NPO 法人スポーツ&文化振興協会

◆2022年度「昆虫教室」開催報告とQ&A◆
◆2023年度活動報告◆
◆2024年度事業計画◆
◆生き物観察日記◆
◆昆虫の生態について◆
◆生き物観察日記◆
◆法人情報◆
2024年度「昆虫教室」開催報告

7月21 ジェフユナイテッド市原・千葉主催の「目指せ!昆虫博士!」開催の報告

2024年7月21日(日曜日)、ジェフユナイデッドパークにてジェフユナイテッド市原・千葉主催の「目指せ! 昆虫博士!」を第1部 9:30~10:30、第2部 11:00~12:00、第3部 14:00~15:00のスケジュールにて開催してきました。当日は第3部に少し空きはあったものの子どもたちと保護者の皆さんを合わせると200名近くの方たちが参加してくれました。
今年はジェフのコーチたちが多くのカブトムシやノコギリクワガタを採集してくれましたので、私たちの採集した分を合わせると120匹以上のクワガタとカブトムシが集まりました。生きたヘラクレス大カブトムシやギラファノコギリクワガタ、パラワンオオヒラタクワガタなどの超大型の昆虫たちに触れて子どもたちは大喜びでした。イベントの最後に生きたノコギリクワガタかカブトムシをもらって満足して帰路につく親子の皆さんの姿が印象に残りました。
毎年、開催をしてくれているジェフユナイテッド市原・千葉の関係者の皆様には心よりお礼を申し上げます。ありがとうございます。今後ともよろしくお願い致します。

2022年度「昆虫教室」開催報告

2022年9月26日松戸市内の保育園での「昆虫教室」開催の報告

2022年9月26日月曜日、松戸市内の第一平和保育園で2-5歳児を対象とした「昆虫教室」を開催しました。
標本箱8箱と生きたヘラクレスオオカブトや大型のギラファノコギリクワガタとパラワンオオヒラタクワガタ。世界で最も美しいといわれているニジイロクワガタを展示して、保育士さんに先導してもらい自由に見て歩く方法で行いました。
5歳児の子どもたちは活発に歩きまわって観ていましたが、手を引っ張られて質問攻めにあいました。構造色でメタリックブルーに光り輝くモフォチョウや世界で最大の蝶といわれている鮮やかな色彩のトリバネアゲハ、同じように鮮やかでメタリックな色彩の大型から小型の甲虫類。また、枯葉や枝などに擬態したチョウや巨大なエダナナフシやコノハムシなど興味は尽きないようであちこちへと動いていました。生きた大きなヘラクレスや大型のクワガタにも興味深々でした。
元気な子どもたちの様子を見て私も元気をもらいました。このような機会を与えてくださった保育園の関係者の皆さまには心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。

2022年8月11・17日NPO法人日本アンリ・ファーブル会主催
「日本産ノコギリクワガタ」「オオクワガタ」飼育教室開催の報告

2022年8月11日(木)、17日(水)の14時よりNPO法人日本アンリ・ファーブル会主催の「日本産ノコギリクワガタ」「オオクワガタ」の飼育教室を開催し、そこで講師をしてきました。両日とも各6組12名の親子を対象に行いました。
最初にパワーポイントでひと通りの説明をした後、用意された飼育容器の中に繁殖が可能な環境づくりの実践をしていきました。クヌギやコナラなどの材をシイタケホダ木に加工した朽ち木に1-2時間ほど加水して樹皮をはぎとり、樹皮下のオレンジ色の組織もきれいにとって、シイタケのコマ菌が押し込まれている穴もメウチやマイナスのドライバーなどでとり除きます。こうして下準備をし終えた産卵木を飼育容器の中に埋め込みマットを使って、きつく埋め込んで転倒防止用にクヌギからはぎとった樹皮を置けば飼育環境の完成です。参加した親子の方々は真剣な表情で作業に取り組んでいました。手伝おうとするとほとんどの子どもたちは「自分でやります」といって、1時間を超える時間が過ぎていきました。
作業が終了して、最後にセットした飼育容器に放す成虫を選ぶ段階では、ノコギリクワガタもオオクワガタも♀の大きさは気にしていませんでしたが、大きな♂をめぐっての抽選やジャンケンでは、勝って大きな♂をゲットした子は大喜びでしたが、負けた子は「ガックリ」と肩を落としていました。付き添っていた保護者の皆さんも子どもたちの表情と連動していました。
参加者へのフォローとして当NPO法人のメールアドレスを教え「クワガタ飼育編」のパワーポイントをダウンロードできるようにしました。また飼育に関する質問も受けていますが、早速、6名ほどの参加者の方からメールをいただき、ダウンロードと質問を受けつけています。
次世代の成虫の羽化までたどり着き、こうした生き物の繁殖飼育を通じて自然界での生き物の生活サイクルを知り、人間中心の考え方ではない自然環境への興味を持ってくれれば今日の地球環境がどれほど危険な状況にあるかは容易に理解ができるように思います。HPにアップすると「すぐに定員になる」とファーブル会のスタッフの方たちが話していましたが、生き物の生態に興味を持つ方々が多いということに少し安心感が持てました。毎回、開催をしてくれるファーブル会のスタッフの方々や理事長の奥本大三郎先生には心よりお礼を申し上げます。今後ともよろしくお願い致します。

2022年8月15日上本郷放課後児童クラブ「昆虫教室」開催の報告

2022年8月15日(月)、13:30より上本郷放課後児童クラブで「昆虫教室」を開催してきました。当日は25-30名近くの1-5年生が参加してくれました。
6月28-29日に上本郷小学校の2年生を対象に同じ内容で開催していましたので「興味を持ってくれるかな?」と心配していましたが、生きた大きなヘラクレスオオカブトやギラファノコギリクワガタ、パラワンオオヒラタクワガタ、ニジイロクワガタなどには興味深々でそれほど「飽きる」ことなく子どもたちは楽しんでいる様子でしたので安心しました。モルフォチョウなどの標本にも興味を持つ子も多く「カマキリ先生」などのテレビの影響からか数年前に比べると「昆虫が嫌い」という子だ減っているのには驚かされました。
国連で130ヵ国以上が参加して設定した「SDGs」の17の目標の説明では話をしながら、2030年の目標達成は「不可能だ」という気持ちが強くなりました。ロシアのウクライナ侵攻や右肩上がりの「経済成長」ばかりを追い求める現状では自然環境は徹底的に破壊され「絶滅」への道を坂を転がるように加速しながら突き進んでいるように思いました。
ヨーロッパ各地では最高気温を更新し、干ばつによる森林火災や豪雨による災害が発生しています。南北アメリカやアフリカ、オーストラリア大陸も同じような状況です。南極大陸にも異常はおよんでいるそうです。日本においても6月から続く高気温と異常な豪雨による被害など、地球は危機的な状況にあるように思え、学童の子どもたちに「昆虫教室」で話をしながら「この子たちの未来はあるのだろうか?」という漠然としたものでありながらも大きな不安に襲われました。
機会をくださった上本郷放課後児童クラブの保護者の皆さんには心より感謝いたします。ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。

7月24日 ジェフユナイテッド市原・千葉主催の「目指せ!昆虫博士!」開催の報告

ノコギリクワガタの採集成果
イベントの参加者全員に配るクワガタやカブトムシの採集、目標は100匹‼
開催日の7月24日に合わせて6月下旬から7月の中旬に2-3回ほど近隣の茨城県の霞ケ浦近辺に採集に出かけ前日の23日に目標を達成。

2022年7月24日(日曜日)、ユナイデッドパークにてジェフユナイテッド市原・千葉主催の「目指せ! 昆虫博士!」を第1部 9:30~10:30、第2部 11:00~12:00、第3部 14:00~15:00のスケジュールにて開催してきました。当日は第3部に少し空きはあったものの子どもたちと保護者の皆さんを合わせると190名近くの方たちが参加してくれました。
今回は「SDGs」をテーマにしていましたので、昆虫の生態説明の前に17の目標のロゴマークと標語を動画とパワーポイントに挿入しましたが「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」と国連からの厳しい現状報告を説明していくうちに2030年の「目標達成」は不可能ではないかと感じました。今回のテーマである「陸の豊かさも守ろう」の国連からの報告は、人間の経済活動で1分間に東京ドーム2個分、そのうち「世界の肺」といわれているアマゾンの熱帯雨林はサッカーコート2面分の森林が消滅するという驚異的なスピードで進でいて、こうしたことに伴いこの数十年の間に100万種もの生き物が絶滅の危機あるというものでした。
説明後には海外の熱帯雨林に棲息する生きた148㎜のヘラクレスオオカブトや100㎜をこえるギラファノコギリクワガタ、パラワンオオヒラタクワガタのほかオーストラリア大陸近辺が原産地の世界で最も美しいとされるニジイロクワガタに触れたり、世界で最大で美麗なトリバネアゲハや最も美しいといわれるモルフォチョウをはじめとする250種程度の標本を間近で見て、最後に生きたクワガタかカブトムシを持ち帰り子どもたちは大喜びでした。
今回「SDGs」の説明をしていて、また、ロシアのウクライナへの侵攻による戦争などの現実を前に参加してくれた3-12歳の子どもたちが大人になったときに同じような「昆虫教室」が開けるのかと大きく漠然とした不安を感じました。
毎年、開催をしてくれているジェフユナイテッド市原・千葉の関係者の皆様には心よりお礼を申し上げます。ありがとうございます。今後ともよろしくお願い致します。

6月28-29日 上本郷小学校2年生対象「環境学習のための昆虫教室」

2022年6月28-9日 上本郷小学校2年生「昆虫教室」Q & A

スジブトヒラタクワガタ♂64㎜(学名:Dorcus metacostatus)
※日本の固有種(奄美大島・加計呂麻島・与路島・請島・徳之島に分布
 していて、日本本土や海外でも近縁種はなく固有種)

スジブトヒラタクワガタ♀41㎜

2年1組1班
Q1.カブトやクワガタのメスの武器はどうなっているんですか?
A1.クワガタのメスには小さくて鋭い顎があり、嚙まれるとかなり痛いですが、相手を攻撃する武器ではなく卵を産むときに朽ち木を削るための道具です。昆虫の場合、攻撃する武器というより身を守るための道具だと思います。
Q2.背中がキラキラしている虫をみて、どうして背中がキラキラしているんですか。
A2.構造色といって太陽の光が当たると光るようですが、なぜ「キラキラ」しているのかということの理由を説明することは難しいです。考えられることは、自然界の夜は全く光がありませんので昼間の太陽が輝いている時間帯に活発に活動をしているのではないか?
ということです。昼間の気温の高い時間帯に活動をしやすくするために太陽の光を反射するようなキラキラした仕組みに変化していったのではないでしょうか。

2年1組2班

Q1.ヘラクレスオオカブトは、どうしてツノがでかいのですか?
A1.ヘラクレスオオカブトには6種類ほどの仲間がいますが、グラントシロカブトのように日本カブトムシより小さくてツノも短い種類もいます。ヘラクレスオオカブトが棲んでいるのは熱帯雲霧林といって多くの動物たちが暮らしています。その中で身を守るために大きな体と長くて強いツノが進化したのかもしれないですね。
Q2.ニジイロクワガタは、どうしてニジイロなんですか?
A2.構造色といって太陽の光が当たると光るようですが、なぜ「ニジイロをしているのか」ということの理由を説明することは難しいです。考えられることは、自然界の夜は全く光がありませんので昼間の太陽が輝いている時間帯に活発に活動をしているのではないか?
ということです。昼間の気温の高い時間帯に活動をしやすくするために太陽の光を反射するように「ニジイロ」に光る仕組みに変化していったのではないでしょうか。

2年1組3班
Q1.ヘラクレスオオカブトはなぜ、お腹が黄色なんですか?
A1.ヘラクレスオオカブトの黄色の部分は背中です。正確には鞘翅といいますが、黄色くて黒い小さな点々がついています。なぜ黄色いのかの理由を正確に説明することはできませが、自然の森などの中は夜は真っ暗闇で色を見分けることはできませんので、色がついているのは昼間に活動をしているからだと思います。黄色に黒い点々模様などは昼間の森の木の幹などに止まっていると周りの色に溶け込んで見つけるのが難しいです。鞘翅に水をかけると黒く変色しますが、これは湿度が上がる夜は黒くなって目立たないためなのかもしれないですが正確なことはわかりません。
Q2.ニジイロクワガタは、なぜお腹がレインボーなのですか?
A2.構造色といって太陽の光が当たると光るようですが、なぜ「ニジイロをしているのか」ということの理由を説明することは難しいです。考えられることは、自然界の夜は全く光がありませんので昼間の太陽が輝いている時間帯に活発に活動をしているのではないか?
ということです。昼間の気温の高い時間帯に活動をしやすくするために太陽の光を反射するように「ニジイロ」に光る仕組みに変化していったのではないでしょうか。

2年1組4班
Q1.ヘラクレスオオカブトはなぜ、かむところがこんなに大きいのですか?
A1.ヘラクレスオオカブトには6種類ほどの仲間がいますが、グラントシロカブトのように日本カブトムシより小さくてツノも短い種類もいます。ヘラクレスオオカブトが棲んでいるのは熱帯雲霧林といって多くの動物たちが暮らしています。その中で身を守るために大きな体と長くて強いツノが進化したのかもしれないですね。
Q2.チョウはなぜこんなにきれいなのですか?
Q3.アゲハはなぜなハネが大きいのですか?
A2-3.この2つの質問にはまとめて回答します。チョウはあまり目立たない色の種類もあります。
授業でも話したように色がきれいで大きくて目立つチョウは幼虫のころに毒のある植物等を食べていてチョウになっても毒を持っている種類が多いです。大きな目立つ色の翅を持つことでほかの動物に「毒があります」と宣伝して身を守っているのかもしれません。
Q4.クワガタムシはなぜ、体がザラザラなのですか?
A4.今回持って行った生きたクワガタはギラファノコギリクワガタ、パラワンオオヒラタクワガタ、ニジイロクワガタの3種類ですが、体がザラザラしたクワガタはいましたか?
クワガタの体はツルツルしていることが多いです。長く飼育していて特にメスのクワガタは体がツルツルしていて掴みにくいです。棲んでいる環境にもよると思いますが、体がツルツルしている方がほかの動物に襲われた時には逃げやすいように思います。

ギラファノコギリクワガタ(学名:Prosopocoilus giraffa)



2年2組1班

Q1.ギラファノコギリクワガタはどこの国でつかまえられるんですか?
A1.インド、ネパール、ブータン、ミャンマー、タイ、ラオス、マレー半島、スマトラ島、ジャワ島等の広い範囲に棲息したいます。世界で最も体長が大きなクワガタムシとして有名です。特にインドネシアのフローレス島に棲んでいるギラファは大型になることが知られていて、体長が120㎜近くになるそうです。学名のギラファはラテン語でキリンを意味します。
Q2.ヘラクレスはなんで背中が黄色とか黒があるんですか?
  なんでお尻に毛が生えているんですか?
A2.ヘラクレスオオカブトの黄色の部分は正確には鞘翅といいますが、黄色くて黒い小さな点がついています。なぜこのような色や模様なのかの理由を正確に説明することはできませんが、自然の森などの中は夜は真っ暗闇で色を見分けることはできませんので、色がついているのは昼間に活動をしているからだと思います。黄色に黒い点々模様などは昼間の森の木の幹などに止まっていると周りの色に溶け込んで見つけるのが難しいです。鞘翅に水をかけると黒く変色しますが、これは湿度が上がる夜は黒くなって目立たないためなのかもしれないですが正確なことはわかりません。
お尻に生えている毛の意味も正確には答えられないと思います。日本のカブトムシと比べるとかなり毛が多いように思います。いわれているのは夜に活動をするカブトムシの仲間は複眼が退化していて光を感じる程度であまり見えないそうです。体中に生えている毛で摑まっている木に伝わる振動や急な風の動きを感じ、逃げて身を守っているといわれています。日本でカブトやクワガタを捕まえるときに木を蹴飛ばすと落ちてくるのはこの習性を利用した採集方法といわれています。

2年2組2班
Q1.ギラファノコギリクワガタはどこでとれるんですか?
A1.インド、ネパール、ブータン、ミャンマー、タイ、ラオス、マレー半島、スマトラ島、ジャワ島等の広い範囲に棲息したいます。世界で最も体長が大きなクワガタムシとして有名です。特にインドネシアのフローレス島に棲んでいるギラファは大型になることが知られていて、体長が120㎜近くになるそうです。学名のギラファはラテン語でキリンを意味します。
Q2.なぜヘラクレスのツノの下に毛が生えているんですか?
A2.ヘラクレスオオカブトのツノの下に生えている毛の意味を正確に答えることはできないと思います。挟んだ相手が滑らないようにということも言われているようですが、長く飼育して感じることは、飛ぶときに体が垂直になってツノを立てているので、ツノに当たる風の流れを安定させて飛びやすくしているように思いました。
本当の理由を知るためには、自然の中でのヘラクレスオオカブトの生活の様子を観察する必要があると思いますが、広い自然の中では小さな存在のヘラクレスオオカブトを完全に観察することは難しいと思いますので、理由はわからないと思います。

2年2組3班
Q1.ギラファは森やまちで捕まえられるか、違ったところでも捕まえられるのかな?
A1.ギラファノコギリクワガタはインド、ネパール、ブータン、ミャンマー、タイ、ラオス、マレー半島、スマトラ島、ジャワ島等の広い範囲に棲息したいますが、少し標高の高い地域にいますので、日本のカブトムシやクワガタのようにまちの近くでは捕ることができないようです。広く分布していますが棲息する場所は限られているようですね。
Q2.ヘラクレスオオカブトは長いツノがかっこいいです?
A2.ヘラクレスオオカブトには6種類ほどの仲間がいますが、グラントシロカブトのように日本カブトムシより小さくてツノも短い種類もいます。ヘラクレスオオカブトが棲んでいるのは熱帯雲霧林といって多くの動物たちが暮らしています。その中で身を守るために大きな体と長くて強いツノが進化したのかもしれないですね。

2年2組4班
Q1.虫は全部捕まえたんですか?
  全部触ったことはあるんですか?
  全部の虫に詳しいんですか?
    全部調べてみたんですか? 
    全部毒があるんですか?
A1.全部は捕まえていませんし、触っていない虫もあります。知っている虫はごくわずかな種類で、調べている虫もごく一部です。毒をもっている虫も一部分です。
昆虫の種類数はまだ知られていない種類もたくさんあるようです。学者によって違いますが、数百万種から数千万種といわれています。現在、種名が付けらている生き物は175万種くらいで、昆虫は95万種といわれていますが、ほとんどがわかっていないそうです。
授業でも話しましたが、人間の活動の影響で100万種もの生き物がこの数十年の間に絶滅してしまうといわれていますので、皆さんが大人になるときにはどのような環境になっているのかとても心配な状況だと思われます。

ニジイロクワガタ(学名:Phalacrognathus muelleri)
「昆虫教室」でこのクワガタを展示すると必ず「なぜニジイロに光っているのですか?」という質問を受けるが本当のことは分からない。
世界一美しいといわれるクワガタの仲間で、ニューギニア南部からオーストラリア北部のクイーンズランド州が有名な産地だが、生態も良く分かっておらず、輸入が解禁になる1999年以前は日本にもほとんど輸入されることもなく、子どもたちが目にしたり手に入れることなど不可能な種類だった。輸入解禁後は繁殖手段が容易なことから、昆虫ショップなどで3-5,000円程度で手に入れられるようになった。

2年3組1班
Q1.ニジイロクワガタは、なぜニジイロなんですか?
A1.構造色といって太陽の光が当たると光るようですが、なぜ「ニジイロをしているのか」ということの理由を説明することは難しいです。考えられることは、自然界の夜は全く光がありませんので昼間の太陽が輝いている時間帯に活発に活動をしているのではないか?
ということです。昼間の気温の高い時間帯に活動をしやすくするために太陽の光を反射するように「ニジイロ」に光る仕組みに変化していったのではないでしょうか。
Q2.カミキリ虫はなぜ、カミキリという名前なのですか?
A2.カミキリ虫は顎が鋭くて「髪切り」。人間の髪も切ってしまうところから、カミキリ虫という名前が付いたそうです。
ファーブルは『昆虫記』の中でこの切れ味の鋭い顎で朽ち木の中から脱出できるかの実験を行いました。朽ち木を縦に二つに割ってカミキリムシの入る空間を真ん中に作ってカミキリムシを閉じ込めてから、割った朽ち木を重ねて針金で縛りました。2週間経ってもカミキリムシは出てこれず、針金をほどいて中を確認するとほんの少し朽ち木を削っただけで中で死んでいたそうです。この実験から人間の髪の毛も切ってしまうカミキリムシの鋭いアゴも朽ち木に自分の体が通るほどの大きな穴はあけられないことが分かりました。カミキリムシが蛹になる時に幼虫の時に潜んでいた朽ち木の中から樹皮すれすれの鳥に見つかってしまうような危険な場所に蛹室を作る本能の理由を知ったと書いています。

2年3組2班
Q1.エダナナフシは何センチになるんですか?
A1.エダナナフシで最も大きなものは2014年の8月に中国で発見され、全長が62.4cmもあり、中国の昆虫博物館に展示されているそうです。それまでは、2008年にマレーシアで発見されていた56.7㎝のものが最大といわれていて、イギリスの自然史博物館に展示されています。皆さんが標本箱の中で観たエダナナフシも30㎝ほどですのでかなり大きいですが、2倍近くの大きさですね。日本のエダナナフシは10㎝程度の大きさです。
Q2.モルフォチョウはなんでキラキラ何ですか?
A2.構造色といって太陽の光が当たると青く光り輝く仕組みになっているそうですが、なぜそのような仕組みになったのかを説明することはできないと思います。
棲息しているのが中米から南米の赤道付近の熱帯雨林で、昼間の最も気温の高くなる時間帯に活発に飛んでいるそうですので、太陽の直射を反射して体温が上がるのを防いでいるといわれていますが、本当のことはわかりません。
人間の工業技術でも真似ができないほど精密な構造だそうです。 

2年3組3班
Q1.どこでこんなに多く捕まえたんですか?
A1.日本産のチョウなどは自分で捕まえて標本にしたものもありますが、ほとんどのものは購入したものです。外国の昆虫を知るためには、その昆虫が棲んでいる国々にいかなければ採集できませんので、「昆虫教室」ように皆さんが興味を持つような昆虫を買い集めました。

2年3組4班
Q1.ヘラクレス大カブトはなぜ、ツノが上向きなんですか?
A1.日本のカブトムシは頭から生えているツノが大きくて長く、胴体から生えているツノは小さくて短いですが、ヘラクレスオオカブトは胴体から生えているツノが体の長さと同じくらいか、それ以上に長いですね。なぜそのような仕組みになったのかを説明することはできませんが、ヘラクレスオオカブトが棲んでいる中米から南米にかけての赤道付近の熱帯雲霧林にはたくさんの動物たちも棲んでいます。こうした危険な環境の中で生きていくたために大きな体と長いツノが必要になり、進化したのかもしれないですが、正確なことは分からないです。

コノハチョウ(学名:Kallima inachus)

2年4組1-2班

Q1.どうして葉っぱみたいな形をしている虫がいるんですか?
A1.葉っぱみたいな虫がいるのではなく、虫が葉っぱに似ていったのだと思います。
コノハチョウもコノハムシもカレハカマキリも最初はそれほど葉っぱに似ていなかったものが生活をしている場所にある植物や枯葉などに少しづつ似たものが生き残り、とても似た昆虫たちが出てきたのではないでしょうか。生き物が環境に合わせているのではなく、砂の色や岩の形に似た昆虫もいますので、多様な環境が生き物たちの色や形を作っているのだと思います。
Q2.なぜ、模様がついているんですか?
A2.自然は砂地や岩石地帯、草原や熱帯雨林、雪の降る高原など多種多様な環境をしています。高原に棲んでいるライチョウという鳥は春から秋にかけては茶色い羽に覆われていますが、雪の降る冬には真っ白い羽に生え変わります。昆虫の模様も生活している場所や時間帯によって変わっているのだと思います。夜に活動をする夜行性の昆虫が黒いのは自然界の光のない世界では色を判別することができないので黒いのだと思います。昼間の明るい色の判別ができる世界ではあらゆる色や模様の昆虫が出てくるのだと思います。

2年4組3-4班
Q1.チョウチョは、なぜ模様がついているんですか?
A1.チョウチョの模様は生活している環境と大きな関係があるように思います。木ノ葉チョウは森の近くで暮らしていますが、草原で暮らしているチョウチョもいろいろな模様はあるものの形が草に似ているものはいないと思います。チョウの模様には種類を見分ける意味もあるといわれています。形が似ていても模様の違いで、同じ種類であることを見分けているそうです。生活する多種多様な環境に合わせるようにたくさんの種類の色や形、模様ができるのではないでしょうか。
Q2.植物に似ている虫は、なぜ植物に似ているんですか?
A2.日本でも普通に見かけるバッタやカマキリなどは緑や茶色など植物の色に似ていますが、コノハムシやエダナナフシのように形まで、そっくりではありません。授業でもお話ししたように全く葉の形の違う植物にコノハムシを摑まらせて外に置くとカラスに食べられてしまうそうです。翅を閉じると枯葉にそっくりなコノハチョウは派手な色をした表面を開いて目立つように枝先などに止まっています。こうした観察からいえるのは昆虫が植物に似ているのではなく、植物に似た昆虫が生き残ったのだと思います。

2年4組5-6班
Q1.チョウチョは、青い点々と緑の点々がなぜついているのですか?
A1.チョウチョの青や緑の点々などの模様は生活している環境や身を守る方法で違ってくるのだと思います。トリバネアゲハのように巨大な翅と黄色や緑、青やオレンジなどの派手な色は「毒をもっている」ということをほかの動物に知らせるための進化したといわれています。コノハチョウは羽を閉じると枯葉にそっくりで「隠れる」ことで身を守るといわれていますが、派手な色の翅の表面を広げて道に突き出ている枝先などに止まっていることが多く、チョウ自身が「枯葉に似ている」ことはわかっていないと感じました。こうした観察からチョウの模様や色などを決めているのは、チョウ自身ではなく生活している自然環境なのだと思いました。
Q2.ヘラクレスオオカブトの体が黄色いのは、なぜですか?
A2.ヘラクレスオオカブトの鞘翅の色はなぜ黄色いのかを正確に説明することはできないと思いますが、授業でもお話ししたように色がついているということは、色がわかる昼間にも活動をしているのではないかということです。夜行性といわれているカブトムシやクワガタに黒い色の種類が多いのは暗闇では見ることのできない色を持つ必要がないからだと思います。色のわかる昼間に活動するのであれば真っ黒な色より、ヘラクレスオオカブトのように黄色に黒い点々模様は木の幹や枝などに止まれば周りにある植物の緑や黄色、樹皮の茶色など多くの色に紛れて目立たないように思います。同じカブトムシでも色などが違っているのは昆虫たちの色や形を決めているのが生活している自然環境だからだと思います。

2年4組7-8班
Q1.チョウチョの翅のいろいろな模様が凄かったです。
  ギラファノコギリクワガタの甲羅が硬かったです。
A1.現在、名前の付けられている生き物の種類数は約175万種といわれていますが、昆虫は95万種くらいいるそうです。昆虫の種類数は学者によって違っていますが数百万種、あるいは数千万種といわれいます。授業で見た生きたクワガタやカブトムシ、標本などはほんの一部ですが、人間の経済活動によってこの数十年の間に百万種もの動物が絶滅してしまう可能性があると国連で世界の科学者たちが警告をしています。
世界での自然環境の破壊のスピードはとても速く、1分間に東京ドーム2個分の森林がなくなっていて、そのうちアマゾンの熱帯雨林は1分間にサッカーコート2面分も消えているそうです。
世界を生徒40人の教室と考えると、その日食べるものがない、明日以降も食べ物を得られるかわからない状態の人が4人もいます。日本では年間に612万トン、世界では総生産量の1/3にもあたる13億トンもの食べられる食料が捨てられています。私たちが使っているペットボトルやビニール袋などのプラスチックゴミが年間800万トンも海に流れ出ていて、プラスチックの破片により毎年100万羽以上の海鳥と10万以上の海洋哺乳類が死んでいます。
皆さんが私の年齢(67歳)になる60年後にヘラクレスオオカブトやギラファノコギリクワガタが見れるのか、大変に心配な地球環境の現実があります。何をすれば良いのか私にもわかりませんが、無駄なことはしない努力がとても大事だと思います。

2023年度活動報告

2024年度事業計画

生き物観察日記

2022年3月13日、黄色のクロメンガタスズメの幼虫が潜っていた飼育容器を見ると成虫がフタのメッシュ状の樹脂部分に摑まっていた。今回は前回の失敗があるのでマンションの中でも室温の低い場所に置き、毎日のように観ていたので12日中に出てきたことが分かった。前回より1か月近く早いが、ここ数日の気温は4-5月初旬並みといわれている。1日だけ飼育容器に入れておき、写真のように室内に置いてある大きな鉢植えのクワズイモの幹に摑まらせた。移す時には元気な声で「ギィー」と鳴いていた。
翅もしっかりと伸びているので、しばらくして飛びはじめたら外の世界へ解放しようと思っているのだが、今日17日になっても同じ場所に摑まっていて2㎝程上にのぼっただけで、まだ飛ぶ気配がしない。2年前の4月の初旬に羽化した成虫は3日後くらいの朝5時頃に室内をコウモリのように障害物にぶつかることもなく飛び回っていた。今回の成虫はまだ体が固まっていないのだろうか?
写真に見えているクワズイモの幹が分かれている場所に砂糖水を滴が垂れるくらいに湿らせたティッシュペーパーをはさんでおいたが、ゼンマイ状の口器を伸ばして吸うこともない。前回同様に弱って死んでしまうのだろうか。5日間も同じ場所から動こうともしないので心配になってきた。何回か注射器を使ってティッシュペーパーに砂糖水をたくさん補充しているが全く吸う気配がない。
前回の飼育から夜行性で昼間は全く動かないことは観察しているので、寝ている夜中には砂糖水を吸っているのだろうか。もう少し様子を見て、外に放して自由にしてあげたいと思う。
143年前にファーブルは『昆虫記』の10巻「四 みつかどせんちこがねー道徳」の中で「その他いつも前進する科学がきっといつか発明せずにはいない千倍も強力な爆薬を積み上げて地球を爆破するようにでもなりはしないか」(岩波文庫)と今日の核兵器時代を予想するようなことを書いているのだが、ロシアが仕掛けたウクライナへの恐ろしい戦争は坂を転がるように全世界を破滅への道へと巻き込んでいくように感じる。こうした人間の行動の根底には、ほかの生き物にはない「強烈な欲望」があるように思う。
専制主義と民主主義、そして自由と平等も人間の頭の中で造られたもので、自然界にはそうした概念すら存在しないと思うのは下等といわれている昆虫ばかりを見ているからだろうか。だが、こうした生き物たちの生き方を見習って原点回帰しないと人類の存続自体が危ういと思うのは馬鹿げた考えなのだろうか。

2022年1月18日、クロメンガタスズメの緑色の幼虫が潜っていった水槽を見ると成虫が羽化していて、入れておいたプラスチック樹脂製のメッシュの足場に止まっていた。水槽内の土埃と、翅を伸ばして体の中から出る余分な白い尿酸液の乾き具合から見ると1週間近くは気が付かなかったように思う。急いで水槽から出してみたが、狭い水槽内で脱出しようとして無茶苦茶に飛びまわったのだろうか、翅はボロボロになっていた。
手に止めてみると弱い力で腕まで上がってきて、ゼンマイ状に丸めている口器を伸ばして皮膚に触ってきた。口器の長さが20㎜くらいの長さだと分かったが、餌を与えようと写真のように丸めたティッシュペーパーに止まらせて、目の前に昆虫ゼリーを置いてみたが全く口器を伸ばすことはなかったので、ゼリーを出してティッシュペーパーを小さく丸めて濃度を変えた砂糖水を入れ、水溜まりができるようにして何回か置いてみたが、濃度を薄くしても全く吸おうとはせずに、2日後には死んでしまった。
2021年の11月12日に土の中に潜っていったので、2ヵ月弱で出てきたことになる。ネットなどで「早く出てくる」という情報を見ていたので気を付けていたのだが、完全に見逃してしまった。この蛾はとてもパワフルで手に摑まったときの力も強くて、無理矢理に触ると「ギィー」と鳴いて抗議をするのだが、今回はすっかり弱ってしまって摑まる力も弱々しく全く鳴くこともなかった。死んでしまった日からは暗い気持ちになった。
だが「なぜ早く出てきたのか?」という疑問があった。2年前にも同じリビングで飼育していたのだが、4月12日に羽化して出てきていたので3ヶ月も早く出てきたことになる。分布は九州以南の南方系となっているので、関東地区まで飛来してきて産卵したのだと思うのだが、土の中に潜ってからは積算温度で羽化してくるのだろうか?
同じような飼育環境でも3ヶ月も早まったというのは、温暖化などの気候変動が昆虫自身の体内時計にも影響を与えているからなのだろうか?
疑問は尽きないが、今後の飼育では十分に注意を払いたいと思うが、早く出てきてしまえば野外に放したとしても死ぬことになるだろう。同じ日の夕方に潜った黄色の幼虫はまだ羽化していないので、室内でも気温の低い場所で目立つところに置いて観察しているが、まだ出てきていない。
新型コロナウイルスの感染拡大はオミクロン株の出現で日本でも1日の感染者が10万人を超える凄ましい勢いとなっている。アメリカやヨーロッパではもっと凄いことになっているようだが、正確なことは全く分かっていないようで「重症化しない」という楽観的な情報がマスコミによって広がっているように思う。
アメリカでは記録的な寒波が襲来し、世界中で干ばつや季節外れの大洪水や乾燥による大規模な森林火災などが起きているのだが、人間の最も大きな関心は依然として「経済活動」で「お金が中心」にあるように思う。光に向かって飛び込んでいき死んでしまう虫を見て「飛んで火にいる夏の虫」という諺は生まれたらしいが、これは「自分から進んで災いの中に飛び込むことのたとえ」だそうだ。人間が作り上げた「お金が中心の世界」は最終的には同じことを意味しているように思うのはクロメンガタスズメの死を引きずる変人だからだろうか。

2021年12月11日の朝、ミズゴケを敷いた大きな容器の中で昆虫ゼリーを与えていたヘラクレスの♀が死んでいた。7月26日に自力でマットの上に出てきてから3ヶ月と14日間の寿命だった。11月26日にカブトマットを詰め込んだ飼育容器の中を確認すると10卵が確認できたが、250㏄のガラス瓶がなくなってしまったので、小型の飼育ケースにカブトマットを5cmほど少し硬めに敷き7-8㎜ほどの縦穴を1Cmほどの深さに開けて9卵を収容した。1卵は最後のガラス瓶に同じような縦穴を開けて写真のように入れた。この日を最後に1-2回ほどカブトマットには潜ったが、卵は確認できなくなった。バナナも食べられなくなり昆虫ゼリーに切り替えたが、目に見えて弱っていってしまった。
9月18日の時点では約50卵ほどの産卵を確認していたが、11月26日の最後の10卵で産卵の総数は116卵に達した。この数字が平均的な産卵数なのだろうか?
この間に、母虫が消費したものといえば、バナナ十数本と十数個の昆虫ゼリーだけだった。しばらくの間♂と同居して、その後は産卵用にマットを固く詰めた飼育容器の中に潜って産卵し、1-2日毎には出てきてミズゴケを敷いた特大の飼育容器でバナナの切れ端を1-2日にわたり食べ、卵を取りだした飼育容器に潜り込むことの繰り返しだった。
間近で観察していて116個の卵を取り出す労力以上に、この母虫の「無私で無欲な行動」に強く驚かされた。人間に見られる「個の欲望」は全くなく、成虫になってからの目的は「卵を産んで次世代を引き継ぐ」ことだけに費やされる。ヘラクレスオオカブトが種として地上に現れたのは人間の数千倍近くも前のことだと思うが、こうして数千万年にわたり「種を継続」してきたのだろう。
17世紀の前半にどこかの国の哲学者が「我思う、ゆえに我あり」という言葉を残した。言葉の真意はわからないが「自己の存在を宇宙の中心にする」という「個人主義の正当化」を広く世界に広げた言葉だと思う。人間以外で「集団」で生きている社会性生物には存在しない概念のように感じるのは「群れが滅びる=個体の消滅と種の衰退」を意味するように思うからだ。
今年の冬にアフガニスタンでは数百万人の餓死者が出る可能性があるといわれている。一日の生活費が1.9ドル以下で生活している世界の貧困層は1/10人だそうだ。一方で金融資産が50億円以上の人は13万人ほどいるそうで、大金持ちたちは「宇宙旅行」を楽しんでいる。アメリカでは新型コロナウイルスの1日の新規の感染者が16万人を超えたらしいが、マスクをして歩いている人はほとんどいない。人のことは言えないが「個人の自由」なのだ。「我思う、ゆえに我あり」この言葉が「種としては短命で、あと少しで滅びます」と聞こえるのは虫ばかり飼育している変わり者だからだろうか。

2021年11月12日、朝8時ごろ庭のクロメンガタスズメの黄色と緑色の幼虫を見ると写真のように背中が赤くなっていて、土の中に潜って蛹室を作る時期にきていることが観察できた。そのままにしておくか迷ったが、黒土を10㎝ほど敷いてセイヨウアサガオの葉を入れた飼育容器の中に回収した。
昼に戻ってみると背中の赤色が薄かった緑色のほうが容器の土の中に潜って姿を消していた。同じ容器に入れていて土の中や羽化時に事故が起きるのを防ぐために、黄色を別の容器に移した。
黄色はなかなか潜ろうとはしなかったが、18時過ぎに家に戻ると容器の黒土の中に潜って姿を消していた。前回の観察では11月2日に土に潜っていった幼虫は4月21日に羽化して出てきたので、今回は潜った日が黄色、緑色ともに11月12日なので来年の4月末から5月の初旬には羽化するのだろうか?
室内飼育で11月に羽化したという報告も聞いているので、気温の低い場所に置こうと思う。無事に羽化できるように容器には斜めに樹脂製の四角いメッシュ状の構造をしたシートを入れることにした。100㎜を超えるこの大型のクロメンガタスズメやヘラクレスオオカブトの幼虫たちも、その一生に消費するものは人と比べるとほんのわずかな量の植物の葉や腐葉土で、死んでしまえばすべてが分解されて自然に帰っていく。
人間の世界では気候変動をめぐりCOP26が開催され12日に閉幕した。環境保護活動家は「茶番だ!」と批判して数万人規模のデモなども行われたらしいが「環境保護」という言葉に違和感を覚えるのは、すべての生き物が「環境に保護されている」と考えているからで人間が「環境を保護」することなどは不可能だと思うからだ。
なんでも「人間が中心(自分が中心)」という考えが大きな間違いだと気づくのには、それほど時間はかからないかもしれないが「沈黙の春」が訪れたときには鳥たちより先に人間がいなくなっていると思うのは頭がいかれているからだろうか?

