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最後のSF小説家・伊藤計劃

ゼロ年代のSF文学界に降り立ち、珠玉の二作・未完の一作を遺しこの世を去った
1974年誕、2009年没

活動期間はわずか3年

 Webディレクターの仕事の傍ら執筆した「虐殺器官」が、2006年度小松左京賞の最終候補となり、ハヤカワSFシリーズJコレクションより刊行。
 この作品は後年各方面で絶賛され、日本SF界の金字塔となった。

 2008年には「ハーモニー」が、同じくハヤカワより刊行。

 2009年に未完の「屍者の帝国」を遺し、肺がんにより病没する。同作はのちに友人・円城塔によって完成、河出書房より刊行された。

 映画評論ブログ「伊藤計劃:第弐位相」のコメント欄には、今なお数多くのファンが訪れ、追悼のコメントを残す。

メタルギア好き冥利

ソリッド・スネーク最後の闘い
「MGS4」の公式ノベライズに抜擢

ゲーム・「メタルギア」シリーズの大ファンとして知られる。ゲームフェスのブースにて言葉を交わしたことをきっかけに、同シリーズの総監督・小島秀夫とも親交を深めていた。
 小島は伊藤のデビュー作「虐殺器官」に絶賛の意を示し、「メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・パトリオット」の小説化を依頼。
 二つ返事の大ファンによって執筆されたノベライズ版は、2008年に角川グループパブリッシングより刊行された。
 

止まぬ支持
"Project Itoh"始動

鬼才の計劃した世界を映像化

鬼才の没後もなお増え続けていたファンたちは、2014年に発表された「伊藤計劃三部作」アニメーション映画化の報に沸いた。
 2015年に公開となった「屍者の帝国」を皮切りに、「ハーモニー」、「虐殺器官」の順で映画が公開。
 メタルギアシリーズの主役「スネーク」を演じる声優・大塚明夫が三作すべてに出演したことも話題を呼んだ。

いかなる作家であれ「読みやすさ」が何よりの強みとなるが、伊藤計劃も決して例外ではない。あらゆる描写が読者の身体感覚とリンクし、どんなに漢字が多くとも、どんな印象の場面であっても、決して読む手を止めさせない。
 癌に侵され、自身の身体とたえず向き合い続けてきた夭折の作家の成果は、全部にわたって「感覚と生命」への強い示唆に満ちている。
 もしこの記事を通して少しでも興味を持ってもらえたならば、是非とも「伊藤計劃」の名を覚えて学内か駅前の図書館に立ち寄っていただきたい。