手紙プロジェクト経過発表
試演会のおしらせ

(2017/7/13 試演会は無事終了しました。ご来場ありがとうございました。)

市原佐都子(劇作家・演出家・小説家)と市原幹也(演出家)がプロジェクト参加者と創作した劇を発表する試演会を実施。

ここではそのプロジェクト内容を公開し、試演会実施の情報をアーカイヴします。

スタージナタリーに紹介されました。2017/6/29
http://natalie.mu/stage/news/238747

手紙プロジェクトについて

市原佐都子(劇作家・演出家・小説家)と市原幹也(演出家)が立ち上げた演劇プロジェクト。

2006年に北九州芸術劇場で知り合い、個々の演劇活動を経て横浜で11年ぶりの邂逅を得る。
お互いに創作活動を報告し合うなかで、それぞれの得意分野を活かした共同制作の方法を模索するようになり、このプロジェクトを立ち上げた。

初回でもある今回は2017年5月28-29日において、応募/選考によって集まったメンバーとともに、横浜市・黄金町にてプロジェクトを実行した。

期間限定のつもりで始めたものの、この度とてもよい手応えを得たこともあり、日本各地でプロジェクトを継続することにした。
ふたりの名字が同じなのはたまたまであり、ややこしくて困っている。

 

プロジェクト進行概要

PHASE1

市原佐都子と市原幹也は、まちを取材して「手紙」を創作する。それは架空の人物【X】が書いたという設定で、参加者に配布される。

PHASE2

参加者は、「手紙」をもとにまちを歩き【X】と関わる【誰でもない誰か】を創作するための材料を集める。それらを元に演じたり書いたりする。

PHASE3

市原佐都子と市原幹也は、参加者からアウトプットされた複数の【誰でもない誰か】を組み合わせて劇を構築し、戯曲化する。

PHASE4

全員は、戯曲の上演に取り組む。そのために必要な演技/演出/客席の在り方等を議論しながら演劇作品の公演を目指す。

「手紙」から戯曲へ

はじまりは、架空の人物【X】が誰かに宛てたであろう手紙。

参加者は手紙をもとに好きなようにまちを歩いて材料を集め、【X】のことを語り得る「誰でもない誰か」を創作した。各自の分野と手法に応じて、演じたり、書いたり、録音したり、システムを作ったりした。

そして、自分であって自分ではない、このまちには存在するかもしれない「誰でもない誰か」たちが次々に現れていった。

彼らは【X】を中心とした劇の登場人物として戯曲のなかへと落とし込まれ、本来は出会うはずのなかった彼らは戯曲のなかで出会い、次第に【X】についての会話を始めることになる。

【実際に使用された手紙を読む】
new!! ※7/15 公開

参加者から見たプロジェクト

参加者は何を体験し、何を表現したのだろう。

参加者は予め全体を俯瞰しながら進行記録を担当する「補助者」と、主に創作を担当する「実行者」の2セクションに分かれた。各々の興味によって関わり方が許された時間のなかで、ひとりひとりの創造性が発揮された。参加者はプロジェクトを実行した後、その体験をレポートにして提出した。「補助者」は時間軸に沿ってその場で起きたことを報告する。一方、「実行者」は、自身の興味と手法に従って任意のテーマでプロジェクトを報告する。

これらのレポートには、プロジェクトの実態とともに参加者の個性が浮かび上がっている。

レポート 一覧

補助者

小林 沙和子

フリーの俳優。栃木県出身。早稲田大学第文学部演劇映像専修卒業。
幼少期からクラシックバレエに親しみ、表現の力に魅せられる。大学在学中に所属したミュージカル団体とアメリカへの留学がきっかけで本格的に俳優を目指すようになり、2013年に俳優養成所に入学。(2014年同校修了)その後はフリーの俳優としてダンス・即興芝居・小劇場演劇・映像などで活動を続け、2016年には芸能事務所に所属し、演劇×ダンスユニット活動で副リーダーを務める。2017年からは再びフリーの俳優として活動している。.

補助者

豊島 晴香

慶應義塾大学環境情報学部卒業。卒業後旅行会社での勤務を経て文学座附属演劇研究所へ入所、2017年1月に研修科卒業。研究所外では小田尚稔さん作演出の「是でいいのだ」(2016)、「凡人の言い訳」(2017/一人芝居)に出演。

補助者共同レポート

小林&豊島

補助者である小林と豊島は、プロジェクト全体を時系列にまとめた共同レポートを提出。プロジェクトの進行のなかでの実行者の発言やふるまい、その場で起きたことを把握できる。




