美学校は、既存の学校教育に対するアンチテーゼとして、1969年に現代思潮社によって設立されました。2012年に開講した「超・日本画ゼミ(実践と探求)」(講師:間島秀徳+小金沢智+後藤秀聖)は、今の時代を自立した作家として生き抜くために、実践の可能性を徹底的に探求する講座です。小規模な塾制度において日々修練が重ねられていた、かつての日本画の習得の場を現代に応用し、基礎素材論、模写、古典から現代までの作家研究などをゼミ形式で開催しています。ゼミのカリキュラムの一環として、毎年恒例となっている超・日本画ゼミのグループ展。第7期生が主催する今回は、ゼミ読書会の課題図書、宇佐美文理 著 『歴代名画記』<気>の芸術論 からインスピレーションを受け発足しました。
〝ここで強調しておきたいのは、我々が「一般的な考え方としているものに、中国の芸術論が深く関わっている」、というその事実である。〟
同書のプロローグでこう語られているように、現代日本で生活する私たちの芸術に対する価値観は、中国の古の芸術論の影響を多大に受けています。そして、中国の芸術論の根幹を成すのが、目には見えない「気」という存在です。『歴代名画記』が記された時代の中国では、気の存在は自明であり、それを疑う人はいませんでした。一方で、科学で気の有無が解明されていない現代では、気の存在を完全に信頼して生活を営むのは困難を伴うものでしょう。国を超え、時代が変わり、気の受け止められ方が変化する中で、絵画をどのような視点で生み出し、読み解くか?という問題も絶えず変化しています。私たちは 、『歴代名画記』<気>の芸術論 を通し、いままで意識することのなかった気と芸術について理解しようと試み、さらに「自分にとって気とはどんな存在か?」という問いをたて、その答えを言葉と絵画で表現し持ち寄ります。
1989年東京都生まれ。2013年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。大学時代に学んだ解剖学の知識を生かし、卒業後はメイクアップアーティスト、エステティシャンとして美容業界で勤務。2015年に起業し、現在はエステサロンを経営している。2016年に絵画制作を再開。2017年度、2018年度に 美学校 超・日本画ゼミ を受講。
【主なグループ展】
2013年 東京藝術大学卒業作品展
2016年 “Group Show~ Sommes-nous heureux?”(バンビナートギャラリー)
2018年 美学校 ビジュアルコミュニケーションラボ修了展
【略歴】
東京都生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科卒。現在はゲーム会社でUIデザイン、イラストを担当している。近代以前の日本美術、浮世絵に惹かれ一から日本画の手法を学びたいと思い美学校の超・日本画ゼミに参加。仏教美術の華やかさや緻密さを表現する作品を作成している。
1991年中国湖北省荊門市生まれ。2009年 武漢科技大学城市学院環境デザイン専攻入学。2013年同大学卒業後、上海で友人たちとゲーム会社KDRAWを設立しデザインの仕事に携わる。2015年 KDRAWを解体し、キャラクターデザインやインテリアデザインの仕事に従事する。2017年 来日。2018年 美学校「超・日本画ゼミ」受講。2019年 東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻日本画第一研究室 入学。幼少期は中外古典文化に興味を持ち、絵画、バイオリン、琴を学ぶ。中国でデザインの仕事に携わるうち、表現することへの不自由さを感じ、来日。芸大の学園祭で初めて日本画という存在を知り、魅了されたことがきっかけで日本の美大への進学を決意。街中の電車や電線、排水溝などの人工物と自然物の調和などをテーマに描いている。
1988年 香川県生まれ。2018年度 美学校 超・日本画ゼミを受講。2019年 武蔵野美術大学油画科3年次編入学。
プロレス観戦愛好家であるゼミ講師の間島秀徳が、出展作家であるゼミ生を「画家レスラー」に見たててプロデュースし、作家として生きていくために必要な自己アピールの方法を講師とゼミ生が双方向的に模索します。