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経営学び舎

1.経営を学ぼう

経営というのは、小中高で学ぶことはありませんので、結果的に体系的に学んだことがある人というのは少ないでしょう。

 大学の経営系の学部(経営学部や経済学部、商学部など)では経営を学問的に学ぶ機会があります。具体的には「経営学」と呼ばれるようなもので、これが経営における基本科目と考えられています。経営学をベースに、戦略系の学問である経営戦略やマーケティング戦略などを学んでいくという流れです。

 長年の歴史に裏付けられた経済学と比べ、経営学は歴史が浅く、絶対的な体系というのはあまり完成されていないようです。日本においては経営に関する教育はほとんど行われてこなかったこともあり、海外が先行しています。特にアメリカなどでは古くから経営に関する研究が盛んにおこなわれてきたこともあり、米国の経営大学院(MBA)での学びは、とても実践的で価値があると言われています。日本でも経営学系の修士がMBAに相当するのとして最近は積極的に学びに採り入れられているところです。 

 いずれにしても、学生の時に経営を学んだことのある人というのは、ほとんどおらず、社会人になってから必要に迫られて勉強するケースが多いでしょう。さまざまな学びの方法があるなかで、どのように学ぶのが効果的であるのかについて考えてみたいと思います。

2.書籍で学ぶ

経営学の学び方

もっとも安上がりな方法が書籍で学ぶという方法でしょう。

書店に行けば経営に関するさまざまな本が販売されています。近くに書店がなければ、図書館に寄ってみましょう。経営に関する本は、それこそ無数に存在します。

 経営本と呼ばれるものは、一般的に2つのタイプがあります。1つは、学者などが執筆している「教科書」的な経営に関する本です。理論的な内容で、大学の講義などにも使われるものが多く、難解なものが多い傾向にありますが、その分、理由理屈をしっかりと理解することができ、生きた経営に関する学問を吸収することができます。

 もう一つは、実践的な実用書と言われるもので、現実の経営者などが書いた本です。経営でいうところの成功本と考えて良いでしょうか。もちろん、失敗したことを取り上げた失敗本のようなものもありますが、実際の経験を基に書かれているという点で非常に参考になるため、サラリーマンの多くはこのような実務書を好んで読んでいるような気がします。

 学生は学問的な本を好み、社会人は実用書を好むというのは、置かれている状況や志向がそちらに一致していることから当然のようにも思えますが、本来は両輪として読み込むことで理解が深まるのは当然のことです。経営理論を学問書で読み込んで、さらに理解を促すために実務書で現実社会の出来事とリンクさせて覚えていく。

 ブックオフなどの中古本屋に行けば、経営に関する本は驚くほど安く販売されています。興味のあるものを手に取りながら、まずは一冊読んでみるというのが良いでしょう。最近は、学問用の経営書籍であっても学生が入りやすいように漫画形式になっているものが多く見受けられます。

 マンガだからレベルや質が低いなどと考える必要はありません。経営に関する知識を学ぶ場合、出所が外国のためにさまざまな用語を英語で覚えていく、理解していく必要があります。とっつきやすさという点ではマンガから入った方がむしろスムーズに経営を理解できる可能性は高く、大学生向けの書籍であっても敢えてマンガ形式で敷居を下げた形の読み物となっているのです。最初から気合を入れて「MBA流…」といった本を読みこなそうとすると大変かもしれません。

3.通信講座や学校で学ぶ

社会人向けの通信講座で経営を学ぶという方法です。

難易度の高さでいえば通信制の大学院なども含まれます。グロービス経営大学院などは、インターネット上で履修することができ、MBA学位(修士号)を取得することが可能です。他にも、インターネット上だけでは卒業・修了が難しいかもしれませんが、社会人向け大学院は意外と多く開講しています。専門職大学院であれば、経営だけを学ぶというようなことができるところもあり、各大学とも特色ある制度が設けられています。

 経営大学院は社会人でも通学できるように、通信制で対応できるところも増えていますが、授業料はそれなりに必要ですから注意が必要です。本気で勉強したい人や学位が欲しいという人ならば問題にならないでしょうが、少し勉強してみたいということであればかなりハードルが高いと言えます。