2021年11月3日、マンションの庭の西洋アサガオの群生中にクロメンガタスズメの幼虫を2年ぶりに確認した。2年前にはいろいろな齢の幼虫を見たのだが、今回は褐色の大きな幼虫が9月の中旬に突然に現れたように思った。その後、近くの無舗装の小さな駐車場に生えている一株の西洋アサガオの葉に同じ色の終齢幼虫がついていたので、ほかの人間に見つかって殺されてしまう前に捕獲して庭に放した。背中の色が赤みを帯びたら飼育容器に収容しようかと考えたが前回に観察をしているので、今回は放置しておくと10月中旬には2頭とも姿を消した。近くの地面に潜って蛹室を作り蛹になったのだと思う。
10月の中旬には黄色と緑色が現れた。緑色は6-7cmの幼虫を9月末に確認していたが、その後、探しても見つからず大きな終齢になってから確認できた。黄色は6-7cmの幼虫が突然に左側の茎につかまっていたので、びっくりした。両方とも11月3日の段階で写真のようにかなりの大きさに成長をしているが、背が赤色になってきたら飼育容器に観察のため収容するのか迷っている。もう一度、部屋の中をコウモリのように障害物にぶつかることなく見事に飛行する姿を見てみたい気もするのだが、不完全羽化などの事故も心配になる。
人間の世界では「多様性」が注目を集めているが、昆虫をはじめとする自然の世界は最初から「多様性」にあふれている。人間の思考は言葉により偏ってしまい多様性を見失ってしまうので、これからもできるかぎりは自分の五感でいろいろな昆虫の観察を続け視野が偏らないようにと願っている。突然に表れたクロメンガタスズメの幼虫は存在自体が神秘的で不可思議におおわれていて畏怖の念を感じる。

2021年9月18日、8月7日に産卵のセットをした♀だが、1週間ほどの間隔で上に出てきているタイミングで外に出してマットの中を確認する作業を繰り返していた。9月15日にマットの表面に出てきて外に出ようと動きまわっていたので、大きな飼育容器の♂と一緒にしていた。産卵用の容器の中を確認してみると10卵ほどが確認できたので、全部で39個の卵をガラスのビンに移したことになる。17日の夜にはバナナに食いついている♂から離れて容器のすみのミズゴケに潜っていたので、マットを詰めなおした飼育容器に移したが、マットに潜っていかなかったので、昆虫ゼリーを入れるとすぐに食べ始めた。♂と一緒だとゆっくり食べることができないのだろうか?
夜10時ごろには、まだ潜らずに食べていた。18日の朝8時半には掘り返した跡があるマットの上に出てきていたので、今度は♂とは一緒にせずに小さな飼育容器にミズゴケを敷いて昆虫ゼリーと♀を入れ霧吹きをすると、写真のように落ち着いて昆虫ゼリーを食べていた。前日の夜から8時間ほどしか経過していないが、容器のマットの中を確認してみることにした。
驚いたことにわずか8時間ほどの間に産卵をしていてその数は7個もあった。このことから♀が卵室を作って1個の卵を産み付けるのに1時間ほどがかかるのではないかと推測することができると思う。19日の朝には昆虫ゼリーを離れてミズゴケに潜り込んでいたので、小さく切ったバナナを入れてみると夕方から食べはじめた。
8月7日から9月18日の朝までの産卵の総数は39+7で46卵を記録した。潰してしまった卵も6-10卵ほどあるので50卵ほどを産んだことになるが、このまま観察を続けて産卵の総数を記録したいと思う。小さなことでも本当のことを知るためには自分の目で観察することが最も大切なことなのだが、実際にやってみるとかなりの労力と時間が必要になる。約50卵を産んだヘラクレスオオカブトの♀の寿命の短さから考えると生き物が世代をつないでいくことに最大の努力を費やしていることが実感できる。
人間の世界では世代をつなぐことより「個人の満足」が優先されているように思う。どこかの国の総理大臣候補が「国民の生活を豊かにするには、もっとたくさんの電力が必要になる」と主張しているのを見て驚かされた。人間の経済成長が生み出すプラスには地球環境の回復不能な破壊にともなう異常気象や生物種の大量絶滅という大きなマイナスがあると国連の科学者組織が警告をしているが、自分の権力をささえる少数の支配層の利益にしか興味がないのだと思う。
新型コロナウイルスの感染拡大も異常気象も森林の消滅もすべてを「カネ勘定」にしてしまう地球上で唯一の異常な生物種がいつまで存続するのかと恐ろしさを感じるのは、負け組の無能な人間だからだろうか。

2021年9月1日、6月30日にボトルの樹脂面越しに羽化を確認していたギラファノコギリクワガタのボトルのフタを開けると写真のように自力でマットを掘り進み出てくるところが観察できた。フタの上の記録を見ると2020年8月23日に2齢でこの菌糸ボトルに入れたことがわかる。
2021年3月31日に中を確認した時には3齢の終期になっていたが、全身に薄ピンク色のカビか粉ダニがびっしりと張りついていたので、アルコール液を吹きかけながら歯ブラシで落として霧吹きの水をかけてアルコールを流す作業を30分ほど続けて、幼虫の体から取り除いた。その後、ボトル内の菌床をすべて取り出し、樹脂ボトルを熱湯で消毒してからクヌギマットに詰め替え大きな3齢幼虫が潜り込める空間をあけてから戻した。
かなりの荒療治だったので死んでしまうのかと思ったが、5月の中旬にはボトルの樹脂面に蛹室を作りはじめ、6月の初旬には蛹に脱皮して6月30日に羽化しているのを確認していた。9月2日の夜にボトルから出してみると93-4㎜と思ったより大きな♂だったが、フタに書かれた簡単な記録から飼育観察していた自分には成虫になって出てくるまでの軌跡が分かるようになっている。
このほかにもニジイロクワガタの♀が2頭、♂1頭、ギラファ♂1頭が同じような状況になったが、ニジイロクワガタの♀1頭が前蛹から蛹への脱皮途中に死んだ以外はみな無事に成虫になった。構造色にならなかったニジイロクワガタの♀も治療した個体だったが、新型コロナウイルスの感染防止用に使っている手指消毒用のアルコール液(80%)が意外なところで大いに役に立った。
霧吹きのノズルを緩めて水鉄砲のように水を強く吹きかけてもほんの少ししか取れない粉上の物質がアルコールを吹きかけてから、少しおいて1本歯の歯ブラシでこすると簡単にはがれていった。そのあとに霧吹きの水でアルコールを落とす作業を何度も繰り返すと、からなりきれいにとれていった。生き物を飼育観察することで最も大切なことは「殺さない」ことだと思う。
小さな命だが、死んでしまえば生き返ることはないのだから、異変が起きた時に必死に考えると何か解決策が見つかるように思う。いつも解決することができるわけではなく、死なせてしまうことも多くあるが、こうした経験から「死」に対して多くのことを学んできたように思う。歩いているときに下を見ているのは生き物を殺さないように注意しているからだ。幼いころから生き物が好きだったのでこうした感性ができたのだと思う。

2021年8月26日、7月26日にカブトマットの上に出てきたヘラクレスオオカブトの♀を2週間ほど♂と一緒に飼育し、8月19日に別の容器にカブトマットを固く敷き詰め転倒防止用の木っ端を入れ♀を中に放した。すぐにマットの中に潜っていって、3日ほど経過すると上に出てきていたので昆虫ゼリーを与えると食べはじめたが、翌日には潜って姿が見えなかった。
この日の朝に飼育容器を開けると♀がひっくり返って、ジタバタしていたのでミズゴケで飼育している♂のいる大きな容器に移して仕事に行った。午後に帰ってくると♀は♂と仲良くバナナを食べていたので、♀の入っていた容器の中のカブトマットを大きな樹脂製のタライに少しずつ移しながら中を確認していくと写真のように円形の卵室に産み落とされた卵が出てきた。全部で14卵が確認できたが、4卵ほどが潰れた状態で見つかった。
小さなプラケースでまとめて管理しようと思ったが、よりマットの中と近い環境にするため直径約70㎜×高さ約80㎜のガラス瓶にマットを詰めて対角線上に卵室を模して鉛筆の柄の底で縦穴を開けて、そこに卵を入れて観察することにした。マットから取り出す際に不注意で2卵をつぶしてしまったので、2×6本のガラス瓶を作成した。暑い中、外で作業をしていて、好奇心が優先して時間がたつのを忘れてしまい頭がフラフラして脱水症状になりかけた。
なぜ♀はわざわざ卵室を作るのか?
自分の手で鉛筆の柄の底を使って作ってみればわかるが意外と難しい作業なのだ。「換気のため」というのも地表から3-40㎝の固い土の地下では意味がないように思う。以前に同じように取り出した卵を園芸用の「クヌギの葉100%」という腐葉土を小さな飼育容器に敷き詰めて指で窪みを付けてその上に卵を置いておいたことがあるが、ダニのような生き物が出てきて卵の中身を吸っていて、2個の卵以外は食べられてしまう経験をした。クモのような形のダニのような生き物をよく見ると卵に差し込む針状の固そうな口器はあるが、脚は地面の中を掘り進むような頑丈な構造ではなく糸のように細かった。この観察から卵室は母虫が卵を捕食するほかの生き物から守るためのものではなかと考えるようになった。
アメリカで新型コロナウイルスのワクチン接種が義務化される可能性があるという報道がされると「ここは自由の国アメリカだ。選ぶ権利がある」と多くの若者が激しく反発をしている映像が流れたが「自由には他人を思いやる義務がある」というモラルを「全く持っていないのだ」と感じると同時に、こうした「利己的な思考」が人間の世界を覆いつくしていると思うと恐ろしくなった。
生き物の下層に配置されている昆虫であるヘラクレスの♀が作る卵室に、生き物の持つ原初的な「次世代への思いやり」とモラルを感じるのは完全に頭がいかれているからだろうか。

2021年8月18日、ニジイロクワガタの♀が蛹室を作った菌糸ボトルを見ると全体が黒く変色していて劣化しているように感じたので、蛹室の上部の黒くなった菌床を大きなスプーン状の器具で掻き出して取り除いた。このままにしておくと、さらに劣化が進み腐敗しガスが発生して蛹の状態や羽化した成虫になっても死んでしまう経験をしているからだ。
2頭とも樹脂ボトルの最下段に蛹室を作っているので、左右の端に高低差をつけて待ち針の先端をガスの火で熱して換気用の極小の穴を4個ほど開けた。極小の穴をあけるのは、過去に目打ちなどで大き目の穴をあけたとき、そこからキノコバエが侵入し大発生して、蛹は排泄物で汚されて死んでしまう経験をしているからだ。この状態にしておけば無事に成虫になって、蛹室でゆっくりと体が固まるのを待つことができる。生き物の飼育ではいかに環境を整備するのかが大きなポイントになると思う。
成虫の写真の♀のニジイロクワガタは虹色ではなく濃い紫色をしているが、これから虹色になるわけではなく、構造色が完成できなかった「先祖返り」の個体と思われる。ダーウィンは『種の起源』でサラブレッドの仔馬に時々、縞模様が現れる現象を観察していて、当時この仮説を提唱していた。6月に成虫に羽化したニジイロクワガタの♀の成虫でこの遺伝的な現象を目の当たりにして「本当に起きるのだ」と実感したが、150年前のダーウィンの観察眼にも驚かされた。
パラリンピックを前に新型コロナウイルスの変異株の感染は日本で驚異的なスピードで広がっている。病院はもちろんホテルでの療養もできず、感染した妊婦さんが自宅で早産してしまい赤ちゃんが死亡するという痛ましい事態が起こった。ニュースで見ただけなのでわからないが担当の行政者は「受け入れる医療機関がなかった」と強調していて「新たな小さな命が顧みられることもなく死んだ」という事実の残忍性に対する認識に欠けているように感じた。
どこかの知事は「パラリンピックの学校連携観戦」を「より安心、安全な形にできるような準備を進めてまいります」と言っているらしいが、こうした常軌を逸っした言動とともに実践される行動や行為は自分もその一員なのだが、ほかの生き物には見ることのない人類の異常で特異な「利己的な性質」の強烈さを表しているように感じた。
世界で起きている考えられないような残虐な行為や政変なども根っこにあるのは同じ性質だと思う。こうしたニュースを見たとき、ベトナム戦争の末期に「雨を見たかい」という比喩的な楽曲とともに映し出される戦場の惨状を見た時と同じような恐怖を感じるのは自分が弱いからだろうか?
新型コロナウイルスの出現は人間という生き物の本質を浮き彫りにしているように思う。「弱肉強食で強いものだけが生き残こる」この恐ろしい言葉の本質は人類が環境を破壊しながら「金儲けがすべてだ」と叫びながら突き進む破滅的な将来を占っているように思った。

2021年8月5日、午前中の仕事を終えて、26日に♀のヘラクレスが脱出してきたバックルコンテナを見ると中のカブトマットが凹んでいるように見えた。バックルを外して中を確認してみると写真の大きなヘラクレスの♂がマットの表面に出てきていた。♀が出てきてから10日後のことだ。♂のほうが成虫になるのに半年ほど長くかかるといわれているので、2019年の6月頃に卵で回収して羽化させた幼虫だと思う。
昨年の11月に同じマンションの小さな友達と一緒に餌替えをした時の体重の測定値がフタの上に記載してあったが、91ℊと書いてある。2021年の4月には蛹室を確認しているので体重は増えても10ℊ以内だと思うが、100ℊを超えると140㎜くらいの体長の♂になるのだろうか?
フタを開けた時には真っ黒だった鞘翅は写真を撮っている間にもオリーブ色に変化していき、5分ほどで全体がオリーブ色になった。5㎜ほどの小さな卵が植物の死骸である腐葉土を食べてこのように見事な生き物に変化する様子は何度見ても不思議で、驚愕と畏怖の感情が湧き上がってくる。この大きなヘラクレスの♂は日本に来て人間の手で育てられても南米の熱帯雲霧林の中でも同じものを食べ、本能に従っていて生き方の根本は変わらないと思う。
オリンピックは日本に過去最多のメダル数をもたらしたが、新型コロナウイルスの感染者数も最大の数値になった。全く関係がないように思うが、ほかの生き物にはない人間独特の生態のようにも感じる。義務や責任という倫理観がある一方で、同じ理性が作り出した恐ろしいほどの個人主義が「自分の満足のためだけに生きろ」という欲望を増長させているように思う。
環境破壊の問題は政治や経済ではなく、すべての人間が持っている自分の欲望を最優先させるという強烈な心理が根底にあるように思う。もちろん自分もその一人だということも自覚しているが、昆虫という生き物の飼育や観察からはこうした人間が持つ特有の性質は全く感じられない。金持ちたちはその巨万の富で宇宙旅行に行くらしいが、世界中で家もなく新型コロナに感染すれば自分の「免疫力だけが頼り」という同じホモ・サピエンス種が数えきれないほど多いことも頭の片隅に入れておいたほうが良いように思う。次は自分の順番になるのだから。地球上で「特別な生き物」など存在しないし、すべての生き物が環境に生かされていると思うのは自分のような頭の悪い人間の思い込みなのだろうか。新型コロナウイルスも環境が生み出したものであることには違いがないと思う。

2021年7月26日、ヘラクレスの3齢幼虫を入れてあるバックルコンテナの中に丸い影がぼんやりと見えていたので、フタを開けてみると写真の♀がカブトマットの上を歩いていた。羽化して自力で脱出してきたのだ。測ってはいないが大きさは70㎜近くはあるように思う。2019年の11月に卵だった個体なので羽化までに1年8ヵ月かかったことになる。今年の3月には♂の蛹室も確認しているので、1-2ヵ月ほど遅れて出てくるかもしれない。このコンテナには今年の5月くらいまで活動をしていた♂の終齢幼虫がもう1頭いるので、年内には成虫になって出てくるように思う。
何度も羽化したての個体を見ているが、構造の緻密さと美しさには驚かされる。ヘラクレスのメスは全身が細かい金茶色の毛でおおわれているが卵から孵化したばかりの幼虫も細かい金茶色の毛が生えている。日本のカブトムシよりもかなり毛深いように思う。
今、家ではかなりの種類のクワガタやカブトが同居している。世話をするのに大変な思いをしているが、種類によって色や構造が違っていて何度見ても飽きないし、個体によっては全く反応が違ったりしていて個性があるのは観察していて面白いように思う。生き物は神秘の塊だ。
人間もその一員なのだが、ほかの生き物に対する仲間意識は皆無のように感じる。国連の報告ではこの数十年の間に100万種の生物種が人間の経済活動による環境の劣化で滅びるとされているが、そのことが人類の絶滅につながっていると考えているのは生物学者ぐらいだと思う。
2回目のワクチン接種の問診のときに医師に「これでコロナにはかからないのですか?」と問いかけると「確かなことはわかりませんね。今、実験中なんですから」という答えが返ってきた。
観察していると昆虫にとって生きている最も重要な意味は「種の継続」だと思う。人間にとっては地球環境を破壊し尽くし、身を滅ぼすことが分かっていても「金儲けが最優先」だと感じているのは自分が「金儲けに無能」で生きていても意味のない底辺の人間だからだろうか。止まらない新型コロナの感染の拡大とともに、もうすぐ答えが出るようにも思う。

2021年6月18日、マンションの庭のツマグロヒョウモンの♀が羽化していたが、今年になって初めての観察だった。昨年はほとんどの蛹が寄生バエかハチにやられていて見ることができなかった。
6月27日の土曜日はセナリオハウスフィールド三郷でNPOの社会人チームのトレーニングマッチを行っていたが、終了後に人工芝のフィールドの1メートルほどの高さに大きな昆虫が飛んでいて、見た瞬間にクロメンガタスズメだと分かった。2年ぶりの再会だ。
下に降りたところを捕まえて家に連れて帰り、写真を撮った後に庭に植えてあるセイヨウアサガオの葉に止めてみた。
だが、産卵することなく30秒ほど細かく羽ばたいた後に真っ暗な空に向かって垂直に凄いスピードで飛び去ってしまった。ジェット戦闘機のような勢いだったので驚かされた。
昆虫たちの世界は毎年、変化はあるものの人間が地球の自然環境を大きく改変した後も怒ることもなく続いているように思う。
年間に4万種もの種が人間の「経済活動」のための自然破壊で滅びていると国連の科学者組織がまとめた報告書(IPBES)が指摘しているが、ほとんどの人間は知らない。
今回の新型コロナウイルスによる感染拡大は自然界から人間に発せられた警告のようにも感じるが、自然破壊のスピードは加速しているようだ。
世界の1%にも満たない「勝ち組」に被害がおよぶのは、ほとんどの人間が滅びてしまい手遅れの時だと思うのは貧乏人のひがみなのだろうか。

2020年4月2日に卵で回収して100㏄ほどのガラス瓶で飼育を始めたギラファノコギリクワガタ。5月30日には2齢の終期になって♂であることが確認できたので、ニジイロが羽化して出た後の800㏄の菌糸ボトルに移した。8月23日に3齢で30ℊにまで成長したので900㏄の菌糸ボトルに入れ替え、11月14日に1400㏄のボトルに移したが32ℊと体重は2ℊしか増えていなかった。2021年の2月14日には蛹室の上の部分の菌糸を掻き出して通気用の窓を開けた。16日に羽化がはじまったが、2ヵ月以上が経過しても出てくる気配がなかったので、本日4月23日に蛹室に開けた窓を広げて出してみた。体長を測ると98-100㎜くらいの大きな♂だった。
3㎜ほどの小さな卵から驚くほどの大きさに成長した。何度も見ているのだが、何回見ても大きな驚きと畏怖の念を感じて、不思議な感覚になる。

2021年2月12日、昨年の9月にファーブル会から引き取ってきたニジイロクワガタの大型の♂の幼虫を腐敗した劣悪な菌糸ボトルからクヌギマットを詰めた1200㏄のボトルに移した。その後、10月の下旬には順調に蛹室を作り終え、真っ白な蛹に脱皮したのだが、頭部の口器付近に黒く小さなシミのような部分ができていて、少しずつ範囲が広がり写真のような状態になり死んでしまった。腐敗した菌糸ボトルの中にいるあいだに致命傷を与えるような黴菌や菌類が体内に侵入していて、蛹になった段階で体内で増殖をして死んでしまったのだろうか? 同じ時期に菌糸ボトルに入れた他の個体は何とか無事に羽化して成虫になっているので、菌糸が腐敗する劣悪な環境が感染を引き起こしたように思う。
世界では新型コロナウイルスの感染者数は一億人を超えたらしい。開発されたワクチンの接種もはじまっているが、効果もはっきりとはしていないようだ。「コロナ撲滅、ゼロコロナ」というようなメッセージを発信している頭のおかしいな政治家などもいるようだが、人間への感染力を獲得したウイルスを地上から消し去ることなどは絶滅した生物種を再生させることと同様に不可能なことだと思う。
金融経済は実体経済とかけ離れた動きをしていて、投資をしている人間は儲かっているようだが、かかわっている人間は世界の総人口の1%にも満たないと思う。かかわりあっていない多くの人間がコロナウイルスの影響を受け苦境に落ちいっているが、実態は見えていないように思う。見えはじめた時には「手遅れ」だと思うのは貧乏人のひがみなのだろうか。人間の経済活動による環境の劣化で多くの生き物が絶滅していることも、この新型コロナウイルスの出現とかかわっているように思うのも勘違いなのだろうか。

2020年12月6日(日曜日)文京区にあるNPO法人日本アンリ・ファーブル会主催の「昆虫飼育教室(ニジクワ編)」を開催しましたが、当日は8組の親子の方々が参加してくれました。
今回は菌糸ボトルではなくマット飼育ですので、最初に1組に2本の800ccの空ボトルを配りマットの詰め込みを体験してもらいました。
見本で1本作成しましたが、参加した親子の方々はどのくらいの硬さに詰め込むのか悪戦苦闘をして、かなりの時間がかかってしまいました。
次に8月の初旬に繁殖のセットをして、9月の末に初齢の幼虫が確認できたので♀を取り出してあった飼育繁殖容器を見せると、大きな3齢幼虫が透明な壁面に見えていたので、子どもたちは「あっ! この大きいのがいい!!」と叫んでいました。机の上に用意したプラ船の容器に中身を開けると大きな3齢をはじめ20頭ほどの幼虫が転がり出てきて、ますます子どもたちのテンションは上がっていきました。
スタッフの方が番号札の入った容器を用意して「幼虫選択」の順番を決めていましたが、子どもたちは真剣な顔をして引いていました。1番の子は上に出ていた大きな3齢幼虫を選んで入れていました。
後半の子が開けた時に容器から転がり出て一瞬でマットの下に隠れているのを記憶していて「ここだ!」と言って大きな3齢幼虫を堀当てていたのには驚かされました。
2回目は逆回りで1組、2頭ずつボトルに収容して休憩に入りました。後半はパワーポイントを見ながら「クワガタ飼育」の説明をしました。親子ともども真剣に聞いているので、少し圧倒されてしまいました。終了前の質問もたくさん出てきて、熱気のある「昆虫飼育教室」になりました。最後にパワーポイントのデータが欲しい方たちにダウンロード用のURLをお知らせする約束をして終了しました。
終了後に飼育容器の中の産卵木を確認すると16頭ほどが残っていましたので、ボトルに詰めて販売用としました。
次回は来年の2月下旬から3月初旬に「ヘラクレスオオカブトの幼虫飼育」を開催する予定です。翌7日に採卵して管理している2本の飼育容器の一つの中を確認すると22頭の初齢幼虫と孵化直前の卵8個が確認できました。もう1本ありますので、60頭近くの初齢幼虫が出てくると思われます。まだ♀3頭が産卵セットの中にいますので、開催する幼虫数は確保できそうです。
開催してくださったアンリ・ファーブ会の皆様には心より感謝いたします。ありがとうございます。次回もよろしくお願い致します。

2020年10月23日、9月28日に引越をして10月5日に蛹室を作りはじめたニジイロクワガタの大き目の♂の終齢幼虫は19日間をかけて写真にあるように完璧な蛹室を完成させ、体をのばして前蛹になる準備に入ったようだ。このままジッと動かなくなり体全体に皺が寄ってきて縮んだようになるが体内では蛹の形が形成されていき、約2週間後には脱皮して真っ白な蛹が出てくる。
ヘドロ状の劣悪な環境の菌床からとり出して引越をした時点で体色がかなり黄色くなっていたので、蛹室を完成できるのかと心配したが時間は間に合ったようだ。あるいは昆虫自身が時間をある程度は調整ができるのだろうか?
以前にも記したが蛹室を作り終え、前蛹になる前に出してしまいマットの中に潜りこめる坑道を作って中に入れるとに潜った状態で動けなくなるのを観察したことがある。この時は坑道の中で前蛹になるのを確認してから人工の蛹室に移して無事に成虫に羽化できた。今回は蛹室を作る前だったので大丈夫だったのだろうか?
ファーブルは『昆虫記』の中で「融通の利かない本能」と書いているのだが、私の観察の範囲では若干の「融通」はできるように思うのだが、確証はないが、同じ種類の昆虫を数十年にわたって飼育観察していると本能に対しては「驚異と畏怖」を感じることの方が多いように思うが、アマゾンの熱帯雨林を「カネ儲け」のために大規模に焼き払ってしまう人間の「理性」には「愚かさ」しか感じないのは普通の人間とズレているからなのだろうか。

2020年10月11日、11月から12月にかけて予定しているNPO法人日本アンリ・ファーブル会での「昆虫飼育教室ヘラクレスオオカブト編」のために6-9月にセットした繁殖用の飼育ケースの中を確認してみた。8月頃にセットした容器のマットをあけると9卵が確認できたので100㏄に1卵、300㏄のガラスビンに4卵ずつ分けて管理することにした。この♀は9月にあけたときも9卵ほど確認できているので18卵が確認できているが、そのうち3卵は孵化せずに死んでしまっているので15卵が生きていて、2頭の幼虫の孵化を確認している。
9月にセットして3頭の♀が入っている容器をあけると写真のように29卵が確認できたので、中型の飼育容器にカブトマットを少しきつく詰めて写真のように小さな凹を作り、その中に卵を入れて管理することにした。全部で44の卵が確認できたので「昆虫飼育教室ヘラクレスオオカブト編」は無事に開催することができると思う。歳をとると大きな飼育容器をあけて中身を確認して、もう一度戻す作業などがとてもきつくなってきたが、参加した子どもたちがヘラクレスオオカブトの幼虫に触れて持ち帰るときの喜ぶ表情を想像すると頑張ることができる。興味を持つ生き物に触れることを通じて、他者や異質の生き物に対する利他的な感性が養われることにつながると思う。
昨日、10日の読売新聞夕刊にアマゾンのパンタナル湿原の大火災のニュースが1面のトップに掲載されていたが、脚の肉球を火傷したジャガーの写真などがあったものの、あまり詳しい内容を記事からは読み取ることができなかった。アマゾンの自然破壊は他の場所の数百-数千倍の地球環境の悪化を招く危険性があるように感じるのだが、大国の指導者にとっては「カネ儲け」の方が大事なのだろう。二人とも新型コロナウイルスに感染したが「インフルエンザよりも軽い」と言い放っていて「利己的な行動」を改めることなど全くしない。「利己的な遺伝子」のみが進化するというような仮説はどこかで「人種優性説」に繋がっていて恐ろしいと感じるのは気のせいなのだろうか。

2020年10月8日、9月28日にクヌギマットを詰めた1400㏄のボトルに引越をしたニジイロクワガタの♂の終齢幼虫は、その後も1週間ほど内部を動きまわっていたが10月5日の朝からは写真の場所に蛹室の原型のような空間を作り壁面を連続して齧っていた。今朝は齧る音がしないので、本格的に蛹室を作るのだろうか。
完成させるには、あと2週間ほどはかかるように思うが動きが鈍いように感じるのは前蛹になる時間が近づいているからなのか?
ファーブルの『昆虫記』によると「昆虫の本能は驚異的ではあるものの、一度スイッチが入いると後戻りが効かない融通性のない能力だ」というようなことが書いてあり、ヤママユ蛾の幼虫が繭を作成中に上部をハサミで切って穴をあけても修復しようともせず、そのまま手順を変えることなく穴の開いた繭の中で蛹に変態する観察例を挙げているが、このほかにも多くの後戻りできない例を紹介してその驚くべき矛盾を指摘している。
この黄色い♂の終齢幼虫も蛹室を完成させる前に不完全な穴の中で皺が寄って動けなくなる前蛹になってしまうのだろうか?
引越をしてすぐに蛹室を作りはじめれば十分な時間があったはずなのに、なぜ一週間もウロウロしていたのだろうか。
もうすぐ結論は出ると思うが、不完全な穴の中で前蛹になれば、観察者の横やりが入って人工の蛹室に移され事故がなければ無事に成虫になることができるだろう。だが、自然の中では死ぬことになると思う。
どこかの大国の大統領は新型コロナウイルスに感染しても「後戻り」できずに勝手に自分で「治った」と決めつけて選挙戦を継続するらしいが、自分の軽率な行動が感染を広め他人に迷惑をかける可能性があることなど気にしない。
これは昆虫の「後戻りできない本能」よりも厄介な「自分本位な理性」だと思う。彼にとっては他人などは「利用する道具」以上のものではないのだろう。これが世界の指導者の資質だと思うと人類は確実に自滅への坂道を転がり始めたように思う。
アメリカとアマゾンで起きている大規模な森林火災は地球環境にとっては回復不能なほどのダメージだと思うが、ニュースにもならないのだから誰にも知らされることもないし、止めることもできないと考えると本当に恐ろしく思う。

