心理学者アルフレッド・アドラー式にとらえると、熟考・熟慮型の性格の人は「決められない」のではなく「決めたくない」タイプです。私自身もその一人です。
決めてしまうことによって、それがうまくいかなかったときに、自分の実力不足が露呈するのを恐れているのです。
このタイプの人は、いつも決断に必要な材料不足を挙げます。「〇〇があれば〇〇できるのに」と、常にできない言い訳を探します。結局何も決められず、始められないことが多いです。
こうしたクセがある人は、完璧なシナリオをつくってから動き始めるのではなく、まずは先に動いてしまう反射神経を鍛える必要があるそうです。
そのために専門家が勧めるのは、できるかどうか考えずに「やります!」と宣言してしまうことです。動き出さないといけない状況に自分を追い込み「拙速」を体験するのです。
デッドラインを決めるときにも、できるだけ余裕を持った前倒しの締め切りを宣言しましょう。そして「前倒しなのだから100%の完成度にならなくても、できたところまでで提出してしまおう」。「やる気」が出たら「行動」するのではなく、「行動」するから「やる気」が出るといえるでしょう。逆の順番を実践せざるをえないよう自分を追い込んでいくのです。
熟慮型の人は頭でっかちで、少々理屈っぽいところがあります。そうした人について、専門家は「もっと体を動かしてはどうか」と勧めています。
特にデスクワークが中心のビジネスパーソンであれば、終日パソコンに向かっていて肩や首がガチガチに凝っている人も多いはずです。頭ばかりに血がいっている状態になりがちなので、体の隅々にも血液を流したほうがよいでしょう。
作業に行き詰まったなと感じたら、オフィス内を少し散歩してみましょう。あえて違うフロアのトイレに行ったり、座席の遠い同僚にひと声かけにいったり、ひと気のない会議室などでストレッチをしてもいいしょう。きっと新しいアイデアが浮かぶはずです。
出羽俊明