業態や業種が多岐に渡る飲食業界で、転職をスムーズに進めるには?

業種(営業形態)や職種が多岐に渡る飲食業界は、他の業界と比べて特殊な一面はありますが、これからこの業界で生きていこうという方に必要なことは、他の業界と何ら変わりはありません。

しっかりとしたキャリアパスを描いておくこと

ここでは、飲食業界の現状について詳しく説明していますが、転職する際の役立つ情報にもなりますので、是非、参考にして頂ければと思います。



飲食業界って何だ?

飲食業界は、通常、大きく2つに分けられます。

  • 料理そのものをお客様に提供する料理店やレストラン
  • お酒をお客様に提供するバーやビアホール

ここでは、前者の料理をメインとするお店(以下、飲食業界と称します)についてご紹介していきます。

どんな業態(営業形態)があるの?

飲食業界は、料理のジャンルと営業形態で分けることが出来ます。

料理のジャンルでみていくと、

  • 日本料理
  • 西洋料理(フランス料理、イタリア料理など)
  • 中国料理
  • エスニック料理(タイ、ベトナムなどの東南アジア系の料理)
  • 製菓・製パン
  • その他

営業形態でみていくと、

  • レストランや料亭・割烹と呼ばれるお店
  • ステーキや寿司、そば・うどんなどの専門料理店
  • 外食チェーン店(ファミリーレストラン、チェーンレストランなど)
  • ホテル・旅館
  • その他

ジャンル営業形態をまとめてみると、次のような図に分けられるでしょう。

どんな職種があるの?

ここでは、外食チェーン店と個人経営のお店・レストランに分けて説明します。

■ 外食チェーン店の場合

店舗スタッフ
外食チェーン店では、もっとも人材の多い職種で、店長をはじめ、調理・接客を担当するパートやアルバイトを指します。

特に、店長は、店舗での売上管理や計画、在庫管理、パートやアルバイトスタッフの教育や勤務シフト等の管理を行います。


販売促進
販売促進という職種では、

  • 店舗の売上が上がるように、販売促進となるキャンペーンの企画立案や店舗業務の支援を行う販売促進部門
  • エリアの予算管理や店長の教育、販売促進、調理指導等を行うエリアマネージャースーパーバイザー:[SV]と呼ばれることもあります)

があります。


店舗開発
新規の出店に向けて市場調査を行います。商業圏の市場調査や、競合他社の状況等の調査を行い、新規出店の可能性等を調査する部門です。


研究開発
店舗で新しく提供する商品やレシピの研究や開発を行います。



その他
経営企画、人事、経理、総務等があります。



■ 個人店や料理専門店の場合

シェフ・料理長
扱う料理やポジションによって、料理長シェフ)、コック、あるいは日本料理の場合ですと板前と呼ばれたりします。

単に料理を作る技術だけでなく、新しいメニューを開発したり創意工夫を凝らしたりと、発想力が求められるポジションでもあります。

パティシエ
ケーキ等の洋菓子を作る洋菓子職人で、和菓子職人とは区別して使われます。
新しい洋菓子や美味しい洋菓子を作るための、創意工夫と発想力が求められるだけでなく、材料の計量や温度管理といった緻密な気配りも欠かせません。


キッチンスタッフ
厨房にて材料の下ごしらえ・調理・盛り付けのほか、使用済みの食器の洗浄といった業務を担当します。


ホールスタッフ
来店したお客様の席への誘導、注文を受ける、料理を運ぶ・片付ける、精算する、テーブルの整理整頓といった業務を担当します。


勤務の形態は?

