2022年8月15日(月)、13:30より上本郷放課後児童クラブで「昆虫教室」を開催してきました。当日は25-30名近くの1-5年生が参加してくれました。
6月28-29日に上本郷小学校の2年生を対象に同じ内容で開催していましたので「興味を持ってくれるかな?」と心配していましたが、生きた大きなヘラクレスオオカブトやギラファノコギリクワガタ、パラワンオオヒラタクワガタ、ニジイロクワガタなどには興味深々でそれほど「飽きる」ことなく子どもたちは楽しんでいる様子でしたので安心しました。モルフォチョウなどの標本にも興味を持つ子も多く「カマキリ先生」などのテレビの影響からか数年前に比べると「昆虫が嫌い」という子だ減っているのには驚かされました。
国連で130ヵ国以上が参加して設定した「SDGs」の17の目標の説明では話をしながら、2030年の目標達成は「不可能だ」という気持ちが強くなりました。ロシアのウクライナ侵攻や右肩上がりの「経済成長」ばかりを追い求める現状では自然環境は徹底的に破壊され「絶滅」への道を坂を転がるように加速しながら突き進んでいるように思いました。
ヨーロッパ各地では最高気温を更新し、干ばつによる森林火災や豪雨による災害が発生しています。南北アメリカやアフリカ、オーストラリア大陸も同じような状況です。南極大陸にも異常はおよんでいるそうです。日本においても6月から続く高気温と異常な豪雨による被害など、地球は危機的な状況にあるように思え、学童の子どもたちに「昆虫教室」で話をしながら「この子たちの未来はあるのだろうか?」という漠然としたものでありながらも大きな不安に襲われました。
機会をくださった上本郷放課後児童クラブの保護者の皆さんには心より感謝いたします。ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。
2022年3月13日、黄色のクロメンガタスズメの幼虫が潜っていた飼育容器を見ると成虫がフタのメッシュ状の樹脂部分に摑まっていた。今回は前回の失敗があるのでマンションの中でも室温の低い場所に置き、毎日のように観ていたので12日中に出てきたことが分かった。前回より1か月近く早いが、ここ数日の気温は4-5月初旬並みといわれている。1日だけ飼育容器に入れておき、写真のように室内に置いてある大きな鉢植えのクワズイモの幹に摑まらせた。移す時には元気な声で「ギィー」と鳴いていた。
翅もしっかりと伸びているので、しばらくして飛びはじめたら外の世界へ解放しようと思っているのだが、今日17日になっても同じ場所に摑まっていて2㎝程上にのぼっただけで、まだ飛ぶ気配がしない。2年前の4月の初旬に羽化した成虫は3日後くらいの朝5時頃に室内をコウモリのように障害物にぶつかることもなく飛び回っていた。今回の成虫はまだ体が固まっていないのだろうか?
写真に見えているクワズイモの幹が分かれている場所に砂糖水を滴が垂れるくらいに湿らせたティッシュペーパーをはさんでおいたが、ゼンマイ状の口器を伸ばして吸うこともない。前回同様に弱って死んでしまうのだろうか。5日間も同じ場所から動こうともしないので心配になってきた。何回か注射器を使ってティッシュペーパーに砂糖水をたくさん補充しているが全く吸う気配がない。
前回の飼育から夜行性で昼間は全く動かないことは観察しているので、寝ている夜中には砂糖水を吸っているのだろうか。もう少し様子を見て、外に放して自由にしてあげたいと思う。
143年前にファーブルは『昆虫記』の10巻「四 みつかどせんちこがねー道徳」の中で「その他いつも前進する科学がきっといつか発明せずにはいない千倍も強力な爆薬を積み上げて地球を爆破するようにでもなりはしないか」(岩波文庫)と今日の核兵器時代を予想するようなことを書いているのだが、ロシアが仕掛けたウクライナへの恐ろしい戦争は坂を転がるように全世界を破滅への道へと巻き込んでいくように感じる。こうした人間の行動の根底には、ほかの生き物にはない「強烈な欲望」があるように思う。
専制主義と民主主義、そして自由と平等も人間の頭の中で造られたもので、自然界にはそうした概念すら存在しないと思うのは下等といわれている昆虫ばかりを見ているからだろうか。だが、こうした生き物たちの生き方を見習って原点回帰しないと人類の存続自体が危ういと思うのは馬鹿げた考えなのだろうか。