2020年9月28日、昨年の12月にニジクワの2齢幼虫20頭を800㏄の菌糸ボトルに詰め寄付金集めの販売用にファーブル会に持って行ったが、新型コロナウイルスの影響で3月末から閉館になってしまったため、4月の初旬に引き取りに行った。
そのニジクワが自宅で成虫になり9月19日に販売の打ち合わせにファーブル会へ行くと引き取り忘れていたニジクワが幼虫のまま1頭残っていた。かなり大きな黄色い♂の終齢幼虫だが、菌床の劣化が激しく蛹室を作れずにいるように見えたので、帰りに自宅へ持ち帰った。
1週間様子を見ていたがボトルの壁面を齧る音はするものの中をウロウロしていて一向に蛹室を作る様子がないので今朝、中のマットを掻き出して幼虫を出してみた。
マット状の菌床は池の岸辺のヘドロのようなドロドロな状態で、キノコバエのウジ状の幼虫も確認でき極悪な環境になっていたので、写真にある1400㏄の空ボトルにクヌギマットを詰めこんで移住させることにした。
体重を測ると17gあったが、体長が長くかなり大きく見える。菌糸ボトルの劣化がここまで進むと腐敗によるメタンガスの発生でほとんどの場合は死んでしまうが、マットがかなり目減りして上部は大きな空間になっていて、そこに出てきていたので助かったのだろうか?
新たな棲家となるボトルのクヌギマットに潜っていけるように大きな竪穴のスペースをあけて幼虫の頭を入り口にむけると写真のようにすぐに潜りこんでいったが、ボトルの天地は110㎜ほどあるので、幼虫の体長が長いのが分かると思う。
体色がかなり黄色くなっているので、時間的に間に合うだろうかと心配になった。蛹室を完成させるには最低でも2週間近くはかかるので、その前に前蛹になる時間がきてしまうと不完全な横穴のような状況で活動を停止して体に皺が寄ってきて動けなくなるのを何度かみている。
放っておくと蛹に脱皮することもできずに死んでしまうので、こうした場合には前蛹になって1週間ほどが経過してから体長の1.5倍ほどの十分な直径のガラスビンとキッチンペーパーを使って人工の蛹室を作り、慎重に前蛹を移動させると無事に蛹になって成虫に羽化ができた。
今までの経験から昆虫類の飼育は環境に支配されているように思うが、多くの人間は「環境を支配できる」と思っているように感じる。8月16日の落雷ではじまったカリフォルニアの山火事は東京都の約5倍を焼き尽くし、まだ続いているようだ。
アマゾンの森林火災も昨年を上回る規模で起きていて、その主な原因はブラジルの大統領が自然保護政策の予算を大幅に削減し、監視体制がなくなり地主たちの開発のための意図的な放火を容認しているかららしい。昨年にアメリカ政府とブラジル政府の間で設立された「アマゾン開発のファンド」などが大きく影響を与えているように思うが、ニュースにもならない。
アマゾンの熱帯雨林を大規模プランテーションにして「カネ儲け」をする前に異常な気候変動などにより人類がいなくなるように思うのは余計な心配なのだろうか。

2020年9月25日、2019年9-10月に孵化したヘラクレスオオカブトの幼虫だが、約1年が経過して3齢にまで成長した。新しい飼い主に受け渡すに当たりペアにして小さめのコンテナボックスに移して、3セットに分けた。3ペアともメスの体重が60gの前半でオスの体重は80g台と約20gの差があった。
飼育温度にもよるが、早ければあと6か月ほどでメスは成虫に羽化すると思う。オスは来年の10月から2022年4月までには成虫に羽化すると思うが、飼育しているとメスの方が半年近く早く成虫になってしまうのはなぜだろうか?
今年の2月29日メスが羽化して、6月1日に140㎜近くの大きさのオスが羽化してきて6月6日にミズゴケを敷いた飼育容器にオス、メスを入れてみたが、一緒にバナナを食べていたのでカブトマットを敷いた容器に移したが、両方とも早死にしてしまい、産卵も全くしなかった。
キノコバエの侵入を防ぐために容器とフタの間に新聞紙を挟んだのだが、死んだオスを調べるとブラシ状の口器が固まっていた。湿気で発生した何かの菌類が付着したように思った。何回も飼育しているが、早い段階で口器に異常が起きて死んだのははじめてだった。メスも何かの菌類に感染していたのだろうか? たった1枚の新聞紙が原因になったように思うが、取り除くとマンションの飼育では恐ろしい数のキノコバエが発生する。
ほんの少しの飼育環境の変化で生死を分けるほどの影響があるように思った。
カルフォルニアで発生した山火事は東京都の面積の4.6倍ほどを焼き尽くしたらしいが、その国の頭の良い大統領は「温暖化とは関係がない」と意味不明な発言をしていて、森林の焼失という結果の重大さには関心がないようだ。
ブラジルのアマゾンンでも大規模な森林火災が起きているが、同じように、その国の大統領は関心がないどころか、意図的に放火を放置しているらしい。新型コロナウイルスに紛れて恐ろしいことが進行しているように思うのは馬鹿げているのだろうか。

2020年8月27日、蛹室の壁面に大量の体液を塗りこんでいて、7月13日に上部のマット状になった菌床を取り除いて窓を開け、14日に羽化を確認していたギラファの♂を蛹室から出してみた。写真のように菌床はマット状というよりも大量の水分を含んだ粘土質の土のような状態になっていて、成虫にも湿った泥のようなマットが付着していた。マンションの室内という環境で湿気が菌糸ボトルに侵入したためにこんなにも湿ってしまったのだろうか?
ヘラクレスが羽化してきたコンテナボックスのマットも同じような状態になっていた。ギラファは♂が蛹室を崩すのを確認してから出そうと思っていたが、窓状にあけた部分からも蛹室内が湿っているのが確認できたので羽化から約1.5か月が経過しているという時間から大丈夫と判断してとり出した。
出てきた♂は約86㎜で全体的に光沢があって大変に美麗な個体だと思う。入っていた1400㏄のボトルをきれいに洗ってミズゴケを1/2ほど敷いて収容しているが、9月3日になっても、まだ潜っていて出てくる気配はないようなので、動き始めるのを待つことにしようと思う。
蛹室を作る際に周りが水分量の多い泥のような環境だと体内から分泌液を多く出して崩壊しないように強化しているのだろうか。薄茶色の部分は黒い泥状のマットよりスプーンで崩すときに手応えがあったように感じた。今回の観察からギラファノコギリクワガタの蛹室を作る本能は環境に応じて壁面に塗りこむ体液の量を調節しているように感じた。
クワガタ、カブト飼育のことで「蛹室から出てこないが大丈夫?」と聞かれることがあるが、羽化の確認から1-2ヵ月は蛹室に留まっているように思う。スマトラヒラタの♀は鋭いアゴでボトルの樹脂性の硬いフタに穴をあけて出てきたのを観察したことがある。ニジイロクワガタの♀の蛹室を2つ並べて写真に撮ったが、右側は室内の成虫が確認できるが左側は埋められていしまい成虫の姿は見えないので、この状態になっていれば上に出てきていなくてもマットを掻き出して成虫を出して大丈夫と思う。日にちはハッキリしていないが、両方とも7月中旬までには成虫に羽化したのを確認しているので1.5か月以上が経過している個体と思う。菌床が真っ黒に劣化しているので、上部のマットを掻き出した上に透明の樹脂の蛹室の壁面にマチ針を熱して換気用の穴を左右に高低差をつけて開けている。
アメリカのカリフォルニア州では8月16日にデスバレーで54.4℃と1913年以来の世界最高気温が観測され、その同じ日に発生した落雷による山火事は約50万ha(東京都の約2倍)を焼き尽くす大惨事となっていて現在も鎮火していないらしいが、大統領選挙や日本の首相辞任と後継者争いほど大きなニュースにはなっていない。人間の世界と自然界は別なものと考えているからだろう。
こうした事態が起きるたびに「地球温暖化」の肯定派と否定派の間で激しい論争が起きるが、人間の経済活動が世界のあらゆる場所で自然環境を回復不能なまでに破壊し、多くの生物が絶滅しているという事実はほとんど論争にもならない。今回の新型コロナウイルスの感染拡大もこうした環境の劣化と大量の生物の絶滅が原因だと指摘している生物学者も多くいるが、人間の世界以外には興味がなくほとんどの人は知らないと思う。
日本の固有種のオガサワラシジミは8月27日に絶滅したらしいが、標本の値段は高騰すると思う。ある日「アメリカの大統領がだれか?」などということよりも、こうした人間を除く生き物の絶滅が人類の生存にとっても危機的な影響を与えるニュースとして伝えられる日が来るように思うのは間違った考え方なのだろうか。

2020年8月24日、アマミスジブトヒラタの♀の幼虫を入れている直径が72㎜ほどで高さが85㎜ほどのガラスビンのフタをあけてみるとマットの上に出てきていて、フタとビンの間に挟んであるキッチンペパーをボロボロにしていた。過去の経験からビンの外に出たがっているように思ったので、一回り大きなボトルに入っている♂の幼虫を出して、そこに♀を入れ♂をもう一回り大きな菌糸ボトルに入れ替えた。
上の写真の左側が♀の幼虫だが、下から3番目の体節に薄茶色の紋があるのが分かるだろうか。ほとんどのクワガタの場合、幼虫の♂♀はこの薄茶色の紋があるかないかで確認ができるようだ。体の大きさも♂の体重が14gだったのに対して♀は5gと半分以下の重さだった。ボトルやガラスビンなどで飼育していると環境が気に入らないと上に出てきてしまうようで、マットを掻き出して量を減らしてみても何度も上に出てくるのを観察したことがある。
同じマットを使っていて一回り大きなボトルに入れたほかの幼虫には見られない行動なので、今回は容器が狭いことが原因のように思って大きな容器に移した。小さな100-300㏄程度のガラスビンで卵から飼育していても、種類にもよるが、2齢の後半にまでの大きさに成長すると上に出てきて挟んである紙を破る行動がみられるので、大きな容器に移すタイミングにしている。現在も小さなガラスビンに個別に1-2齢までの幼虫を4頭ほど飼育しているが、2齢はかなり大きくなっているので1週間程度の間に上に出てくると思う。
昆虫の飼育の面白さは相手のペースで観察しないと「何も見えてこない」ということだと思う。飼育容器やボトルのフタなどをいつも開け閉めして「干渉」を繰り返すと最悪の場合は死んでしまう。皆が寝静まった夜などに耳を澄ませていると音を出しているボトルなどがあって、ソーッとフタをあけると幼虫が上に出てきていることもあった。「なぜ?」五感を働かせて「エサが悪いのか?」「容器の大きさに問題があるのか?」と考えを巡らし問題の解決が見える場合もあるが、間違っていれば昆虫は死ぬことになる。レールは敷かれいないので自分で原因と対処方法を探ることになり、小さな世界から大きな経験を得ることができると思う。
新型コロナウイルスの感染拡大に対する世界の対応を見ていると「人間が中心」という哲学が中心にあるように強く感じる。「医学と科学の力でコロナウイルスを撲滅して、一日も早く元の生活に戻る」といわれているように思うが、昆虫に学んで「最小のエネルギー消費」で生活をすることの重要さに気付くことも大事なように思うのはピントのズレた考え方なのだろうか。

2020年8月9日、文京区にあるNPO法人日本アンリ・ファーブル会で午前、午後の2回の「昆虫飼育教室」を開催しました。10:30-12:30の午前中は8組の親子が参加して「ノコギリクワガタ飼育繁殖編」の講座を行いました。
最初にパワーポイントを使って「産卵環境の作り方」の説明をしてから、それぞれに用意された飼育容器の中に前日から水に漬けこんであったクヌギの産卵木を埋め込みマットを使ってしっかりと埋め込み、産卵が出来る環境を作る作業をしましたが、産卵木の樹皮をむく作業に手間取っていました。
転倒防止用にむいたクヌギの産卵木の樹皮を数枚敷いて、7月中に採集して用意してあったノコギリクワガタの♂♀を配って飼育容器の中に放して飼育観察を始めることのできる準備の完了です。1-2週間程度で、透明な飼育容器の壁面に卵が確認できれば10-30頭程度の幼虫が採れると思います。
その後、お土産で用意してあったミヤマクワガタやコクワガタの♂、日本の固有種であるアマミスジブトヒラタクワガタ幼虫の争奪クイズ対決やジャンケン対決をして、参加者全員に配布し、質問を受けてから講座を終了しました。
午後の講座は14:00-16:00の予定で7組の親子を対象に「ギラファノコギリクワガタの幼虫飼育法方」を中心に行いました。午前と同じようにパワーポイントで「クワガタの幼虫飼育」の説明をしてから、それぞれに用意してある飼育用のボトルに幼虫のエサである発酵マットを詰める作業をしてもらいました。
4月に予定していた講座でしたので、ギラファノコギリクワガタの幼虫繁殖用の容器が4ケースにまで増えていましたので、最初のケースでは蛹室を作っている個体も2頭ほど確認でき、ガラスビンを使った観察可能な人工蛹室の作り方の説明をしながら前蛹を移しましたが、こうした場面はめったにありませんので、良い機会になったと思います。
大きな3齢の幼虫がゴロゴロと出てきて最初は盛り上がりましたが、参加者全員に4-5頭ほどが行き渡り、さらに10頭以上が残りましたのが「もっと欲しい」という参加者がおらず4ケース目は開けずに持ち帰りました。
次にニジクワの飼育ケースを開けましたが、飼育繁殖中に壁面に幼虫の確認ができず、6ヵ月以上も♀を容器内に入れていたため、幼虫を食べてしまったようで全くいませんでした。ギラファでは♀の「幼虫食い」を警戒して産卵用のケースを増やしていき大量に繁殖しましたが、ニジクワでは確認ができずに失敗してしまい、大きな反省点として課題が残りましたが、♀を持ち帰り再セットして原因の確認中ですので、次回からはこうした事態が起きないようにしたいと思います。
最後にお土産用のギラファの成虫1ペアやアマミスジブトヒラタの成虫1ペアの争奪クイズ対決をしてそれぞれ正解者に渡し終了しました。「昆虫飼育教室」はそれなりに人気のある講座ですが、パワーポイントの作り方や動画を入れるなど、もう少し構成に工夫を加えれば、もっと興味深い内容になると思いましたので次回の開催までに修正したいと思いました。

2020年8月1日、庭に植えたセイヨウアサガオは写真のような状態にまで成長している。左側には違う種類のアサガオ類も植えているので、クロメンガタスズメの食草は十分なように思うが、準備をしていると来ないことが多いようにも感じる。昨年は10月24日頃に100㎜をこえる大きさの黄色、褐色、緑色の巨大な終齢幼虫に気がついたが、今年は来るのだろうか?
飼育教室用に繁殖飼育していたギラファの幼虫だが、コロナウイルスの影響で開催が遅れたため飼育容器の中に入ったまま大きな3齢にまで成長をしてしまった。普通は2齢で容器から出して、1頭ずつ単独で飼育するのだが、飼育教室なのでボトルに分け入れた幼虫を渡すわけにもいかず、写真のような状態になっている。こうしたし状態の飼育容器が4個もあるので8/9の「飼育教室」では大きな終齢幼虫がゴロゴロと出てくるのではないかと思う。

2020年7月24日、庭の野スミレのプランターを見ると写真の幼虫のほか4頭の初齢幼虫がついていたが、今年の庭での発生は今までの観察で一番遅いように思う。鳥に食べられるといけないのでプランターを窓の近くまで寄せているのだが、セグロセキレイはそのプランターの中を平気でのぞきに来ているので、食べられてしまっているのだろうか。あるいは長い梅雨の影響などがあるのだろうか。
5日後の29日に同じプランターを見ると写真のように大きな終齢にまで成長していて野スミレの葉はほとんど食べ尽くされていた。隣の植木の植物の茎には蛹もぶら下がっていて、成長の速さに驚かされた。ここの庭では毎年9-10月にかけては大量に発生しているのだが、今年はどうなのだろうか。鳥たちも、この場所を学習していてエサにしてしまう可能性もあるが、また羽化するところが観察できればと思う。
庭のセイヨウアサガオは凄いスピードでツルをのばしているし、今年は他の種類のアサガオ類も植えたので庭の壁面はツル植物で覆われているが、クロメンガタはやってくるのだろうか。今年もあの大きな終齢幼虫に会えるのを楽しみに待ちたいと思う。

2020年7月24日、昨日の夜ヘラクレスの繁殖飼育をしていた容器をあけてみると♀が上に出てきて泥だらけになっていた。約1か月間、エサの昆虫ゼリーやバナナも全く食べにほとんどマットに潜っていた。ほとんど動くこともできないくらいに弱っていて、昆虫ゼリーに口器をつけて止まらせたが、今朝見ると死んでいた。
飼育容器の中のマットをあけてみたが、まったく卵を産んでいなかった。2月29日に自力で出てきて、♂が出てくる6月1日までは元気で、6月3日から♂を入れた容器に♀を入れて様子を見て、6日に大きな飼育容器に産卵の用意をして♂♀を飼育していた。1ヶ月ほど経過してから♂を別の容器に移していたが、1ヶ月半近く活動をしていたことになる。幼虫で2年間生きて成虫では約5カ月生きていたことになるが、産卵をすることはなかったようだ。
カブトやクワガタの飼育では時々、こうした経験をしたがマットに原因がある場合が多いように思う。
今回は昨年の8-11月に産卵をしていたマットを使っていたので、別のことが要因になっているのだろうか。3ヵ月も待たされたことが良くなかったのかもしれないが、思いつくことは出てきたときに裏返しになってもがいていたが、何

日間このような状態だったかということがある。かなり体力を消耗していたのだろうか?
水道で泥を丁寧に落とすと体の毛もほとんど擦り切れていなく、きれいな状態だったので、標本にすることにした。残酷に思うかもしれないが、ヘラクレスオオカブトを知る上では標本も貴重な資料となると思うからだ。生き物を飼育していてこうした突然死にあうと暗い気持ちなる。
ニジイロクワガタの♀が入っていた菌糸ボトルだが、ほとんどの菌床を残して上部に蛹室を作っていたので、キノコが侵入することを警戒して100㏄ほどのガラスビンに人口の蛹室を作って移していたが、7月の初旬に無事に成虫に羽化している。
残った写真の菌糸ボトルに4月2日に孵化して2齢にまで成長していたギラファの幼虫を5月30日に投入してみたが、大きな3齢幼虫になって活動をしている。透明なボトルの壁面からは最終節から3番目の体節の背側が確認できないが、頭の大きさから♂だと思う。菌糸が劣化していなければエサとして十分に使えることが分かる。♂であれば大きな蛹室を作るので適当な時期を見て1400㏄のボトルに移す方が大きく成長すると思う。

2020年7月23日、ヘラクレスオオカブトの幼虫1♂、2♀を里子に出す準備をするため5月23日にエサの継ぎ足した飼育容器をあけて中を確認した。2か月が経過していたが、飼育している幼虫が多いので♂・♀両方とも1/3-1/2ほどがフンで埋まっていた。
フルイ掛けをしてフンを取り除いたマットを容器に硬く詰め込むと1/3ほどの量になってしまたので、クワガタの幼虫飼育用の菌糸ボトルの残滓とカブト繁殖用に使っていたマットを混ぜ合わせて大型のプラスチック製の収納ケースに集めていた節約マットを詰めこんで♀を6頭収容した。
♂の飼育容器にもマットを継ぎ足したが、収納ケースに一杯あったマットはほ

とんどなくなってしまったが、何とか間に合った。5頭の♂を容器に収容する前にすべての幼虫の体重を測ったが、♀の最高体重は65gで♂は77gだった。
里子に出す1♂、2♀は7リットル入りのコンテナボックスに新しいカブトマットを硬く詰めこんで収容した。フタに虫の孵化日や体重など必要なデータを白いビニールテープに書き込んで貼り付けた。このヘラクレスの飼育方法の説明書も作って里親になってくれる方に事前に渡してある。
♂♀では羽化時期のズレなどがあるので、別飼育の方が安全に飼育できると思う。今後、♀で半年から1年、♂だと1年から1年半ほどかかるが、我慢強く育てて成虫が出てきたときの驚きを体感していただければと思う。

昆虫の生態について

ベイツ型擬態

上:カバマダラ 中:メスアカムラサキ♂ 下:メスアカムラサキ♀ Photo/松香健次郎

上:ツマグロヒョウモン♀ 下:同♂

奄美諸島以南から南西諸島に棲息しているカバマダラとメスアカムラサキの♂と♀。
カバマダラは幼虫の食草であるトウワタという植物に毒があり、成虫になっても体内にその毒が残っていて毒チョウといわれている。アメリカで行われたアオカケスという鳥とオオカバマダラという同じ仲間の毒チョウを使った実験で、ゲージで育てられ、オオカバマダラを見たことがないアオカケスがチョウを食べ、すぐに吐き出す様子が観察された。それからは、この経験によりオオカバマダラを見ても全く食べようとはしなくなったそうだ。
メスアカムラサキの♀は体内に毒は持っていないが、写真にあるようにカバマダラに大変によく似ていて、ゆっくりとした飛び方などの行動も真似ているといわれている。これは「ベイツ型擬態」といわれ外敵から身を守るために進化したと説明されている。(詳しくは下記の「ベイツ型擬態」を参照ください)
一方、中段にあるメスアカムラサキの♂は全く似ていない。石垣島でテリトリーを張っている♂を観察したが、飛び方などの行動も早く全くカバマダラには似ていない。「擬態」が生競争に有利なのであれば、なぜ♂は擬態しないのか?「♂まで似ているとメスが同じ種だと見分けられないから」ということらしいが、本当のことなのだろうか。
分布を北関東付近にまで北上させていると思われるツマグロヒョウモンだが、♀は写真のようにカバマダラにベイツ型擬態しているといわれている。しかし関東地方にはモデルであるドクチョウのカバマダラがいないのだ。このチョウは松戸でも6-11月には大変に多く見られる。

クロメンガタスズメの3タイプの終齢幼虫(学名:Acherontia lachesis)

クロメンガタスズメの3タイプの巨大な終齢幼虫。明るい黄色で目立つ色をしているのは「毒をもっている」という警告色に擬態している。褐色のタイプは真上かみるとヘビによく似た模様をしている。緑色の幼虫は「保護色」で、食草のセイヨウアサガオの葉の中にいると一番見つけにくい。同じ昆虫なのに全く違う3つの色をもつように進化ししたのだろうか? 黄色は離れたところから見てもすぐに見つけることができるが、3タイプとも蛹になるために土に潜る時期が近くなると背中が赤くなるので、黄色1、緑1、褐色3の5頭を飼育容器やプランターに収容して観察を続けた。2019年11月2日に飼育容器の土の中に潜って蛹になっていた褐色の幼虫から2020年4月21日の午後11時過ぎに羽化して容器に渡してあった割り箸につかまって翅をのばしていた。翌日には最後の排泄物を体から出して飛び立つ準備ができたようだ。背胸部の人間の顔のような模様が特徴だが、手を近づけても逃げずに指に上っきて驚かされた。指の上で無理に動かすとセミのように「ジッ、ジッ」と鳴く声にもびっくりした。
飛翔能力も高く4月24日の朝5時頃に容器の中で飛んでいたので薄暗い部屋の中に放すとコウモリほどではないが、窓や壁に向かって衝突することもなく障害物をよけながら巧みに飛び、家具と壁の10㎝ほどの隙間に入ってもぶつからずに出てきた、部屋の中という小さな空間をかなり長く飛んでいて驚かされた。(生き物観察日記にも掲載中)

●ベイツ型擬態 参考文献:『擬態-自然も嘘をつく』W.ヴィックラー著.羽田節子 訳.平凡社
イギリスのナチュラリスト、ヘンリー・W・ベイツ(1825-1892)は1849年から1860年の11年間にわたってアマゾン流域での生き物の野外調査を行った。その目的の一つであるチョウの採集で94種のチョウを採集し分類したが、そのときに毒チョウのグループの仲間とまったく別のシロチョウの仲間の中に、色や形だけではなく飛び方など行動までもが毒チョウによく似ているシロチョウが何種類かいることを発見した。
ベイツは、なぜこのような現象が起きているのか知るためにチョウの行動を観察することにした。するとドクチョウ類はチョウを食べてしまう敵である鳥の多くいる場所にもかかわらず、かなり多くの毒チョウが目立つ色彩をしているだけではなく、非常にゆっくりと飛んでいて捕まえやすいのに鳥に食べられないことが観察できた。
このことからベイツは「鳥にとって毒チョウは味が不味くて食べられないのだろう」と。毒のないシロチョウがドクチョウに色や模様、行動などが似ていることによって、食べられないという利益を得ていると考えた。その後、こうした生物同士の関係を「ベイツ型擬態」というようになり「保護的形質(ほごてきけいしつ)のない動物が保護的形質のある動物に似ること」と定義された。後年、別の研究者によりアオカケスという鳥と毒のあるオオカバマダラというチョウを使った実験でアオカケスがオオカバマダラを食べないことが確認された。
こうした関係はチョウに限らず、スズメバチに擬態しているアブの仲間やカミキリムシ、アリに擬態しているカマキリ、テントウムシに擬態しているゴキブリなど多くの昆虫の間で観察されている。また、魚類や両生類、爬虫類、一部の哺乳類などの動物や植物同士の間にも見られるようだ。

警  告  色

メガネトリバネアゲハ♂(Ornithoptera priamus priamus)

アカメガネトリバネアゲハ♂(学名:Ornithoptera croesus lydius)

アオメガネトリバネアゲハ♂ (Ornithoptera priamus urvillianus)

ゴライアストリバネアゲハ♀.♂(Ornithoptera goliath)

アレクサンドラトリバネアゲハ(学名:Ornithoptera alexandrae) Photo/松香健次郎

分布:世界で最も美しくて大きなチョウとされているトリバネアゲハ(Ornithoptera)の仲間は11種が知られている。東南アジアの1部とパプアニューギニア、オーストラリアの限られた地域に分布していて、すべての種がワシントン条約で保護されている絶滅危惧種だ。特にアレキサンドラトリバネアゲハ(上の写真)は限られた生息域でしか確認されておらず、パンダと同じワシントン条約付属書Ⅰに指定登録されていて、もっとも絶滅に近い種といわれている。♀は翅を広げた大きさが24㎝近く位もあり、世界で最大のチョウとしてギネスに登録されているそうだ。

[警告色]
「隠蔽擬態」とは正反対に大変に目立つ派手な色彩と大きな翅をもつトリバネアゲハは、なぜ捕食動物に襲われないのだろうか。幼虫の食草のウマノスズクサ類には アリストロキア酸という毒素が含まれているが、この毒素が成虫になっても体の中に残っていてドクチョウなのだ。一度、このチョウを襲って食べた捕食動物は死ぬことは無ないが、吐き出してその派手な色彩と毒の関係性を「学習」して食べようとしなくなるといわれている。
以下にゲージで育てたノドグロアオカケスという鳥と数種類のドクチョウとその擬態種を使って行った実験についての記述を見てみよう。

『擬態-自然も嘘をつく』W・ヴィックラー著.羽田節子 訳.平凡社 Ⅸ 擬態についての実験 より
ジェーン・ヴァン・ザント・ブラウアーは次にあげるチョウを用い、フロリダ産のノドグロアオカケスを捕食者として一連の実験を行った。

モデル(ドクチョウ)          擬態者(無毒のチョウ)
オオカバマダラ            カバイロイチモンジ
アオジャコウアゲハ          クスノキアゲハ
                   クロアゲハ
クイーンカバマダラ          カバイロイチモンジ

未経験の鳥はカバイロイチモンジ(無毒)を何のためらいもなしに食べた。彼らは最初にさしだされたオオカバマダラ(有毒)も口にしたが、強い忌避反応をしめし、つつくのをやめた。続けてモデル(オオカバマダラ)を与えると、この鳥はあまりつつこうとしなくなり、まもなくまったくつつかなくなった。その後はカバイロイチモンジ(無毒)与えても、やはり見向きもしなかった。これらのチョウは両種ともオレンジ色の地に黒と白の模様がある。アオジャコウアゲハ(有毒)とそれに擬態している二種のアゲハでも同じ結果が得られた。鳥は一度不愉快な経験をすると、もはやアオジャコウアゲハを食べようとはしなかった。

この実験から鳥が色彩と毒(不愉快な経験)を学習することがうかがえる。ヒキガエルと毒針をもつマルハナバチとミツバチ、擬態種のアブを使った実験でも食べようとしてマルハナバチやミツバチに刺された経験のあるヒキガエルは擬態種のアブをさけるようになると報告されている。こうした実験から毒をもつ昆虫(他の生き物も)が派手で目立つ色彩を持つことで身を守っているといえるのだろう。
しかし何でも「カネに変える」人間にとってはこの派手で目立つ色彩は命取りになる可能性がある。ワシントン条約付属書Ⅰに指定登録され、最も絶滅が危惧されるアレキサンドラトリバネアゲハは指定されてから、その標本の金銭的な価値は一気に高まって高級な乗用車ほどの値がついているそうだ。これは他の生き物たちにもいえることで、ワシントン条約で指定されるほど金銭的価値は上昇して密猟のターゲットとされるという悪循環を生んでいるようだ。

隠 蔽 擬 態

コノハチョウ(学名:Kallima inachus)

分布:コノハチョウの仲間は広く分布している。インド北部からヒマラヤ、インドシナ半島、中国、台湾、先島諸島から沖縄諸島、奄美群島の沖永良部島、徳之島にかけて。日本に分布するものは亜種 K. i. eucerca Fruhstorfer とされ、宮崎県以南で見られるようだ。 沖縄県内では天然記念物指定のため採集してはいけない。

「擬態」の話になると必ず登場するコノハチョウ。チャールズ・ダーウィンよりも早い時期に「自然選択」についての仮説にたどり着いていたとされる博物学者のアルフレッド・ウォレスが1869年に出版した『マレー諸島』の中でも後翅の葉の葉柄のような突起部分を小枝に触れさせて止まっているイラストを掲載し、その擬態を「匹敵するものがないような見事な適応...」と絶賛している。しかし、写真を見てもらえば分かるが、翅の突起部分を枝に触れさせると体は枝から離れてしまうのだ。十数年前に石垣島で観察したときも、驚いて飛び立つと、かえって目立ってしまうような場所に止まってしまうこともあった。テリトリー行動で翅を広げて林道の突き出た枝や葉先に止まっていると、その目立つ翅の表面の色彩から20mほど手間で発見できた。行動の観察をせずに色や形からの先入観でウォレスのイラストは描かれたのだろうか。この観察から昆虫は自分の姿を意識することはできないように感じた。虫は「ウソをつけない」のだと思った。

生き物観察日記

2020年7月19日、昨年の11月29日に潜っていったクロメンガタだが、11月8日に潜った幼虫が5月16日に成虫に羽化して出てきてから2カ月以上が経過したが出てこない。飼育容器内を確認してみると写真のように蛹に小さな穴が幾つか空いていて中身はなくなっていた。寄生バチかハエに中身を食われて死んでしまっていたのだ。寄生昆虫の生態などを紹介する番組などではこうした生態に対して「残忍、残酷。苛酷な生存競争」というようなイメージを強く与えるような印象があるが、こうした寄生昆虫がいなければ数的なバランスは保てなくなり、作物への被害などは広がることになると思う。
昨年は5頭のクロメンガタを飼育容器の中に収容したが、1頭だけが寄生されていたことのなる。数の均衡を保つのであれば♀が生んだ卵のうち♂・♀1頭が生きのこれば全体数は変わらないことになるので、寄生率は低いように感じる。だが長い時間をかけて、せっかく蛹になったのに死んでしまうことに人間は必要以上に感情的になるのだろう。
その日の夜、11時過ぎに3月19日に40gあったギラファの幼虫が蛹室を作っていて、成虫への羽化確認の2週間後に通気のためマットを取り除いて蛹室に小さな窓を開けていた1400㏄のボトルに成虫が出てきていた。上から写真を撮ったが、その大きさは100㎜を少し超えていたが、野外で採集された同じようなサイズの成虫に比べて菌糸ボトルで育てると体の厚みが出るのでより大きく見えて、少し驚かされた。
ボトル内の湿気が多く、成虫の体に白いダニが付いているようだったので、小さな歯ブラシでノズルをシャワー状にした水道水をかけながら掃除をして、少し大きめの飼育容器にミズゴケ、止まり木、昆虫ゼリーを入れて移したが、まったく落ちつかないので部屋のカーテンに止めていた。今朝見ると天井に移動してつかまっていたて、かなりデカく見えたが昆虫は最小の消費で最大の効果を体現している生き物だと改めて思った。

2020年7月18日、まだ活動中の♂幼虫の1400㏄の菌糸ボトルのフタをあけて中を確認してみると写真のようにマット状になった菌床の量がかなり減っていて、中身もスカスカで大きな蛹室を作れるような環境ではなくなってた。発酵マットを継ぎ足すと腐敗することがあるので、産卵用に使った後のクヌギマットを継ぎ足して大きな蛹室が作れる環境にした。
幼虫の体重は35gだったので、90㎜前後の成虫になると思うが、スカスカなままほっておくと、蛹室が作れずにマットの上にできてしまい前蛹から蛹にうまく脱皮できずに不完全な形のまま死ぬこともあるので、ボトル内のマットの状態は時々、観察しておく必要があると思う。ボトル内の環境が合わないと幼虫は上に出てくる傾向があるようだ。

容器から幼虫を出してマットを継ぎ足すが、それほど硬く詰めないようにしている。過去に硬く詰め過ぎて、蛹室を作るのにかなりの時間がかかって、かえって幼虫に負担がかっかっているように感じたからだ。
写真にあるように潜っていける十分なスペースをあけて、頭から幼虫を入れるようにするとスムーズに潜っていくことができる。1-2週間の間に蛹室を作る作業がはじまると思うが、幼虫の体重が35gあったので、90㎜前後の成虫にはなると思う。
クワガタ類の飼育では大きくするために菌糸ボトルを何回も交換することが推奨されている傾向があるが、大きくするために交換すると環境が大きく変わるので、変えずに腐敗しないマットを継ぎ足して対応をしている。

