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サイトに込める想い
「血球貪食症候群」
この病名を皆さんはご存知でしょうか?

私自身、この病気を発症する時まで
どんな病気なのかも、一切知りませんでした。

そんな私が、ある日突然倒れ
自分の病気が血球貪食症候群だと知ったとき
全然情報がインターネットでは上がっていない事実に
驚愕したことを今でも覚えています。

この病気自体、まだ認知度が低く
インターネットで検索しても情報が出てこないのが現状です。

そんな中
私が今できることは何だろうと考えたとき
自分の体験したこと、知りうる情報を、発信していくことだと思い、今回このようなサイトを作ろうと思いました。

この私の経験が
誰かのお役に立つことができれば、幸いです。


2018年2月25日  mikiko

血球貪食症候群とは
自分の血球を、自分で食べてしまう病気。
血液の中にある正常な血球を
免疫細胞(マクロファージ)が根こそぎ食べてしまう病気のこと。
(自分の血球を、自分の免疫細胞がパクパク食べてしまう)

急激に体内の血液細胞が減少するため、対応が遅れると重篤かつ致死傷となります。そのため、速やかな治療が必要な病気です。

インターネットでは年間80万人に1人の確率で発症すると記載がありますが、私が入院した大学病院の先生曰く、年間1万人に1人程度が発症する病気とのこと。

もう少し、詳しくいうと…
血液の中には【血球】と呼ばれるものが存在し
私達が生きる上で、とても重要な役割を担ってくれています。

血球のお仕事としては、こんな感じです。
 ①白血球:身体に侵入したウイルスをやっつけてくれる。
 ②赤血球:身体全体に、酸素を運んでくれる。
 ③血小板:怪我した時などに、血を止めてくれる。

その、白血球の中にはマクロファージという
白血球のリーダーのような存在の細胞がいます。

マクロファージのお仕事として
身体の中に外敵(ウイルス)が入ってきたら
「敵が入ってきたぞー!!」と警報を鳴らし、先頭を切って
外敵(ウイルス)を食べて、撲滅運動をしてくれます。

普段はウイルスなどの外敵が来たときに大活躍する
そんなマクロファージですが
何かをきっかけに大暴走してしまい、血液内のありとあらゆる血球をひたすら食べ尽くしてしまう。それが、血球貪食症候群です。

どのくらい危険な病気なのか?
私達の身体から【血球】がなくなったら、一体どうなるでしょうか。

結論、対応が遅いと死にます。
血球貪食症候群は、死に至る可能性がある病気です。

●赤血球がなくなると
身体に酸素を運べなくなる。
→窒息のリスク

●白血球がなくなると
重篤な感染症にかかり易くなる。
→致死傷の感染症を発症するリスク

●血小板がなくなると
血を固められなくなり、身体中で出血が起こる。
→脳出血・心筋梗塞などのリスク

血球が減り続けると重篤な状態に陥りやすく、早期の治療が肝となります。近所の病院で治らなければ、血液内科のある総合病院に受診されることをお薦めします。

発症原因
一次性と、二次性の血球貪食症候群がある。
【一次性 血球貪食症候群】
主に、子供がなりやすい。
発症原因の傾向として、遺伝的な要素が大きく
元々の免疫システムの異常(染色体劣性遺伝)が引き金で発症することが多い。
血球貪食症候群の発症者のうち
15歳未満の子どもが60%ほどを占める、子供に多い病気です。

【二次性 血球貪食症候群】
主に、大人がなりやすい。
発症原因の傾向として、ウイルス感染、悪性リンパ腫(癌)が引き金でなることが多い。
もしくは自己免疫疾患を発症した後に、同時に発症するケースもあります。ウイルス感染の場合は、健常者が突然発症するケースがあります。

症状
初期症状は高熱。日が経つに連れて重度化する。
主な症状としては、下記の通りです。

【実感できる身体の症状】
  • 高熱(38度〜40度台)
  • 頭痛
  • 寒気
  • 関節痛
  • 酷い倦怠感
  • リンパ節が腫れる
  • 肝臓や脾臓が腫れる(お腹が張る、腹痛)
  • 黄疸が出る(眼や皮膚が黄色くなる)

