週刊少年ジャンプ掲載作品「鬼滅の刃」(きめつのやいば)の登場人物。人を喰う「鬼」の始祖、鬼舞辻 無惨(きぶつじ むざん)の腹心の部下であり、総員十二名で構成される精鋭部隊「十二鬼月」(じゅうにきづき)の筆頭、「上弦の壱」の位に座する。
人間であった時の名は継国 巌勝(つぎくに みちかつ)。双子の弟である縁壱(よりいち)と共に、戦国時代の武家に生を受ける。幼少時こそ、「忌み子」として父親から疎まれていた弟を不憫に思い、事ある毎に庇っていた。
しかし、専属の剣術指南役から稽古を受けていた際、ものは試しにと縁壱にも竹刀を握らせてみたところ、文字通りの瞬く間に指南役を叩き伏せてしまう。この時、巌勝は弟が忌み子どころか、天賦の才に恵まれている事に気づいてしまう。
このままでは、敬愛する兄を差し置いて自分が家の跡継ぎに指名されてしまう…そう危惧した縁壱は、母が他界した機に合わせて巌勝に別れを告げ、家を出奔(出家)する。
順当に家督を継いだ巌勝は、妻を娶り、子を設け、長閑とも言えるほどの時を過ごす内に、縁壱の存在も忘れかけていた。
そんな折、世に戦が起きた事によって巌勝は甲冑に身を包み、配下の者を率いて戦場に赴いた。そこで野営をしていた際、物語の中の夢想の産物だと思っていた「鬼」という生き物と遭遇した事により、それまで長閑に流れていた時が大きな脈動を伴って動き出す。
颯爽と現れたかと思いきや、瞬く間に刀で鬼を斬り伏せた男は誰あろう、永らく行方知れずとなっていた弟であった。縁壱は「鬼殺の剣士」と為って、夜の闇の中で人を喰らう生き物と戦っていたのだ。
かつて、童心ながらに抱いた「この国で一番強い侍になりたい」との願いに、再び火が灯された。家督を、そして妻子をも躊躇うことなく捨てた巌勝は、刀一本のみを携えて縁壱の許に赴き、黎明期であった「鬼殺隊」の一員となった。
以来、「全集中の呼吸」の開祖となった縁壱と同じ「日の呼吸」を身に付けるべく鍛錬を重ねるが、いざ習得できたのは「炎」や「水」と同じく、派生である「月の呼吸」であった。