2020年7月17日、菌糸ボトルが置いてある場所から「カリッ、カリッ」というかすかな音が聞こえてきたが、1ヶ月ほど前に羽化していたギラファの♀がボトルから脱出しようとしているのではないかと思い、飼育容器の下から♀のボトルを出してフタをあけると挟んであるキッチンペーパーをボロボロにしてフタの樹脂に短いアゴで噛みついていた。体に茶褐色の大きめのダニがたくさんついていたが、おそらく小さなすき間からボトル内に侵入していたのだろう。シャワー状にした蛇口で水をかけながら、小さな歯ブラシでダニを全て取り除き、ティッシュペーパーにくるんで小さなタッパーに入れておいた。
成虫が出てきたボトル内からマット状になった菌糸を取り除き、プラスチック製の大きな収納ケースに入れた。飼育に使った菌糸ボトルのマット状になった残滓は全部取って置いてカブトムシの幼虫用のエサマットとして再利用している。
ボトルを水洗いしてから、ミズゴケと小さな木っ端を入れ霧吹きで少し水分をかけてから昆虫ゼリーを入れて成虫を入れる準備を終えた。ノギスで体長を測ると47-8㎜程度だったのでフタに学名の頭文字、性別と体長、自力で出てきた日付と産地などの情報を記入して♀を放したが、すぐにミズゴケの中に潜っていった。自力で出てきた個体はエサもすぐに食べるし、繁殖も可能だ。もう一つの菌糸ボトルの♀の蛹室も写真のように埋められているので、もうすぐ出てくると思う。あと4頭の♂と3頭の♀が成虫になって蛹室にとどまっていて、1♂のみが終3齢で活動をしているが、もうすぐ蛹室を作りはじめると思う。
鞘羽の横に腹部がはみ出しているように見えている成虫などは、人口の蛹室や自然の蛹室でも体が固まらないうちに出してしまった個体と思われ、エサも食べず繁殖もせずに早く死んでしまうことがあるように思う。昆虫ショップなどで累代個体を購入する場合は羽化日と成虫の腹部が鞘羽の幅に収まっているかを確認することが大事と思う。
16本ほどあるニジクワのボトルもオス1頭の蛹を残し全部が成虫に羽化しているが、♂・♀の比率は1:2で♀が倍近くも多い。累代飼育を繰り返していると♀の比率が多くなる傾向があるように思う。知人から預かって昨年の8月にセットした野外採集のスジブトヒラタの♂・♀比はほぼ同数で、すべてが成虫に羽化し1♂が7月に入ってから羽化したので蛹室で体が固まるのを待っている状態だ。

2020年7月13日、ギラファノコギリクワガタの♂の幼虫を入れてある1400㏄の菌糸ボトルだが、写真のように菌糸は完全に破壊され、底のほうに蛹室の1部分が見えているのが分かる。この状態になって1ヶ月近くが経過していて、ペンライトを中に向けて当ててみても透明の壁面が曇っていて良くわからない。
明るい茶色に見える部分は蛹室を作る段階で幼虫が肛門から分泌した体液を内壁に塗りこんでいるものと思われるが、変色部分がこのように広範囲になっているのは長い観察でも見たことがない。生存を確認するためフタをあけ大きめのスプーンでマット状態になった菌糸を掻き出してみると、かなり水分が多くて泥状になっているのが分かった。慎重に蛹室の上まで掘り進んでいって、スプーンの柄の先で蛹室の上の部分を削ってみると羽化直前の蛹が確認できて、死んでいないことが分かった。
オオクワの蛹室のまわりにもこうした変色は見られるが範囲がもっと狭い、マンションの飼育では高湿度のため菌床が水分を吸収してしまうために、たくさんの分泌物で蛹室を覆って水分の侵入を防いでいるのだろうか?
スジブトヒラタの一番大きな♂の蛹室は過去の写真でも分かるように菌糸ボトルの上部ギリギリに作られていて、変色はまったく見られなかったがキノコが侵入してきて、上を大きく削って蛹を出してからキノコを取り除く作業を2回もした。何頭か飼育しているギラファの♂はボトル内を動きまわって白い菌糸部分は完全になくなっていてマット状になっているが、すべてのボトルで水分が多く少し泥状になっている。ボトル内の状態によって、体内から出す分泌液の量を調整して蛹室を作っているのであれば、ここでも本能の「柔軟性」が見られるということなのだろうかか?
不完全な観察なので良くは分からないが、翌日には羽化が確認できて、本日14日には写真のような状態になっていた。変色した部分は空気に触れると色が落ちているのも確認できたが、なにを意味しているのかは分からない。蛹室の窓から見える部分から、この♂の大きさは90㎜近くはあるように思う。
世界での新型コロナウイルスの感染はアメリカとブラジルで猛威を振るっていのだが、この二つの国は昨年にアマゾン開発を本格化させるための政府主導のファンドを設立して100個近くのダム建設とそこで得られる電力を使った鉱物資源の大規模開発とともに大豆やトウモロコシの超大規模プランテーションの建設を目指しているらしい。これが現実となればコロナウイルス以上の恐ろしい脅威になると思うのだが「カネ儲け」だけしか見えないのだろうか。世界は「民主主義」ではなく「金主主義」に突き進んでいて、日本を襲っている異常な大雨による自然からの警告にも当事者や一部の人間以外は関心がないように思え恐ろしく感じる。

2020年6月19日、夕方に洗濯物を取り込んでいるとエビガラスズメの成虫がついていたらしく、洗濯物の近くの床の上にジッとしていた。絨毯の色が灰色っぽかったので気がつかなかったが、洗濯物を畳む妻の「ギャー」という声ですぐにその姿が確認できた。昨年からクロメンガタを飼育していたので最初はそれかと思ったが、大きさや全体の色彩、背中の模様がまったく違っていたので指に止めて良く見て気がついた。
それにしてもスズメガの仲間は人間をまったく恐れないのか、人差し指に止まってジッとしている。複眼の形や大きさはクロメンガタが大きな円に近い縦型の楕円形をしていたのに比べ、頭部の大きさからは少し小さくて横型の切れ長で人間の目の形に似ているように思った。カーテンに止めようとしたが、指からなかなか離れずに少し驚いた。クワガタもカブトも指や腕に摑まらすと人間の体温を感じてすぐに逃げようとするし、スジブトヒラタなどは手のひら側の指先近くに摑まっているときにはアゴで指先を挟もうとして危ない。カーテンにとまっている写真で複眼の形がクロメンガタとかなり違っているのが良くわかると思う。
庭のクワズイモの植え込みに移すと触角を広げて止まったのですぐに飛び立つのかと思ったが、30分ほど同じ形でジッとしていて、やがて暗やみに向かって飛び出していった。写真のように背中の模様はアメリカで写真に撮られている宇宙人の顔のようだと思った。その触角の感じからクロメンガタと同じように暗やみの中でも高い飛行能力を持っているのだろうと感じたが知れば知るほど不思議な蛾だと思う。今年も庭のセイヨウアサガオはツルをのばしてかなりの速さで成長をしているのだが、クロメンガタはやってくるのだろうか?
毎年のように庭のスミレ系の植物にやってきていたツマグロヒョウモンは今年は、まだまったく姿を見せていないので、スミレ類はかなり成長してプランターをうめている。なにが昆虫たちを導いているだろうか? 体の構造も行動も昆虫は謎につつまれた生き物だが、その生き方は常に自然環境に同調していてファーブルではないが「調和と法則性」を感じる。
新型コロナウイルスの感染者数は1200万人に迫っていて、1日の感染者数も20万人を超えている。九州では記録的な大雨で大きな被害を受けているが、根本的な原因についてはあまり議論されずに「経済の回復」がすべてを解決するというような錯覚をもたされているように思う。世界では毎年、1億台に迫る車が増え続けているし、アマゾンの熱帯雨林は1分毎にサッカーコート1.5面分が消滅していて、生き物は年間に4万種も絶滅しているのだがほとんどの人間が知らない。世界の1%に満たない富裕層により徹底的な個人主義が世界を覆っているように思い、恐ろしく感じるのは気のせいなのだろうか。

2020年6月16日、幼虫が入っていた産卵木を細かく砕いて底から2-3㎝ほど硬く詰め込み、その上に産卵用の埋め込みマットを詰めこんで飼育していたニジクワの幼虫が写真にあるようにボトルの底に長軸が80㎜近くの大きな蛹室をつくって5月中旬に羽化して成虫になっていたが、蛹室の壁を壊した木屑が確認できたので上からスプーンでマットを掻き出して成虫を出してみた。蛹室が大きかったので大きな♂が入っていると思っていたが、出てきたのは33㎜の小さな♀の成虫だった。小さな♀なのに、なぜこんなに大きな蛹室を作る必要があったのだろうか?
クワガタやカブトムシは体の大きさにあった蛹室を作ることが普通なのだが、ほかの15本ほどの菌糸ボトルに蛹室を作っているニジクワも♂・♀を問わず、体の大きさの割に不自然に大きなものが多いように思うがマンションの高温と高湿度が影響をしているのだろうか。5月の時点で菌糸ボトルの底の部分に体の大きさにあった蛹室を作っていた♀のニジクワはその後の菌糸の急速な劣化で成虫になれず蛹のまま黒くなって死んでいたが、この個体のように不自然に大きな蛹室を作っているニジクワは死んではいない。少し心配になったのでマットを蛹室の少し上まで掻き出して、さらに換気用の小さな穴をボトルの表面にマチバリで2箇所あけた。こうしておけば腐敗でガスが出ても換気ができるように思う。
6月中に1-3頭ほどが無事に成虫に羽化して蛹室内にとどまっているようだ。環境の状態によって蛹室の形状に変化があるのかは分からないが、不自然に大きなものがあることは確かなので、すべての蛹室を写真に撮ろう思っている。どのような感覚器官があるのかもまったく分からないニジクワの幼虫だが、環境の変化を感じて蛹室の形状を変えているのであれば「本能」には柔軟性があることになると思った。

2020年6月12日夜、アマミスジブトヒラタの一番大きな♂の成虫が蛹室の上に登って、フタの間に挟んであるキッチンペーパーをボロボロにしていて、自力で脱出しようとしているようだったので、別の少し広い容器にミズゴケと止まり木、昆虫ゼリーを入れて単独で飼育することにした。少し落ち着くのを待って、ノギスで計測してみたが64㎜前後の大きさで、ギネスの72.3㎜には遠く及ばなかった。♂を見ながら♀の方が種の特徴を表しているように感じた。
菌糸ボトルを使って飼育をする場合、大きくなる個体は菌糸の状態が劣化しないように思う。この個体も写真にある800㏄の菌糸ボトル1本で飼育していたが、菌糸の劣化はほとんど見られなかった。反対に劣化が進むと成長も遅く、あまり大きくはならずに前蛹や蛹、成虫になっていても死んでしまうことがある。今までの経験から、よほど大型のクワガタでない場合は1本の菌糸ボトルで十分と思う。
ギラファのように100㎜をこえるような大型種の場合は飼育ボトルの直径が100㎜以上の蛹室が作れる大きさが必要と思われるので、1400㏄のボトルで幅が126㎜のものに入れている。昨日の夜にこのボトルに大きな蛹室を作っていた♂が羽化してたが、1ヶ月以上は蛹室にとどまって体が固まるのを待つことになる。外からは見えにくいのだが、蛹室がマットで埋められはじめていたら確認するタイミングにしている。
コロナウイルスの影響で「昆虫飼育教室」が開催できずにニジ、ギラファ、スジブトヒラタ、オオクワガタ、ヘラクレスと多くの種類を飼育することになったが、過去には業者からの委託も含めて10種以上も飼育していた経験があるので、大丈夫と思う。現在、ニジとギラファは多くが蛹になっていいるがマンションでの飼育は初めてなので、高温と高湿度による菌糸の劣化とヘラクレスの幼虫を飼育しているマットが湿気を吸い込んでしまい泥状になる現象に見舞われているが、1戸建てからマンションという人間とっては小さな環境の変化が小さな生き物たちに、これほど大きな影響を与えるとは思いもしなかった。少しづつ工夫をしながら殺さないようにと対応をしている。
現在、コロナウイルス感染の中心地となっているブラジル政府とアメリカ政府が中心となって進めている「アマゾンの大規模開発」によって熱帯雨林地帯が大規模プランテェーションとなったときに、人間は生存を続けていけるのだろうかと思うのは余計な心配なのだろうか。

2020年6月3日、自力で出てきてから3日目にヘラクレスの♂を単独で飼育している容器に♀を入れてみたが、バナナを食べている♂の体に♀が触れても攻撃的な行動は見られなかった。その後も6月6日まで、♂♀ともにミズゴケに潜っていて姿は見えなかったが、♂が♀を攻撃する時にツノではさみつけるときの「バキッ、バキッ」という音はまったく聞こえてこなかったので、その日に蛹室を作っていたマットとオリジナルのマットを足して水分調整をして卵が産める環境を作って♂と♀の飼育をはじめた。♀はすぐにマットの中に潜りこんでいったので、3-4週間後にマットの中をあけてみれば卵が確認できると思う。
こんなに大きなヘラクレスオオカブトも生活や繁殖に必要とするのは、エサのバナナが2頭で1週間に1本、卵を産むための腐葉土が30ℓほどで、10ヵ月ほどの寿命を終えることになる。3-4週間に一度、腐葉土の中を確認しないと産卵した卵が潰されてしまうこともあるが、ほっておいても10-20頭ほどの幼虫は生き残ることができる。卵を確認しながら別飼育すれば70卵近くが幼虫になったこともあった。ヘラクレスだけではないが昆虫をはじめ人間以外の生き物たちは生きていくのに「無駄遣い」ということがまったくないように思う。ヘラクレスは腐葉土だけで♂は140㎜以上の成虫になることができる。
コロナウイルスの世界的な感染拡大で経済は大きな打撃を受けていると連日、報道されているのだが、世界の大都市の夜景は今まで通りに光りであふれている。5-6月にかけても世界の各地で異常な高温が記録されてもいるようだがニュースのもならない。どこかの大国の大統領はコロナウイルスのことを「チャイナ・ペスト」と言っているようだが、地球上で人間以外には国境や人種などが意味を持つことはないように思う。人間もカゲロウと同じ生き物の1種にすぎないということが自覚できないと「コロナとの戦い」という言葉が無意味なことにも気がつかないと思う。

2020年6月1日 蛹室から自力で出てきたばかりのヘラクレス♂。蛹室の反対側にジッとしていた。

近寄ると、まだ鞘翅が湿っているのが分かる。左の肩口には泥上のマットが張り付いている。

力が強く動きも早いので、逆さにして体重を測定したが25gだった。

2020年6月1日、夜9時過ぎにH.ヘラクレスの♂の蛹室がある容器を見たが、変化はなかった。11時半を過ぎて寝る前にもう一度、見に行くと半透明な白色の容器の奥に♂らしき姿があった。すぐに上にのせてあるオオクワガタの飼育容器をどけて、バックルコンテナのフタをあけると写真のように蛹室の反対側に♂の成虫がジッとしていた。カメラを寄せていくと鞘羽が黒っぽくなっていて、左の上隅に泥上のマットもついていたので、まだ湿っていることが分かった。ノギスで体長を図ろうと手でツノをもつと毛の部分の湿っていたが、ものすごい勢いで暴れはじめたので手に止めると脚の先にある大きな2本の符節が♀の倍以上の力で皮膚に食い込んできて少し恐怖を感じるほど痛かった。それでも何とかノギスを当てて測ってみると140㎜を少し超えている体長だった。
体重も測ろうとしたが、素早く歩きはじめてしまうので、少し可哀そうだったが動けないように仰向けにしてのせると25gだった。♀を確認したのが2月29日の夜だったので約3ヵ月、遅れて♂が出てきたことになる。容器内のマットの環境を丈夫な蛹室が作れる環境にすると♂は最後の写真のように大変に整った形の成虫になる。鞘羽の水分が乾くと黒斑の少ないきれいな色をしていることも分かった。飼育を始めてから約2年半以上の時間がかかったが、植物由来の腐葉土だけを食べてこのような生き物が完成されるのは本当に驚異的だ。♂が少し落ち着いてから繁殖できる環境を整えてペアで飼育する予定だ。
この生き物の故郷でもあるブラジルは新型コロナウイルスの爆発的な感染にさらされているが、その中心は貧困層の人々だ。ボルソナロ大統領は「コロナはただの風邪だ」といって感染対策よりも経済の再開を優先しているそうだ。こうした人物にとっては自分を含む富裕層のみが「人間」なのだろう。この地域に住んでいる先住民の人たちにも新型コロナウイルスの感染が拡大しているようだが「まったく関心がない」そうだ。
それはアメリカの政府と手を組んで「ファンドを設立」してアマゾン川流域の熱帯雨林の太規模開発を進めていることと関係していると思う。先住民の人たちは新型コロナウイルスの感染の脅威とともにこの環境破壊によっても追いつめられることになる。「グローバル化と経済開発」の陰で世界のすべての地域で起きてきたことだが、最初は弱者の命を刈り取っていくが、まもなく「カネをもった」自分達の順番になることには頭が良すぎるために、まったく気がつかないのだろう。

2020年5月26日、自力で菌糸から出てきたアマミスジブトヒラタ F1♀ 2頭

♀成虫のデータを書き込んだフタ部分

2020年5月26日、昨年の7月2日に友人が採集してきたアマミスジブトヒラタのペアを8月初旬に繁殖用にセットして、20頭ほどのF1幼虫を飼育していたが、♀2頭が自力でボトル内の菌糸から出てきていたので、菌糸をとりだしてボトルをきれいに洗って、ミズゴケ、小さな止まり木、昆虫ゼリーを入れ、フタにデータを書き込んで個別飼育をはじめた。
スジブトヒラタは奄美大島、加計呂麻島、与路島、請島、徳之島に限定的に生息している日本の固有種で、ヒラタクワガタの仲間の中では鞘羽のスジ模様と体全体にある細かい凹凸が特徴的だ。今回、出てきた♀の成虫をよく観察し写真を撮影してみたが、ほかのヒラタクワガタとはまったくちがう感じで、学名の小種名に .titanusがついていないのが理解できることを強く感じた。
過去にアマミヒラタクワガタとの雑種(♀)が一例のみ確認されているそうだが、もっと古い時代に奄美大島を中心とした狭い地域にたどり着いて進化したらしい。生息域の狭さは絶滅の可能性も高くなると思われるので、雑木林の大規模伐採による太陽光パネルの大量設置などの環境破壊による絶滅が心配だ。昨年にノコギリクワガタが大量に発生していたポイントを5月30日に見にいったが、となりの雑木林がはげ山にされ太陽光パネルでおおい尽くされていたので、今年は見れないと思う。
今回のコロナウイルスの出現と感染拡大に関して、世界の多くの生物学者たちが「自然環境の破壊と生物の大量絶滅によるバランスの崩壊」を指摘しているが、ほとんどニュースになることもなく「経済の悪化」のみが大きく取り上げられている。日本の政治家をはじめ世界の大国の指導者の発言などを見ていると自分たちと富裕層の利権を守ることにしか興味を持っていないように思うのは弱者の偏見なのだろうか。

2020年3月1日
ヘラクレスオオカブト初3齢14頭 エサ交換
ST BOX25 W295㎜×D443㎜×H259㎜ 約35ℓ

2020年5月23日 
フンだらけの飼育容器内


1.5倍程度に成長した3齢幼虫14頭
かなりの密集状態だが、共食いなどはなかった。


♀8頭

♂6頭

2020年5月23日、3月1日にエサ交換をしたヘラクレスオオカブトの初3齢の幼虫を14頭もいれていた飼育容器内(ST BOX25 W295㎜×D443㎜×H259㎜ 約35ℓ)の確認をしたが、表面は楕円形の糞の大きな粒でおおわれていた。何かの飼育本には「共食いをする」というようなことが書いてあった記憶があったので、大きめのプラスチック製の収納ケースにあけて確認してみたが、14頭すべてが1.5倍ほどに成長して満員電車状態に詰まっていた。 過去に飼育していたカブト、クワガタの繁殖用や幼虫のエサに使ったマット、菌糸などをフルイ掛けしてそこに腐葉土などを足してとっておいたオリジナルのマットを二つのケースに分けて硬めに詰め込んでから、♂6頭、♀8頭に分けて入れた。
まだ孵化から6-7カ月なので、成虫になるのに早くて♀で8ヶ月-1年、♂だと1-1.5年ほどがかかると思うので、エサ交換とともに蛹室が作れるように容器も分けないとうまく成虫に羽化できないと思う。気の遠くなるような手間がかかるが、植物性の腐葉土を食べるだけで、なぜあのような複雑で見事な生き物になるのかと何度観察しても不思議に思う。
2月29日に成虫を確認したヘラクレスの♀はまだ元気だが、♂は出てこない。蛹室を作っている容器を底から観察すると小さな穴状に蛹室の一部分が確認できたが、やや斜めに作られているので、長軸は200㎜近くはあるように思う。穴からペンライトを照らしてみたが、まったく確認はできなかった。中で死んでいるのか、無事に羽化して出てくるのかは外からではまったく分からないが、待つことにしよう。
昆虫の飼育観察から感じるのは生き物は「思う通りはにならない」ということだ。産業革命後に機械文明を手にした人間はその力を使ってすべての産業において自然を管理して、効率化と生産性を上げて豊かさを手にしてきたと思う。特に近年は「豊かになりたい」という欲望から「大量生産、大量消費、大量廃棄」をコントロールする理性を失い「グローバル化」という言葉とともに、世界のあらゆる地域で地球の自然環境を破壊して生き物たちを大量絶滅へと追い込んでいるように思う。
日本では新型コロナウイルスの感染拡大による「非常事態宣言」は解除されたが「地球の肺」といわれ、生物の宝庫でもあるアマゾン川流域の熱帯雨林地帯の大規模開発を押し進めている支配者のいる国では猛烈な勢いで感染は広がっているようだ。ブラジルの支配者をはじめ富裕層にとっては「弱い立場の人間や生物の命」よりも「金儲けと国境」が大切なのだろうが、生態系全体では無意味なだけではなく、有害な影響を与えているように思うのは頭の中まで昆虫的になっている奇人だからだろうか。人間の競争社会の論理では新型コロナウイルスも環境破壊も弱い立場の者の命から刈り取っていくように感じる。

2020年5月21日、菌糸ボトルの蛹室にいる大きなアマミスジブトヒラタを見ると180°体の向きを変えていたが、長い観察経験の中ではじめてのことだった。正常であれば蛹室の天地の長さは体長より短いので絶対にできない行動だ。蛹室の上の部分を削っていて空いていたので向きを変えることができたのだと思うが、自身で回転したのだから「識別して判断」する能力を持っているのではないだろうか?
次の日には元の姿勢に戻って蛹室に留まっているのだが上の空いている部分から外に出てしまわないのは、まだ体は完全に固まっていないし、排泄物も出す時期になっていないことを本能で分かっているからなのだろうか。こうした行動を観察していると、人間が「虫けら」といって蔑んでいる存在にも本能だけではなく、ある程度の「識別と判断力」があるように感じるのは間違った見方なのだろうか。
昆虫だけではなく人と接点の少ない生き物をある程度、観察していると地球が「人間中心」ではないことを表しているように思う。

2020年5月16日、朝からニジクワの確認が終わって夜7時頃に同じ部屋においてある、昨年の11月8日にクロメンガタスズメの幼虫が潜っていた飼育容器をふと見るとフタに羽化した成虫が止まって翅を乾かしていて、驚かされた。4月21日に羽化した個体と比べると一回り大きく、翅の模様も少し違っていたが人面模様はかなり違っていて目の部分が白くなっていてオジサンのような顔だと思った。触角の色も前回は表面が黒くて裏側は金色だったが、今回は全体が銀色だった。羽化までに要した期間も6ヵ月と8日間と1カ月近く長くかかった。
体の大きさの違いや背中の模様と触角の色の違いは♂♀の違いなのだろうか。潜っていた土の中を確認すると蛹殻も大きく、脱出した穴も大きかったが蛹の太い腹部は前回と同じでまったく通らなかった。前の個体は3日間近くも拘束して、朝5時から暗い部屋の中を飛ばせたりして少し酷い目に合わせてしまったと反省していたので、今回は翌日の夕方に近くの雑木林まで連れて行って、少し中に入って最後の写真にある木に止め解放してきた。
このクロメンガタスズメは前回以上に人を恐れる様子もなく、写真を撮るのに手に止めて触って動かすと「ジッ、ジッ」と音を出して抗議をするのは同じだが、まったく逃げようともせずに10分以上も手の中で一緒に付き合ってくれ、写真を撮りながら生命の持つ限りない優しさを感じ、少し胸が熱くなった。

2020年5月16日、朝9時頃からニジイロクワガタの菌糸ボトルのチェックをした。幼虫が動きまわって菌糸をフタの部分まで押し上げてしまうと、空気の流通が悪くなり、ボトル内の菌糸が劣化して幼虫が死んでしまことがあるので、一つひとつのボトルのフタをあけていっぱいになっている菌糸を捨てて空間を確保した。
まだ、幼虫が活動中のものは2㎝ほどの空きを作るのだが、蛹室を作り終えている場合は写真のように空きを多くとるようにしている。せっかく蛹になっても菌糸が劣化してメタンガスなどが発生すれば、すぐに死んでしまうからだ。写真で菌糸の色が黒いのと茶色いのがあるのは、空気の流通が影響していると思う。上まで詰まってしまうと流通が悪くなり黒くなって、2㎝ほどの空きが維持されていると菌糸が劣化せずに茶色いままなのようだ。
自然の中であれば朽木の中が棲家なので、成虫になったときに脱出しやすい表面近くに蛹室を作っているそうだ。蛹室を作る前に透明な樹脂の表面をアゴでカチカチと削っているのは樹皮近くを削って脱出口を確保するための行動だと思われる。ファーブルは『昆虫記』(4)十七 カミキリムシの中で「彼は将来の成虫が檻を破って道を拓く力のないことを知り、身の危険を冒して一つの道を用意しておこうと思いつくのだ。彼はカミキリムシとなっては突っ張った鎧のため、体の向きを変えて房室の出口に行けないことを知っていて、蛹化の眠りにつくとき、頭を戸口に向けておく用意を忘れない」と書いているが、クワガタの幼虫が透明なボトルの際に蛹室を作るのも同じ理由からだと思う。
しかしボトルの入り口を菌糸で塞いでしまうと空気の流通が妨げられ、劣化してガスの発生により窒息することまでは予測できない。これは人口の環境の限界なので、観察者の手助けが必要になるのだが、観察をはじめた当初には蛹や羽化した成虫までもが死んでいく理由がまったく分からなかった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で「昆虫飼育教室」も開催できず、飼育していた成虫が繁殖をして、たくさんの幼虫を飼育することになったが、幼虫にも個性があるように感じている。
今、成虫になっているアマミスジブトヒラタの巨大幼虫は活動中に空間を塞ぐことなく菌糸もほとんど劣化せず、ボトルの上の部分に蛹室を作ったが、菌糸の活性が強いので2回もキノコに侵入されてしまった。写真のニジクワはほとんどが入口を菌糸で塞いで底の部分に蛹室を作っているので、対策をしないと死んでしまうことになる。観察者である私は毎回、多くのことを教えられるが昆虫は蛹室を作る技術も成虫になったときの脱出の準備も最初から知っている。「なぜ?」その答えはまったく分からないが、観察し続けることも大切だと思う。

2020年5月14日、羽化から8日が経過して体も黒くなってきたが、写真のように蛹室の中で1-2時間おきに寝返り打っている。人間の赤ちゃんも寝返りができるようになるとつかまり立ちをして、それから歩けるようになるがクワガタも蛹室で同じような過程をへて成長をしているのだろうか?
外骨格なのでサイズは変わらないが、体内ではいろいろな変化が起きて成長をしているように思う。ヒラタクワガタの仲間は大体2年くらいの寿命があるので、蛹室の中で過ごす一ヶ月は人間の平均寿命からは3-4年分に相当するもので、外へ出る準備としてはかなり長い時間だと思う。観察していて強く感じることはどんな生命にも尊厳があるということだ。長く昆虫を観察していると、何らかの意思を持って生きているように感じるのは変人だからだろうか。
コロナウイルスの出現で人間の世界は大混乱になっているのだが、人間や家畜、ペット、作物などではない多くの生命体の存在を無視して地球の自然環境や生態系を回復不能なまでに破壊してきたことを止めないで「経済優先」を進めていくともっと強烈な自然界からの反発が起きるのではないかという恐怖を感じる。

2020年5月6日、昨年の7月2日に友人が採集してきたアマミスジブトヒラタのF1の中の巨大な♂蛹が羽化直前の状態に色付いてきた。4月10日に蛹になったことを確認したが、15日には蛹室にキノコが生えてきてしまったので、上から菌糸を大きなスプーンで削り、蛹を取り出して中を掃除して戻すのに1時間ちかくもかかった。その様子は報告したが、その5-7日後には、またキノコが出てきたので上の部分をさらに削り取って再び蛹を取り出して、蛹室全体の表面をほんの少し削りとって戻したが、今回は10分程度の短い時間で蛹にあまり負荷をかけずに作業ができた。それからはキノコの侵入もなく時間が経過していたが、2度もキノコがはえてきて、掃除の間も蛹がさかんに動きまわっていたので無事に羽化できるかと心配していた。
5月7日、昼に仕事から戻ってみると写真のように羽化していた。まだ頭部が折りたたまれていて、翅も伸びきっていない状態だったが、3時間が経過して翅は伸びきったものの、頭部をのばそうと必死にもがいているように見えた。翅もたたまれ、頭部も前に伸ばすことができてクワガタらしい形になったのは12時間以上も後の夜10時過ぎだった。8日の朝には写真のように、よりクワガタらしい姿になっていた。
何回か観察していて感じるのは「なぜこんなに大変な思いをしてまで変態をするのか?」ということだ。蛹から出てきてスムーズに姿を変えていくわけではない。脚が先に色付いているのは最初に使うためだと思う。大きなアゴのある頭部は指令を出す脳があるので色付くのだと思うが、大きなアゴがネックになって伸ばすのに大変な労力を使っているように見える。この時に楕円形の蛹室には大きな利点があるように思える。体の位置を上下方向に少し動かすことで、脚に一番力が入る力点を簡単に得ることができるからだ。
子どもが公園で口径が70-80cmくらいの土管の中で遊んでいるとき、考えなくても体と手足の位置を少しずらしていけば一番力が入る場所を簡単に見つけることができるのと同じことだと思う。クワガタも楕円のアールの中で体と脚をずらしながら、頭部を前に出す空間と脚に力の入る場所を探っているような動きをして踏ん張ってから、ゆっくりと頭部を前に出していくのだが、今回は蛹殻がアゴの先端に引っ掛っているようで、見ている方が疲れてしまうほど時間がかかっていた。
これから1ヶ月ほど蛹室にとどまって、体が固まり老廃物の排泄が終ってからでないと外に出て活動はできない。人間が考えている進化とは合理化への帰結だと思うが、昆虫が見せる完全変態の成虫への羽化の観察からは更なる非合理的な複雑化のように観える。アマミスジブトヒラタもクロメンガタスズメも多くの困難を乗り越えて翅を得て、3次元の世界へと解放されていくように感じた。
「人間が中心」の考え方はAIや超音速ジェット機、高性能自動車、高層ビル群のハイテクの街並みを賛美するが、こうしたものを手にしているのはごく一部の人たちで、21世紀になっても多くの人間は貧困や飢餓にあえいでいて、明日の生活もままならない状況だ。かつて先住民を殺戮し自然環境を徹底的に破壊して築かれた「自由と民主主義」の大国にもホームレスは存在している。他の生き物たちを「下等だ」と決めつけるのは、このように闘争と競争に打ち勝って富を手に入れた人たちだと思う。コロナウイルスの感染拡大により、本当の意味での格差とは何かを具体的に見せられるように思い恐怖を感じるのは自分が弱いからだろうか。

2020年4月25日、クロメンガタスズメが5カ月以上も潜っていた容器の中を検証してみた。蛹から出たときに多めに体液を排出したためか、底に白い塊になってついていた。見ていたわけではないのでわからないが、脱出してきた穴は写真の陰の部分の蛹が頭を向けていた左側の真上に空いていて成虫や蛹殻の直径よりも小さいので、多くの体液を排出して体を細長くして出てきたのだろうか?
蛹室は長軸が70㎜で短軸が42㎜、深さが30㎜程度の写真のように正確な楕円形だった。人間は道具を使わなければ、こんなに正確な楕円形の立体物を作ることはできないと思う。カブトムシやクワガタの幼虫が作る蛹室も同じように正確な楕円形の立体形をしているが、こうした能力をどのようにして身につけたのだろうか。ファーブルが『昆虫記』のなかでテーマにしていた「本能の起源」については現在でも解明されていない。昆虫記の序文に「本能の領域は我々のあらゆる学説が見逃している法則によって支配されているのだ」と記されていて、本文中にも「宇宙を含むこの世界が、人知を超越した調和と法則性を持っていて、その力に昆虫たちは導かれているのではないだろうか」というような記述があるが、自然の中で生きていくためにはこの「調和と法則性」は重要な要素のように思われる。
人間は年間に数千万台の車を生産し販売しているが、毎年その生産量を増やす目標をあげている。1971年には世界で約2億6千万台だった車の台数は2017年には17億7千万台を超えていて、今も増え続けているらしい。車だけではなく「グローバル化」でより安くて効率的に作れる世界のあらゆる地域に生産現場は網の目のように広がり続けていて、同時に地球環境の破壊と汚染も広がっているのだと思う。
コロナウイルスの感染拡大で、人間の経済活動は一時的にストップしていて多くの人たちが経済的に不安定な状況を迎えているが、今は大丈夫と思っている人たちにも波及していくと思う。大丈夫なのは世界の人口の1%にも満たない富裕層だけだろう。だが「調和と法則性」を無視した「永遠の経済成長」のような自然環境と生態系を破壊し続けるシステムを見直さないと、この新たなウイルスの出現は人類全体の生存に大きな影響を与えるように思うのは大げさなことなのだろうか。