  中小企業診断士という資格は、日本版MBAの知識が学べると言われており、社会人に人気となっています。中小企業診断士は国家資格であり、国が認める唯一の経営コンサルタント資格とも言われ、信頼性が担保されています。しかし、独占業務のようなものは有さず、中小企業診断士を取得したからできる業務というのはありません。独立にはあまり向いていない資格と言われていますが、特に独立する目的でなく、会社内で経営知識を活かすということであれば最高のライセンスでしょう。難易度としては1年で合格レベルに達する程度の分量ですが、幅広い科目を勉強する必要があり、科目数は多いです。すべての科目ごとに足切りラインのようなものが設定されていますので、特定の科目を捨てるといった受験戦略はできません。
 例えば、財務会計という科目がありますが、会計が苦手なので他の科目でカバーするという場合でも、設定された科目別最低ライン(およそ4割程度)を財務会計で得点できないと合格できないという縛りがあります。また、経営の勉強を学ぶという意味で始めても、最終的には受験攻略が優先になってしまい、いかに合格するかという視点での勉強に走ることが多いので、学問的に学ぶという場合にはあまり向いていません。

  経営系の資格には、中小企業診断士のほかに、経営士などさまざまなものがあります。また、資格取得に興味がないのであれば、コンサルティング会社がなどが実施している経営コンサルタント養成講座などの通信教育を受けるのも良いかもしれません。学問的な内容よりも実践的な内容を学ぶことが可能で、実務で使える知識や技術を修得できる可能性があります。注意点は、主催企業のレベルによって差が大きいというところ。有名な会社だからといって大金を払うと内容的には大したことなかったというようなこともあり得ます。この点は大学院(MBA)も同じことですが、どのようなシラバス・カリキュラムを学ぶことができるのかについて十分に吟味することをおすすめします。

4.セミナーに参加する

効率的な学習方法

体系的に学ぶということよりも、今すぐ実践で活かしたい領域があるならば、それに特化したセミナーを受講するのが手っ取り早いです。

例えば、SNS運用を始めているがフォロワーも増えず効果がない、というようなケースでは、「SNSセミナー」のようなものに参加することで、それに特化した学びを得ることができます。チラシの反応率が低下していて悩んでいるということあれば、「チラシ作成セミナー」などでも良いでしょう。

 経営管理者や経営者になるためには、さまざまな経営の知識が求められることから、網羅的に学びを深めることのできる経営大学院などが良いですが、現場レベルで経営の勉強をしたいのであれば、まずは興味のあるジャンルの経営セミナーに参加することがおすすめです。狭い領域の学びの方が具体的で分かりやすく、効果も得られやすい。その効果をもって次々に自分の関心料理気を拡げていくと結果的に経営に関する知識はどんどん増えていくことになります。

  経営セミナーは、経済団体が定期的に開催しており、有名なところでは商工会議所と商工会が主催するセミナーがあります。その他、自治体でも事業者支援の一環としてセミナーを開催しています。県が開催するセミナーはやや大きなテーマ(例えば、近年話題になっている経営キーワード系のものがチョイスされやすく、SDGsやGXなど)のものが多く、対象は大企業の経営者や担当者。市や町ではもう少し具体的なレベルのものが多く、生産性向上や売上アップというような、目的感を前面に打ち出したセミナーが開催される傾向にあります。

 そのほか、コンサルティング会社もセミナーは頻繁に開催しています。成功事例などを取り上げたより実践的な内容であることが多く、秘匿的なコンテンツが公開されることもあって費用感は高くなりますが、それだけ効果が高い可能性があります。他にも、税理士などの会計事務所やファイナンシャルプランナーなどの保険会社、レンタルスペースなどのコワーキングスペース、行政だけではなく民間事業者も積極的にセミナーを実施しています。

民間事業者の場合には、レベル感がバラバラであるため、誰がセミナーをやるのかと言うことをしっかりと確認することをおすすめします。著名な学者やコンサルタントであれば内容的には期待できますが、費用が高くなります。全く知らないような人物のセミナーは格安であることが多いですが、学びはそれほどないかもしれません。

 民間事業者の経営セミナーの場合、バックに商品やサービスを提案されることが多いので、その点は知っておきましょう。例えば、SNS集客セミナーといった内容のものに参加した場合、実際に集客支援を行うというコンサルティングを提案されることが一般的です。チラシ作成セミナーであれば、チラシ作成コンサルティングを提案されるでしょう。

セミナーに参加したからといってすべてを自分でやらなければならないということではありません。SNSセミナーに参加し、毎日更新することや返信することが重要だと分かったとしても、それを自分が管理するとなったらかなりの労力が必要です。何をすべきかという大きな知識を自分が修得したうえで、実務的な作業は外部に委託するという方法も考えていかなければ、結局は「忙しくてできない」という形になり、一向に進むことがありません。経営セミナーには毎回参加しているけれど、実際には何も取り組んでいないというような人が多いのは、それだけ知識があっても実践するのは難しいということでもあります。