【血液検査の症状】
  • 2つ以上の血球(白血球・赤血球・血小板)の数値減少
  • フェリチンの数値上昇
  • 肝臓・脾臓の数値が上昇

赤字のところは、私が発症したときに主に出た症状です。

個人的な印象としては
身体の初期症状としては、インフルエンザのような症状が出ている印象でした。

あと、私のときの高熱の特徴として、
解熱鎮痛剤を飲んでも、ほぼ効果がありませんでした。
一時的にはすぐ下がりますが、しばらくしたら、熱が元の高さに戻っていました。

日に日に、どんどん症状が悪化し、歩くのもやっとなレベル。
食欲どころではなく、水分を飲むのがやっと。
頭痛・関節痛が痛過ぎて、寝ることができない。
身体の衰弱具合が早く、死ぬのではないかと怖かったです。

そして、病院で精密検査をしたとき、フェリチンが異常に高値でした。
このフェリチンの数値も血球貪食症候群を診断するに当たって、かなり参考になる指標みたいです。
マックスで78000まで上がりました。※通常数値は5〜130台です

診断方法
診断には、血液検査と骨髄検査が必要。
血液検査、骨髄検査が中心となります。
血球が貪食されているかを確認し、正式診断となります。

ただし、患者の状態が悪く、衰弱傾向がある場合は
骨髄検査の結果を待たず、早急に治療を開始する場合もあります。
他臓器の影響も大きいため、その他検査も必要に応じて実施されます。


【必須の検査】
●血液検査
  • 血球の項目(主に赤血球・白血球・血小板が減少していないか)
  • フェリチン(高値になっていないか)
  • 肝臓・脾臓の項目(高値になっていないか)
  • その他、他臓器への病変・異常を検査するためにも行う。

●骨髄検査
骨髄(主に腸骨)に麻酔を行い、注射をして採取する検査。
検査の種類は2種類ある。大概同時に行われる。
  • 骨髄穿刺:骨髄に針を刺し、骨髄液を採取する。
  • 骨髄生検:骨髄に針を刺し、骨髄の骨組織(造血組織)を採取する。


【必要に応じて行われる検査】
●画像検査
CT・MRI・エコー・レントゲン検査など
理由:全身臓器の状態(病変)を確認するため
●尿検査
理由:細菌感染の有無を確認するため
●髄液検査
理由:脳症や髄膜炎などの病変がないか確認するため
●リンパ節切除生検(手術)
理由:リンパに腫れがあり、悪性リンパ腫(癌)の疑いがある場合。
●その他、自己免疫疾患の検査etc.

治療方法
基本は入院治療がメイン。
基本は、入院治療です。
ステロイド治療、免疫抑制剤の点滴を使用しての治療となります。

入院期間中、ステロイドを大量投与するため
副作用を加味し、摂取量が減るまで外出制限があります。
入院期間は、1〜2ヶ月以上かかる場合が多いです。
診断を受けたら、長期間の入院生活は覚悟した方が良いかと思われます。

血球貪食症候群の発症に伴って
併発した病状があればそちらの治療も同時並行で行います。

退院後は、自宅療養を経て
主治医の指示が出たら、社会復帰できます。

退院後も一定期間は通院を続け、内服薬を飲み続けます。
薬の内服がなくなったら、完治できる病気です。

実際の体験記
①病気の発生〜治療までの時系列
どのような流れで発症し、治療が行われたか
分かりやすいように、最初に時系列でまとめておきますね!

●2017年
 7月  2日(日):初期症状の自覚
 7月  3日(月):発熱
 7月  6日(水):救急搬送。民間の総合病院に入院。
 7月12日(水):大学病院に転院。血球貪食症候群の治療開始。
 8月27日(日):退院

※8月27日〜9月30日までの約1ヶ月間
自宅療養期間を経て、その後は社会復帰できました

退院後は
月1〜2回の通院にて、内服調整を行いました。
(2017年9月〜2018年2月)

②全ての始まりは、脇のシコリからだった。
2017年 7月2日(日)

全ての始まりは、左脇にシコリがあるのを発見したところからでした。
外出中、何気なく触った左脇にシコリがあり、「ん?何これ?」としか思ってなかったけど
翌日、38.0度台の高熱が出ました。

そのときは「ここ最近仕事で無理していたから、風邪でも引いたのだろう」と思って、正直軽い感じでしか考えてなかったです…(T_T)
その日は仕事を早退し、病院に行って薬を貰い、そのまま帰宅。