共同レポートを読む

実行者

朝比奈 竜生

ドラマトゥルク志望。2014年、青年団演出部所属。演劇作品等に批評的視点、公共性を持たせる手伝いをしています。






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実行者

富永 瑞木

大学進学とともに演劇をはじめました。卒業後も小劇場を中心に俳優として出演しています。2014年の演劇センターFの公募俳優として参加し始めてから、市原幹也さんのご紹介で港区の保育園の演劇ワークショップや、今年は仙台市立六郷中学校で中学生との演劇に参加させていただいております。

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実行者

中川 ゆかり

早稲田大学第一文学部演劇映像専修卒業。大学在学中よりフリーランスの俳優として自主映画、舞台制作の活動を開始。卒業後も就業と並行し、2011年にNPO法人・映画美学校のアクターズ・コース第1期に入学(2013年同高等科修了)。俳優を軸に主に舞台芸術・映画で各メディアの方法・スタイルを自覚的に逸脱し、フィクションに戻るプロジェクトに携わる。




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実行者

深澤 しほ

1990年生まれ。実践女子大学卒。卒業論文で書いた『まばたきの演技-役者の意図的な瞬目による印象操作-』は日本心理学会まばたき研究会で発表される。映画美学校アクターズコース5期生。近年の出演作品は新聞家『揃う』(2016)、ヌトミック『SaturdayBalloon』(2017)、はらぺこ満月『食べたい記憶』(2017)。舞台出演時以外は、興味のあるワークショップやおもしろそうな場所を探しては積極的に参加している。

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実行者

星 茉里

東京都出身。はらぺこ満月主宰。幼少期を広島、北海道、愛知の地にて過ごす。コミュニケーションデザインの仕事を主軸に音楽、食、まちづくりなど他業界で勤務後2017年春よりフリー。はらぺこ満月の活動をはじめる。千葉県松戸駅の純喫茶にて1品目『食べたい記憶』を上演。食と土地にまつわることと、身体との関係性を探っている。





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実行者

峰松 智弘

1991年兵庫県神戸市生まれ。早稲田大学卒業後、創作団体H-TOAを結成する。鑑賞者の行動や思考の状態に着目し作品を発表する。創作と発表において参加者の対話を重要視している。中華料理屋さんの店主の話を塗り絵をしながら鑑賞する「ワンさんの一生とその一部」や本を読みメモを取りながら、フィールドワークの要素も併せ持つ「これはペンです」などを発表。TPAMやKYOTO EXPERIMENTなどの芸術祭に参加している。

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実行者

吉見 茉莉奈

2013年大阪の劇団PEOPLE PURPLEに所属、一年間活動する傍ら劇団ままごとの横浜ゾウノハナテラスでの創作・公演に参加。現在はフリーで活動しています。
市原幹也さんの「みっける日常ヨコハマ」での作品や新潟市南区の滞在制作に俳優として参加、また昨年はままごとの瀬戸内国際芸術祭2016の小豆島での滞在制作に参加しました。




レポートを読む

試演会の実施について

無事に終了しました。

ご来場、またご支援をいただいた方には心から感謝を申し上げます。
ありがとうございました。

当日の内容

 ・プロジェクトの概要説明

 ・試演

   作・演出:市原佐都子、市原幹也
   原案協力:プロジェクト参加者一同
 
   出演:プロジェクト参加者一同(一部欠席)

日時

2017年7月13日(木)20:30〜21:30

開場は15分前の予定です。
黄金町への来訪が初めての方は余裕をもってお越しください。

入場料

無料(カンパ制)

合計21,716円のご支援をいただきました。
次回プロジェクト実施のために使用させていただきます。

ありがとうございました。(7/14 現在)

予約方法(先着20名様限定)

ichiharaproject@gmail.com

*若干数イス席を増席しましたので、現在立ち見席でご案内させていただいている方から順にご案内いたします。これからのご予約は立ち見席となりますので、ご了承ください。(7/12 13:00現在)

上記メールアドレスに件名を「試演会予約」としたうえで、以下を明記のうえ送信ください。

【a,氏名 b,人数(2名様迄) c,電話番号(ご本人確認/緊急の場合のみ使用) 】

送信から3日以内にこちらから返信がない場合は、不具合の可能性もありますので、お手数ですが再度その旨お伝えください。
希望者多数となった場合は立ち見席のご案内となりますのでご了承ください。

※いただいた個人情報は試演会予約のための連絡にのみ使用します

 

会場

黄金町芸術センターSite-D集会場

所在地 〒231-0054 神奈川県横浜市中区黄金町1丁目

作家プロフィール

事前リサーチから共に行動し、市原佐都子は手紙と戯曲化を主導した。市原幹也は劇構造構築と稽古進行を主導した。これまで培ってきたお互いの創造性を混ぜたりぶつけたりしながら、各自の創作の領域を拡張していくことも目的のひとつであった。