2020年4月24日、夜7時ころ家に帰ってきてすぐにクロメンガタスズメを飼育容器から出して、庭のセイヨウアサガオの茎に止めたが、飛ぶ気配はなかったので、最後の姿を写真に撮った。30分ほど経過して見に行くと姿を消していた。
暗い部屋の中での見事な飛行技術を見ていたので大丈夫と思っていたが、突然の大雨になってしまったため心配になった。だが鱗粉は水をはじく構造をしているし、体中にフサフサな毛も生えていたから生き抜けると思う。
巨大な幼虫から成虫になるまで、この生き物からはいろいろなことを学んだが、虫たちは誰からも学ばずに生きる本能を生まれながらに持ち合わせている。まだ2匹の蛹が別々の容器の中で眠っているので、再び会えるのを待ちたいと思う。
25日の朝に菌糸の劣化が一番進んでいるスジブトヒラタの幼虫が入っているボトルで、生存を確認するために少しずつ上から大きなスプーンで菌床を削っていった。死んでいると思っていたが、写真のように蛹室を作っていて前蛹の状態で生きていた。
蛹室より少し大きめの直径のガラスビンにキッチンペーパーを底に2枚重ねて敷き詰め霧吹きで水分を加え形を整えてから、前蛹を移してフタに空気穴をあけキッチンペパーを挟んでフタを閉めて人工の蛹室が完成した。なにか事故が起きなければこのまま成虫になるまで観察ができる。
興味のない人から見れば朝5時に飛び起きて、昆虫を観察することなど頭のおかしな人間の行為と思われるだろうが、ペットのような動物たちと違って、知ろうと思わなければ何も見えないのが昆虫のような生き物たちだ。
知ったところで「カネ儲け」とはほとんど縁はないが、自然のほんの一隅を体感することもでき、この生き物たちが住む世界をも垣間見ることができるのだ。50年以上も前の子供だった頃は身近な自然の中に多くの種類が存在していた生き物たちも、そのほとんどが姿を消してしまったが、気が付く人間は子供も含めてほとんどいない。
「人間中心の環境保護」を叫んでいる人々は雑木林を切り倒し太陽光パネルで覆い尽くし、海の浅瀬には巨大な風力発電機を設置している。どこかの元副大統領は巨額の費用をかけて「地球環境破壊」の映画を制作しているが、自宅の電気代は月に30万円もかかるそうなので、本心なのかと思ってしまう。
77億もの人間が自然と共生していくためには、新型コロナウイルスへの対応と同じく一人ひとりが自粛して、欲望を抑える意識が不可欠だと思うのだが...。

2020年4月24日、朝5時頃にクロメンガタスズメを入れてある飼育容器を見ると狭い容器内で飛んでいた。室内灯を一番暗くしてある部屋の中にフタをあけて放してみるとコウモリほどではないが、いろいろな障害物にも当たることなく時々ホバリングのような飛び方をして狭い部屋の中を器用に少し長い時間飛んでいたので驚かされた。飛んでいるときの触角は少し前のほうを向いていたように見えたが、部屋はかなり暗かったので確かなことは分からない。
飛翔能力が高いとは聞いていたが実際に飛んでいるところを見ると壁や窓に強く当たっていくことも全くなく、かなり狭いすき間に入っても壁面に当たらずに出てくるところも見た。どんな感覚器官で飛んでいるのだろうか。捕虫アミで回収して容器に戻すと静かになったので、再度起きてから庭に放すことにした。
起きてから庭に放すと70㎝ほどの高さでしか飛ばずに鉢植えの木に止まって動かなくなったが、鳥に見つかればつつかれて死んでしまうかもしれないと思い、止まった植物の茎から飼育容器に回収して部屋の中に入れ夕方に放すことにした。普通の人が見かけたら、踏み潰すか「気持ちが悪い姿できっと害虫だ」と思うだろう。ガを観察するのは初めてだが、その能力の高さに驚かされる。手を出すと逃げることもなく指に上ってくることにもびっくりしたが、無理に動かすと「ジッ、ジッ」とセミのように鳴いて抗議をされるのにはさらに驚いた。
知人に聞いてキッチンペーパーを敷いた小さな平皿にスポーツドリンクを水で2倍に薄めて入れて容器内に入れたが、口器をのばして飲むことはしていない。羽化から今日で3日目だが、手につかまる力が弱ってきたように感じた。少し長く拘束してしまったと反省しているが今日の夕方、無事に飛び立ってくれることを心より願っている。
世界中の大都市の高層ビル群とその夜景には圧倒される。だがその分、大量の電気エネルギーを際限なく消費していて、生活から出る処理することができないほどのゴミや車から排出されるガスなどの大量の廃棄物で陸海空のあらゆる場所を汚染している。国連で世界の科学者たちが警告してもほとんどの人間が関心を持たない。どこかの大国の指導者は「温暖化はフェイクニュースだ。新型コロナウイルスは、ある程度コントロールできる。命より経済だ。さあ金儲けを再開するぞ」と言っているように思う。
このガだけではなく、小さな生命体が持つ生きる機能と能力は人間の知力を凌駕していて驚愕に値する。クロメンガタスズメは農作物の害虫とされるが、人間を除くすべての生き物の自然の中での貸借対照表はプラスマイナス0だと思う。小さな生き物たちから学ぶことも、とても大切だと思うのはおかしなことなのだろうか。

2020年4月21日の夜11時を過ぎた頃に写真にある飼育ケースを見るとクロメンガタスズメの巨大幼虫が昨年の11月2日に潜って蛹になっていたマットの中から出てきて、つかまることができるように渡していた一番はしの割り箸につかまって翅をのばしていた。羽化までに5カ月と19日間かかったことになる。翅の裏側の明るい濃い黄色味を帯びた黄金色と大きな黒い複眼が特徴的で愛嬌のある感じがした。朝まで待てば翅も体も完全にかたまり、老廃物の排泄が終れば飛び立つ準備ができたことになる。
朝5時に見てみると写真のように白い排泄物のあとが容器についていて端っこのマットの上に下りていた。翅もきちんと伸びていて奇形などもなく一安心だ。
割り箸をどけてソーッと体の下に手の指をさしこんで止まるように促すと写真のように慌てて逃げる様子もなく、ゆっくりと指に止まってきた。眼の前でその姿を見ると言葉に表せないような感情が湧きあがってきた。その巨大な三つのタイプの幼虫を見たときも驚愕と畏怖の念を抱いたが、成虫の表情やそのデザインに崇高な自然の不可思議と神秘を実感したように感じた。あと少しだけその見事な姿を見させてもらったら、庭から大空に向かって開放してあげようと思う。
目の前にいるこの不思議な生命体は決して人間には造ることはできないが、消滅するのは時間の問題だ。人類は地球上の自然と生態系を壊滅的に破壊しカネ儲けのための開発のスピードを速め、すべての生き物を追い詰めているのだが、ほとんどの人間は関心がない。新型コロナウイルスによりもたらされた危機を自然からの警告のように感じるのは頭がおかしいからだろうか。

2020年4月19日、3-4日前に菌糸ボトルの底に作られていたニジイロクワガタの蛹室に写真のようにメウチで小さな換気用の穴を2箇所あけ、キノコバエが侵入しないようにガーゼをテープで張り付けた。小さな穴だが防御をしておかないとキノコバエが入ってきて、蛹室の中がハエで満員電車状態になり排泄物で部屋と蛹を汚染して死なせてしまう。♀の蛹には成虫らしいニジイロが表れてきているので、もうすぐ羽化すると思う。
20年ほど前に業者から飼育繁殖を頼まれていた外国のオオクワガタの仲間の繁殖の分け前として育てていた大型の幼虫が無事に蛹室を作って大きな蛹になったが、4-5日してボトルを動かしても蛹がまったく動かなくなったので、メウチで換気用の小さな穴をあけて様子を見た。2-3日後には蛹の動きが確認できて安心していたのだが、小さなキノコバエが1-2匹、侵入していたのはあまり気にしていなかった。次の日に仕事から帰ってきて見てみると蛹室はキノコバエでいっぱいになっていて、蛹に黒っぽい排泄物がついていた。慌ててボトルの菌糸を崩して汚染された部屋から蛹をスプーンで取り出し汚れを霧吹きで落し、タッパーにキッチンペーパーを敷いて移したが、4-5日後には黒くなってきて死んでしまった。当時はめずらしい種類だったのでガッカリもしたが、死なせてしまい申し訳ない気がした。
1400㏄の菌糸ボトルに入っていたギラファの♂の40gの幼虫が蛹室をほぼ完成させていた。ボトルの直径が125㎜程度なので楕円形の蛹室の長径は100㎜をこえているように思う。あと2ヵ月以内には成虫に羽化するだろう。写真のように白い部分がまったく見られないほど菌糸の活動を抑え込んでいるので、蛹室にキノコが生える危険はないと思うが、マンションなので高温と多湿による腐敗で出るメタンガスでの中毒死が心配だ。観察を続け場合によっては換気用の穴をあけようと思う。人工的な環境で昆虫を飼育すると自然界では全く起きない事故が多く発生する。
200年前に10億人ほどだった世界の人口は現在77億人ほどに増え、世界の自然林は徹底的に破壊され現在も1分毎に東京ドーム2個分のスピードで消滅しているといわれている。新型コロナウイルスの感染拡大により人類の経済は大きな打撃を受けているが、世界の指導者のなかには「国民の命よりも自分の財産が大事」というような資質の人間がいるように思えてならない。この危機的な状況の中で金融経済(バーチャル)に巨額の資金を投入することに意味があるのだろうか?
政治家と投資家や大企業の経営者と工場が残っても働く人がいなくなれば経営など成り立たないのではないかと思う。「カネ(印刷した紙)よりも命の方が大事」こんな簡単な摂理が理解されないのだろうか。

2020年4月15日、アマミスジブトヒラタの一番大きな♂の蛹のボトルを見ると蛹室の中に菌糸の白いキノコが生えていて蛹に干渉していた。前に書いたが、菌糸ボトルで育てた大きな蛹には何かアクシデントが起こることが多い。すぐにボトルのフタをあけ蛹室のキノコをとるために大きめのスプーンで上から菌糸を削っていったが、写真の範囲の70㎜ほどの天井が崩れて蛹にかぶさってしまった。
マイナスのドライバーとピンセットを使って蛹に触らないように崩れた天井を少しずつ掻き出したが、蛹は激しく動いていた。崩れた天井を取り除き、中に生えた茎上のキノコをピンセットで慎重にとり出し、蛹室に入ってしまった菌糸クズをボトルをさかさまにして全てとり出すのに1時間ほどかかったが、やっと写真の状態に落ち着いた。2018.B-KUWAのスジブトヒラタのギネスは72.3㎜だ。この蛹もかなり大きいように思うが、作業の間、蛹は激しく動いていたので無事に羽化できるか難しいと思う。菌糸ボトルの下のほうに作られた大きな♀の蛹は壊死していが、原因は菌糸の劣化から腐敗によるメタンガスの発生だと思う。菌糸は各ボトルで劣化の程度が違っていて観察していないと殺してしまうことも多くあるが、マンションに移ってから劣化するボトルが多いように感じるのは湿気のせいなのだろか。
ニジイロクワガタの少し大きめの♂の蛹の写真を撮ったが、アゴの形に特徴がある。ピロピロ笛のように丸まっているのだ。この写真では見えないが、胸部と鞘羽の部分にキラキラしたラメが散りばめられている。蛹の時期から構造色らしさがうかがえる。写真のように水分が多く劣化で死んでしまわないか心配なので、様子を見て蛹室に目打ちで穴をあけることも考えている。
昆虫の世界にはカネは存在しない。生死を決めるのは自然の環境次第だ。この新型コロナの感染拡大を見ていると人間の生死にはカネが大きく関係しているように感じるが、印刷した紙が運命を握っているのを不自然に感じるのは、おかしな考え方なのだろうか。

2020年4月10日、1週間ほどまえから、単独飼育しているヘラクレスの♀が飼育容器の中で動き回っていて、落ち着かない様子だった。容器から出してレース地のカーテンに止めると穴をあけようとしていたので、カーテンレールの上に止めておいたが落ち着かない。ミズゴケも交換してエサのバナナも新しくして容器に移したが、バナナも食べようとせずに動きまわっていた。しかたなく容器から出してカーテンに止めていたが2回ほど行方不明になった。過去にも何回も逃げだしたクワガタやカブトを探していたので、今回もすぐに見つかったが、明らかに元気がなく手につかまる力も弱くなっていた。
過去の飼育では♂・♀を大きな容器に産卵用にカブトマットを硬く敷き詰めその上に転倒防止用に少し太めの枝を2-3本入れていたので、♀をこんなに長く単独で飼育したことはなかった。何か容器内の環境が気にいらないのだと思って、過去の飼育のことを思い返してみると、♂が転倒防止用の枯れ枝を口器の先で削っていたのを思い出した。4月9日の夜から太めの枯れ枝を容器に入れてみると、枝にしっかりとつかまってエサのバナナを食べ始めて落ち着いた。容器内にミズゴケだけを敷いたのでは、つかまることができずに落ち着かなかったのだろうか? あらためて生き物の飼育では暮らしている環境を考慮することの大切さを思い知らされたような気がした。写真を撮ろうとすると食べていたバナナから離れて枝にしっかりとつかまってこちらを見ていたが、♂はまだ出てくる気配もないようだ。
アマミスジブトヒラタの大きなオスの幼虫が入っていた菌糸ボトルを見ると写真のように大きな蛹になっていた。ボトルの直径が100㎜なので、蛹室の左右は80㎜以上もあるように思う。順調に成虫になれば70㎜近くの♂が出てくるように思うが、過去にも大きくなったクワガタの蛹は何かが起きて無事に成虫になれないことを何回か経験している。菌糸ボトルという自然界ではないような環境で大きく成長し過ぎたためか、不完全羽化や突然死があった。反対に小さな蛹では♂も♀も無事に羽化してくることが多かったように思う。大きな♂の生きた姿が見られればと願うばかりだが、生き物の飼育では毎回のように飼育環境の大切さを学ぶことが多くあるように感じる。今回のコロナウイルスの感染拡大も人間の「永遠の経済発展=カネ儲け」のための自然環境への壊滅的な破壊とそれに伴う生物種の大量絶滅が影響をしているように思うのは間違った見方なのだろうか。

2020年3月29日の夜、ヘラクレスの♀の容器を見ると外へ出ようとして暴れていたので外へ出して庭に面した大きな窓の内側のレース地のカーテンに止めておいた。上に登っていくのかと思ていたが、ジッとしていたので目をはなしていた。1時間ほどしても同じ場所に止まっていたが、頭を動かしていたので近づいて見てみると口器の先端でカーテンに穴をあけていた。木の幹を削って樹液を出す行動をしていたのだ。
見つからないようにと思い尻をツツクとカーテンレールの上まで登っていって、写真のように部屋を見下ろすような格好で止まって動かなくなった。穴が見つかるのは時間の問題だと思う。
ヘラクレスの♀は羽化したばかりだと体中に金茶色の細かい毛がたくさん生えているのが良く観察できる。毛の役わりはよく分からないが、複眼に手を近づけても全く反応しないが、体の下面に生えている毛に少しでも触れると敏感に反応する。夜行性といわれているのでジャングルの真っ暗闇のなかで活動するためには光がなければ役に立たない複眼の代わりに感覚毛が発達したのだろうか。
飼育して観察していると、この全身に生えている細かい毛には体の清潔を保つ役割もあるように思った。6ヵ月ほど経過するとこの毛が擦り切れてきて、エサのバナナや昆虫ゼリー、潜ったときにつくマットの汚れなどが体に張り付いて落ちなくなるのが観察できる。霧吹きなどで体の汚れを落とすようにしても、こうした状態になると長く生きることはなく、1ヶ月以内に死んでしまう。これは♂も同じだった。この観察を通じて「細かいものにも重要な役割がある」ということを知らされた。
3月28日、2-3週間前にギラファの産卵が確認できていた飼育容器から♀2匹をとり出して、別の産卵木をセットした容器に移していたので容器の中をあけて確認してみた。1卵のみ確認ができたので、クワガタ(オオクワガタ)の幼虫が産卵木を削った木屑を集めて詰めてある100㏄ほどの小さなビンに写真のように観察できるようにして収容しておいたが、4月2日の夜に見てみると孵化したばかりの幼虫が観察できた。クワガタの場合、卵で出してしまい通常のマットなどで飼育するとほとんど成長せずに死んでしまう経験を過去にしていたので、この方法で孵化させている。このビンではスジブトヒラタ、アマミノコギリが卵から2齢まで成長して800㏄の菌糸と発酵マットのボトルに移しているが、順調に成長している。ギラファも大丈夫と思う。
クワガタやカブトを飼育観察していると朽木と腐葉土という最小限の資源から、見事な成虫が出きて全く無駄のない生き方をしているように感じ、人間とは真逆な生き方だと思い知らされる。世界の大都市には巨大な高層ビル群が林立していて、郊外では大規模なプランテーションが広がっている。「グローバル化」という合言葉のもとに世界の環境と生態系は徹底的に破壊され、どの国家も同じような都市をもつようになって一元化された。
こうした人間の拡大し続ける経済活動によって、生き物が大量絶滅に追い込まれているという国連からの警告も発せられていたが、現在でもアマゾンの熱帯雨林は1分毎にサッカーコートの1.5倍が消失しているらしい。コロナウイルスの出現によって、こうした人類の生活は一変した。金融経済も実体経済も大きな打撃を受けて大きな危機を迎えているのは「今までのシステムを見直しなさい」という警告のようにも感じる。

2020年3月19日の夜、ギラファノコギリクワガタの♂の幼虫が入れてある1400㏄の菌糸ボトルを見るとフタと本体の間に挟んであるキッチンペーパーに茶色いシミがついていた。大きくなった幼虫がフタの近くの菌床を押し上げて、すき間を埋めてしまったために中の水分が滲み出てきたものだ。放置するとキノコバエがボトル内に侵入する危険性がある。フタをあけてみると菌床が持ち上げられキッチンペパーが破れていたので、フタと同じ形の丸い菌床を持ち上げると写真のように終齢後期の巨大なギラファノコギリクワガタの♂の幼虫が出てきた。フタの直径が100㎜なので、幼虫の体長も同じくらいはあるように思う。体重を測ってみると40gだったので、順調に蛹室を作って成虫に羽化すれば95-100㎜ていどの成虫になると思う。
菌糸を少しかき出し幼虫が潜っていけるスペースを確保して、そこに幼虫を戻してから丸い菌床をかぶせフタと菌床の間に20㎜ほどの空間を確保してから新しいキッチンペーパーを挟んでフタをしめた。キノコバエが侵入したことに気づかないと、菌床に大量の卵を産み付けられ孵化したウジ虫状の幼虫によりボトル内はアッというまに腐敗して幼虫も死んでしまう。菌糸ボトルの底にコーヒー色の液体が溜まる場合は腐敗している証拠なので、幼虫が生きていればすぐに菌糸ボトルから出して、あまり発酵の進んでいないクヌギマットを幼虫の大きさに合わせた樹脂ボトルに少し硬詰めして潜りこめるスペース(幼虫と同じ大きさ)を作って、そこに移して避難させると成虫まで無事に育つ場合もあるが、腐敗したときに出るメタンガスなどの影響を受けていると死んでしまう。昆虫の飼育の成否はキノコバエとの戦いともいえる。
透明な菌糸ボトルに入れてあったニジイロクワガタの幼虫が蛹室を作り終え、前蛹になっていた。透明なので蛹室の楕円形がよくわかると思う。これから蛹になるが、独特な特徴がある。うまく写せるか分からないが、その時には写真で紹介したいと思います。
世界では人類とコロナウイルスとの戦いが本格化している。どこかの大国の指導者は「チャイナウイルス」と言っているようだが、人間以外の生き物には「国境などはない」という単純なことも理解ができないのだろう。カネにしか興味のない権力者には地球が「人間中心ではない」ことも永久に理解の外だと思う。世界の人々が一丸となって一刻も早く終息すること願っている。

2020年3月13日の夜、♀のヘラクレスを見るとバナナは皮だけが残っていてミズゴケの中に潜っていたので、フタをあけて皮を捨てミズゴケに触ってみるとかなり湿っていて匂いもあった。羽化してから、この2週間で昆虫ゼリー4個とバナナ1本を食べたので、バナナは与えずに明日の朝に容器の水洗いとミズゴケの交換を行うことにした。朝になって飼育容器の中を見ると♀が出ようとして動きまわっていたので手にのせると体の体温が上がっていたが、これは飛ぶ行動の前触れだ。飼育容器内の環境が悪化したので脱出しようとしていたのだろう。
外に出すと手の上にのぼってきて、窓に向かって飛んだが、部屋の中なのでうまく飛べずにカーテンにぶつかって、つかまっていた。こうした行動を何回か繰り返していたが、しばらくするとカーテンにとまったまま動かなくなったので、手にのせると写真のように大人しくしていたので、体重を測かると17gだった。2019年の7月に幼虫の体重を測ったときは46gあったので、その後の成長を考えると蛹の体重は50-55g程度だったと思う。成虫になって自力で蛹室から出てくる前には体の老廃物を出すので、体重は1/3以下になってしまうようだ。♂の体重も幼虫時は120-30gほどまで増えて、成虫の大きさが140㎜をこえていても30g程度の重さだった。人工蛹室を使うと体重も少し重めで老廃物を出す前に動き始めてしまうので、長くは生きないのだと思う。
容器を水洗いして新しいミズゴケを敷き霧吹きで水分を加え掃除を終え、1/3ほどのバナナを入れて♀を放すとすぐに食べ始めた。♂の蛹が入っているコンテナのフタをあけて中を確認したが、まだ出てきてはいなかった。
コロナウイルスの世界的な感染拡大でWHOが「パンデミック」を宣言した。金融経済は世界的にパニック状態になり、大きな損出を生み出しているが、それに伴い実体経済も大きな打撃を受ける様相を呈してきた。ウイルスという1㎜の1/一千万-百万の超微小な生き物から想像を絶する影響を与えられているが、これが人間の科学力の限界なのだろうか。
昨年の5月には同じ国連の「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム」(IPBES)から「人間の経済活動の影響により100万種の生物がこの数十年の間に絶滅の危機にある」と発表されたが、ほとんどニュースにもならなかった。その後、北アメリカ、アマゾン、オーストラリアでは大規模な森林火災が発生したが、これも大きく取り上げられることもなく地球の環境と生態系の破壊には、ほとんどの人間が関心がないのだと思う。アマゾンの森林火災では地元の農場主が「アマゾンを開発すればブラジルの経済は良くなる」というようなことを話していたようだ。
多くの生物が人間の活動が原因で数を大幅に減らしたり絶滅すれば、ウイルスなども宿主を失い生き残るためには宿主を変える変異を起こすことがあるのだろうか。確かなことは分からないが、1種類の生き物だけが繁栄し続けることなどは、できないと思うのはおかしな考えなのだろうか。

2020年3月7日、羽化したヘラクレスの♀のエサを3月5日からバナナに切り替えた。1/3ほどを与えたが次の日には皮だけが残っていて、手にのせてみると慣れたのか、爪を立てることもなく大人しくしていて、少し重くなっていると感じた。次の日から量を増やして1/2ほどを与えると写真のようにすぐに食べ始めたが今朝、見ると半分以上が食べられていて、見事な食べっぷりだ。♂が出てきたら産卵の準備をして一緒に飼育したいと思う。
菌糸ボトルではなく、800㏄のボトルの下側2-3㎝に幼虫が潜りこんでいた産卵木の木屑をこまかくして硬く詰め込み、その上に埋め込みに使ったクヌギマットを硬詰めして飼育していたニジクワの幼虫がボトルの最下層に大きな蛹室を作り終えて、前蛹になる前の状態で休んでいる。クワガタやカブトムシの仲間の蛹室は正確な楕円形の形をしている。死んでしまったギラファの♀の蛹室も斜め方向の楕円形で、壊さないように掘り進んでいって触ってみると指で押したくらいでは簡単には壊れない。スプーンの先で崩すのだが、かなり力を入れないと最初の穴は開かない。穴が空くとそれまでの抵抗はなくなり、蛹の確認ができるが、楕円形という形は圧力に強く水中深くに潜る潜水艦や酸素ボンベ、深海探査船なども楕円と円の組み合わせで作られている。これは人間が物理学と数学で導き出した理論と同じだ。「昆虫たちには人知のおよばない、生きていくための驚異的な本能が備わっているのだ」というようなことをファーブルは『昆虫記』に記しているが、ある意味では人間を超えていると思う。
小学校で「昆虫教室」の授業をすると「虫は下等な生物で気持ちが悪く、不衛生だから大嫌いだ」という子どもの割合は90%を超えていて、1クラスに好きな子は1-2人程度だ。これは間違った「進化論」の解釈の影響で「自分たちは進化の頂点だ」と思っている人間がいかに多いのかを物語っていると思う。世界中の大都市には高層ビルが林立していて、大型の高級なクルーズ船などは長さが400m近くもあり、贅沢な高級住宅街の縮図のような構造をしている。だがこうした豊かさを享受している人間は世界の77億の人口の0.1%にも満たないと思う。
野生動物由来のウイルスが人間に感染力を持つ変異を起こすのは豊かな生活を享受している高級な住宅街ではなく、1日の生活費が1.25ドルにも満たない衛生環境や人権などが無視されている最下層の貧困地域からだと思われる。どこかの大国の大統領が大好きな「個人主義=金儲け主義」は自分で首を絞めていることだと思う。昆虫を観察し続けるのは学ぶことも多くあると感じるからだ。

2017年10月から2018年2月にかけて飼育していたヘラクレスが産卵し、孵化した幼虫をステージをそろえて♂、♀を飼育していた容器を2020年2月29日にフタをあけて中を見ると♀が裏返しの状態で羽化して自力で出てきていて、もがいていた。すぐに手ですくいあげると、すごい力でつかまってきたが羽化したばかりにしては体重が軽く感じた。マットの上を見ると背中で動きまわったあとがついていたので、3-4日が経過していて消耗してしまったのだろうか。単独で飼育できる大きさの飼育ケースにミズゴケを敷いて霧吹きで水分を与えて、昆虫ゼリーを与えるとすぐに食べだした。その後も何回かお代わりをして食べ続けていたので、本日、3月3日に手にのせてみると少し重くなったように感じたが、回復したのだろうか? つかまる力も強くなって爪が手に食い込んで痛かった。
もう1頭、♂が残っているので、容器の中を手で慎重に探っていくと♀が出てきた蛹室から横に10㎝ほど離れた場所の表面から2-3㎝下に♂の蛹室の上の部分が手で感じとれた。1-3ヵ月後には♂も自然に出てくると思う。♂も♀も自力で蛹室から出てくるとすぐにバナナや昆虫ゼリーを食べ始めるようだ。
♂と♀では幼虫の期間に6ヵ月ほどの差ができるので、飼育初期に産んだ卵から♂を選び、最後のほうに産んだ卵から♀を選んで同じ容器で飼育すると同じような時期に成虫になるが、注意しないで大きな飼育ケースなどで多頭飼育すると早く出てきた♀がエサがないとマットの中に潜り込んで、♂の蛹室を壊してしまい気がつかないと死んでしまうことがあった。羽化時期にずれのある大型のカブトムシを飼育する場合は最低でも♂、♀は分けて飼育した方が良いように思う。
2018年7月21日に体重を測っているが♂が87gで♀が46gだった。羽化した♀の大きさは60-65㎜ほどだ。7カ月経過しているので、♂は130㎜をこえる成虫になっているだろうか? 事故なく無事に出てきてくることを願うばかりだ。


2020年2月22日、昨年のファーブル会で開催した「昆虫飼育教室ギラファノコギリクワガタ編」の時に残った♀の幼虫を800㏄のボトルに発酵マットを詰めこんで飼育していた。1月の初旬にボトルを見ると中身がスカスカになっていたので、埋め込みマットを少し継ぎ足して蛹室が作りやすい環境にかえておいた。ボトルの透明な壁面にマットが変色している部分が見えたので無事に蛹室を作り終えたことは確認できていたのだが、ボトルの上部のフタとの間の20㎜ほどの空間を見るたくさんのキノコバエが発生していた。
継ぎ足した埋め込みマットが汚染されていたのだろう。すぐにスプーンでマットを掻き出しながら蛹室の確認をしたが、50㎜をこえる大きな♀の蛹が写真のように死んでいた。頭部に少し白い菌糸がついているが、菌糸に巻かれて死んだのであれば、全身が真っ白く菌糸で覆われているので、これは死んでから菌糸が付いたのだと思う。ボトルの上部に大量のキノコバエのウジ虫状の幼虫も確認できたので、体全体が黒く壊死しているのは排泄物によるマットの劣化からメタンガスが発生して♀の蛹は呼吸ができずに死んでしまったのだと思う。10ヵ月近くも順調に成長を続けたが、最後のステージで継ぎ足したマットがキノコバエに汚染されているという初歩的なミスで殺してしまった。もっと早く気がついて掘り出していれば殺さずに済んだと責任を感じている。幼虫飼育の失敗は多くがマットや菌床の劣化による腐敗によるガスが原因していると思う。
この♀の蛹の死を観察して、1㎜の1/1千万-百万の超微小なコロナウイルスの脅威にさらされている人類のことを思った。人の手による飼育ではなく自然の中であれば、蛹室の上にキノコバエが発生することもなく、樹脂製のボトルでなければ発生したガスも下へ抜けていたと思う。このウイルスも動物由来のものが人が自然の奥深くに入っていって、あらゆる生き物を「カネに換える」行為をした結果、人に感染する突然変異を起こしたのだと思う。エイズも元はチンパンジーの病気だったものが何らかの接触によって人への感染力を持ったといわれている。
「人間が中心=カネが中心」これは恐ろしく利己主義的な考え方で、生態体系を破壊し続け坂を転がりスピードを上げながら絶滅に向かっているように思うのは、自分の頭がおかしいからだろうか。この数週間の間「買占め」が止まることはないと思う。

2020年2月18日、4月中にNPO法人日本アンリ・ファーブル会で予定している「昆虫飼育教室ギラファノコギリクワガタ編」のために昨年の12月から繁殖用にセットした飼育容器を観察すると透明な容器の壁面に卵が10-12個も写真のように見えていて、孵化したばかりの幼虫も3匹ほど確認できた。2♀のうち1頭は昨日にとり出して別に飼育しているが、もう1匹が容器の中にいるので、このままだと幼虫が食べられてしまう可能性がある。毎日、観察して♀が昆虫ゼリーを食べに出てきたら、別飼育するつもりだ。
壁面に見えているだけで卵と幼虫で15ほど確認できるので、30くらいは確保できるように思うが、参加者の方々に幼虫がいきわたるように細心の注意が必要になる。アマミスジブトヒラタの幼虫は1匹の♀が蛹室を作り終え前蛹になっているが、2-3ヵ月のうちに蛹になる♂も出てくると思う。ギラファのメスも前蛹になっているが、生き物の飼育をしていると休むことができないという状況になってしまう。

2020年2月11日の朝9時頃、1月1日に羽化したツマグロヒョウモンの♂が前日につかまっていた鉢植えの幹から落ちて死んでいた。42日間生きていたことになる。ネットなどで♂の寿命を調べると長く生きて「13日間」とあったが、この♂は羽化から2時間ほど経過して体から老廃物を出している最中に落下してしまったため、翅や体がやや変形していたが、3倍以上も生きていたことになる。
生まれてきた時期が季節外れのため「繁殖」という生物にとって最も重要な使命は果たせなかったが、時にはその不自由な体で飛びまわっていた。室内という特殊な環境ではあったが外へ出ようとして暴れまわることもなく、時々ほんの少しの砂糖水を吸うだけで静かに死んで行った。
同じ地球上の生き物なのに「金儲けのために地球環境を破壊し続け、右往左往する人間の生き方」とは、どれほどかけ離れているかと考えさせられる。小さな生き物たちの世界を観察していると「人間が中心」ではないことに気付くように思う。
体の色が少し黄色くなってきたかなり大きな♀のアマミスジブトヒラタの幼虫が透明なボトルの表面に出てきていたが、もうすぐ蛹室を作る作業がはじまり、1-2カ月後には成虫に羽化することになると思う。何度観察してもこの変態の様子には大きな驚愕を感じる。

1月21日の夜、アマミスジブトヒラタの♂の幼虫を2齢でいれた800㏄の菌糸ボトルを見るとかなり大ききな終齢幼虫に成長していた。同じような時期にニジイロクワガタの幼虫も割り出し時に入っていた産卵木の木屑を底から3㎝ほど硬く詰め、その上に埋め込みに使ったクヌギマットを詰めこんだ800㏄の樹脂製のボトルに2齢でいれていたが、かなり大きな3齢幼虫に成長していた。ボトルの直径が100㎜なので、どちらの幼虫も70㎜近くの大きさに成長しているのがうかがえる。体色が白いのでまだ成長を続けると思う。
今までニジイロの幼虫は菌糸ボトルに入れていたが、それより大きく成長している。菌糸ボトルでも飼育しているので、結果は比べることができるだろう。アマミスジブトも「60㎜以上の♂が羽化するのでは?」と思って期待している。ニジイロも50㎜をこえる♂になるのではないかと思う。
ネットで♂の寿命は長くて「2週間」と書き込まれていたツマグロヒョウモンの♂は1月1日に羽化してから4週間を過ぎた30日現在も生きている。翅はボロボロになったが、まだ砂糖水にストロー状の口をのばしていて、時々、窓際で羽ばたいている。今日の松戸の最高気温は16℃もあった。
オーストラリアの森林火災は大雨が降って洪水になった地域もあるが、消えずに今も続いているて、約12億匹もの動物が焼け死んだらしい。オセアニア地区の固有種であるニジイロクワガタも大変なことになっているように思う。この森林火災に対しても「人為的な放火で温暖化とは関係がない」という意見や「今年の夏は温暖化による異常気象によってオーストラリアは観測史上最高気温を記録するなど、高気温による乾燥によって被害だ拡大している」などの意見があるが、一刻も早く鎮火して動物たちが助かるようにと願うばかりだ。

2019年11月7日に卵で回収して、写真の100㏄程度の容量のガラスビンで飼育していたアマミスジブトヒラタが11月9日に孵化して1齢幼虫が出てきた。卵で回収した場合は母虫が産卵時に作った卵床と思われる細かい木屑や幼虫が産卵木の中を掘り進んだときにアゴで削った木屑などを集めて小さな容器で管理して孵化させないと成長しないで死んでしまう経験を過去に何度かしていた。12月30日には写真のように2齢の終期までに成長していたので、800㏄の菌糸ビンに移した。今年中には成虫が羽化して出てくると思う。
1月1日に羽化したツマグロヒョウモンの♂のチョウは写真の砂糖水を染みこませたティッシュペーパーに時々止まらせると吸汁をするのだが、1分も止まっていることはなく、数十秒で離れてしまうので「体の中に入っているのかな?」と疑問に思っていたが、1月13日の時点で翅は破れてボロになってきたが、室内のカーテン際を離れずに日がさすと元気に飛びまっわているので、砂糖水を体の中に取り込んでいるのだろう。ネットには♂の寿命は1-2週間と書いてあったが、羽化から13日目の今日も生きている。あと何日生きれるのだろうか?
オーストラリアは過去最高の高気温を観測し、異常な乾燥により現在も続いている森林火災は1030万ha以上(韓国の国土面積に相当)を焼失し、数十人の人間とともに5億匹超の動物を焼き殺しているそうだが、大きなニュースにはなっていない。アメリカのイランに対する軍事行動とその報復による先物取引の原油価格の上昇と株価や為替相場の変動が大きなニュースとして伝えられている。
実体経済の20倍近くの規模を持つといわれている金融経済が人間の世界を支配しているのだろうが「自然環境」や「生き物と絶滅した種の命」は金では買えない。昨年は北アメリカやアマゾンでも回復不能な大きな森林火災が発生しているし、昆虫などの行動も異常なように思う。ファーブルは『昆虫記』の中で「自然の貸借対照表は常にプラス、マイナスは0だ」と書いているが、人間の経済活動は常にプラスを求めている。「SDGs」は2030年が達成目標の年だが、その時はどんな世界になっているのだろうかと不安に思う。