しかし、安静にして休んでも
病院に行ったときに貰った薬を飲んでも
熱は下がるどころか、39度、40度と、日に日に上がっていく。

トイレにいくのも、水を飲みにいくのもやっとで
ご飯なんて、とても食べれない状態でした。

③救急搬送を要請。
7月6日(水)20:30
体温40.1度。

頭が、割れそう。
関節が、激痛で疼く。
身体が暑くて、温度調節ができない。
高熱で、息苦しい。
めまいで、足元がおぼつく。

明らかに身体がおかしい。
普通の風邪じゃない。
いつもの風邪では、こんなに身体は衰弱しない。

そんなことを考えながら
朦朧とする思考の中で、必死に熱と戦っていました。

でも、ふとした瞬間
自分でも何故そう思ったかは分からないけど

「私、次寝たら、もう目が覚めないかもしれない」
「私、死ぬかもしれない」

と、そんな直感がよぎりました…。
(今思うと、あながち間違ってなかったなと思いますが;;)

でも
ただの熱で救急搬送なんてしていいのか…?
そんな不安が押し寄せました。

ただ、冷静に考えて
今の自分には救急病院に行けるだけの体力も
友達や家族に助けを求めるだけの気力もなかったから
今ある体力を全て振り絞って、何とか救急搬送を要請をし
その後、民間の総合病院に搬送されました。

④民間の総合病院で、生死を彷徨った1週間。

救急搬送の結果、入院となりました。
過労からくる、原因不明の高熱だろうということで
入院当初は【検査入院】という形でした。

しかし
血液検査・MRI・CT・レントゲン検査など
ありとあらゆる精密検査をしても、原因を特定できるものが分からない。高熱の原因が、分かりませんでした。

この段階で、唯一分かっていたことは
血液検査で、私の身体の中にある血球が、日に日に減少して行っていたこと。
私の身体が、凄い勢いで衰弱して行っていたこと。

高熱の症状を抑えるために
解熱鎮痛剤が4時間に1回投与されましたが、ほぼ効果なし。
投与後の1時間後には、元の体温(40度)に戻る。
そのおかげでご飯が食べられず、1週間で7kg痩せました。

トイレには、こけそうになりながら、無理やり歩いて行ったのを覚えています。(バルーンの管を繋がれるのは嫌だったから…)

熱の原因が分からない。
自分の身体が、いうことを効かなくなる、恐怖感。
自分に「死」が迫ってきている、危機感。

意識が朦朧とする中で
夜中がくるのが、本当に本当に、怖かった。

私はこれから、どうなってしまうんだろう…。

真夜中になると、そんな恐怖から過呼吸が炸裂し
暗い病室の中で、明かりを探しながら、泣きながら過ごしたことを今でも鮮明に覚えています…。

⑤大学病院への転院、病名判明。
民間の総合病院では、高熱の原因が突き止められず
困難症例の宝庫であり、日本医学会最後の砦である【大学病院】に転院した方が良いと、当時の総合病院の主治医から指示がありました。

紹介状を書いてもらい
7月12日、大学病院に転院。

到着早々、大量の血液検査を実施。(瓶単位で;;)
血管が細くて中々採取できなかったため鼠蹊部から血液を採取。
痛かった…;;

その日の夕方、主治医から説明があり
運が良いことに、病名が判明したとの報告がありました。
血球の減少、高フェリチン、その他肝臓・脾臓の損傷を認め
【血球貪食症候群】と診断されました。

本来は、骨髄検査をしてから治療を開始するそうですが
私はこの段階で、身体が非常に衰弱していたため
骨髄検査を後日にし、当日中からステロイド治療が開始となりました。

その日の夜から、ステロイドパルス治療が開始。
(3日間、ステロイドを大量に投与して一気に病気を抑える治療)

⑥本格的に治療開始。
治療の流れは、こんな感じでした。

●7月12日〜7月14日(3日間)
  • ステロイドパルス治療 開始。(※3日間限定で、ステロイドを1日500mgと大量投与し、病原を抑える治療)
  • 免疫抑制剤 点滴開始。