 セミナー参加後に、コンサルティングを提案されたなら、全く話を聞かないということでも構いませんが、自分の代わりにやってくれるという良い提案であると思うのであれば、依頼してみるのも一つです。経営におけるコストは費用対効果で考えますので、10万円使っても20万円利益が増えれば10万円儲かっているわけですから、何もしないよりも確実に良かったということが言えるわけです。

5.期間や費用など

経営学を一通り学ぶために必要な予算というのは、全く標準値はありません。経営大学院に行けば一通りの勉強がマスターできるということであれば、修士課程の金額でいれば数百万円程度と言うことができます。

 あるいは、中小企業診断士は日本版MBAとも言われていますので、中小企業診断士の試験に合格するかどうかを別として一通り学ぶことが経営を全般的に学んだと解釈できるのであれば、10万円~30万円程度と言うことになります。

 最近では著名な経営者がYouTube上で経営に関する情報を発信しており、これらは無料で視聴することができます。YouTube上にて丁寧に探していくと、大学院の公開講座や中小企業診断士の無料講座などがいくつも探し出すことができます。これらで知識を修得すれば、コストは限りなくゼロに近いということもいえます。

 いくらあれば一通りの経営が学べるというのは、答えがないものだと言えるでしょう。

 期間的なものも同様です。経営大学院であれば、通常は学士を持っていれば2年で修了することができます。しかし、その人が持つ前提知識や水準によっても変わりますし、仕事が忙しくて1年余計に学ぶようなことになれば期間は伸びていきます。仕事をしながらの修士論文はかなり骨が折れますので、留年するような人も珍しくありません。

 中小企業診断士も合格率はそれほど高くはありませんので、合格できない限りはずっと終わることがありません。順調にいっても1年間は勉強漬けになりますし、特定科目でハマってしまうと5年程度かかるようなこともあります。

 経営大学院や中小企業診断士は、ゴールが修了や合格と言う形で設定できるのでマシ子かもしれません。書籍や経営セミナーなどで学ぶ場合には、そもそもいつ終わるという概念もありません。今月はSNSに関する知識を学んでみた。その後、しばらく経営に関心がなくなり、2年後になってチラシセミナーを受講してチラシについて学んだ。というように、体系的な学びではなく自分の興味関心に沿って学びを深めていくスタイルとなりますので、終わりという概念もなければ、線引きすることに意味もありません。

 本来的に、経営の勉強を一通り終えるというのは、やはりプログラムが設定されていることを前提にした概念で、もともとは終わりというものは存在しないというのが回答のような気がします。このようなことを言っては身も蓋もありませんが、会社というのは生き物に例えられることがあります。

 会社が生きている以上、経営者や会社員というのは生きた存在の中に含まれているわけで、その意味で経営に終わりはありません。ゆえに、経営に関する学びも終わるということはないわけです。これは、自分の人生において生前において学ぶことが何もない状態ということを迎えるのはあり得ないというのと同じです。

 人は生きている限りさまざまな困難に直面します。困難でなくても、楽しみも含めて、生きている限り常にさまざまなことが自分の目の前に現れるわけで、その意味では毎日が成長であって、学びが修了することはありません。100歳になってもまだまだ学ぶことはたくさんあるわけで、学ぶことがあるからこそ長生きしているという考え方も逆説的に可能です。

 経営を学ぶ時に自分なりのゴールを設定すること(経営大学院を修了する、●●経営本をシリーズ全巻読みこなす、■■通信講座をすべて受講する、など)は重要ですが、それが終われば経営に関する学びをすべて消化した、と言うことにはならないということです。会社が生きている限り、自分がそこで働く限り、常に経営に関する勉強は継続していくことが求められるのが社会人ということでしょう。

6.理論と実践の違い

本質的な経営学の学びとは

働いている限り経営を学ぶ必要がある、というようなことを言いましたが、これは、要するに働いているということは経営を学んでいるということだ、と言う意味です。

  一般的に、経営というと経営学としての学問的な捉えられ方が多いように思いますが、自際には学問としての側面よりも、実務の方が重要です。毎日の問い合わせ対応や問い合わせ者の属性分析、顧客管理、クレーム対応などはすべて経営に関する実践であり学びです。業務そのものが経営の学びになっているという点を理解することが重要でしょう。経営本を買って学問的なアプローチで学ぶことだけでなく、日々の業務から経営を学ぶことの方がはるかに意味のあることだと言えます。

