売掛金/貸金返還請求、少額な物損交通事故、数十万円の残業代請求などシンプルで一般の方でも十分理解できるものがかなり含まれています。
また請求金額が60万円以下ならば「少額訴訟」という1日で終了する裁判システムを利用することも可能です。
最近はインターネットや書籍などで法律や裁判に関する情報がかなり普及していて、自分が抱える法的トラブルについての情報を入手しやすい状況となっています。
また、簡易裁判所では一般人が本人訴訟をすることが想定されているため、窓口に訴訟類型ごとの定型訴状やパンフレットが備え付けられており、手続自体についても窓口である程度は教えてくれます。
そして日本は世界中の国と比較しても本人訴訟の割合が比較的高いようです。
弁護士、司法書士に依頼するのはためらわれる、裁判費用を少しでも節約したい。
自分自身の力で問題を解決したい。
そうお考えの人は本人訴訟という方法を検討されてはいかがでしょうか。