2019年12月28日、室内に保護したクロメンガタスズメの幼虫は写真のように最後尾の体節に大きな傷を負っていた。12月の下旬になって寒さが増してくれば自然界から昆虫などは姿を消し鳥などはエサが減り飢えに直面する時期だと思う。鳥の鋭い嘴で傷つけられてしまったのだろうか。体液の流出は止まらずに30日の午前中には死んで色が変色していたので、庭に小さな穴を掘り埋葬した。
この観察から昆虫だけではなく、生き物に「季節性」があるのは生きていくためには重要な意味があることが推察されるが「気候変動」はこうした生き物の「規則性と法則性のある行動」を狂わせてしまっているように感じる。
2020年1月1日の13時ごろ、驚いたことに庭のツマグロヒョウモンの蛹から♂のチョウが羽化して出てきた。15時を過ぎた頃に急激に外気温が下がり、下に落ちてしまっていたので、室内に収容してクワズイモの茎にとまらせたが、寒さが厳しくなる時期に羽化するのは自殺行為のように感じた。夜になって、少し飛んだので砂糖水をつくって与えて2日目を迎えているが、外に放せば寒さですぐに死んでしまうように思う。
昨年のツマグロヒョウモンの最後の羽化は11月24日だった。この4年の観察で2カ月近くもずれ込んで、全く生きてい行ける可能性のない時期に羽化するのはなぜなのかと思う。「温暖化の宣伝は新しい金儲けのためだ」と主張している大国の大統領も「温暖化を止めろ!」とデモをしている人たちも小さな生き物の世界で起きている異常な現象を知らないと思う。猫の額ほどの広さもない小さな庭でのチョウやガの行動の観察から、今年は昨年以上の自然災害が起こるのではないかという恐怖を感じた。

2019年12月27日、先週の20日の日にクロメンガタスズメの幼虫を見てから姿が見えなかったのでカラスに食べられてしまったのかと心配をしていたが、今朝、写真のような姿で見つかった。
体もしぼんで体色も悪くなり腹脚はマヒしているようで、このところの低気温で死ぬ寸前になってしまったようだ。飼育容器にカブトマットを少し固めに敷いて、セイヨウアサガオの葉を入れて室内で飼育して様子を見ることにしたが、回復するだろうか。
広食性の農業害虫ということだが、いろいろと観察をさせてもらい、新たに教えられることもたくさんあった。人間の経済活動による「温暖化」がなければ、ここまでやってくることもなかったように思うと、放置して死なせてしまうのは申し訳ない気がした。

2019年12月23日、庭のツマグロヒョウモンの蛹は昨年は7個近くあったものが、2個のみ確認できている。茶色のプランターについている蛹は死んでいるので、1個だけが残ったことになる。11月中に30個近くの蛹からチョウが羽化したようだ。4年近く観察しているが、11月にこんなに多くの羽化があったのははじめてだ。1-2㎝ほどの大きさの幼虫もまだ野スミレのプランターについているが、小さな幼虫は確認できなかった。(時間があるときに良く見てみようと思う)
写真に写した蛹の抜け殻の下には羽化後に体から出した不純物の新しい痕が残っていて、1-2週間以内に羽化したように思う。直接に観察していないので、確かなことではないが、12月になっても気温の高い日があったのでツマグロヒョウモンが羽化したのだろうか?
オーストラリアでは50℃に迫る気温が観測され、大規模な山火事も発生しているようだが、あまり大きなニュースにはなっていないようだ。2019年に「地球温暖化」の影響を最も強く受けたのは日本で、今年の水害で過去最高の降雨量を記録した地点がたくさんあるとニュースで流れていた。
「地球温暖化」に対して世界の各地で若者を中心とした抗議デモが起きているそうだが、デモで解決するのだろうか?
まずは個人で考え、他の生き物の生き方を学び、一人ひとりができることをはじめることが大切なように思うのだが...。

2019年12月13日、夜にギラファノコギリクワガタの60㎜ほどに育った終齢の♀幼虫の入ったガラスビンを見るとマットの上に出てきてしまっていた。マットを触ってみるとスカスカになっていたので、蛹室をつくための適当な場所が見つからずに上に出てきたように思う。長い飼育経験の中で何回か同じような経験をしているので、幼虫を取り出しマットの継ぎ足しをして、潜っていけるようにスペースをあけて戻した。次の日にはビンの底へ潜りこんでいた。
大型のクワガタの幼虫を800㏄以下のボトルで容器が浅くてマットの硬い部分がなくなってしまうと時々こうしたことが起きた。蛹室を作ることができる環境を容器の中に作ると上に出てくることはなく、蛹室を作って無事に成虫に羽化していた。
翌日は練習が終わった午後に庭のセイヨウアサガオについているクロメンガタスズメの幼虫を見に行った。写真の背景からもかなり大きいことが分かっていただけると思うが、日向に出ていて活動をしていた。激しい寒暖差はあるものの、まだまだ野外で大丈夫なようだ。
日本の固有種であるアマミスジブトヒラタクワガタの飼育容器を覗き込むと転倒防止用においた直径3㎝ほどの木切れの下においた昆虫ゼリーをオスが食べていたので、写真撮影をした。40㎜以下の小さな♂だが、鞘羽の太いスジ模様は彫刻のように見事だと感心した。アマミノコギリクワガタの飼育水槽の底面を見ると1つの卵が観察できたがピントが合わず写真は撮れなかった。室内での飼育だが「こんな時期なのに産卵するのか」と驚かされた。長く生き物たちを観察していて感じることだが、その活動は「環境に支配されている」ように思う。
COP25などを見ていると「温暖化」の肯定派も否定派もまるで人間が「環境を支配できる」と思っているのではないかと強く感じることがある。「環境を保護する」のではなく生物の一種にすぎない人間は「環境に保護されている」ということを自覚することができないと「永遠の経済発展」によって死滅する日が近づいているような気がする。

2019年12月8日、7月に友人から頂いたアマミノコギリクワガタとアマミスジブトヒラタの3回目の産卵セットをしてみた。安い産卵木なので、かなり硬くてセットしながら「産まないかな?」と思いガッカリした。今までの経験から硬い産卵木では良い結果は出ていないからだ。捨てるのも、もったいないのでとりあえずセットして1ヶ月くらいは様子を見ることにした。1回目と2回目のセットではアマミノコが16匹、アマミスジブトからは20匹の幼虫が採れて、それぞれ800㏄のクリアボトルにアマミノコは発酵マット、スジブトは菌糸と発酵マットで個別に飼育している。アマミノコギリの♂は死んでしまったが、符節が揃っていたので友人に返却した。スジブトは♂♀ともに元気だ。1ヶ月経過しても産卵の徴候が見られなければ、産卵木を柔らかい質の高いものに変えようと考えている。
ギラファノコギリクワガタの♂を単独で飼育している容器のミズゴケを交換しようと中を見ると2㎜位の小さなハエトリグモが動いていたので、写真に撮ってみた。昆虫ゼリー目当てに容器の隙間から入ってくる微小のキノコバエを狙って入ったのだろうか? こんなに小さな個体を見たのははじめてだが、飛び跳ねることもできて大変に活発で極小のクモの精密な構造と動きの速さに驚愕と畏怖の念を抱いた。
セイヨウアサガオのクロメンガタスズメは寒いのに元気で、12月という季節のためか寄生バエやハチもほとんど飛んでくることはなく、とてもきれいな体色を保っている。手で触ると「ピシッ、ピシッ」という小さな金属的な音を出すのだが、全然怖くないので威嚇にはなっていないように思う。ギリギリまで野外で観察をして、室内飼育に切り替えようと考えている。
生き物の世界を観察していると最小限のエネルギーで生きているように観える。「COP25」の開催に合わせて世界の若者が抗議のデモを行っているが、人間の経済活動によってもっとも大きな被害を受けている「見ることも気づくこともない虫けら」を「知る」こともとても大切なことのように思うのだが...。

2019年12月4日、松戸の最低気温は3℃だったが、庭のセイヨウアサガオについているクロメンガタスズメの最後の幼虫は葉を食べて活動していた。南方系の蛾なのに大丈夫なのだろうか?
12月なのに、こんなに大きなイモムシが活動しているということは自分が子どもの頃に比べて確実に気温が高くなっているからなのだろうか。
11月29日に飼育容器の中の土に潜った幼虫は容器の下面に蛹室を作って前蛹になっていて6日間では蛹に変態していないのが確認できた。次の日の夕方6時半を過ぎた頃に再度、確認すると写真のように蛹に変態してたが、動いたときに薄緑色の部分も目視で確認できたので変態したばかりだと思う。室内の気温次第なのだろうが、土に潜ってから7日目に蛹になるのが観察できた。
スペインのマドリードで「COP25(気候変動枠組条約第25回締約国会議)」がはじまったが、アメリカは参加していない。世界の人口の10%にも満たないような人間たちによって引き起こされた「温暖化」のようにも思えるが、自分もその中の1人なのだろうから批判はできないように感じている。貧乏人の私にできることは「できるだけお金を使わない」ことだ。(使う金もないのだが...)
世界を動かしている根本的な「仕組」が変わらないと何も変わらないように思う。「温暖化を問題にする連中は新しい金儲けが目的だ」どこかの大統領が言っていたが、「金持ち」がもめはじめたのは、人間の経済活動による地球環境の破壊が限界に近づいているからなのだろうか?
代替エネルギーの問題などではなく12月になっても活動を続けている南方系の蛾であるクロメンガタスズメは、人間の活動自体を縮小しないと「アブナイ」と警告しているようにも思う...。

2019年11月29日の朝、セイヨウアサガオを見に行くと最低気温が4℃近くに下がったが、クロメンガタの中型の幼虫は葉を食べていた。大型の幼虫は写真のように背中が少し赤みがかってきて、日差しを浴びてジッとしていたが、もうすぐ地面に潜りこむ行動がはじまるのだろう。飼育容器に園芸用の土を5㎝ほど少し硬めに詰め、その上にクワガタ用の埋め込みマットを5㎝ほど敷いて幼虫を収容した。
まだ葉を食べることも考え容器に多めに入れたが10-20分ほど容器内を動き回ってから、すぐにマットに潜っていった。手にうつして容器にいれる前に幼虫が小さくなってしまったような印象と腹脚のある、お腹側に黒い傷が2箇所あるのを見たので寄生されている可能性が高いように思う。羽化時期にハエか寄生バチか、無事に成虫が出てくるのかは1-2ヶ月もすれば分かるのだろうか。
結局、5匹のクロメンガタスズメの幼虫を室内に保護したが、11月4日にプランターに潜った緑と黄色の幼虫は「欲しい」という人がいたので里子に出して、先方でプランターの土をあけてみると並ぶように蛹室を作っていて蛹が出てきた。
現在、家の中には3匹が残っている。12月1日の朝、庭のセイヨウアサガオには寒さが厳しくなってきたのにもかかわらず、成長を続ける終齢幼虫が1匹だけ残っているが、結局、家の中の一員に加わるのだと思う。他にも数種類のクワカブの幼虫や90㎝の水槽には20年近く生きている2匹の魚類もいるので、空いた時間は生き物の世話に追われて大変なのだが、一番おもしろい時間でもある。生き物がいなくなってしまう世界にならないようにと願っている。

2019年11月22日の夜10時ごろ、外気温は7℃近くまで下がった。18日の同じ時間には22℃もあって、ツマグロヒョウモンのメスが羽化していた。セイヨウアサガオについているクロメンガタスズメの大型と中型の幼虫を観察に行くと、写真のように雨に濡れながら冷たい夜に耐えているようにジッとしていた。
23日になると雨は降っていたが気温が上がりはじめ、午前中の練習が終わり帰ってから庭を見るとツマグロヒョウモンの♂が羽化していた。24-25日にかけても3-4匹が羽化していた。25日の最高気温は22℃にも上がっていたが、3-4日の間に15℃以上もの気温差を経験するのは、はじめてのような気がする。また、今日26日も最低気温が8℃まで下がったが、まるでジェットコースターのような高低差だ。昨年に比べると、羽化が5日間ずれたが、まだ多くの蛹や若齢から終齢の幼虫が残っている。
50年以上も前になるが、子どもの頃の11月はもっと寒かったし、チョウが飛んでいた記憶もない。今、観察している2種類のチョウと蛾は南方系の種類だそうだが、なぜ庭にきたのかの正確な説明もできないだろう。オーストラリアでは大規模な森林火災が起きているようだが、ほとんどの人が気にもしていない。小さな庭の些細な観察から、何か大変なことが起きているように感じるのは自分の感覚がおかしいからなのだろうか。

2019年11月20日の夜、洗濯物を干そうとしてガラス窓を開けると、朝サッシの下で羽化して飛び立って行ったと思っていたツマグロヒョウモンの♂が網戸につかまってじっとしていた。気温が低くて飛び立てずにサッシの裏側に隠れていたのだろうか。
夜になり、大きな窓の明かりに引き寄せられて網戸に登ってきたようだが、やっとぶら下がっているような止まり方をしていたので、部屋の中に避難させた。
砂糖水を作って小さなタッパーのフタの上にキッチンペーパー敷いて染みこませて与えてみたが、体を小刻みに震わせてから部屋の中を飛びはじめた。室内の光が弱いこともあり、あまりうまくは飛べずに壁にぶつかっていたので、クロメンガタの飼育容器に砂糖水とチョウを収容した。「毎日、騒がしいねぇー」と言う声が聞こえたので、すぐに仕事に戻った。
21日の朝、容器の中を見るとフタにぶら下がっていたので、気温の上がる昼に外へ出すことにした。日の当たっているセイヨウアサガオの葉に止めると10-15分ほどで飛び立ったが、すぐに隣の家の壁にとまっていた。♂の寿命は短く2週間ほどだそうだが、これから冬に向かうので相手を探して子孫を残すのは不可能に思えた。
分布を北上させているといわれているツマグロヒョウモンだが、不完全ながらも4年の観察から見えてくるのは法則性も規則性もない気候まかせの行動のように思える。これからもできる範囲で観察を続けたい。

2019年11月20日、朝、庭に面した大きなガラス窓の下のサッシ部分についていたツマグロヒョウモンの蛹が羽化していた。昨年はこの日が庭での最後の羽化だったが、まだ羽化しそうな蛹が多く残っているし、気温も昨年より高いように思う。
昼に戻ってきて見ると、赤い体液を体外に排出して飛び上がる準備が整ったようで、30分ほど後には姿を消していた。これから寒い冬に向かうので、生き残れないように思うが、今年の最後の羽化はどのくらい時間がずれこむのだろうか?
この間、脱皮したクロメンガタスズメの幼虫は急速に成長をしていて、かなり大きくなっている。巨大な幼虫になるのは12月に入ってからだと思う。ほかにも巨大幼虫1匹と若齢の5㎝ほどの幼虫も1匹いるのだが、このままだと寒さで死ぬことになるように思う。
地球の気候の変化は、原因を作っている人間にも影響を与えているように思うが、昆虫だけではなく、多くの生物に大きな悪影響を与えているように感じる。
「人間の活動そのものが問題」なのに「環境問題」というのは違和感を感じる。地球環境は火山の大噴火や地震などを除けば、短期間で大きな変動をすることはないように思う。
どこかの政治家のように都合よく「ウソ」をついても地球環境は「ウソはつけない」人間は管理できても、自然は「管理できない」これは子どもでも理解ができることのように思うのだが「人間が中心」という考え方で固まってしまうと気がつかないのだろう。
前にも書いたが小学校の「昆虫教室」で、子どもたちは「昆虫は汚いし、気持ちが悪いから嫌い」という意見が80-90%も占めているが、昆虫や他の生き物たちからは、人間が最も醜悪で恐ろしく見えているのかもしれない。

2019年11月18日、夜10時過ぎに洗濯物を干すために庭側の大きなガラス戸をあけると、ツマグロヒョウモンのメスが飛び立つ前に体の中の不用な物質を出した赤い液体の中でもがいていた。
真っ暗な夜に羽化したため飛び立てずに落ちてしまったのだろう。蛾と違いチョウは夜には視力が見えないので夜に羽化したのを見るのは、はじめてだった。外気温は22℃もあった。指を出すと止まってきたので、室内に入れて、クロメンガタスズメの褐色の幼虫が潜りこんでいる飼育容器の中に収容した。部屋の中は少し明るいので、2-3回翅の開閉をしたが、すぐにじっとして動かなくなった。
翌朝は雨が残っていて曇り空だったので、昼に戻ってきて外へ放すことにした。仕事から一旦戻って、容器の中を見ると翅を動かしていたので「そーっ」と指を近づけると止まった。そのまま庭に出てセイヨウアサガオの葉に移そうとした瞬間に飛び立っていった。
もう11月19日なので、生きていけるのだろうか? と心配になったが、ゆっくりと舞い上がっていく姿を見送りながら、少し胸が熱くなった。

2019年11月13日、朝起きて、すぐに庭のクロメンガタスズメの幼虫を見に行った。大きな個体は気温が10℃を下回っているのにセイヨウアサガオの葉をゆっくりと食べていたが、小さな方には一夜にして写真のように白い筋のような突起がついていて、体にも皺があったので、何かに寄生されたのか、体の中から出てきたのかと思った。
止まっていた茎をよじって反対側を撮影すると小さな黒いツメ状の突起があったので、何かが出て行った後だと思い込んでしまった。昼に戻ってみると茎に脱皮殻ついていたので、成長して齢が進んだとわかり、なぜか安心した。今朝も見に行ったが、きれいな色をしていて健康そうに見えた。
成虫になると胸部背面にドクロのような人面模様があって、「ギギィー」というような鳴き声もも出すそうで、英語では Death's-head Hawkmoth という名前がついていて、不吉や死などの象徴として嫌われているそうだ。
昆虫が異様に見える姿をしているのは身を守るためであり、強い攻撃性がある種類は少ないと思う。小学校で「昆虫教室」を開くと「どの昆虫が一番強くて、怖いの?」とよく聞かれるが「人間が一番、怖いよ」と答えている。
環境保護の観点から「昆虫食」がヨーロッパの北欧で盛んになっているとTVで見た記憶があるが、国連の報告では近年になって、最も早いスピードで数を減らしているのは「昆虫種」といっていた。食べることよりも「自分の目で観て知る」ことが大切だと思うのは変人だからなのだろうか...。

2019年11月4日、庭の西洋アサガオから緑型、黄色型が下に降りてきて、庭の芝生の上を歩きはじめたが、背中が少し赤味ががっていたので、土の中に潜るのだろう。
先日も書いたが、ほかの家の庭に入って行って見つかれば、その姿だけで踏みつぶされるか、殺虫剤を大量にかけられて悶え死ぬことになるので、使っていないプランターに庭の土を詰めて収容したが、土が気に食わないのか潜ろとしないで外に脱出しようとしていた。
幼虫を外に出して何回も土をいろいろな硬さに詰めなおし、放してみたが、潜ろうとしない。外出の予定があったので、もう一つのプランターでフタをして出かけた。4時間後に戻ると、まだ潜らずに2匹とも歩きまっわていたが速度が遅くなっていた。30分ほどするとようやく土の中に潜っていた。
外に置いた状況になるので、南方系の蛾なので羽化できずに死んでしまう可能性があるが、準備をしていなかったので、そのまま観察することにした。
もう一匹、褐色の巨大幼虫が残っているので、飼育用の容器に園芸用の土を10㎝ほど敷き詰めて、室内で飼育することにした。毎日、西洋アサガオの葉を茎から切り取って、水をたっぷり含ませたティッシュペーパーをアルミホイールで包んだ中に差し込んで給餌した。
今日、11月8日の朝起きて、観察してみると背中が赤味ががっていたので、葉を取り除きフンの掃除をしていつでも土に潜れるような環境にしておいた。昼に仕事から戻ってみると、朝と同じ場所にじっとしていて、何か考えごとをしているように見えた。このまま土に潜るのだろうか?
人間から見れば異様な姿なのだろうが、生命全体から見れば同じ生物の1種だ。観察するというよりも「殺してはいけない」という気持ちが大きくなるのは、自分が異常な人間だからなのだろうか...。

2019年11月3日、庭のチョウセンアサガオの葉の上にニジュウヤホシテントウが止まっていた。ナス、ジャガイモなどを食害する農業害虫として人間からは嫌われているが、正面から見ると愛嬌のある顔をしていると思う。
探すと一番見つかりにくい、クロメンガタスズメの緑色の巨大幼虫に迫る寄生バエ、いかにも怪しい行動をしているように見えたが、写真を撮った次の瞬間に幼虫の体に飛び移ったので、すぐにデコピンをくらわすと飛んで逃げたが、すぐに戻ってきた。こんな攻防を30分も続けたが、あきらめる様子はなかったのでフマキラー攻撃で、撃退した。殺虫剤がハエにかかったかはわからないが、来なくなったので薬剤が付いた葉は取り除いた。
そばにいた若齢の幼虫の背中の下の方にダンゴ虫が止まっているように見えたので、指でつまんで払おうとしたが、ダンゴ虫ではなく、幼虫の体の中から出てきた意味不明の寄生虫だった。写真を撮るのも忘れて一生懸命に取り除いたが、体に穴が開き、体液が漏れてきた。おそらく死んでしまうだろう。取り除いた何者かも死んでしまった。この虫の正体をご存じの方は教えてください。
小さな庭だが、たくさんのことを教えてくれる大切な場所だと思っている。次の日に緑色と黄色が動きはじめたので、後程、報告します。

2019年11月2日、庭のクロメンガタスズメの褐色の幼虫の1匹の背中が赤みがかってきた。ネットで調べてみると土に潜って蛹になる直前に変色すると書いてあったが、しばらくするとツルから降りてきて庭の芝生を歩きはじめた。
ほかの家などに迷いこんで見つかってしまえば、大量の殺虫剤をかけられ悶え死ぬことになるので、飼育容器にクワガタ用の埋め込みマットを少し固めに10㎝ほど敷いて表面をほぐしてから収容した。
土が気に食わないと長く歩きまわるらしいが、気に入ったらしく、10分ほど動きまわってからマットに「あっと」いう間に潜ってしまった。クワガタの幼虫だと蛹室を作りはじめてから、1か月半ほどで成虫になるのだが、羽化までどれくらいかかるのだろうか?
容器に注意書きを書いて部屋の中に収容したが、室内飼育であれば冬でもそれほど気温が下がらないので、死なずに羽化できるだろうか。12月中には結果がわかると思う。

2019年11月1日、昨日から今日の午前中にかけて、ツマグロヒョウモンが6匹ほど羽化した。見つけたときにはまだ翅が伸びていなかったが、カメラを取りに行った数分の間に伸びていた。まだ30個近い蛹があちこちについているし、プランターの野スミレは茎だけしか残っていない状態なのに多くの幼虫もいる。昨日の夜に道路端から野スミレを採集してきて鉢植えの受け皿に入れておいたが、もうすぐ食べ尽くしてしまうだろう。
11月になったのにチョウも卵を産みに飛んできていて、活発に活動している。今日の気温は25℃を超えたようだ。いつまで活動が続けられる気象条件が続くのだろうかと少し不安な感覚がした。
西洋アサガオについていたクロメンガタスズメの5匹の巨大幼虫は先日、手でツルに戻した一番大きな茶褐色の幼虫が行方不明になった。心配になって小さな庭の中を1時間ほど探したが蛹化するために土に潜ったのか、見つからなかった。まだ緑1匹、黄色1匹、茶褐色2匹の巨大幼虫に写真にあるような5-7㎝ほどの幼虫が3匹ほどついている。
なぜ3色の幼虫がいるのだろうか?
探すと黄色は目立つので、すぐに見つかり、次に茶褐色で緑はなかなか見つからない。「進化論」的に考えればもっとも環境に順応した最適者が「自然選択」されて生き残るとされているのだから、体色も長い年月の間に選択されるように思うが、事実は3色の幼虫が目の前に存在している。学校で「昆虫教室」の授業を行うと6年生の児童から最も多く受ける質問は「どの昆虫が1番進化しているのですか?」と言う質問だ。「最適者生存」と「進化の頂点」は子どもたちの中では同じ意味を持っているらしい。同時に「高性能」=「進化」と思い込んでいる。自然や生き物に興味の無い大人も同じだろう。
ファーブルは『昆虫記』(岩波文庫)の中で「最適者生存」を否定している。第3巻、四-つちばちの問題のP76に「環境が動物を作るのではない。環境に合うように動物が作られているのだ」と書いているが、全くその通りだと思う。同時に世界の1%に満たない勝ち組には大変に都合の良い理論にも思える。「我々は最適者生存で選ばれた勝者なのだ」と言う声が聞こえてきそうだ。だが、気を付けないと全てを失うことになりはしないかと思うのは負け組の「ひがみ」なのだろうか。

2019年10月27日、庭に植えてあるツル植物の西洋アサガオの葉にクロメンガタスズメの巨大幼虫がついていた。鮮やかな明るい緑色と黄色、そして地味な茶褐色と3種類がいたが、はじめて見たので、その大きさと色の種類に驚いた。
今日になって網戸のクッションゴム部分に一番大きな茶褐色の幼虫が張り付いていたので、手に止めて西洋アサガオのツルに戻したが、改めてその大きさに驚かされた。もうすぐ土に潜って蛹化するために降りてきたのだろうか?
100人中99人以上は「気味が悪い」と言うだろうし、広食性で農作物の大害虫でもあるらしいが、ゴム部分からはがして手に移すときは、もっと威嚇するのかと思ったが、素直に移ってきて歩きはじめ、とてもおとなしく親近感がわいた。
南方系の種類なのだが、近年になって福島県でも見られるとネットに書かれていた。越冬形態が確認できていないので、成虫の飛来による発生の可能性があり、分布を北上させているかは不明だそうだ。
「気味が悪い」と思う前にその「見事さ」と「なぜこのような巨大で色鮮やかな生き物が生き残ってきたのだろうか?」ということに畏怖の念を抱いた。
まだ、若齢の幼虫もついているので西洋アサガオが全滅させられることを考えて、刺し苗用に葉のついたツルを何本か切り離し水耕栽培をはじめた。ツマグロヒョウモンもそうだが、庭に来る生き物たちのすべてが希少種だと感じている。
世界で最強の農業害虫も日本列島を襲って甚大な被害を与えた強大な台風と豪雨、北アメリカで起きている乾燥による大規模な山火事などの原因は作らないと思う。
世界は「人間中心」にはできていないと考えるのは「人間の常識から外れている」のだろうか...。

2019年10月22日、朝8時ごろ庭のツマグロヒョウモンを観察すると鉢植えの蚊嫌草の茎に6個の蛹がついていたが、このほかにも数えてみると30匹以上があちこちについていた。10月の下旬にこんな数になったのは4年間の観察ではじめてだ。
写真にあるように茶色のプランターには茶色。黒いプランターには黒色なのだが接触面を手で触ってみると「ツルツル」と「ザラザラ」という触感はなく同じような感じだ。
先週、12日の台風の中で採集してきた野スミレは幼虫たちに食べつくされて、茎だけになっていたが、幼虫の数は大変に多く飢餓状態なので、雨の中を道路端に生えている野スミレの採集に出かけたが、雨のおかげで人影は少なくたくさん採取できた。これも「あっ」という間に食べつくすだろう。
昨年の羽化の最後の記録は11月20日だったが、今年の羽化はいつまで続くのだろうか。不確実な観察だが4年前から少しずつずれているようだ。寒くなる季節にも羽化しているということは気温が高いためだと思う。この小さな観察からも温暖化は進んでいるように感じる。
メディアから得る情報も大切だろうが、自分の目と五感で観察した情報は「ウソはつかない」と思う。

2019年10月13日、大型の台風19号が通過した朝、ツマグロヒョウモンの♀が羽化していたが、朝から吹いていた強風のためか、翅の先端が歪んでいて、うまく飛べないようだ。12日の昼ごろ、台風の接近に備えてマンションンの庭においてある鉢植えとプランターの植物を軒下に避難させているときに4つの野スミレのプランターを確認すると初齢から終齢まで100匹を超える幼虫がついていたが、葉は食べ尽くされて茎だけが残っていた。その夜、台風が接近して風雨が強まってきた中をカッパを着て外に出て、道路端に生えている野スミレの採集に出かけていった。ほとんど人影は無かったので人目を気にせずに、たくさん採集してきてプランターに植えて、幼虫たちを飢饉から一時的に救うことができた。
この台風は常識はずれの大きさと勢力で、TVで伝えられる画像からも今までのものとは範囲の広さも水害の規模もはるかに大きいことが知らされた。どこかの大国の大統領が「地球温暖化はフェイクニュースだ」と発言しているようだが、これらの富める人たちには「関係のない」話なのだろう。日本の富める政治家たちも同じかもしれない。
10月に入り猛烈な繁殖をしているツマグロヒョウモンは「気象の異常」を示すものなのだろうか?
確かなことは分からないが「永遠の経済成長」は「修復不能な地球環境の破壊」を意味すると同時に経済成長の恩恵を知らない少数民族や動植物など弱い立場から先に命を刈り取って行くように思える。SDGsの17の目標を空しく感じるのは自分だけなのだろうか...。

2019年10月9日、野スミレのプランターを見るとツマグロヒョウモンの終齢幼虫があふれていた。4年ほど前から観察をしているが10月に入ってこれほどの数を見たのはじめてだ。不完全羽化の個体も4匹目を観察したが、昨年まではこんなに多くはなかった。羽化の時間がいいかげんなのが原因だろうか?
市内でも飛んでいる個体をたくさん目撃したが、何が影響を与えているのかを考えると、10月に入っても30℃を越えるような日があり、気温が高いことが考えられる。今週末には、かつてないほど大きな台風19号が日本に上陸するようだ。「地球温暖化」なのかはわからないが、地球の気象が変化しているのは確かなようだ。
干ばつや洪水、台風や高気温などによる農作物への影響からの飢餓など、日本人には無縁だと思っていたことが現実になりつつあるように感じるのだが、世の中の関心は「経済成長」に集中しているように思う。
少し考えれば永遠の経済成長などがあり得ないことは、小学生の高学年でも理解できると思う。そのことを昆虫たちや多くの生物種が教えているようにも思うのだが...。

10月3日、午前中にツマグロヒョウモンのメスが庭の野スミレの葉に卵を産みに来ていた。今年は10月に入ってからもっとも活発に活動しているように思う。昨年は活動のピークがよく分からなかったが、一昨年は8月の下旬から9月の初旬にかけてが活発だった。10月に入っても30℃をこえる日がある。
夜、洗濯物を干していると1匹のオスのツマグロヒョウモンが部屋に飛び込んできた。小さな皿に砂糖水を作り、ティッシュを敷いてチョウの近くに差し出すと、自分から皿に乗って砂糖水を吸い始めた。5分ほどすると部屋の中を飛びはじめたので、捕虫アミで「そーっと」捕まえて外に逃がした。ペットではない生き物との交流は人間が気を使わないと不可能だが、勝ち組ではない私の人生の小さくて大きな喜びの瞬間だ。
世界の人口の1%にも満たない勝ち組を代表する大国の2人の大統領が、16歳の少女の発言に過剰に反応している。彼らは「グローバル化」という合言葉のもとに人の生き方の一元化を進めている。それは「金儲けは正義だ」という恐ろしい哲学だ。進化論は「最適者生存」という仮説でそれを強力に支えているが、少女を説得することはできないようだ。
世界を代表する指導者の少女に対する言葉は、私には「なんで金儲けが悪いんだ! お前たちは世の中を知らない愚か者だ」というように聞こえると同時に地球の生物すべてを大量絶滅へと推し進めているように感じる。
「地球温暖化」の肯定派も否定派も小さな生き物のことには何の関心もなく興味も持もっていないだろし、無知だと思う。本当に恐ろしいのは「人間が中心」という誤った世界観ではないかと感じる。
間もなく「原因と結果」が証明されるとは思うが、人間による生物の大量虐殺は止まることがないと思うと恐ろしいと同時にとても悲しい。

ヘレナ・モルフォチョウ。世界で最も美しいとされるチョウの1種だが、この数十年の間に絶滅してしまうのだろうか。
アメリカとブラジルでアマゾン開発の政府主導のファンドが設立されたが、ほとんどの人は知らないと思う。
放火同然でかなりの面積を焼失したアマゾンを本気で丸裸に開発するつもりなのだろう。アマゾン川流域に100個近くのダムを建設して、そこで生み出される電力を鉱物採掘の精製などに使うらしい。
熱帯雨林は伐採して大規模な大豆プランテーションや家畜放牧用の大規模牧草地、そしてその家畜の飼料となるトウモロコシの大規模プランテーション。現地の農場主は「これでブラジルの経済はよくなる」と笑顔でインタビューに答えていた。
SDGsは世界の冗談なのだろうか? 石油の利権で巨額の富を得ているアメリカやイギリスの大富豪たちは中東と激しい利権争いを今も続けている。アフリカ、南アメリカ、オーストラリアなども同じような状況で開発が続けられている。中国もほとんど自然は残っていないだろう。ヨーロッパの森林の樹種は、ほとんど同じような種類で覆われている。
20世紀に入って、もっとも多くの生物が絶滅したのはハワイとオーストラリア大陸だが、ほとんどの人は全く知らないだろう。「特定外来種駆除」という言葉をよく耳にするが、オーストラリアにいるフン虫は全部「外来種」だ。
台風15号は千葉県に甚大な被害を与えたが、なぜ台風が大型化するのかの根本を私たちは知らないし、今後も知ることはないように思う。国連の「気候行動サミット」は先進国のエゴを露呈する結果となった。日本の新しい環境大臣は国連の会議で「セクシー」とお話しされていて、驚愕させられた。
アメリカとブラジルによるアマゾン大開発の事実的な実行により、人類の終末が近いのかと少し実感した。