 昔の経営者は、経営学など学ばなくとも会社を大きくし、社会貢献した人物はたくさんいます。学問として学ぶことも大切ですが、会社が生きている以上、学問がすべてということでもありません。我々の人生すべてにおいて学校での学びが役立っているかといえば確かにそうでしょうが、あくまでも裏側に隠れた知識としてのベースであって、実際にはその都度、いろいろなことを考え、そして行動することで私たちの人生は形成されていきます。

 会社も同じで、経営学を学べばすべてそれで説明できるということではありません。顧客からのクレーム対応において、学んだ知識を整理したマニュアルを一生懸命開いて対応するよりも、知識を参考にして目の前の顧客に全身全霊を注いで対応するのが上手くいくのは当然のことです。経営学と言うのはそれが万能だということではありません。

 全ての会社は同じところもあるかもしれませんが、人と同じように個性を持っています。人が顔や身体や考え方が全員異なるように、会社も異なる存在。ですから、経営学と言う学問で通り一遍の対応が可能ということではありません。あくまでも全体的にこうは言えるが、というのが限界であって、それ以上は会社ごとに異なる対応が求められることになります。

 この点、会社は生き物であるという考え方が非常に重要になってきます。経営学において唯一の正解がないというのは、生き物であるということを背景にすると理解しやすいです。答えがないけれど、傾向としてはこうなので、それを活かして自分は、自分の会社はどう滑香ということを考えるのが経営、ということになります。

 このように考えてみると、学問的な知識はあくまでもベースであって、万能ではない。かといって、現場での実務的な知識だけでは新しい発見もなければ創造性も発揮できない。学んだ理論と実務からの実践を上手く橋渡しすることが最適な経営を実現することに近づけられるということです。もちろん、これすらもあくまでも理屈の話です。

 というのも、会社は自分が存在しているのではなく、会社の周りに存在する取引先やお客様などのステークホルダーに存在させられているものです。人も同じで、自分が生きているというよりも、会社や家族などによって生かされた存在です。それらが変化すると会社もパワーバランスの関係で変化を余儀なくされ、時には会社の意思決定が正しそうでも間違いに進むようなこともあります。このような外部環境との変化のなかで活かさせら存在であるという点も十分に理解しておく必要があります。

7.経営学はいつから学ぶ?

早くから学ぶのが良いです。と言うのは、経営学と一口に言っても、ジャンルが非常に多岐にわたるからです。

例えば、社会に出るということは会社員として会社の経営に関与するということですが、最も基本的な知識やスキルとして「コミュニケーション力」が求められます。これらは一般的には学校で学ぶようなことないため、社会人になって差が大きい。早くからコミュニケーション力やマナーなどを学ぶことは、経営を理解するうえでも顧客視点を取り入れるという点で重要です。

  コミュニケーション力は経営学とは無関係のように思えますがそうではありません。経営学というのは非常にジャンルが広く、経営に役立つような知識やスキルと言い換えることができますから、コミュニケーション力に関する内容も含まれていると考えて良いでしょう。

 他にも経営とは一見すると関係ないようなことが経営において重要と言うことは多くあります。社会人になったら早めに学び始めることで、経営に関するスキルを高めることができるようになります。

 会社は世の中にたくさんありますが、経営という観点ではどの会社でも同じことを行っています。製品やサービスを提供し、お金をもらう。業種や会社の規模によって内容的な異なりますが、最終的にはお客様からお金をもらうという点では例外はありません。お金をもらわないのはビジネスではなく、慈善活動やボランティア活動なので経営とは異なります。どの会社も根本にあることは同じですから、その意味でも経営を学んでおくと転職した時に役立つスキルを身に付けることができるのです。転職しないと考えている人であっても、会社が倒産する可能性はゼロではありません。先に述べたように、会社は生き物であって、生き物は永遠ではありませんので、倒産する可能性はあります。最近は会社の生存年数が短期化しているという指摘も多く、生き残るのは簡単ではない時代。会社がなくなっても焦らずにいるためには経営学を学んでおくと良いです。

 経営学を学ぶことで、同僚に差を付けて出世することも可能でしょう。著名な実績を上げれば、ヘッドハンティングで好待遇の会社へ行くことも可能です。最近は能力のある人材が不足していますので、転職市場は相当に盛り上がっています。スキルを高めることに投資するお金と時間は絶対に無駄にはならないと思っておいて正解です。

 経営に関する知識をかなり広げられれば、独立開業も見えていきます。起業に対するニーズが高まっており、実際に起業しやすい環境が整備されつつありますので、将来は自分で会社と作るために経営を勉強しておこうというのもありでしょう。