市原 佐都子

劇作家、演出家、小説家

劇作家・演出家・小説家。Q主宰。大阪府生まれ、福岡県北九州市育ち。桜美林大学で演劇を学ぶ。在学中は俳優を志し活動していたが、卒業研究として初めて劇作・演出を担い、演劇作品を発表。この公演をきっかけに卒業後、自作を発表していくためQを旗揚げする。2011年、戯曲『虫』で第11回AAF戯曲賞受賞。2016年文芸誌「すばる」にて小説『虫』を発表。『毛美子不毛話』が第61回岸田國士戯曲賞最終候補となる。

Q 公式WEB

コメント

「誰でもない誰かで、よく知らない人に触ることをしたい。そういうことができるんだろうかと、試したい」

Xからの手紙という設定のテキストを書いているときのやりとりで出てきた私の言葉です。何気なく出てきた言葉で、その言葉に私は無自覚でしたが、市原幹也さんが面白がってくれました。このプロジェクトのことを、Xのことを、きっと私以外の誰かの心にも潜むことを、言っていたのでした。

Xからの手紙をもとに参加者がまちを歩き、そこで採集したものから、私たちはひとつ、演劇をつくりました。市原幹也さんが劇構造を考え、私は戯曲を書き、採集した参加者によって演じられました。それは未熟な演劇でしたが、私と市原幹也さんそれぞれの得意なことがそれぞれを助けることができたこと、嘘の手紙から生まれたものが、まちや参加者の圧倒的な現実感により嘘と本当の境界線が滲んだこと、が面白かったです。いないのですからどうしたってその姿を見ることのできないXですが、でも私にはXはこのまちにいると感じました。私以外にも同じことを感じた人がいました。いない人が近くにいることを感じる、それはXが本当にはいないからこそのことかもしれません。

私はこのワークショップを様々なまちで行い、そのまちの人たちとそのまちの戯曲をもっと書いてみたい、残してみたい、それを集めてみたい、と新たな夢を持っています。

この試演会はその道の一足だといいなと思っているところです。


市原佐都子

市原 幹也

演出家

演出家。劇団のこされ劇場≡主宰。演劇センターF芸術監督。2005年から2007年まで北九州芸術劇場とともに作る演劇作品を発表。2009年からは劇団員らによって商店街のなかに民間劇場を立ち上げ、地域に密着した運営と創作を展開。そこで5年に渡り芸術監督を務め「えだみつ演劇フェスティバル」等の先進的な取り組みは国内外から注目を得る。作品が国内外の国際的な演劇祭へ招聘される一方で、地域の子供から高齢者まで幅広い年齢層の市民を対象にした創作や、コミュニティプログラムを多数実施。2013年からは「横浜トリエンナーレ」サポーター活動の年間講師を務め、文化芸術分野における市民恊働の在り方を提案している。

公式WEB

コメント

ぼくの生まれ育ったまちは、山口県の日本海に面したとても小さな漁師町です。

そのまちが誕生した1955年から約60年間をかけて人口は3分の1ほどになりました。少子高齢化が進み、進学・就職・結婚などを機にまちを離れる人が今も増えています。子供時代に大切にしていた風景も、少しずつ剥がれ落ちています。あの駄菓子屋の歯抜けジジイも、散髪屋のウマヅラも、もういません。ひとが集まった本屋も、酒屋もなくなりました。その酒屋を潰したのは、市原酒店三代目店主となるはずだったぼくです。

さて、架空の人物【X】が実在するまちなかに残した痕跡を遊ぶ演劇体験を、演劇作品の上演によって創りだそうと思っています。架空の人物の痕跡を、まちの風景やそこで暮らすひとが発する日常↔非日常の空間に潜ませることができないか考えています。また、このプロジェクトを日本各地であらゆる参加者と継続することによって、架空の人物像を参加者同士で創発し続けることはできないか考えています。それぞれが「私」のなかに居る「いつかのどこかの誰か」を探す遊びなのかもしれません。例えば、「私」という同一性が勝手に同一の物語を反復して弱めてしまうまち/ひとの通事性を、そのまち/ひとの記憶を持たない「誰か」の共時性を借りて解き放ってみたいとも考えているのです。そうしたまち/ひとが登場する、嘘か本当かわからない物語をずっと続けてみたいのです。

今後もいっしょに考えたりつくったりできるひとや、それができる素敵なまちと出会えたら嬉しいです。

市原幹也

  まちがあって、そこに生きているひとがいて、
それを戯曲で残していく、嘘だけど本当の記録。
 

このプロジェクト実行のため、ふたりを受け入れてくれる滞在先を探しています。
 
そして、いっしょに作ってくれるひとを探しています。
 
興味を持っていただけた方は、上記メールアドレスからお問合せください。
 

市原 佐都子 市原 幹也