ここでは、飲食業界の勤務時間休日について説明します。

一般的なサラリーマン(オフィス勤め)の勤務時間は、朝9時から夕方の5時位まで。

最近では、フレックス制を導入している企業も増え、出社時間は朝9時を中心としてプラスマイナス1時間、退社は夕方5時くらいを中心としてプラスマイナス1時間、というような勤務時間帯を導入しています(企業によって違ってきます)。

サラリーマンの休日は、土・日・祝日が休みというのが一般的。

ところが飲食業界で働く人の勤務時間休日は、上で述べた一般企業のそれとは大きく違ってきます。


休日について

飲食業界では、休日の取り方については、大きく3つのパターンが考えられます。

1.平日に休む
2.日曜・祝日が休み
3.年中無休


1.平日に休む
よく飲食店の入り口までいって「本日定休日」といった看板をみかけることがあります。
火曜日定休とか第3木曜日定休といったものです。

お店のある商店街やテナントビルの定休日に合わせたり、週のうちで一番お客の入りの少ない曜日をお休みにしているところもあります。


2.日曜・祝日がお休み
これは、オフィス街にお店を構えていて、サラリーマンやOLをターゲットとしているお店です。

彼らの勤務時間帯に合わせた方が経営上の無駄がないからです。


3.無休
ホテルや旅館、外食チェーン店のようなところ。

従業員を増やして、交代制で休みを取るようにしています。
週ごとに出勤体制を組むのが普通で、同じ曜日に休みがとれるという保証はありませんが、休日を増やすなどの対応で、休日が充分取れる体制になっています。


勤務時間について

お店にもよりますが、開店は11時から、閉店は22時というのが一般的。
開店一時間前に出勤し、閉店一時間後くらいまで働きます。途中の14時から17時迄を休憩時間とし、休憩や仕込みに当てているお店が多いようです。

ただ、料理人の場合、若手ほど早く出勤させているお店も多いですね。

ホテルの場合は、24時間体制を組み、時には1,000人を超えるような宴会に対応したり、早朝の仕込みや泊まりもありますが、休日は確実に取ることが出来ます。


給与・収入は?

厚生労働省の調査によれば、高卒の平均初任給は、平成29年で162,100円
その中から「宿泊業・飲食サービス業」に絞って同年の高卒の平均初任給をみてみると、157,600円。

平均値より4,500円程低い値にはなっています。

ただ、飲食業界の業態や職種は、冒頭で述べたように非常に多岐に渡るので、もう少し細かな分析が必要なことは確か。ただ、ここで個別に分析まではできないので、以下の2つに分けてもう少し詳しく見てみました。

個人店(レストランや料亭など)の場合
外食チェーン店等の企業の場合


個人店の場合

料理人をはじめとする従業員に支払われる給与は、お店によってかなりの差がみられます。

ただ、格式のある老舗料亭やレストランの中には、技術の習得に力を入れ、その店で修業してきたというブランドを手に入れられる代わりに、最低賃金に近い給与しか支払われないというところもあります。

その代わり、このようなところは、昼食や夕食がそのお店から提供されたり、従業員寮が用意されていたりと、生活をバックアップしてくれるところもあります。


外食チェーン店など企業の場合

2018年の決算期において、飲食業の中で一番多くもらっている企業はどこか?

このデータを発表したのは、ビジネスリサーチ・ジャパン。記事にまとめたのが、ダイアモンド・オンラインです。

この記事によれば、外食産業の従業員の平均年収の概要は、「上位クラスは700万円台。主流は400万~500万円台で、300万円台も少なくない」とあります。

個別外食企業の平均年収については、上記の記事をご覧頂くとして、「外食企業の平均年収は低く出やすい。」とあります。

その理由として、挙げられているのが、

  • 従業員の平均年齢が若い
  • 平均勤続年数が短い

といった理由。

飲食業界は、新聞等でもご存知だと思いますが、万年の人手不足。この人手不足が深刻化しているので、全体的に年収の底上げがされているようですが、なかなかそう簡単にはいかないようです。

「外食産業の従業員の給与や賞与は、他の業界以上に原価率店舗の運営方針、そして売上高と無関係ではない」と言っています。

原価率で言えば、20%台の企業があるかと思えば40%超というところもあるようですし、原価率の改善が難しい場合は、売上高を上げて利益を稼ぐことが必要。
また、店舗運営を従業員主体で進めるか、パートやアルバイト主体で進めるかでも変わってきます。

このように、飲食業界で転職をお考えの場合は、転職先のお店や外食チェーン店によっても大きく変わってくるので、充分な検討が必要です。


転職する人が多い飲食業界

様々な業界の中でも、この飲食業界の離職率は特に高いと言えます。

厚生労働省の「平成29年雇用動向調査結果の概況」をみても、全業界の平均離職率が14.9%であるのに対し、「宿泊業・飲食サービス業」というくくりにはなってしまいますが、30.0%と、他業界の倍近い数値になっていて、離職率の高さが目につきます。


なぜ、このように、飲食業界では人材の移動が激しいのですか?