●7月15日〜
  • ステロイドパルス治療 終了。
  • ステロイド(1日50mg)に切り替え、点滴開始。

そこから、血液検査の結果と照らし合わせながら、ステロイド・免疫抑制剤の量を減量し
最終的には点滴→内服薬(錠剤)に切り替えていきました。

私の場合、ステロイドパルスが効果を発揮し
ステロイドパルスをした日から熱が下がり、ご飯が食べれるようになりました。

⑦病気の原因特定のため、生検手術へ
私の場合、血球貪食症候群の発症原因として
2つの可能性を疑われました。

1つ目は、ウイルス感染
2つ目は、悪性腫瘍(癌)

ウイルス感染が真っ先に疑われていましたが
血液検査などで主要なウイルス検査を行なった結果、断定できるウイルスは見つからず。

次に疑われたのは、悪性腫瘍。
私の場合、熱が出た当初から左脇に5cm程度のリンパ腫があり
そのことから、悪性腫瘍が疑われました。
こればかりは部分麻酔で脇を切ってみないと(手術してみないと)分からないとのことだったため
7月18日(火左脇リンパ切除 生検手術が行われました。

手術の結果
悪性腫瘍(癌)ではありませんでした。

でも、手術前は内心すごく怖かったです…。
左脇リンパの腫れが、もし癌だったら。
その場合、乳がんでリンパに転移しているだろうし
血球貪食症候群だけの治療では止まらない。
不安でいっぱいでしたが、結果的に癌じゃなくてよかった。

この結果、悪性腫瘍の可能性が消えたため
私の血球貪食症候群の発症原因は、何かのウイルスに感染したことが引き金でなったという見解になりました。
(余談ですが、そもそもウイルス・菌は何億兆個もあるためどの菌が原因かを断定すること自体難しいみたいです)

⑧経過は良好。でも、ステロイドの副作用が…
薬が的面に効いたことで、体調はすぐ良くなりました!
(逆に元気になり過ぎたくらいw)

しかし
ステロイドを大量投与していることの副作用が大きく
その影響で身体への不便はありました。

ステロイドを一定量まで減らさないと退院はできないため
身体は一見元気そうなのに、病院からは出れない。
何もできないことへのストレスは、正直強かったと思います。


【ステロイドの副作用】
●感染症
抵抗力が弱っているため、すぐに病気をもらってしまう状態。
ここを気をつけないと、また病気をもらって病状が悪化するとのこと。
手洗いうがい・マスク着用は必須。
外出はしばらくできず、病院内のコンビニなどの出入りも制限がありました。

●骨粗鬆症
骨が脆くなるみたいで、ボナロン錠を週1回服薬して対応していました。

●食欲増進
私の場合、これが一番きつかったですw
お腹がとにかく空く!
肉が食べたい!肉!肉!お腹空いたー!状態でしたw
病院食では足りなくて、主治医にコンビニ行きたいと駄々こねましたw

●糖尿病
血糖値が上がり、糖尿病を発症するリスクがあったため
1日数回血糖値測定をしていました。

●不眠
ステロイドには覚醒効果があり、夜寝れませんでした。
私の場合、睡眠導入剤を使用して、寝ていました。

●ムーンフェイス
顔だけ丸くなり、アンパンマンみたいなぷっくり輪郭になります。
マッサージで対応しましたが、女子の天敵でした;;

●テンションが上がったり下がったり etc.

⑨外出許可、そして退院へ。
ステロイド・免疫抑制剤が減量され
点滴→内服に切り替わり
8月20日(日)に初外出許可がおりました。

その後、外に出る練習をしながら退院に向けて準備し
8月27日(日)、無事退院できました。

1ヶ月以上、病院生活だったため
さすがに体力が落ちている実感がありました…。
階段や人混みに入っただけですぐ気分が悪くなったり、長距離歩いただけで呼吸が荒くなったり。

でも、それ以上に
外出できたという開放感。
自分で選んで行動ができることへの充実感。

そんな今まで当たり前だったことが
こうしてまた当たり前にできる日常に戻れたことに、凄く感動したことを今でも覚えています。

⑩外来(通院)での治療開始。
退院後は、月1回大学病院に通院し、外来治療を続けました。

メインは内服の調整
血液検査の結果をみて、薬の内服量を減らしていく作でした。

私の場合、外来治療も順調だったため、2週間に1mg程度ステロイドを減量して行きました。(かなり順調な症例とのこと)

退院当初は体力の低下があり、日常生活を送るのが大変でしたが
徐々に日常生活に慣れてきて、外出したり、仕事をしたり、今では日常生活を送る上では不自由なく過ごしています!

動画解説
YouTubeでも、解説してます!