2019年9月9日、朝9時ごろに個別に卵を管理しているヘラクレスの容器を見ると変化はなかった。仕事に出かける寸前に見ると幼虫が孵化していたので、すぐに写真を撮影したが、卵の殻がお尻の先についているので孵ったばかりなのが分かる。全身は透明感のある乳白色で微細な金茶色の微毛に覆われている。何回も見ているが、神秘的な瞬間だ。
このヘラクレスの生息地でもあるブラジルのアマゾンでは深刻な事態になっている。金儲けにしか興味のない無知で強欲な支配者の手で森に火が放たれたのだ。アマゾンの熱帯雨林を金儲けの材料にするために焼き尽くすつもりなのだろう。大開発計画を進めたい現在のブラジル政府は規制のない焼畑を容認して、大規模な森林火災を意図的に発生させたように思われる。戦争で核兵器を使用することにも匹敵するような犯罪行為であるにも関わらず、大きな話題にもならない。
アメリカに発生した風速が80mをこえる台風や関東地方を直撃した15号も最大風速の記録を更新した。今日は35℃をこえる猛暑日となったが、誰も気にしていない。相変わらず経済ニュースがトップを飾っている。この数十年の間に100万種もの生き物が絶滅の危機にあると報告されたわずか3カ月後にブラジルの支配者が金儲けのためだけに意図的に森に火をつけたのだ。この愚昧で強欲な行為に対する言葉は見つからない。
この幼虫は言葉を持たないが、地球上から姿を消すことで抗議するのだろうかと心が痛んだ。人類最古の自然破壊の物語であるギルガメッシュ叙事詩は繰り返さるのだろうが、このアマゾンの火災は人類の存続も危なくなるような気がした。

6月の下旬にヘラクレスの成虫の飼育容器のマットの上に小さな卵が露出していたので1000ccほどのフタのできるガラス製のビンの中にカブトマットを詰めて、写真のようにくぼみを作って観察ができるようにして回収した。
3週間ほど経過すると卵はかなり大きくなっていた。どのような仕組みになっているのかは全く分からないが、ヘラクレスの卵はマットのくぼみの中で成長をするようだ。ファーブルは『昆虫記』の中でスカラベの卵が面積で倍の大きさに、体積では8倍になると書いているが、ヘラクレスの卵にも同じことがおきている。酸素か何かの影響を受けて成長するのだろうか?
その後、1週間ほどしてフタを開けてみると幼虫が孵化していた。頭部が茶色く色づいているので24時間近くが経過していると思う。以前に卵の撮影をしていてライトを当てていると、突然に幼虫が孵化したことがあったが、頭部は「真っ白」だった。
小さな世界の出来事だが、何度見ても大きな驚愕と感動を感じる。同時に人間だけが「生きている」のではないということを実感するのだ。
「金儲け」にしか関心がない人間になると人工物以外には、徹底的な無関心と無感動になっていくように思う。

7月17日、ハナムグリが作る繭状の蛹室。成虫になって脱出した後も形が残っている。同じ甲虫の仲間でも違った本能と習性を持っている。
この時期になるといろいろな昆虫が成虫になって出てくるが、小さな昆虫がその本能で作る蛹室の形などは人間が科学で導き出した物理的な法則と一致している。
ファーブルは『昆虫記』の中でこうした昆虫の行動には「法則性と調和性がある」と書いている。
ミツバチの作る六角形の巣などは、その典型的な例ではないかと思う。小さな昆虫の世界は大きな驚愕に満ちているように感じる。

6月2日、5月3日にツマグロヒョウモンの羽化を確認してから1ヵ月近く経過したのに、ほかの蛹からは全く羽化してこないので、庭に残っていた10個の蛹をよく観察してみると体に穴が開いていた。寄生バチか寄生バエに卵を産み付けられて中身を生きたまま食べられていたのだ。結局11個の蛹の内、無事に羽化できたのは1匹だけだったので1/11の生存率になる。
以前に野外にあるクスノキからアオスジアゲハの蛹を20個ほど採集してきて、チョウの羽化を観察する「吹き流し」の中に入れておいたが、赤い複眼の大きなハエがたくさん羽化してきて、無事に羽化したのは1個だけで1/20の生存率だった。百分率にするとツマグロヒョウモンが9%、アオスジアゲハが5%の生存率になる。
単純に考えるとオス、メス2匹の個体が生んだ卵の総数の内、オス、メス1匹ずつが生き残り繁殖をすれば、同じ個体数が維持される計算になる。仮に100個の卵を産んだとすると2%で個体数は安定する。
残酷に見える「寄生」という生き物の習性も「生態系」の中では重要な役割を果たしているように思う。
人間の自然環境に対する「徹底的な破壊」は「生態系」自体を破壊してしまい取り換えしのつかない事態になっているらしい。国連の専門会合IPBESが「この数十年の間に人類の経済活動により100万種の生物が絶滅の危機的な状況にある」と警告をしている。
アメリカの大統領は「地球温暖化はフェイクニュース」としてパリ協定からも脱退したが、ほとんどの人間が無関心だ。
5月の異常な高温など、これから人間の力のおよばない自然環境にどのような異変が起こるのかと、漠然とした恐怖を感じながら天気予報を見るようになった。

今年のツマグロヒョウモンの羽化は5月3日で、昨年より1ヵ月近く早かったが、4月に羽化したという報告もあった。
5月19日の午後には、庭の花にアゲハチョウが蜜を吸いにやってきた。
マンションの小さな庭では、時期のずれはあっても毎年、生き物たちがやってきて元気な姿を見せてくれるが、わずか数十年後には100万種もの生き物たちが絶滅する可能性があるという報告が国連からされている。
100年後に子孫たちは、同じ光景を写真に撮ることができるのだろうか? あるいは昆虫たちはいても人間がいなくなっているのだろうかと、少し暗い気持ちになった。

2019年5月24日、白いプラスチック樹脂製の植木鉢を入れた鉄製の枠についていた黒いツマグロヒョウモンの蛹。これでは天敵の鳥類に簡単に見つかってしまうだろう。
鉄製の枠は錆びて表面がザラザラしているので、黒い蛹になったのだろうか? では黒いプランターについていた黒い蛹はどのように説明すればよいのだろう。
チョウが地上に現れてから数千万年が経過しているのに、こんなに「トンチンカン」なことが起こるのだから、生き物の変化に「進化」という言葉を使うことがいかに「無意味」かを表しているようにも思う。
誰も興味を持たない、つまらない蛹の色の観察から見えてくることは、人間の自然や生き物に対しての圧倒的な無知だ。

5月2日に2色の蛹を撮影していると、茶色より目立たないと思われる黒色の蛹に寄生バチのキアシブトコバチが飛んできてとまった。蛹は体をよじって暴れたが、ハチは全く動じずに、触角で表面を探っていた。
そして腹部の先端から針状の産卵管を出して差し込む寸前に思わずハチにデコピンを喰らわせてしまった。頭では「やってはいけない」と思いつつも手を出してしまった。手加減をしたのでハチは10㎝ほど飛ばされ地面に落ち、びっくりしたように前脚で触角を整えてから、飛んで行った。1分ほどの間の出来事だった。
国連で134か国が参加して開かれた「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム」(IPBES)は、人類の活動によって100万種もの生物が絶滅の危機的な状況にあると報告をしたが、ほとんどの人間が無関心だ。
IPBESの報告によれば、1980年から2000年の間に南米での牧畜と東南アジアでのパーム油生産のために1億ヘクタール(1ヘクタールは100m×100m)もの熱帯雨林が失われ、湿地帯の破壊はさらに激しく1700年に存在していた湿地帯のうち2000年にも残っていたのは13%すぎないと報告している。これらの報告はごく一部でしかなく、人口の急激な増加に伴い猛スピードでの自然環境の破壊(都市化)が進んでいて、陸・海・空の全域において100万種におよぶ動植物を絶滅の危機に追い込んでいるとしている。
日本でも5月に入って屋久島では季節外れの記録的な豪雨が降り、先日は関東地方にも短時間に大雨が降った。天気予報は5月26日の日曜日に、この時期では過去最高の高気温が予測されるとして注意を呼びかけている。
100万種もの生物が滅びれば、人間も生き残ることはできないように思う。

2019年5月2日、ツマグロヒョウモンの黒と茶色の蛹。まるでプランターのプラスチックの樹脂の色に合わせたように見える。
「適者生存」を唱える進化論者が見れば「背景の色に合わせた見事な適応だ」と説明し「こうした能力は自然選択の中で獲得されて今日まで生き残ってきたのだ」と言うことだろう。
しかし、昨年は2mほど離れた場所に置いてあるアルミ製の銀色の脚立にも黒色の蛹がついていたのだ。

アゲハの蛹の色も緑と茶色に分かれている。これは前蛹になる直前に脚が触れていた部分がツルツルしているかザラザラしているかで決まると何かの図鑑で読んだが、樹脂製のプランターの表面は同じような品質のように思える。
「適者生存」つまり「強い者が生き残る」という「進化論」は、不完全な自然観察から権力者にとって都合の良いように創作された仮説のように思えるのは自分だけなのだろうか。人間が生き物や自然のことを完璧に解明することなどは不可能に思えるのだが…。

4月14日、1週間ほど前にツマグロヒョウモンが蛹に変態した。昨年は4月に蛹になった個体は成虫にはなれずに死んでしまったが、今年はどうだろか? 昨年は6月に入ってから成虫への羽化が確認できた。
ツマグロヒョウモンの越冬とその後の活動は、年ごとに違いがみられるのだが、これは分布を北上させているためなのか? 教科書に出てくる生き物には、季節性と規則性が整然と記載されているのだが、ツマグロヒョウモンの生態を不完全ながらも観察していると「本当のことなのか?」という疑問が湧きあがってくる。

ツマグロヒョウモンの活動を支配しているのは、毎年変化している気象条件ではないのかと思う。環境の微妙な変化が、その活動に大きな影響を与えているように思える。
不完全ながらもツマグロヒョウモンのこの3年間の観察から見えてくることは「生物を支配しているのは自然環境ではないか」ということだ。そうだとすると人間の自然環境に対する容赦のない破壊行為は「自滅行為」のような気がする。今年の夏はどうなるのだろうか。

4月14日、ヘラクレスオオカブトのメスがバナナを食べに出てきたが、オスもバナナを食べ続けていて動かなかった。翌日にはメスの姿はなかったが、産卵活動を始めているような感じではなかった。この間、出てきたメスなのか、それとももう一匹のメスなのかは全く分からない。メスが産卵活動を始めていれば、飼育容器の中のマットはもっと掘り返されたような感じになる。
一方、ニジイロクワガタはセットをした飼育容器の中をメスが掘り進んでいる様子が確認できた。過去の観察から、これはメスが産卵場所を探している行動のように思われるので、一ヵ月を過ぎたころには幼虫の姿も確認できると思うが、タイミングが遅いとメスが自分で生んだ幼虫を襲って体液を吸って殺してしまう。これは飼育容器という狭い環境のために起こることだと思われる。

本当のことは観察不足で分からないが飼育していると、ほかのクワガタムシのメスにも観られる行動だ。残忍な行動にも思えるが、自然の中の大きな倒木など、産卵する環境が良ければ起きないことのようにも思える。
ダイコクコガネ類のように幼虫の世話をする甲虫類とは大きな違いがみられる。こうした行動の違いは利用している生存環境の違いから起きているのかもしれないが、子育てのような高度な本能がどのように獲得されるのかは、全く分かってはいない。人間は生き物のことは、ほとんど知らないのだと思う。そしてこの「無関心」が自然破壊の大きな要因になっているようにも思えるのだが...。

3月17日、オオクワガタとニジイロクワガタの飼育繁殖のセットをした。ギラファノコギリクワガタとマットの色がちがうのは産卵する環境が違っているからだ。3月31日にようやくヘラクレスのメスが一匹出てきてバナナを食べ始めたが、活動はあまり活発な様子ではないようだ。
結局「昆虫飼育教室」の続編を開催するためにヘラクレスオオカブト、ギラファノコギリクワガタ、ニジイロクワガタと日本産のオオクワガタの4種類の飼育繁殖セットをすることになった。

4月4日の時点ではニジイロクワガタが最も活発に活動をしている。日本のオオクワガタも室内飼育で気温が高いためなのか、セットしてすぐにエサの昆虫ゼリーを食べ始めたている。今までの飼育の経験では5月の末から6月に入るころにエサを食べ始めていたので、少し意外な感じがした。
これで大丈夫だろうか? 生き物の飼育は何が起こるかわからないので、慎重に飼育を続け「昆虫飼育教室」の続編を開催できるようにと思う。

3月3日に「昆虫飼育教室(ヘラクレス編)」のため、ヘラクレスの飼育繁殖のセットをしたが、オスはエサのバナナを食べているのに2匹のメスはマットに潜って出てこない。こんな時は2つのことが考えられる。室温が活動できる温度になっていないか、メスのコンディションが悪いかのどちらかだ。
オスはエサを食べて活動しているので、温度は問題がないように思える。バナナも食べに来ないほどコンディションが悪いのであれば、産卵をする可能性は低いように思える。「なぜ悪いのか?」これにも理由があるが長くなるので、ここでは触れないことにする。
飼育がうまくいかなければ「昆虫飼育教室」を中止すると書いたが、気が小さいので3月10日にギラファノコギリクワガタの飼育繁殖のセットをした。これも養殖個体なのでメスの活動が鈍ければ繁殖はうまくいかないことになる。養殖個体の場合は成虫のコンディションが良くなくなる理由があるが、詳しくは長くなるので「昆虫飼育教室」でお話しすることにします。

3月3日にヘラクレスオオカブトの飼育繁殖のセットをした。2月17日にNPO法人 日本アンリ・ファーブル会で開催した「昆虫飼育教室」の続編を開催するためだ。
ヘラクレスは1オス、2メスの組み合わせにしたが、メスが2匹いるから、多く幼虫が採れるともかぎらない。過去の経験からは1匹のメスで70匹以上の幼虫が生まれたこともあった。しかし、これには大変な手間がかかる。
メスは産卵を開始するとマットの中に1-2週間程度潜って出てこなくなる。出てくると無心にエサを食べ始めるので、この時にメスを別の飼育容器に分離(オスも)してから、飼育容器の中のマットをそっと新聞紙の上に広げて卵を回収して小さな飼育容器に固めにマットを敷いて写真のように卵を並べ、幼虫に孵化するまで管理する。これを何回か繰り返すと多くの幼虫を無事に保護することができるのだ。
成虫にまで育てるには、多くの手順が必要だが、興味を持った親子の方は次回に開催を予定している「昆虫飼育教室(ヘラクレス編)」に参加をいただければと思う。どの段階の状況で行うのか? また、飼育に失敗すれば「飼育教室」が中止になる。あまり期待をせずに、お待ちいただければと思う。

2月17日(日曜日)NPO法人 日本アンリ・ファーブル会の「虫の詩人の館」で「クワガタ・カブト飼育教室」の講座の講師をしてきた。11組の親子を対象としたものだが「子ども」といっても「クワガタ・カブトの猛者」たちだ。13時半から16時過ぎまで、子どもたちの熱気は凄かった。
写真は孵化したばかりのヘラクレスオオカブトの幼虫を撮影したものだが大アゴの先、以外は真っ白だ。そして全身に金茶色の微毛が生えている。「この毛は何のために生えているのか?」この質問に答えられた子どもはいない。
観察していると、カブトムシの幼虫は頭(大アゴ)を支点にして土の中に潜っていく。そのとき、この微毛は重要な役割を果たしているように見えた。幼虫が土の中に潜りはじめるのは24時間近く経過して、頭部が茶色に固まってからだ。
翌日の夜8時から12時まで観察していて、やっと体の半分が土の中に潜ったが(観察のために卵を置いたマットは固く固めてある)、この微毛のおかげで、滑ることなく潜れるのだ。
生まれながらにして、生活するための最小限の機能を持っているのだと感じ、極小の幼虫の微毛から大きな衝撃を受けた。
光栄なことにファーブル会の館長である奥本大三郎先生のブログでも紹介していただいた。興味のある方は閲覧してみてください。http://www.fabre.jp/blog2019.html

NPO法人 日本アンリ・ファーブル会 奥本大三郎先生ブログ

1月30日、ツマグロヒョウモンの3㎜程の大きさの初齢(2-3齢?)幼虫を撮影した。この幼虫を含め、庭には4匹ほどの幼虫と蛹が1匹、確認できた。昨年とはかなり違った様子となっている。
アメリカは90年ぶりの猛烈な寒波に見舞われているとニュースで見た。タイでは深刻な大気汚染と河川の汚濁が社会問題になっているそうだ。ボルネオ島の平地は地平線まで、アブラヤシのプランテーションで覆われているらしい。
アマゾンではジャングルの「大開発計画」がブラジル政府の手で進められているらしい。熱帯雨林の消滅スピードは加速しているといわれている。
1‐2月の日毎の気温差は今までにないほど、激しいような気がする。観察しているツマグロヒョウモンだけではなく、多くの昆虫の異常な行動が報告されてもいるようだ。
アメリカとロシアで「金儲け」のための軍拡競争が再燃するようだが、人類にどれだけの時間が残っているのかと、昆虫の観察から感じるのは「非常識」なことなのだろうか。

1月20日、日曜日ヘラクレスオオカブトの幼虫のエサ替えを行った。3匹のメスはすでに蛹室を作っていたが、容器から出すときに一つ壊してしまい、中から黄色いメスの終齢幼虫が出てきてしまった。1.5リットルほどの透明なプラボトルに人工の蛹室を作って中に収容したが、マットの中に潜り込んでしまった。自力で再度、蛹室を作ることになるが、前蛹になる時間に間に合わないと中途半端な空間しか作れず、うまく蛹に脱皮できずに死ぬことになる。
助ける方法は数日おきに容器を観察して、不完全な蛹室しか作れずに前蛹になるのを確認したら、3日ほど待って、慎重に前蛹を掘り出し容器の中にマットを固めてくぼみを作り、動けなくなった幼虫を移しかえる方法だ。
ほかの2匹は蛹室を壊すことなく、別の容器に収容したので3か月ほど後の4月の下旬から5月の上旬には成虫になって出てくると思う。マンションでの飼育は初めてだが、室内気温が高いせいか、1年半で成虫になるようだ。
写真の幼虫はオスの3齢幼虫。体重は86グラムほどだった。体の色が白いので、まだ大きくなると思う。もう一匹のオスは88グラムあったが、こちらは少し黄色くなってきているので、あと6ヵ月ほどで110㎜前後の小さなオスの成虫が出てくると思う。
マンションに引っ越し「飼育はやめる」つもりだったが、またはじめてしまった。手をかけすぎても、うまくいかないが、ほっておくと最悪の結果になる。定期的に観察しながら、環境を整えることが重要だ。

12月18日、今週に入り外気温が下がって、平年並みになったようだ。11月の中旬以降に孵化したツマグロヒョウモンの若齢幼虫が野スミレの残った葉についている。状態は良さそうで、撮影時にも元気に動いていた。

蛹も1個だけが確認できている。昨年はこの時期に7個ほどの蛹が確認できたが、すべて冬を越すことはできなかった。この蛹はどうだろうか。去年とは全く違った活動をしているように感じるが、何の意味もないのだろうか?
人間の世界のニュースも大事だが、世界の自然界で何が起こっているのかを知ろうとすることは、人類の未来と直結しているように思うのは自分だけなのだろうか?

11月20日の朝、庭にあったツマグロヒョウモンの最後の蛹から成虫が羽化してきた。先週の高気温から一気に外気温は下がったが、成虫の寿命を考えると、このまま成虫で越冬するのだろうか?
去年より遅くなって7匹ほどの成虫が羽化してきた。日時のずれは最長で17日間になる。年ごとの気候の違いでこんなにも活動パターンが変化するものなのか、それとも気候の方が急激に変化しているのだろうか。
よくわからないが、この観察で、環境の変化はツマグロヒョウモンの活動に「即効的」な影響を与えていることが推測できる。
西暦1900年には1億6千万人ほどだった人口は100年と少しで40倍を超え2018年現在で77億人までに急増し「自然破壊」は猛烈なスピードで進んでいる。何が起きるのかも、どうすればいいのかも全く分からない。

11月16日、14日の朝、ツマグロヒョウモンの幼虫が前蛹になっていた。去年はこの時期に蛹になったものは全滅しているが、今年はどうなるのだろうか。成虫に羽化しそうな蛹も数匹いるので、このまま観察を続けたい。
11月になってからナミアゲハが羽化したという情報があった。普通は蛹で越冬するといわれているので、きわめて異例なことだと思う。ほかにも5-6月頃に現れる蛾の仲間などの活動の報告もある。
もっとも驚かされるのは11月にもなっているのにセミの鳴き声が観察されていることだ。数日前のNHKのニュースではミンミンゼミの鳴き声が流れていた。今朝は東京でアブラゼミの鳴き声を聞いたという情報をメールで知った。
世界の大国の大企業とその利権の代弁者たちは「もっと金儲けを」と騒ぎたてている。中国やインドでの大気汚染は想像を絶する最悪のレベルになりつつある。十年後には呼吸器系の疾患の患者が飛躍的に増えるだろう。
アメリカンドリーム「大金持ちになること」の幻想は世界のスタンダードになった。しかし、少し考えれば「一人勝ち」などできないことは分かりそうなものだと思う。それは一人が勝ち残っても、そのあとすぐに滅びてしまうからだ。長い地球の歴史の中でも、そんな生物は一種類もいなかったのだから。これから何が起こるのだろかと、不安な気持ちになった。

11月11日、昨日と今日ツマグロヒョウモンが午後になってから羽化してきた。外気温は20℃を越えていた。昨年は11月4日に最後の羽化を観察したが、今年は1週間遅れていて、まだ羽化しそうな蛹が何匹か残っている。

世界の各地での異常気象やその影響による大規模な山火事などが報道されているが、アメリカの中間選挙の結果や経済記事ほど注目はされていない。11月になって20℃をこえるような気温が続いていることも誰も気にしていない。
小さな庭のツマグロヒョウモンの活動が大きくずれ込んでいることの観察から、世界の気候変動を実感することは、とるにも足らないことなのだろうか。
「昆虫教室」を開催すると「虫は大嫌い!!」という子供や大人が少なからずいるが、地球上の生き物ということでは人間もツマグロヒョウモンと同じ「生物の一種に過ぎない」という事実を自覚しないと「危険だ」と感じるのは自分だけなのだろうか。

10月31日、昨年に比べると活動の最盛期が1ヵ月ほどずれているためなのか、蛹が多くあるように思う。10月は平年より気温が高かかったようだが、11月も気温が高いのかはよくわからないだろう。
小学校や中学校時代の理科の授業では「生き物」の習性には季節による規則性があると教わったが、この1年間のツマグロヒョウモンの観察で感じられることは、去年とは全く違った行動をしているということだ。行動が「いいかげん」なのは、激しい気候変動による今年の高気温が原因なのだろうか。人間以外の生き物で「いいかげん」な行動ができる生き物などは地球上に存在しないように思う。

10月18日の朝、エサのバナナを交換しようとヘラクレスオオカブトの飼育水槽を見ると、メスの上に少し覆いかぶさるようにしてオス、メスともに死んでいた。長い間の飼育経験の中でも、こんなことは初めてのことだった。
10月9日に保育園で今年8回目の「昆虫教室」を行ったが、今年の夏、このオスのヘラクレスは700人近くの子どもたちやその父母たちに触られた。
イベントが終わり、家に帰って飼育水槽に戻し、霧吹きで水分を与えて、新しいバナナを与えると2-3日で元気を取り戻していたのだが。
標本にする気にもなれずに、庭に小さなお墓を作ってオス、メスを埋葬し、手を合わせながら「ありがとう」と思うと同時に「すまない」という気持ちにもなった。短い命だったが、このオスのヘラクレスを見た多くの子供や大人に「おおー!!」といわれていた。少し暗い気持ちなっているが、飼育水槽に子孫が残っていることを願うばかりだ。

9月30日、15:00頃、庭で羽化後に飛び立つ直前のツマグロヒョウモンのメスを撮影した。体を小刻みに震わせて飛び立つための飛翔筋の温度を上げていた。外気温が低いとき、翅を持つ昆虫は飛び立つ前に必ずこうした準備運動を行う。カブトムシなどを飼育していて、夜になると騒がしくなるのはこのためだと思う。
昨年のツマグロヒョウモンの羽化は、ほとんどが早朝だったが今年は、このように不規則な時間帯に羽化しているが、何が原因なのかは全く分からない。
昨年も台風前の激しい雨の中で羽化し、庭に飛び立ち墜落した個体を保護したが、今年は「あっと」いう間に飛び立ってしまったので、今夜から明日の朝にかけてやってくる台風をどのようにやり過ごすかと、少し心配になった。

9月15日、ツマグロヒョウモンの終齢幼虫を移したビオラは写真のように茎だけ残して食べつくされてしまった。
その日の夜も10:00を過ぎ、人がまばらになったころを見計らって、車で松戸市内の道路と歩道の段差の間に生えている野スミレを採集に行った。いくら人目を避けても何人かの人に見られたが「幼虫が食料を待っている」という義務感が羞恥心を越えていた。「不審者、通報、職務質問」という言葉が頭の中を巡り、動きが早くなり、自分でも「余計に目立つ」と感じたが警察に捕まることもなく、無事に帰り着いた。
ある程度の量が採取でき、プランターに植えなおして20匹以上の終齢幼虫を移し終えると、幼虫に対して心の底から「良かったね」という感情が湧いてきた。
9月24日、ほとんどの終齢幼虫が無事に蛹になり、この朝オスが羽化していたが、ほかの一匹は不完全羽化で蛹から抜け出せずに死んでしまった。これから毎朝のように成虫が羽化していくことだろう。そして短かく単純な生涯が繰り返されるのだ。
原爆を落として無差別に大量に殺戮していまうような冷徹な理性を持つ一方で、とるにも足らないイモムシを助けようとする感情を持ち合わせている人間の精神に対して「暗い気持ち」になったのはなぜだろうか?

9月14日、急速に成長したツマグロヒョウモンの幼虫に食べつくされたスミレ科の植物。ビオラの鉢植えに幼虫を移したが、20匹ほどの終齢幼虫がいた。
人間はこの様子を見て幼虫を「愚か」だと感じるだろう。だが、食べつくされても根は残っているし、種も食べないので植物を完全に殺してしまうことはないのだ。
人間が経済目的の「金儲け」で行う森林の伐採や鉱物資源の採掘となると容赦のない徹底的なものになる。世界の4大文明の発祥の地は完全に砂漠化し現在に至っている。

ある昆虫採集家の「アマゾン昆虫記」というDVDを見て、もっとも驚かされるのは舗装もされていないので、道路ともいえないような広大な荒れ地をバックに、伐採された巨木を満載している巨大なトラックが何台も切れ間なく走っている様子だ。かなり以前の映像だが、現在も走り続けているだろう。
文明の恩恵を受けているのは自分自身でもあるので、単純に批判することはできないと思うが「足るを知る」昆虫は地球が惑星としての命の終わりを迎える時も存在しているように思えるが、人間の方は、その高等すぎる頭脳によって「カウントダウン」が始まっているようにも思える。

9月7日、野スミレのプランターの葉裏を見るとツマグロヒョウモンの小さな幼虫が10匹ほどついていた。8月30日には全くいなかったので、そのあとに産卵しに来たことになる。夏の気温の高い時期だと孵化まで3日ほどかかると書かれている。
今日、9月10日にプランターを見ると急速に成長していた。9月に入り気温が下がったことが活発な活動の引き金になったのだろうか? このままだとすぐにスミレ科の植物は食べつくされてしまうだろう。
この観察から、環境と生き物の関係性が理解できるように思う。生物が環境に合わせるのではなく、環境が整った時に初めて生き物は活動ができるように思う。

今年の夏、日本列島を見舞った異常な気象現象や北海道で起こった大きな地震などを見ると人間も生き物の1種に過ぎず、自然現象をコントロールすることなど不可能だと強く感じた。
「グローバル化」これは全世界の環境を徹底的に破壊することを容認する「合言葉」のように思えてならないが、何をしたらいいのかは自分でも全く分からない。
小さな庭でのツマグロヒョウモンの観察から見えてくるものは、恐ろしいもののように思える。

8月30日、庭にあるプランターや鉢植えのスミレ科の植物。8月23日に最後のツマグロヒョウモンが羽化してから、産卵にもきていない。去年はこの時期に多くの幼虫がいて、9月10日にはスミレ科のプランターも鉢植えも丸坊主にされていた。
昆虫に限らず、生物の行動には法則性と規則性があると学校で教えられた記憶がある。昨年と違った行動をしているツマグロヒョウモンは分布を北上させているから規則性がないのか? それとも今年の異常な気象の影響なのか? 答えは全く分からない。

生物学者のレイチェル・カーソンは1962年に「沈黙の春」で農業におけるDDTなど殺虫効果のある薬物の大量な使用により「鳥の鳴かない春」を表現して人類に「警告」を発信した。
年間に1500万Haもの熱帯雨林が消滅し続け、4万種もの生物が絶滅し続けている現在。近い将来には鳥や昆虫のいない世界ではなく、人類のいない世界が待っているのかもしれない。

8月23日、庭に残っていた最後のツマグロヒョウモンの蛹が羽化していた。まだスミレは残っているが、ついていた卵などは暑さで、すべて死んでしまったようで、初齢の幼虫も全く見かけない。昨年は9月に入ってから、たくさんの幼虫が活動したいて11月4日に最後の成虫の羽化が確認できた。
昨年とは全く違った行動のパターンを示している。これは酷暑など今年の異常な気象現象が原因しているのだろうか? これからどのような気象の変化があるのだろうかと少し、恐ろしような感覚がした。

7月28日にプランターのスミレ科の植物を食べつくして、わずかに残った葉に集まっていたツマグロヒョウモンの終齢幼虫たちだが、8月4日にプランターを確認すると10匹近くが死んでいた。エサがなくなると移動していなくなってしまうので、飢え死ではないと思う。去年はこんなことは起きなかった。
急激な外気温の上昇に逃げる間もなく体温が急上昇し、熱中死したのだと思う。蛹も死んでしまった。世界で起きている異常な高気温がこんな小さな生き物にも影響を与えているのだろうか?
今年の昆虫たちの発生も規則性が崩れているように思う。生き物たちに影響が出ているとすれば、これは地球規模の気候変動に対する重大な警告のようにも感じる。世界の富を独占してきた人間たちの「金儲け」の結果がもうすぐ出るのだろうか?

