見捨てられたユースに
 テロリストではない未来を

NPO法人アクセプト・インターナショナル
海外事業局 ケニア事業部

理念とミッション
 『NPO法人アクセプト・インターナショナル』は、テロと紛争の解決を目指し、その実行者となりうる人々を「受け入れる」姿勢を軸に、学生と社会人がそれぞれの立場を最大限に生かして活動する団体です。

 私たち『海外事業局 ケニア事業部』は、ケニアの首都ナイロビ・イスリー地区で治安悪化の主要因とされ、テロ組織にリクルートされる可能性があるとも言われているソマリアギャングの社会復帰を支援することで、将来起こりうるテロを予防し、地域の治安改善に寄与します。
基幹プロジェクト
Movement with Gangsters

葛藤の中で苦しむソマリアギャング

 私たちの活動対象地域であるケニア・ナイロビのイスリー地区は、人口の90%以上がソマリア人で構成されています。そこでは深刻な治安悪化が問題となっており、その主要因がソマリアギャングであると言われています。彼らは窃盗行為や暴行、殺人などの犯罪行為を繰り返しており、また一部のギャングはソマリアのイスラム過激派組織「アル・シャバーブ」とつながりがあるとも言われていることから、「テロリスト予備軍」とも呼ばれ社会から疎外された存在です。
 一方で、彼らは15~29歳の若者です。ゆえに、将来「社会を変革する主体者」ともなり得る可能性を持っています。様々な理由で社会から排除され隔絶された存在である彼らですが、世界中の多くの若者と同じように、たくさんの夢や目標を持っています。

同じ若者だからこそできる「テロ予防」

 そのようなギャングと、私たち学生は「同じ若者」です。若者であるという共通点、これからの社会を担っていく存在であるという点で私たちは同じ立場にいます。
 このような共通点を生かして、同じ立場・目線に立った対話を重視したアプローチで「社会を変革する仲間」として彼らを迎え入れ、彼らの中に社会変革の主体者としての自覚を生み出します。それによって、ギャングの「脱過激化(=現状以上に過激化しテロ行為に加担することを防ぐ)」、及び「積極的社会復帰(=さらに意思を持って社会に働きかけている状態を促進する)」を目指しています。そして、「テロリスト予備軍」とも呼ばれる彼らに対してアプローチをすることはイスリー地区の治安改善、また将来のテロ予防にもつながるのです。

実施事業詳細

 “Movement with Gangsters”では、以上の図の流れに沿って1人の参加者に対し1年半(プロジェクト実施数約3回)かけて働きかけを行うことで、「社会変革の主体者」としての意識を強め、積極的社会復帰及び脱過激化の達成を目指します。

 日本メンバー渡航時の1ヶ月間に行う意識改革プログラム(①参加型議論と講義、②社会貢献活動、③修了式)リーダーシップ講座、日本メンバー帰国後の5ヶ月間に行う薬物更生プログラムカウンセリング、また参加者の段階に応じたスキルトレーニングプログラムの提供と就労支援により成り立っています。

 ギャングのプロジェクト参加形態としては、「リターニングシステム」を導入しています。本システムにおいては、1回目に受け入れたギャングは「新規参加者」として参加することで自身の可能性や潜在能力、受け入れてくれる社会の存在に対する意識を醸成します。2回目では、「スタッフ」として当事業部と雇用契約を結び、プロジェクトスタッフとして運営の一部を担うことで責任感を持ち行動することを目指します。スタッフとしての参画を経験した後の3回目は、「ボランティア」として他の参加者達を導き、無給でプログラムに参加します。このように、様々な立場から事業に関わることで、私たちへの仲間意識や社会復帰への自信が醸成され、「積極的社会復帰」が進むと考えています。

意識改革プログラム
 意識改革プログラムでは、① 参加型議論、② 社会貢献活動、③ 修了式を行います。①では、彼ら自身が抱える問題について議論し、その解決策を考える機会を設けます。②では、その解決策を社会貢献活動として参加者主導で実施し、社会に対して合法的な手段で行動した経験を得る機会を設けます。③では、一般社会から参加者達の行った社会貢献活動に対する賞賛を示すことで、受け入れてくれる社会の存在に気づいてもらう機会を設けます。
リーダーシップ講座

 リーダーシップ講座では、意識改革プログラムの社会貢献活動で起こした行動を日本メンバー帰国後も持続的なものにしていくため、渡航者とフィードバックを行いながら、参加者個々人が向こう5ヶ月間の具体的な行動計画を立てます。