考えられる理由を3つほど挙げてみました。

1.勤務(労働)時間が長い

2.休日(休み)が取りにくい

3.将来のキャリアプランが描きにくい

1.勤務(労働)時間が長い

上の「勤務時間について」でも書きましたが、飲食店の開店・閉店は、それぞれ11時、22時くらいのところが多いでしょう。これだけをみても、開業時間は11時間にもなります。

これに、開店の1時間前にはお店に入って、勤務が終わるのは閉店の1時間後というのを考えると、1日の勤務時間は13時間にもなります。途中、3時間の休憩を取るとしても、勤務時間は10時間。

シフト制を導入しているお店が多いとは言っても、正社員が中心となってお店の運営を行っていく必要があるので、勤務時間はどうしても長くなってしまいがち。

さらに、アルバイトを雇っている場合、急に休まれて人手不足状態となると、社員で埋めるケースも多くなりがちです。

また、基本的に立ち仕事となると、労働条件が厳しいとも言えます。

ご家族をお持ちの方になると、普通のサラリーマンのように、夜の一家団欒といった時間を過ごすこともなかなか出来ない、のではないでしょうか?


2.休日が少ない

毎週定休日を設けていたり、オフィス街に店舗を構え、サラリーマンをターゲットにしているようなお店は別ですが、外食チェーン店のような年中無休のお店の場合、通常はスタッフ全員で休みを取ることは出来ません。

毎日、一定数のスタッフが出勤して、お店を運営していく必要があります。

また、年末年始や夏のお盆など、多くのアルバイトが休みを取る傾向の高い時季は、社員が休みを減らし出勤している場合も多々あります。

予定として休みを取ることになっていても、急遽お店に出なければならない状況が多々あるとなると、休日もゆっくり休めないのではないでしょうか?


3.キャリアプランが描きにくい

飲食業界での仕事は、一般的にはルーチンワークが中心。将来、料理人を目指そうと思っている方が、外食のチェーン店で料理を担当しても、流れ作業的に料理を作るだけで、調理のスキルを磨くことは難しいでしょう。

スキルアップをしたいと思っても、業種や職種によっては難しい場合が多々あるので、将来に向けてのキャリプランが描きづらい業界と言えるようです。




飲食業界で働く人の適正と心構え

飲食業界での転職を考えている人、飲食業界にかかわる人に共通して言えることは、料理が好き、食べることが好き、お店に来てくれたお客さんから「あぁ~、美味しかった!」と満足そうな顔を見ることにとてもやりがいを感じる人ではないでしょうか?

中には、外食チェーン店でのSVのように、店舗の運用や運営、マネージメントに関心を持ち、将来は、経営幹部を目指すという方もおられるかもしれませんが、ほとんどの方は、上述のようなことが言えるのではないでしょうか?

ここでは、飲食業界に向いている人と心構えについてご紹介していきます。

1.食べることが好き、料理を作ることが好き

これは、特に、料理人のように料理を作る人に共通して言えることです。

逆に食に興味のない人は、仕事に喜びを感じられないだけでなく、お客様にも満足を与えることが出来ないでしょう。

お客様の反応を見ながら、「こうすればもっと美味しい料理が作れるのでは?」「違ったアプローチを考えてみよう」「こうすれば、お客様からもっと喜んでもらえる」といった前向きな姿勢が、いずれ料理に現れてくるでしょうし、リピーターが増え、ひいては売上の増加へと繋がっていきます。

2.身体が丈夫であること

上でも述べましたが、飲食業界は、勤務時間が他の業界に比べて長く、休みも取り辛い業界だと言えます。

シフトを組むとなると、不規則な勤務時間になることに加え、休みも不規則。場合によっては、なかなか休めない時季というものあり、体調を壊しやす職場環境と言えるでしょう。