7月28日、7月16日に5匹のツマグロヒョウモンの幼虫を確認したが、その12日後には庭のプランター、鉢植えのスミレ科の植物はアッという間に幼虫だらけになり、食べつくされ、去年より1ヵ月近く早くこうした状況になった。
春先には活動が遅いのでは? と思ったが、事実は早く活動の最盛期がやってきた。カブトムシの早い羽化やツマグロヒョウモンの早い最盛期の訪れなど、何か突発的な感覚がする。
今、やってきている台風の異常なコースや酷暑、局所的な大雨による水害など、予想ができないような突発的な気象変化が世界的な規模で起きているように思う。生き物たちの突発的で異常な行動もこうした地球規模の変化の表れなのだろうか。
日本の里山の風景も大規模な太陽光発電パネルの建設ラッシュで一変してしまった。大国間の貿易摩擦など、経済優先の人間中心の考え方ばかりを追求したことで、どのようなことを引き起こすのかがもうすぐ結果となって人間自身の生活にはね返ってくるのだろうか。

7月16日、庭でツマグロヒョウモンの幼虫が5匹確認できた。14日には千葉大の園芸学部で許可をいただき、小学生を対象にした「生き物観察会」を開催した。その時にも庭園でテリトリー行動をしているオスのツマグロヒョウモンを目撃したが、数は少なかった。
園芸学部に中国からやってきたアカボシゴマダラがたくさんいて、少し驚かされた。その一方で日本産のゴマダラチョウはほとんど見かけなかった。
分布を北上させているツマグロヒョウモンや中国からやってきたアカボシゴマダラなど、生態系に変化が起きているのだろうか。子どもたちに「このチョウは中国から入ってきたんだよ」と説明しても、全く興味を示さなかった。
17日に松戸の小学校で「昆虫教室」の授業を行ったが、校舎内の暑さに驚かされた。冷房は入っているが、授業をしながら汗がたくさん流れサウナの中にいるようで、子どもたちは「危険だ」とも感じた。
異常ともいえる「酷暑」や集中豪雨よる大規模な水害など、本当に恐ろしい気候変動が起きているのだろうか?
15日は山梨に「昆虫採集」に行ったが、農地には大規模な太陽光発電パネルが多くみられ、その近くの採集地では全く虫が採れなかった。里山の風景も一変してしまった。人間はもう後戻りができないのだろうかと暗い気持ちになった。

7月10日、茨城県の霞ケ浦周辺で「ノコギリクワガタの採集ポイント」を探した。国道沿いのどこにでもあるようなヤマヤナギの木の群生している湿地帯を探索した。驚くほど多くのノコギリクワガタが採集できた。
7-8月にかけてNPOで開催する「昆虫教室」に参加する子どもたちへのお土産になる予定だ。藪漕ぎをして苦労をしてヤマヤナギの木に近づき、何匹かのノコギリクワガタが樹液を吸っている場面に出会うと「オオー」と思わず心の中で叫んでしまう。歳を経て何回も見ている場面だが、畏怖の念は全く変わらない。そこには事実だけが存在している。

7月1日、庭で確認した5個のツマグロヒョウモンの蛹のすべてが羽化して飛んで行ったが、大量に用意したスミレ科の植物には幼虫は確認できない。本格的な活動は始まっていないのだろうか?
蛹の抜け殻を確認すると焦げ茶色と薄茶色の2種類がある。アゲハの蛹は蛹になる直前に触っていた足場の触覚で緑色と茶色に分かれる。スベスベした触覚だと緑、ザラザラした触覚だと茶色だそうだ。これはスベスベが緑の茎や葉でザラザラが枯れた茎や葉の触覚から、このような保護色になると説明されている。

ツマグロヒョウモンの蛹は緑の茎やプランターの縁などスベスベだと薄茶色、ザラザラの箒の柄が焦げ茶色の蛹になった。しかし保護色というほど目立たないわけではない。蛹には銀色と金色に光るスポットが胸部についていて目立つ。天敵のトリが「光る物体を嫌う」からという説明もあるが、庭で見ている限り光っていようが、焦げ茶色、薄茶色に関係なく冬場には食べられていたように思う。
観察していて分かったことは「焦げ茶色と薄茶色の色の違う蛹がいる」という事実だけで、その意味まではよくわからない。何かに理屈をつけるのではなく「知らないことは知らない」という「素直さ」は人間性の中でも大切な資質だと思う。

6月28日、15日に容器の中で成虫に羽化していたオスのカブトムシ、27日に昆虫ゼリーを入れると28日から食べ始めた。活動を開始するのに14日間が経過したことになる。
今週中に親虫の住んでいた雑木林にリリースしに行こうと思っている。今回は「後ずさりして蛹室に戻る」ことを観察させてくれた。どんなに小さな事実でも「本当のこと」は大事だと思う。「ウソつき」は自然界には存在しないように思う。

6月28日、20日に蛹を撮影したツマグロヒョウモンのオスが羽化していた。今年になって初めての観察だ。昨年の11月4日に最後のメスの羽化を観察してから7ヵ月以上が経過している。
庭で冬を耐えていた幼虫が羽化したのではないことは確かなようだ。この時期に最初の羽化を観察するということは、成虫で越冬した可能性が高いということなのだろうか。
9時38分に飛び立つのを見送ったが、何か釈然としない思いが残った。庭にはまだ2個の蛹と1匹の前蛹(今日中に蛹になると思われる)が残っている。今年もこのまま観察を続けることにする。

6月20日、終齢だったツマグロヒョウモンの幼虫が蛹になっていた。気温が低いと前蛹から10日以上もかかっていたのに、1日で蛹に変態した。この個体以外にも2匹の蛹が庭で確認できた。
幼虫で越冬したのであれば、蛹になるのに時間がかかりすぎだろう。5月の前半に松戸市立東部小学校の近くで、午後3時過ぎに成虫を見かけている。(かなりやつれているように見えた)
気温は上がっているのだから、もっと活発に活動をしてもいいように思うのだが。
松戸の私の小さな庭では9月に入らないと活発な活動はしないのだろうか?
カブトムシのオスは蛹室を埋めてしまって、マットの上に出たままジットしている。容器のフタをしているので、もぐりこまないのだろうか。自分のことも分からないのだから、ほかの生き物のことは「分かるわけがない」と思いながらも、知りたいという誘惑に負けてしまい、見続けることになってしまう。

6月17日、オスのカブトムシが腹を上にして寝ていた容器のフタを開けてみると通常の姿勢になっていた。6月18日、蛹室の中に戻っていた。ツノが見えているので、頭が上になって入っていることがわかる。カブトムシは成虫になると頭から柔らかい土や腐葉土の中に潜っていくが、今回は尻から蛹室に戻ったことになる。
6月19日、蛹室の中にいたが、周りのマットを掘り起こしたようで、形が崩れていた。この後、いったんマットの中にもぐりこんで、1週間程度が経過してから活動をはじめると思われる。
今回の観察で、カブトムシが後ろに向かって下がりながら蛹室に戻ったことが推察されるが、何か意図をもっているように(偶然かもしれないが)後進する行動は、はじめて観察した。
カブトムシは皆が知っている昆虫で、夏になるとTVなどでも取り上げられるが、その生態となると、まだ知らないことがたくさんあるのかもしれないと思った。

6月15日、庭を見るとコンクリートの部分に体長5㎝近くのツマグロヒョウモンの終齢幼虫が歩いていた。別の野スミレのプランターにも同じような大きさの終齢幼虫がついていた。10日に見たときには、こんなに大きな幼虫はいなかった。
これで、4匹の幼虫が確認できたが、成長の段階はバラバラだ。越冬の謎はますます深まっていく。
蛹室を露出させてしまったカブトムシのオスが入った容器を今朝、開けてみると成虫に羽化して蛹室を出て、腹を上にして寝ていた。
メスの羽化でも確認したように蛹室の中だと出てくるのは成虫になって早くても2週間後だ。
飼育を始めた初期のころ同じようなことを観察して、慌てて「腹を下」に向けたことがある。成虫は腹を上にすると姿勢をなおす直ことができなくてもがきながら死んでしまうと思ったからだ。しかし、羽化したばかりの個体に不用意に触ると死んでしまう。
触らなければ、しばらくして自分で起きなおってマットの中に潜っていき、体が固まると活動を開始することは過去の観察から学んだ。写真を撮り慎重に容器のフタを閉めた。蛹室が破損すると、なぜ外へ出てきてしまうのか、その理由は分からないが何度か観察して知っていた。生き物の行動は多くの謎ばかりだ。

6月10日、庭のスミレ科の植物にツマグロヒョウモンの幼虫が2匹ついていた。一匹は3~4齢と思われる。もう1匹は2齢くらいだろうか。いずれにしても「いつ生まれた個体なのか?」という疑問が残る。気温は4月頃からかなり高くなっているのだから越冬して、卵を産んだのであればとっくに成虫になっている時間は経過してる。
写真のようにスミレ科の植物は大量に用意したが、チョウが来て卵を産んだ様子はない。産卵していれば、昨年の9月のようにもっとたくさんの幼虫が生まれていて、スミレ科の植物はほぼなくなっているはずだ。
高い気温に少ない幼虫。ほとんど見かけない成虫のチョウ。一体何が活動の引き金になるのか。この不完全な観察からは何もわからないが「気温が高い」が「活発な活動」と結びつかないことは推察できる。
南から北上してきたといわれているこのチョウは8月の末から9月にならないと活動は本格化しないのだろうか。それはなぜなのか、その答えを出すのはできないことに思えるが、答えを求めるのではなく、観察し続けることが大切なことだと思う。

6月7日、残っていた日本産のカブトムシの容器を見るとフタとの間に挟んでいたキッチンペーパーがなくなっていた。蛹から羽化して成虫になって「容器の中で動き出している」と思って、中のマットをかき出してみると、写真のようにオスの蛹が出てきてしまった。
蛹室を壊さないように慎重に中のマットを出していったが、蛹室内にマットが入り込んでしまった。大きめのスプーンを使って一度、蛹を外に出して室内に入ったマットを出して、周りが崩れないように整備して蛹を戻した。
蛹になった時期を考えれば、羽化までにはあと1週間ほどはかかるはずだが、ヘラクレスの幼虫を殺してしまい、動揺していたので慌ててしまった。蛹室を露出させてしまうことになったが、無事に成虫になることを願うばかりだ。

6月6日、成虫になったカブトムシのメスを夕方、親虫の捕れた雑木林にリリースしてきた。飼育ケースから出してクヌギの木の幹に掴まらせると、元気に上に登っていった。「元気でね」と心の中で声をかけた。
家に戻って、6月3日にヘラクレスの2齢幼虫を入れた飼育容器を開けて見ると、上に出てきて死んでいた。原因は飼育マットから出てきたメタンガスだと思う。
発酵マットをエサに使うときは十分に注意しないと、すぐに死んでしまう。購入してから数か月が経っていたので、ガスは発生しないと思い込んでしまった。初歩的なミスで貴重な命を奪ってしまい、落ち込んでしまった。
オスの幼虫ならば2年以上の月日をかけて100gを超える大きさに成長して2020年の6~8月の東京オリンピックのころには成虫になっていたことだろう。改めて命の大切さを考えさせられた。

6月3日、昆虫ゼリーを食べる日本産メスカブト、今週中に親虫の捕れた場所にリリースに行く予定だ。もう一匹の幼虫はまだ蛹の状態だが、蛹室のほんの一部しか見えず、オス、メスもわからない。これも羽化して活動を始めたら、リリースする。カラスに食べられたりせずに無事に一生を終えれるようにと思う。
昨年の6~10月に飼育していたヘラクレスのペアから生まれてきた幼虫。3月には1/10ほどの2齢幼虫だったが、日本のカブトムシの幼虫の2倍以上の重さの3齢幼虫に成長した。オスであれば100グラムを超える超巨大幼虫になり、成虫に羽化するのは2020年6~8月頃のことだ。
成長に日本のカブトの倍以上の月日がかかるが、何とか無事に成虫にさせたいと思う。

5月20日、日本産のカブトムシのメスが蛹室内で成虫に羽化しているのに気がついた。29日になると蛹室から脱出して容器内を動きまわっていたので、今朝、容器内の腐葉土の量を減らして昆虫ゼリーを入れて、家を出てきた。
20年ほど前の飼育では早くても6月の下旬ころから成虫になって出てきた記憶がある。活動の開始が1か月近く早まっているのだろうか? 毎年、飼育して記録を取っていたわけではないので、なんともいえないが、羽化の時期が早まっているのは確かなように思える。
3~4日様子を見て、松戸の生まれ故郷に返しに行くつもりだ。無事に羽化して、まずは一安心。

5月になって気温の高い日も続いているが、庭のツマグロヒョウモンの蛹は死に絶えてしまった。たくさん用意したスミレ類の植物にも全くきていない。松戸で冬を越したのであれば、成虫のチョウを見かけてもいいだけの時間は経過しているように思う。羽化に失敗して死んでしまった蛹(手を加えて保護した個体だが)もいたのだから。
越冬はできずに、南から関東地方に成虫が飛んできて繁殖しているだけなのだろうか?
ツマグロヒョウモンの北上は地球全体の気候変動とも大きな関係性があるのだろうか? 観察から見えてくることは「生き物の順応性は、自然環境の力に支配されている」ということだ。これは人間にとっても同じことだと思う。
核を含め、すべての大量なゴミの問題や化石燃料の大量消費など、このままでは恐ろしいことが起こるように感じるのは自分だけなのだろうか。

4月30日、日本のカブトムシのメスが蛹になっていた。過去の観察から幼虫が蛹室を作るのに2~3週間。その中で前蛹になって1~2週間で蛹に脱皮する。逆算すると3月の下旬から4月の初旬には蛹室を作り始めていたことになる。
室内で飼育していたことを考えても、かなり早いような気がする。通常、カブトムシが写真のように光の入る透明の容器の面に蛹室を作ることもほとんどなく、長い飼育経験の中でも初めてのことだ。(松戸市内で捕ったカブトムシの子孫)
蛹になってから3~4週間で成虫に羽化するので、6月になる前に成虫になってしまう。自然界だと、まだエサになる樹液も出ていないように思う。
ツマグロヒョウモンの蛹は不完全羽化の個体も含め、庭にあったすべてが死んでしまったが、このチョウの無策な北上や今回のカブトムシの異常に早い蛹化の現象など、大きな気候の変化が地球規模で起きているのだろうか?
「経済優先の先進国の科学者」たちは壮大な理論を展開して、温暖化を否定している。私は、とるにも足らない昆虫たちから「警告」をされているような気がする。どちらが正しいのだろうか?
利益と権力を独占するわずかな人間たちの力によって、真実は隠され、取り返しのつかない事態に陥るのだろうか。
このまま、昆虫たちの観察を続けたいと思う。

4月25日、一番小さなツマグロヒョウモンの蛹が今朝、羽化していたが、蛹から抜け出すことができずに死をまつだけの状態になっていた。せっかく厳しい冬を乗り切ったのに、冷たい雨が降る中で死んでしまう結果となった。
成虫になるには小さすぎたのだろうか? まるで人生のような気がした。厳しい状況を乗り切ったと思ったら、最悪の結果が待っていたのだ。
ノアの方舟の役割を果たしていたビオラの鉢植えには、終齢の幼虫が一匹だけ残っている。中をよく見ると蛹がいたが、これも不完全な形で成虫にはなれないと感じた。
多くの困難を乗り越えても、良い結果にならないのは生物の力以上に「環境」の持つ力の大きさを示しているように思う。
人間もこの小さな事実を直視し、生き方を考えないと痛い目に合うように感じた。

「10年ほど前」と記述したが、記録を調べてみると15年ほど前だった。ヘラクレスオオカブト・リッキーを飼育したときに羽化してきた写真中央の小さな成虫、左側の個体は約147㎜のヘラクレス・ヘラクレス、右側は日本のカブトムシ。飼育環境が悪かったようで、日本のカブトムシほどの大きさにしかならなかった。
昆虫の場合、エサの不足などの悪環境にも、小さな成虫になることで対応しているのだろうか。飼育経験では、普通の大きさだと11か月近く生きていたこともあったが、この小さな個体は3か月ほどで死んでしまった。
3か月あれば、相手を探し子孫を残すことは十分に可能なのだろうか? 人間であれば飢え死にしてしまうような環境でも「小さな成虫」になることで耐えることができるのだと思われる。
昆虫の世界は分からないことだらけだと思う。

4月6日に小さなツマグロヒョウモンの蛹を確認してから、今日19日で14日間が経過した。まだチョウに羽化しない。
昨年の10月22日に確認した通常の大きさの蛹は11月1日に室内に避難させ、11月4日に約17日間を要してメスの成虫が羽化してきた。今回も同じくらいの時間がかかるのだろうか?

今週末は気温が30℃近くに上昇する真夏日と予想されているので、羽化する可能性が高いように思う。
小さなチョウが出てくるのか、見逃さないように観察を続けたい。

4月6日、鉢植えのビオラで冬を越したツマグロヒョウモンンの幼虫は終齢の大きさに成長していたが、数が少なくなっていた。探しながら別の鉢植えのスミレ科の植物をかき分けて中を見ると蛹になっていた。プランターのビオラの葉先でも蛹に変態していたが、通常の蛹の大きさに比べると3/4から2/3程度の大きさしかない。

昆虫の場合、エサが少ない環境にさらされると、小さな成虫になることが観察されている。
ファーブルが『昆虫記』の中で実験したハナムグリの場合だと詳細は忘れたが、かなり小さな成虫が羽化してきたと記述されていた記憶がある。

10年ほど前に自身でヘラクレスオオカブトを飼育して成虫にしたときのことであるが、日本のカブトムシほどの小さなオスが羽化してきた。あまり長生きをせずに3か月ほどで死んでしまったので、今も標本にして保管してある。
この小さなツマグロヒョウモンの蛹は無事にチョウになれるのだろうか? 気温が維持されれば7~9日後には羽化すると思われるので、見逃さないように観察を続けたい。

3月25日、ビオラの鉢植えの葉の上を歩くツマグロヒョウモンの幼虫。桜の開花もはじまり、冬は終わったのだろう。21日の「春分の日」はかなり気温が下がったが、幼虫たちも無事に冬を越したようだ。
多くの死を乗り越えて8匹の幼虫が残ったが、幼虫の齢(発育の段階)は写真にあるように、かなりのばらつきがある。大きな幼虫は早くチョウになるはずだが、まだ気温が安定しないので、死んでしまう可能性もある。小さな幼虫は気温が安定するころに蛹になると予想されるので、無事にチョウになる可能性が高いような気もする。
無事にチョウになった齢の幼虫が冬を越したことになるのだろうが、もう少しで結果が見られるだろう。

撮影日:2018年3月4日
地元の小学校の3年生を対象にした「昆虫教室」で子どもたちに展示したヘラクレスオオカブトの♂、ほかにも数種類の大型のクワガタの♂なども展示した。生きた大型の昆虫を触って、子どもたちは大喜びだった。ヘラクレスの鞘翅の色は乾燥しているときはオリーブ色だが、水を吹きかけると写真のように黒く変色する。子どもたちから「なぜ色が変わるの?」と質問されても正確に答えることはできない。

1クラスを4つの班に分けて行った授業、5クラス17の班から45問の質問が出されたが、そのすべての質問にも正確に答えることはできなかった。「ヘラクレスのツノの下に生えているフサフサしている毛は何のためについているの?」これもわからない。「らしく説明する」これはきわめて危険な行為だということだけは、わかるような気がするのだが。
興味のある方はこのHP内の「規約/スケジュール/活動状況」のページの最後『「昆虫教室」児童からの質問』を参照してみてください。

撮影日:2018年2月11日
2月11日、Yahoo天気予報によると最低気温が5.3℃、最高気温が13℃と暖かい1日だった。午後2時ころ、鉢植えのビオラを覆っていたビニールをとり、中を見てみると8匹ほどのツマグロヒョウモンの幼虫が確認でき、かなり元気な様子だった。

少し気が早いが、春が来て幼虫の凄まじい食欲が戻ってくるのを予想して、ビオラをはじめたくさんのスミレ科の植物を用意しているが、これでも活動が活発になれば、すぐになくなってしまうだろう。
今日、3月1日の最低気温は8℃、最高気温は20℃もあった。どうやら無事に冬を凌ぐことができたのだろうか?

ツマグロヒョウモンだけではなく、多くの生き物たちが春になると活発に動きはじめる。その様子を観察しているだけで、「嬉しく、楽しい」気持ちが湧き出てきて、心の底から明るくなれるのだ。

撮影日:2018年2月4日
Yahoo天気予報によると2月4日の最低気温は3℃、最高気温は10℃だった。気温の上がった14時ころ、観察しているツマグロヒョウモンの幼虫がいるビオラの鉢植えの覆いを取って、中を調べてみた。生きている幼虫が5匹確認できた。大きさから2齢から3齢幼虫と思われたが、正確な齢は分からない。

同じ鉢の中なのに死んだ同じような大きさの幼虫もいた。生死を分けているのがなんなのかは全く分からない。再びポリ袋で覆ってしまったので、このあとは正確な観察とは言えないが、生き残った幼虫は遺伝的に強く「強い者だけが生き残る」なのか? こんなに小さな鉢の上でも、気温の分布があるのだろうか。だが、結論を急ぐことは危険だ。人間には「わからないこと」も「わかった」という悪癖があるように思う。覆いをしていても強い寒波が来れば死ぬことになるだろう。

「観察」というには低レベル過ぎるが、見ていることだけを信じることにして、「わかった」は言わないようにしたい。環境や生き物のことを人間の思考に当てはめれば、何とでも言えるからだ。この小さな鉢の上で生きて春を迎え、チョウとなって飛びたてるのだろうか? 観察とは別に「その姿を見たい」と心から思った。

撮影日:2018年1月27日 最低気温-2℃
1月27日の松戸の最低気温はネットによると-2℃だった。前蛹は地面に落ちて完全に死んでいた。生き残ったいた幼虫を収容した鉢植えのビオラをビニールで覆い寒さ対策をしたが、観察を続ける上では、やってはいけないことだ。庭でたくさんのツマグロヒョウモンの死を見ていたが、歳をとると小さな生き物でも死んでしまうことに心が痛むようになり「助けたい」という気持ちが強くなるのだ。中にいる幼虫が生き延びるのかは分からないが、つい手をだしてしまった。

だが地球規模だと、どのような助けの手も働かないだろう。今、世界の各地で起きている激しい天候の変動は何を意味しているのだろうか?「経済優先、金もうけ優先」のトランプ遊びもいいが、大国がトランプ遊びに興じれば、手遅れになるように思う。
ツマグロヒョウモンの北上が多くの「死」という対価を払っているという事実は「地球を食べつくそうとしている人類」と重なるようにも見える。その船頭をしている1%に満たない人間たちとともに人類も死に絶えてしまうのだろうか。

撮影日:2018年1月23日
マンションの庭に来ていたツマグロヒョウモンの蛹、前蛹、終齢幼虫は1月に入るとすべてが死んでしまった。蛹の何匹かは鳥に食べられていた。唯一、芝の上を移動している終齢と思われる幼虫が生きているのが確認できたが、この幼虫も死んでしまうのだろうか?。とりあえず鉢植えのスミレの葉に移してみた。

一体、どのような状態で越冬するのだろうか?。11月の上旬に成虫に羽化した個体はその後、全く姿を現していないが、成虫での越冬をするのだろうか。ますます謎は深まるばかりだ。

松戸でも、昨日の夜から大雪が降った。過去にも大雪が降ったことはあるが、「何かが違う」と感じるのは自分だけなのだろうか。世界規模での異常な気象状況は人類にどのようなメッセージを発信しているのだろう。

今の世界を見ていると文化以前の問題として「モラル」という人間の原点を失くそうとしているように感じる。北上をするツマグロヒョウモンだけではなく、人間を除くほとんどの生き物は「本能」という「モラル」を持っているように思う。
本能が狂ってしまえば、その生物は滅びてしまうことを人間は観察から知っている。そのことを考えると少し恐ろしいと思う。

撮影日:2017年12月15日 最低気温3℃

12月15日、ビオラを植えたプランターの側面を見るとツマグロヒョウモンの終齢幼虫が頭部を下に向けてぶら下がって、蛹に変態する直前の前蛹の姿勢を取っていた。ネットの気象記録では松戸のこの日の最低気温は3℃となっていた。気温が低く活動ができないのでこの姿勢を取っているのか?
今日、12月19日は車のフロントガラスに霜が降りていたので、yahoo天気予報で最低気温を調べてみると朝6:00に-2℃となっていた。幼虫がどのようになっているのか、見に行くと同じ姿勢ではあったが、少し縮こまっていた。前にも書いたが気温の高い9月のはじめだと1日で蛹に変態するが、今日で5日間が経過している。この低気温の中で体の構造が劇的に変化する蛹に変態ができるのか? あるいはこのままの姿勢で死んでしまうのか? 間もなく答えが出ると思われるが、ツマグロヒョウモンの越冬の形態は今までの観察からは、統一性がなく成行き任せのように見える。

撮影日:2017年12月19日 最低気温-2℃

11月中に死んでしまった幼虫の死因が低気温ではなかったことが推測される。観察すればするほど、謎が深まっていくようにも思える。これから本格的な冬がやってくるが、生き残ることはことができるのは何匹なのだろうか?

撮影日:2017年12月13日 最低気温0℃

yahoo天気予報によると、12月13日の松戸の最低気温は0℃となっていた。少し小さく色のよくない蛹を撮影したが、生きているのか死んでいるのか目視しただけではよくわからない。しかし、終齢と思われる幼虫はかなり元気に見えた。幼虫たちは写真にあるスミレ科のビオラの小さな鉢植えの中に集合していて、その命運を託している。まるで「ノアの方舟」のようだ。



だが、この光景は他人ごとではないように思える。宇宙から見れば、地球の状況も同じようなものなのだろう。アメリカは「パリ協定」から離脱したが、それはこのビオラの鉢植えから出て行った幼虫よりも愚かな行為のようにも思える。環境を失うことは、生命活動の根源を失うことになるからだ。

『昆虫記』の中でファーブルは「環境に合うように生物が作られているのだ」と書いているが、人間の科学は「環境を変えられる」と錯覚しているように思える。世界各地で異常気象の報告がされているが、それは坂を転がり始めたボールが止まることがないように破滅するまで続くのだろうか?

このままツマグロヒョウモンの観察を続けるつもりだが、観察から見えてくるのは、なぜこんなにも苛酷な状況なのに「分布を北上」させているのかという疑問だ。
その答えを見出すことはできないかもしれないが、北上をするツマグロヒョウモンを見ていると「人類の生存」とも関係性があるのではないかと思えるのだ。

撮影日:2017年12月2日 最低気温5℃

11月の気温は例年に比べると低かったそうだが、12月になる前に2匹のツマグロヒョウモンの幼虫が死んでいた。11月の9日に蛹になった個体は、写真のように生き生きとした状態を保っているように見える。このほかにも場所はまちまちだが5匹ほどの蛹を確認していて、少し色の悪い個体もあるが、似たような状態だ。このまま蛹で越冬ができるのだろうか。

その一方で、まだ幼虫で活動している個体もいて死んでしまった幼虫より小さなものも生きている。何が幼虫の生死を分けているのだろうか? 食料は豊富とはいえないが、写真で見るように、まだ残っていて寒さで活動をしていないためか、あまり食べられていないように見受けられる。

このまま真冬を迎えると幼虫は全部、死んでしまうのか、それとも生き残るのか。また、蛹の中でも生き残るものと死んでしまうものがあるのだろうか? 観察を続けていくつもりだが、穏やかな春が訪れるまでには遠く、多くの試練が待ち受けているように思え、少し暗い気持ちになった。

撮影日:2017年11月6日
    最低気温8℃ 最高気温20℃

11月6日の朝、庭の仕切りの金属製の支柱にツマグロヒョウモンの前蛹がついていた。9月の気温の高い時期には一日で蛹に変態するのだが、9日の朝に蛹に変態していた。通常より4倍ほどの時間がかかったことになる。気温が下がってきていることが原因と思われるが、蛹で越冬するのだろうか。昆虫の越冬には二つの方法があるといわれている。一つは真冬になっても気温が氷点下にならない場所に潜り込んで越冬する方法だが、移動が可能な成虫状態で場所を選んで越冬することが多いようだ。もう一つは卵や幼虫の状態で体内で糖分などを生成して、氷点下になっても凍結しないように体液を不凍液に変えて厳しい低気温に耐える方法だといわれる。

撮影日:2017年11月9日
    最低気温11℃ 最高気温19℃

分布を北上させているツマグロヒョウモンが後者の機能を持っているとは考えにくいが、屋外の金属製の支柱で蛹になっているため、このまま真冬を迎え外気温が氷点下になれば、体液が凍結し細胞は破壊されて死ぬことになるだろう。
松戸でも真冬には氷点下になる日もあることを考えれば死んでしまう可能性は高いが、この時期に前蛹になっている個体も多い。

撮影日:2017年11月6日
    最低気温8℃ 最高気温20℃

それにまだ2~3齢の幼虫もいる。一体どのようにして冬を乗り切るのだろうか?「分布を北上させる=地球温暖化」このように単純な理由だけで「北上できるのだろうか?」と思うのだが...。
私たちが考えている以上に大きな変化が地球上で進行しているのだろうか?「ツマグロヒョウモンの北上」は多くの疑問を投げかけているように私には思える。今後も観察を続けていきたい。

撮影日:2017年11月4日
    最低気温12℃ 最高気温22℃

10月22日の台風の日に蛹だったツマグロヒョウモンはその後、一週間たっても羽化しなかった。11月1日の夜に写真のプラケースの中に保護して部屋の中にいれたが、翌日の夜には蛹が真っ黒になり死んでしまったと思っていた。しかし、11月4日の朝6時過ぎにプラケースを見ると羽化してメスの成虫がぶら下がっていた。通常であれば8~9日ほどで羽化するのだが、今回は17日ほどの時間がかかった。外気温が下がれば羽化が遅れることが今回の観察から推測された。



7時過ぎに手につかまらせて外にだし、鉢植えのスミレの葉に止めた。9時を過ぎ直射日光が当たると、ふらふらと飛び立ち一度、庭に干してある布団にとまった。そして空に向かってゆっくりと飛び立っていき、視界から消えていった。



まだ、観察を続けるつもりだが、私はこの2か月ほどの間に多くのことを学んだ。ところがツマグロヒョウモンは何も学ばなくても生きていくすべを生まれながらに、その本能で習得している。何が本能の道しるべとなるのだろうかと、どんなに考えてみても私には理解ができない。「進化論」もその説明を放棄している。今後、人間の科学がどんなに進歩しても解明される日がくるとも思えないのだ。

撮影日:2017年10月22日

数時間後、ベランダの中に避難させたツマグロヒョウモンのメスを見に行くと、まだプランターの中のスミレの葉に止まっていた。時間は午後6時を過ぎ、かなり暗くなっていた。空を見上げると相変わらず雨が降っていたが、これから台風が接近してきて明日は大荒と予想されていた。
「助けようか」と少しまよったが、部屋の中に避難させることに決めた。チョウに指を差し出すと、写真のようにつかまってきたので、そのまま部屋の中へ入れて、小さなプラケースに収容した。狭苦しいと感じるだろうが、外にいるより安全なことは確かだ。



22日の夜から今日、24日の朝まで、このプラケースの中で暴れることもなくおとなしくしていた。朝7時50分ころ、庭に出てプラケースのふたを開けると、一気に青い大空を目指して飛び上がり、その姿は小さくなり視界から消えていった。
短い生涯への旅立ちだが、多くの困難が待ち構えていると思うと「無事に子孫を残すように」と心から願わずにはいられなかった。

撮影日:2017年10月22日
10月22日、台風の影響で朝から雨が降っていたが、ツマグロヒョウモンのメスが羽化していた。13時を過ぎたころプランターから鉢植えのスミレの葉の上に移動をしていた。晴れた日であればとっくに飛び立っている時間だが、少し場所を移動しただけで、まだ飛んではいなかった。

このまま飛び立たないのだろうかと、観察を続けたところ突然、雨の中に飛びたった。そして、数メートル飛んで雨に打たれて庭の真ん中に墜落してしまった。手を貸して雨のかからないベランダの内側のスミレの葉に止めたが、じっとしている様子はなく、羽ばたきを繰り返していた。明日は台風本番となるので生き残れる可能性は少ないと感じた。

写真にある蛹は今日、羽化した蛹と同じような時期に蛹化した個体で、明日あたりの羽化が予想される。ツマグロヒョウモンの羽化は悪天候を避けることはできないことが今日の観察から推測された。
雨の中に飛び立っていくツマグロヒョウモンを見ていると、人生と重なり少し胸が苦しくなった。

撮影日:2017年10月18日
今日の最低気温は千葉の船橋で朝6:19に9.8℃を記録したとネットに書かれていた。この低気温の中、6時前には庭でツマグロヒョウモンのオスが羽化していた。朝9時を過ぎ太陽光が直接、当たると翅を広げたり閉じたりしはじめた。

間もなく飛び立っていくのだろう。もともとは近畿以西が分布の北限だったそうだが、松戸に生息するツマグロヒョウモンは10℃を下回る気温でも羽化することが、今日の観察でみられた。


よく見ると羽化した成虫の近くに1~2齢の幼虫が葉に止まっていたが、これも年内に成虫になるのだろうか? このまま観察を続けるつもりだが、チョウの幼虫の食欲はすさまじく、食糧危機になるのは明らかだ。また、食糧供給のためにスミレを探して松戸中を走りまわらなければならないのだろうか。

撮影日:2017年10月10日
昨日に続き、オオカマキリのメスがやってきた。なぜカマキリばかりくるのか? どうもプランターや鉢植えの縁で羽化するツマグロヒョウモンを狙ってきているようだ。いつも止まっている植物の枝からプランターまでの距離は3メートルほどあるが、数時間後プランターの前で不完全羽化で飛べない個体が被害者となっていた。

しかし、オオカマキリのメスを責めることはできない。彼女も卵を産んで子孫を残すことに必死なのだ。それにカマキリも卵から出たばかりの5ミリに満たない幼虫のころ、その多くがアリなどの餌食になって、支払いを済ませているのだから『昆虫記』の中でファーブルは「自然界の貸借対照表は常にプラスマイナスは0になる」と書いている。

それにしてもかなり視力が良いことになる。カマキリを面積比で人間の大きさに置き換えると、約50メートル先の獲物を認識したことになる。「動くものに反応した」だけであれば、その判断を間違えれば自分が餌食になってしまう可能性がある。「カマキリの視力」には多くの疑問があるが、今回の出来事で3メール先のチョウを認識し、狩ることができることが観察できた。

撮影日:2017年10月9日
今日は庭にオオカマキリのオスが来ていた。どこから来るのか、たくさんの生き物がやってくる。

撮影日:2017年9月28日
ツマグロヒョウモンのメスが庭に来た同じ日、ハラビロカマキリのメスもやってきた。生きた昆虫をそのカマ状の前脚で捕まえて食べる肉食のカマキリは、昆虫の中でも視力が発達しているといわれている。カメラを向けると見えているのか、カメラ目線になっていた。

撮影日:2017年9月27日
蛹から出てきて約4時間、飛び立つ瞬間のツマグロヒョウモンのメス。短い生涯の始まりだ。数日後、庭の花で吸蜜しているメスを撮影した。生まれた場所に戻ってきたのだろうか?

ツマグロヒョウモンのメスの擬態のモデルといわれている毒を持つカバマダラの仲間のオオカバマダラというチョウは、北米大陸を数千キロ移動し、世代を変えながらもメキシコの決まった越冬地へ数千万匹が戻ってきて、同じ枝で冬を越すといわれている。世代を変えながらも、なぜ自分の祖先の越冬地へ正確に戻ってこられるのか、その謎を解いたものはいない。生き物の世界はそのほとんどがまだ謎に満ちている。

撮影日:2017年9月20日
蛹になってから一週間を少し過ぎた頃、羽化が始まり3時間もすると広い世界へと飛び立っていくが、その寿命は短くオスで1~2週間、メスで3~4週間といわれている。人間のように欲望を持つこともなく、本能に従い次世代を残し、その短い生涯を終える。
その生き方のシンプルさゆえに何かを心に感じ、長時間見つめずにはいられない。
そして大切なことを忘れているような感覚にとらわれるのだ。

路上から人目を忍んでスミレを供給し続けた結果、食糧危機を乗り越え、ほとんどのツマグロヒョウモンの幼虫が蛹に変態した。プランターに場所がなくなり、ベランダの天井で蛹化していた幼虫もいた。時々、芋虫状の幼虫が路上を移動しているのを見かけるのは、蛹になる場所を探しているためのようだ。以前、飼育していたルリボシヤンマのヤゴも羽化する場所を探して、部屋の中を歩きまわっていたのを観察したことがある。

ほとんどの人間は気が付くことはないと思うが、街は人間だけのすみかではなく、多くの生き物たちのすみかでもある。観ようと思わなければ生涯、気が付くこともないだろうが、街の片隅の小さな場所にも虫や小さな生き物たちの小宇宙が広がっているのだ。

撮影日:2017年9月10日(Photo右:ツマグロヒョウモン♂)
庭の「スミレ」を食べつくしたツマグロヒョウモンの幼虫。毎日、近所の路上に生えているスミレを人目を盗みながら採取し与えているが何匹かが蛹になり、もうすぐほかの幼虫たちも蛹になりそうなので、一安心。

地球の温暖化に伴い分布が北上しているといわれていて、松戸で繁殖が確認され始めたのは、2000~2005年ころからだろうか。(間違っていたら教えてください)こんな小さなことからも、環境の変化が読み取れる。蛹になると一週間程度で羽化し飛び立って行くが、多くが寄生虫の餌食にもなってしまう。

撮影日:2005年8月1日
2005年8月1日、学童クラブのキャンプで「ライトトラップ」のイベントを行うため、清里高原の千ヶ滝に向かった。イベントは夜8時ころからだが、下見を兼ねて周りの環境やどのような昆虫がいるのかを知るために、朝8時前には現地についた。


準備をしてから千ヶ滝へ降りて行ったとき、たくさんの黒っぽいチョウが飛んでいるのに気がついた。近づいてみると多くのミヤマカラスアゲハが滝の近くの川岸の濡れた地面で吸水していた。時間は9時を少し過ぎたころだった。



このような光景には初めて出会ったので、夢中になって撮影した。夜の「ライトトラップ」にもたくさんの昆虫が集まってきて、子供たちは大喜びだった。もう12年も前の出来事だが、鮮明に記憶している。このような経験は最初で最後だった。

法人情報(貸借対照表)

定款(2021年1月現在)