薬物更生プログラム
 多くのギャングは、薬物依存に悩まされ日常生活を健全に送ることができていません。薬物更生プログラムでは、スポーツと医療的なアプローチの2つの側面から、参加者の寛解へ向けた取り組みをサポートします。①スポーツにおける取り組みは、事業への参加者で構成されるフットボールチーム「Rising Suns」で行われています。スポーツに取り組むことによって、ストレスや鬱憤の発散手段として薬物に手を出すことを予防します。②医療的なアプローチでは、現地の専門的な機関と協働しカウンセリングや心理的トレーニングの実施を通じて薬物依存状態の緩和を狙います。
カウンセリングプログラム
 カウンセリングでは、当事業部メンバーが定期的に参加者に連絡し、彼らの現状把握や日々の悩みの相談を通じ、参加者との仲間意識の持続を目指します。
スキルトレーニングプログラム
 スキルトレーニングでは、「積極的社会復帰」に向けた自信の醸成を狙い、現地教育機関と協働し、プログラミングや経理のスキルなど実際的な職の獲得に必要なスキル取得に向けたプログラムを提供します。
就労支援プログラム
 就労支援では、実際に社会に復帰することの1つの形である職の獲得に向けて、現地NGOや識者に調査を行い、現地での就職に向けた有益な情報を提供します。
カウンセリングプログラム
 カウンセリングでは、当事業部メンバーが定期的に参加者に連絡し、彼らの現状把握や日々の悩みの相談を通じ、参加者との仲間意識の持続を目指します。
参加者の声
君たちは僕の目を開き、希望を与えてくれた。僕が行動するように変えてくれたのは、紛れもなく君たちだ。
今後は、大学で土木工学を学ぶよ。内戦でボロボロになっている母国のソマリアを助けるのが夢だから。
第4弾参加 アブディラシド
君たちと話をして、希望が持てた。若者には多くの変わる可能性があることを自覚できてからは、自分の行いを見直したよ。今は薬物や窃盗に手を出すのをやめ、代わりに他のユース達とフットボールに打ち込んでいるんだ。
第6弾参加 ジャンジェズ
君たちと話をして、希望が持てた。若者には多くの変わる可能性があることを自覚できてからは、自分の行いを見直したよ。今は薬物や窃盗に手を出すのをやめ、代わりに他のユース達とフットボールに打ち込んでいるんだ。
第6弾参加 ジャンジェズ

  

上記のようなプログラムに加えて、効率的に事業を運営・管理するための
PCM(Project Cycle Management)手法を用いた計画・管理・評価体制の構築など、事業が発足してからの約4年間、彼らの状況に応じて事業体系を発展させ続けています。
主な活動例
Kenya, I'm Not a Terrorist
2014年にケニア国内で大規模に実施された警察によるソマリア人の不当な拘束活動を受け、SNS上で発足した抗議運動。この運動はBBCやAl Jazeera等の国際メディアに取り上げられ、高い評価を頂きました。
ドキュメンタリー制作
「社会に本当の僕らの姿を知ってほしい」という参加者からの提案で、差別軽減を目的としてドキュメンタリー“Real Gangsters”を製作しました。本編は左の丸い写真をクリックするとご覧頂けます。
ドキュメンタリー制作
「社会に本当の僕らの姿を知ってほしい」という参加者からの提案で、差別軽減を目的としてドキュメンタリー“Real Gangsters”を製作しました。本編は左の丸い写真をクリックするとご覧頂けます。
“Rising Suns”設立
参加者にギャンググループ以外の帰属場所を作ること、薬物や窃盗などの反社会的行為から距離を置くことを目的として、フットボールチーム“Rising Suns”が設立されました。プレーに必要な用品は、全て日本の企業・大学の部活動から寄付していただきました。
啓発活動
「自分のようなギャングをこれ以上生み出してはいけない」という参加者の発案で、地域の子供へ向けた講演活動を行いました。この活動は、反社会的組織への参加の一因となるドロップアウトの予防を目的としています。
啓発活動
「自分のようなギャングをこれ以上生み出してはいけない」という参加者の発案で、地域の子供へ向けた講演活動を行いました。この活動は、反社会的組織への参加の一因となるドロップアウトの予防を目的としています。
外部からの高い評価

前身である日本ソマリア青年機構の時代から続く“Movement with Gangsters”は、クラウドファンディングサービス“Ready for?”の2度の達成や各種助成金による皆様の支援により支えられ、在ケニアソマリア連邦共和国大使館や、アフリカ連合ソマリアミッション等から公認・後援をいただくなど、外部の方々からも高い評価をいただいております。

事業部メンバーの声
様々な理由で社会から疎外された人々を「受け入れる」こと、卑近な例では難民問題を見ていただければ分かる通り、簡単なことではありません。しかしだからこそ、同じ若者としてギャングを受け入れるこの活動は価値を持っていると思います。
事業部長
渡部 耀元
大学院でアフリカの紛争やテロについて学んでいますが、理論と現実との間に大きなギャップを感じていました。加入した今、「対話を通じた紛争解決」の可能性を信じ、活動に励んでいきたいと思います。
事業部メンバー
澄川 みずき
大学院でアフリカの紛争やテロについて学んでいますが、理論と現実との間に大きなギャップを感じていました。加入した今、「対話を通じた紛争解決」の可能性を信じ、活動に励んでいきたいと思います。
事業部メンバー
澄川 みずき

 

2013年の事業発足以来、多数の実施回数を重ねて
Movement with Gangsters は進化して参りました。

これまでの運用によって獲得した確固たるプロジェクト基盤を
より活かし、発展させて行くために、
ギャングと同じ「若者である」あなたの力が必要です。

私たちと共に紛争とテロの解決へ立ち向かってみませんか?