さらに、立ち仕事中心というのも身体にこたえます。

料理人や厨房で働く人にとっては、作業に力と体力が求められるのはもちろん、過酷な環境で立ちづくめで働くためには、まず、基本となる体力と身体が丈夫であることが求められます。

3.協調性があること

飲食の世界では、まず、オーダーを受け、料理を作り盛り付けを行い、お客様のもとへ運びます。食事が終わられたら、片付け、洗い物も行わなければありません。

このような作業は、分担して行う集団作業なので、仕事を円滑にスムーズに進めるためにも、協調性が求められます。

仲間通しのあいさつから始まり、声の掛け合い、他人への心配りといった協調性が求められます。

4.忍耐力がある

特に、料理人を目指す方に言えることですが、一人前の料理人というのは、一夜にして花開くものではありません。技術をコツコツと積み上げていく必要があります。

最初は洗い場から、次は下ごしらえといった下働きから始まります。一人前として扱ってもらえるには、早くても数年はかかるでしょう。

時には挫折を感じることもあるし、毎日毎日同じことの繰り返しで修業を積んでいくという忍耐力が求められます。

この忍耐力が求められるのは、料理人だけではありません。過酷な労働環境で求められる笑顔や的確な対応は、忍耐力があってこそ、周りの仲間から認められる人間として成長していくのです。

5.清潔感がある

当たり前のことですが、食を提供する以上、仕事は衛生的でなければならないというのが大前提。

不潔な環境でも平気などという人は、この飲食業界をおすすめすることはできません。




飲食業界での転職に際して

以上、飲食業界の現状について詳細に説明してきましたが、自分が今後、この飲食業界の中でどのようなお店に転職したいか、どのような道に進みたいを考えるときの参考として、改めて、お店の経営形態別にその特徴を説明しておきます。

飲食業界の業態別特徴

■ 個人店や小規模店
一人ひとりがこなす仕事の種類や量が多く大変ですが、様々な調理技術や業務を比較的短時間で身につけることができるというメリットがあります。

将来独立して自分でお店を持ちたいという方におすすめです。


■ 中規模店
仕事の分業体制が個人のお店や小規模店と比較してはっきりしています。また、宴会などの大人数の料理を扱う機会も多々あります。

担当セクションでの技術や知識をしっかり習得することができます。


■ ホテル
ホテルの場合の飲食部門は、ホテル内のレストランもしくは宴会部門になります。
スタッフの人数が多いので、組織の中で自分の力を発揮していきたいという方におすすめです。


■ 外食チェーン店
料理スタッフ以外にも、メニューの研究開発や店舗管理など、企業組織の一員として働くことになります。


飲食業界の転職に求められること

飲食業界の業務形態職種は非常に多く、求人票をみても、或いは、転職支援サービスで説明を受ける際にも目移りがしてしまって、次第に「自分の希望」や「やりたいこと」がわからなくなってしまう場合が多いようです。

最終的に、自分は何を目指しているのか、将来どうなりたいのかという意思をしっかり持つこと、その将来の夢実現のために、いつの時点で何を身につけるべきか、そのために何をすべきかというキャリアパスをもち、それを目指して転職活動を行うことが重要です。

自分の考えがまとまらないので、考えをまとめるためにもっと飲食業界についてもう少し知りたいというような場合、どこか相談できるところがあると良いですね。

転職支援サービスを行っている会社(エージェント)は山ほどありますが、特に飲食業界に関しては、業態や職種が多岐にわたるため、求職者の相談や要望に応えられるところは多くありません。

できれば、飲食業界を専門に扱っている転職支援サービスを利用してみるのがおすすめです。

その点、「クックビス」(会社名でもありサービス名でもある)は、転職業界に特化して転職支援サービスを行っており、すでに8万件以上の紹介実績を持っています。

クックビズに関しては、こちらでそのサービスの口コミを含めて詳しく説明していますので、是非、ご覧ください。